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『Eternal Full moon 第七話』 作者: イル・プリンチベ
―34― 寿司パーティ
今日は念願だった寿司パーティを開催する日だから、私はさっき永琳と鈴仙ともめたことを忘れ2人を参加させた。まぁ、なんというか、私一人が贅沢をするのもアレなので、私なりに寛大な処置を取ったつもりだ。間違いない。うん、やっぱり私は王になったら名君になるだろう。
そんなこんなで私を始め永遠亭の住人達は、外界でないと食べれない新鮮な魚をふんだんに使った寿司を堪能するのであった。もちろん、地上の妖怪兎の連中にも食べさせてあげる私は永遠亭の当主に相応しいと思う。
それにしてもマグロの大トロって奴は、脂身がいっぱいあって美味しいったらありゃしない。あとはキングサーモンとか天然物の鯛も捨てがたいものがあるから、地上の食材も月に決して劣る事はないと思ってしまうわ。これが普段から食べられれば最高なんだけどなぁ…
「姫様。お望み通りの寿司ネタを手に入れてきましたが、お味のほうはいかがでございますか?」
寿司ネタの具材を手に入れてきたのは永琳や鈴仙でなく、意外なことに地上の兎のリーダーでしかない因幡てゐだった。
それを証拠づけるためにてゐを中心に地上の兎達が段取りをしているので、どういうわけか蚊帳の外扱いされた永琳と鈴仙はやはり先程にもまして不機嫌そうだった。
「よくやったわね。私たちじゃ普通にやってたら手に入らないのに、あなたはどうやってそれを手に入れてきたの?」
私はてゐに寿司ネタをどうやって手に入れてきたのかを聞いてみることにした。平気で嘘をつくこの詐欺兎の事だから、私の知らないところで憎きボーダー商事の連中を通じたと思われる。
「そうですね、私は知り合いの知り合いに無理を言って分けてもらっただけです」
この“詐欺兎”の言ってることは全部嘘だ。こいつと信頼関係で結ばれた奴なんてこの世にいるわけがないし、どうせあこぎな手段を使って手に入れてきたに違いない。
「“詐欺兎”のあなたに信頼関係なんてない、そんな都合のいい知り合いの知り合いなんて存在するわけがないでしょう?どうせ、ボーダー商事を通じてこれらを手に入れたわけではなくて?」
私はこいつがボーダー商事を通じてこれらの食材を手に入れたと思ったのは、私や永琳の力では外界の品物を手に入れることが出来ないのと、こんな芸当が出来るのはあの忌々しい“ゆかりん”ごと八雲紫しかいないからだ。
本来ならば地上に存在する幻想郷は私達月の民の支配下に存在すべきであって、博麗の巫女を裏から操るのはこの蓬莱山輝夜以外いない筈なのだが、私が地上に来る前から竜神が幻想郷の管理を八雲紫に任せており、私達は八雲紫と敵対する羽目になったことにより迷いの竹林で隠れ住むことを強いられてきたのだ。
「姫様、何をおっしゃるのですか!私の忠誠心を信じてください。私は永遠亭の住人であり姫様の従者でありますので、あの憎きボーダー商事に資金を手渡すなどの愚行をするわけがございません」
ああ、やっぱりこいつは嘘をついている。“詐欺兎”は私に気づかれないように“賽銭詐欺”や“カラー兎”の販売を陰でやって資産を蓄えているのだが、そんなものはこの私にはお見通しというものだ。
「今の私は月の御仁であらせられるあなた様をお慕いしておりますし、地上の兎達は皆姫様の為に身命を賭ける次第でございます」
ふん、またしょうもない嘘をついているわ。私なりの慈悲で今のところ資産を没収していないが、その気になればいつだってあいつを丸裸にするのは容易だし、自分のやってきたことが知られたらどんな顔をするのか見たいものがあって仕方ない。
だけどこいつはまだ利用価値があるので、今はまだ生かしてやる事にしよう。とりあえず今までのようにギブアンドテイクの関係を維持しておけば、何かと私が美味い汁を吸えると考えたが、これ以上付け上がらせないために私は面白いことをやってみようと思った。
「そう。あなた、私に忠誠を誓っているのよね?だったらその証として、あなたが今まで蓄えてきた50億円ほどの資産を全部私に喜悦しなさい!」
私はこいつが心の奥底から私を慕っていることを確認するために、あえてすべての資産を手渡すようにけしかけてみた。みんなは私の頼みごとを無理難題と言ってのけるが、本当に月の姫君である私を慕うなら、全てをなげうってまで証明する必要がある筈だ。
「ひ、姫様。何をおっしゃるのですか?地上の兎でしかない下賤な私が、そんな大金を持っているわけがあり得ません!」
「私達地上の因幡が出来ることはただ姫様に絶対の忠誠を誓う事だけでして、姫様に後ろめたいことなど何一つたりともないのですよ!」
見え透いた演技を見せ続けられたので腹が立って仕方ないが、このいけすかない地上の“詐欺兎”が後でマヌケ面を私の前で晒すまで我慢してやろう。
「てゐ、今更嘘に嘘を積み重ねても無駄よ。所詮あなたは仏陀の掌の中で逃げ回る孫悟空でしかないのだから、私達に隠れて“賽銭詐欺”や“カラー兎”を売りつけてボロ儲けしてることぐらい始めから解っていたのよ?」
私は永琳と鈴仙付けの因幡にこの“詐欺兎”ごと因幡てゐを徹底的に監視するように言いつけ、月の都の技術で出来たカメラで隠し撮りをさせて、こいつの言動のすべてを管理してきたつもりだ。
その証として、こいつが秘密の研究所で“カラー兎”の研究や、長い年月にわたり幻想郷の住人達に“賽銭詐欺”を働いて資産を積み重ねてきた写真をふどころから出して、こいつに精神的なダメージを与えるつもりで見せつけたやった。
「鈴仙は同胞を売るあなたの行動が許せなくて、今すぐあなたから財産を没収するように私に言ったんだけど、あなただって私に絶対の忠誠を誓っているわけじゃないから、私達は今まで見て見ぬふりをしてきたわ」
私に忠誠を誓うと言っておきながら、私に解らないように財産を蓄えてきた事が何よりも許せなかったので、この“詐欺兎”にはいつか自分の立場を解らせる為に私なりに画策をしたつもりだ。
「ひ、姫様!わっ、わっ、私は、姫様に隠して私財を蓄えてきた事は一度もありません!どうか、私の忠誠心を信じてください姫様」
てゐは自分の私財を私に没収されたくないがために、許しを請う為に自分から進んで土下座をしてきたが、もちろん私はこいつに対し一切の容赦をするつもりはない。
「地上の因幡の分際で、月の姫君である私に貢物をしないとは何様のつもりっ!?」
私はこの“詐欺兎”に、地上の民は月の民に逆らってはならないという事を証明するために、思い切り怒鳴りつけることにしたのだった。
「てゐ。本当に私に忠誠を誓っているなら、あなたが今まで蓄えてきた私財の全てを私に差し出しなさい!」
骨の髄まで穢れきった“詐欺兎”に私は今まで蓄えてきた財産を差し出すように言いつけたのは、月の民の一般常識で地上の民は月の貴人である私達に貢物をしなくてはならないのだ。
「あなただって八雲紫に懐柔してないから、今まで税金を一度も支払っていないんでしょう?」
こいつが税金を支払わないのは私達と同様に、ボーダー商事傘下で活動してないことを表し、今まで稼いだ金をすべて自分の財産にしているのだ。私のような高貴な月の民は地上の兎なんぞ使い捨てても何ら問題ないし、兎鍋にして食べてもこれといった障害はない。
「ここから出ていってもいいけど、敵の多いあなたの事だから“妖怪兎狩り”の対象となったり、ボーダー商事名義の刺客に狙われたりするのよ」
実際こいつのやってきた事業は多くの敵を作ってきたので、私の庇護の下で“賽銭詐欺”や“カラー兎の販売”をやってこれたという現実がある。私がいなかったら、今頃こいつは人里の人間達に退治されて兎鍋で食われてるのが関の山だ。
「自分の命が惜しいか、雀の涙程度の僅かばかりの資産が惜しいか、あなたはどちらを選ぶのかしら。まぁ、生きるために無駄に長生きし続けてきて、誇りなんてロクにないあなたのことですから、醜態を晒しながらも生きることを選択するでしょう?」
この“詐欺兎”が私達と一緒にいるのは、あの憎き八雲紫の手によって自分の稼ぎの大半を税金として支払いたくないので、私達とともに永遠亭に住んでいるのだ。
「“寿司パーティ”を開くためにあれこれ奔走したのは認めてあげるけど、あなたは月の民である私達か、穢れきった地上の妖怪の八雲紫のどちらに忠誠を誓うのかしら?」
一応寿司ネタを集めたことを評価するも、これ以上地上の“詐欺兎”の増長を許さないために釘を指しておいた。なぜなら、地上の民は月の民にひれ伏すのが定めなのだから。
「も、もちろん姫様に忠誠を誓わせていただきますとも!わたくしたち地上の因幡は、姫様の為に身命を賭ける所存次第でございますので、今後ともご期待をよろしくお願いいたします」
この“詐欺兎”は何かあれば必ず土下座をして許しを請うのだ。おそらく、寿司ネタを手に入れた時に八雲紫に対しわざとらしく頭を下げて忠誠を誓う素振りを見せたと思う。
「本当に私達に忠誠を誓うんだったら、あなたに褒美を渡さないといけないわね。なにせ、今まで蓄えてきた資産を差し出してくれるんだから」
私はこの“詐欺兎”をその気にさせるためにあえて褒美を使わすように言ってみたら、やっぱり金目の物に弱い下賤な考えをしている奴なんで、案の定私が仕掛けた釣針に勝手に引っかかってくれた。
「姫様、この愚かで賤しい私に褒美を下さるのですか!?ありがたき幸せでございます」
こういう時に限って恭しく頭を下げてくるんだけど、わざとらしく見えるから笑いをこらえるのに必死で仕方なかった。
「そうよ。本当に私達に忠誠を誓うのならば、これぐらい当たり前じゃないの。因幡、もっと私のそばに近寄りなさい」
私はこいつに褒美をよこすためにもっと近寄るように命令したら、褒美が欲しいあまりに調子に乗って近寄ってきやがった。強欲な奴め、そこまでして僅かばかりの報酬を手にしたいと考えているなんて、本当に意地汚く下賤なものだわ。
「いけません姫様。これ以上近づけば姫様が穢れてしまいます」
この“詐欺兎”ときたら、いつもいつも心にないことを言ってくれるのだから、見るのも嫌になるぐらい腹ただしくて仕方ない。こいつと同じ空気を吸っているだけでも穢れてしまいそうで耐えられないが、ここはあえて耐えることにした。
「かまわないわ。もっとそばに近寄りなさい。あなたに近寄ってもらわないと、褒美を手渡す事が出来ないもの」
私の間合いに入るようにけしかけてみると、この“詐欺兎”ときたら褒美目当てで図々しい態度をとってきやがった。
「これぐらいでよろしいでしょうか?」
自分の事を目一杯可愛らしく見せてきやがるこの詐欺兎は、丁度いいことに私の間合いに入ってくれたのでとっておきの褒美を差し出す事にした。
「そうよ!これからあなたに褒美を手渡すから、少しお待ちなさい」
「姫様、私にはどのような褒美を頂けるのですか?」
“詐欺兎”は目を輝かせながらどんな褒美がもらえるか気になっているようだ。博麗の巫女や普通の魔法使いを始め、地上の民ときたらどいつもこいつも報酬に目がない上にすぐ寄越すように催促してきやがる。
「私からの褒美は、これよっ!」
バシッ!
私は右手平手打ちという最高の褒美をこの“詐欺兎”にくれてやった。何があろうとも私は月の都の姫で、下賤な地上の民がまともに声をかけれる身分ではないことを解らせてやった。
「うっ!ひ、姫様。何をなさるのですか?いくらなんでもあんまりじゃないですか!」
私の報酬が平手打ちという事でこの“詐欺兎”は驚きを隠せなかったみたいで、見事なマヌケ面を永遠亭の住人全員に晒してくれた。これじゃ、兎達のリーダーっていう立場が台無しで最高に笑えるわね。
「私達に忠誠を誓うのなら、地上の兎の分際で永琳や鈴仙に反抗的な発言はしないことね!」
永琳や鈴仙は時より生意気にも私を諫めてくることがあるんだけど、一応月の民としての立場を認めているので、それなりの発言権を与えているつもりだ。
まぁ、さっきみたいに、姫である私に向かって問題発言をしてきたり平手打ちをブチかましてくれたり事もあるけど、兎にも角にも永琳と鈴仙はわたしが唯一信頼できる存在なのだ。
「地上の兎はちょっと手柄をあげたらすぐこれだもの。自分の立場をわきまえず、主や上司を差し置いて増長するのだから」
「永琳、鈴仙。この増長したこの“詐欺兎”を再教育なさい!」
私は不味そうに寿司を食べている永琳と鈴仙に対し、この“詐欺兎”の再教育を命令すると共に、こじれた関係を修復させるあることを試みた。うん、こんなすごいことを思い付くなんて、やっぱり間違いない。月の都は私が王位につけば、未来永劫安泰なのだ。
「永琳、いい加減機嫌を直しなさいよね。さっき鈴仙を破門にしたみたいだけど、あの処置を取り消しなさい。折角の寿司パーティを楽しめなきゃ損じゃないの」
私は永琳と鈴仙に折角の“寿司パーティ”を楽しんでもらうために、ずっとしかめっ面をしている2人の中を取り持って仲直りさせることにした。そのためには永琳が鈴仙を破門にしたことを不問にし、さっきあの用な大喧嘩があったことをなかったことにしたかったのだ。
「姫様がそうおっしゃるなら仕方ありませんね。さっきは本当にごめんねウドンゲ、さっき破門といった事はなかったことにするわ。あんなことを言ったのは、たぶん気が触れてしまったからだと思うの」
普段は絶対に譲歩しない永琳でも、私の頼みとあればほらこの通り。すっかり機嫌を直してくれるだけでなく、鈴仙を追い出すなんて言う真似をせず元通りにしてみせたの。
「そんな!私、お師匠様に見捨てられたら、本当にここを出て行かなくてはならないと本気で思いました。あの時は私もおかしくなっていたんです。そうでなかったら、お師匠様にあんな暴言をするわけがありません」
鈴仙も自分の発言を恥じたのか、永琳に改めて謝罪をしたのよね。これで永遠亭は崩壊するという最大の危機を乗り越え、これからいつも通りの平常運転に戻るのだった。
「ウドンゲ!」
「お師匠様!」
永琳と鈴仙は自らの過ちを認めあい抱きしめあうと共に、麗しき子弟関係を寿司パーティに参加している永遠亭の住人達にまざまざと見せつけたの。
「あんたたち。感動のあまり抱擁し合うのはいいんだけど、先にこの“詐欺兎”を再教育しなくてはいけないんじゃなくて?」
私は向こうの世界に飛び立ちそうな永琳と鈴仙を元の世界に戻し、“詐欺兎”の再教育を施すように命令した。
「地上の兎の分際で、私達に向かって生意気を言うんじゃない!」
永琳は私が再教育をやるように命令する前に、いきなりこの穢れきった“詐欺兎”を右手平手打ちでひっぱたき始めた!
バシッ!
「うぐっ!お、お師匠様、も、申し訳ございませんでした」
その場を取り繕うためにこの“詐欺兎”ときたら、自分の罪を少しでも軽くするために永琳に謝り始めたのよね。
「本当はあなたを死なないように殺してあげたかったけど、“寿司パーティ”を開けたおかげで私達も姫様に見限られずに済んだのだから、この程度で済んだことに感謝なさい!」
バシッ!
「あなた、この間私に向かって何を言ったかわかっているの!?」
あーあ、永琳はここ最近相当ストレスが溜まっているみたいで、それを少しでも晴らすために“詐欺兎”を引っ叩いている。
バシッ!
「こんな誇りも信念もない奴に、月の英知の一部を教えるんじゃなかったわ!師匠を敬わない弟子なんか破門してやるっ!」
しかも、一応弟子入りさせているこいつを破門しやがったよ。永琳って、少しでも弟子が気にくわなかったらすぐに破門するんだから、私以上に気が短くと思うね。
ドガッ!
「てゐ!」
最後の一発で“詐欺兎”は地べたに這いつくばっちゃったんだから、鈴仙がこいつのみぞおちめがけてかかと落としをお見舞いしたわ。
ドガッ!
「あなたときたら地上の兎の分際で、玉兎である私の命令をいつもいつも聞かないんだから、本当に自分の立場をわきまえてるつもり?」
鈴仙は倒れた“詐欺兎”に対し、ふとももに狙いを定めてローキックを繰り出してきたの。
バシッ!
宴会場一帯に綺麗に蹴りが入った音が響き出したの。この詐欺兎ときたら、苦悶の表情を浮かべてのたうち回っているわ。一応、兎のリーダーということもあってか、惨めに叫び声を出さない根性はほめてあげるとするか。
「あなたが余計なことをするから、私の立場がないじゃないのよ!」
バシッ!
「“兎狩り狩り”の時だって、私の命令を聞かないで勝手に逃げだすなんて一体何様のつもり!?」
バシッ!
「私達に忠誠を誓うというのなら、これからは心を入れ替えて幻想郷の食卓から兎を撲滅するために尽力なさい!」
バシッ!
鈴仙は相当こいつに辱められてきたと思うので、本気で殺すつもりでローキックを連発している。
「鈴仙、その程度にしておきなさい。これ以上やったら、本当に死んじゃうわよ」
こいつは信頼ならない奴だけど、私にとってまだ利用価値があるから、金のなる木であるこいつから金目の物を絞りとれるだけ絞りとって、使い物にならなくなるまでこき使い続けたいので、ここで殺してしまってはなんの面白みがないのだ。、
「ですが姫様。こいつは信頼できない奴ですから、もっともっとやらないと自分の立場を理解しませんし、ここで殺しておかないと私みたいにとんでもなく痛い目に会いますよ」
鈴仙の言う事は尤もだが、こいつはまだ利用価値があると思うのだ。
「鈴仙」
私は鈴仙にこれ以上の再教育は無意味なので、やめるように瞳で訴えたのだ。
「姫様の命令だったら、仕方ありませんね。姫様の寛大な処置で命だけは助かったのだから、心の奥底から感謝することね」
鈴仙も私に瞳を見ると大人しく引き下がるも、この信頼できない“詐欺兎”をずっと睨み続けている。
永琳も“詐欺兎”に軽蔑のまなざしを依然として送り続けている。
「てゐ。これで自分の立場が解ったでしょう?私達は月の民で、あなたは地上の穢れた兎にすぎないのよ!ちょっとばかり仕事が上手くいっても、ここではあなたの立場が解る事がないわ!」
「あなたが金もうけをすることは大賛成だけど、儲けたお金の9割8分は私のものだっていう事を覚えておきなさい!」
私は穢れきっていて忠誠心の欠片が全くもってないこの“詐欺兎”が、本当に心の奥底から私達に帰順したかを確かめてみた。
「は、はい。私、因幡てゐは、これから蓬莱山輝夜様に全資産を差し出しますので、私の忠誠心を信じてくださいませ!」
てゐは私に土下座を晒したと共に、今まで賽銭詐欺やカラー兎の販売で稼いできたお金の総額を差し出してきた。
「これが、私が姫様に対する忠誠の証しでございます!どうかお受け取りなさってくださいませ」
てゐは顔を蒼白にしながら私に知られないように隠し持ってきたすべての資産を渡したのだった。ちなみに私が亭から没収した金額は、なんと34億5482万7700円という信じられないほどの大金なのよね!
付きの王族である私を差し置いてあろうごとか地上の兎が、このほどの大金を持っているなんて生意気極まりない。
「これだけのお金があれば、いや、5千万円ぐらいで十分だわ!新薬の開発に十分すぎるじゃないの!」
永琳はこのうちのいくらかは新薬の開発に回ると考えているので、より強烈な薬を幻想郷に提供することを考えているようだ。
「私達、一気にお金持ちになったじゃないですか!食用の鶏を何羽か買えば、これで兎鍋を食べずに済みますね」
確かにこれ以上兎鍋を食べずにすむと思うと、今まで私と永琳の袋に収まった因幡達に申し訳が立つというものだ。我ながら鈴仙にも酷いことをしてきたと思う。
「そんなことよりも私達は“月都万象展”を開催しないといけないわ!」
これだけのお金があれば、憎きボーダー商事の勢いを抑えられると思う。これを元手に永遠亭ブランドで何かを売りつけて利潤を上げれば、今は幽閉生活を強いられている私達でも、近い未来にあの八雲紫を失脚させれる筈だ。
そのためには永琳の薬の売り上げが上がらないと困る。私だって無駄に引き篭っているわけではなく、香霖堂で手に入れたパソコンを最大限に活用して経済ニュースを常にチェックしているのだ。
私は偉大な月の姫で、紅魔館の吸血鬼の姉妹や、冥界に住む亡霊のお嬢様や、守屋神社の2柱や、地底を我が物顔で謳歌している古明地姉妹と鬼どもや、妖怪の山を根城にしている天狗や河童なんかと器が違うのだ。
私達の底力を見せつけるために『月都万象展』を開いて、月の都にあったレアアイテムを地上の民どもに見せて、出来るだけ金を毟り取らなくてはならないのだ。
地上の民に金銭の類を与えたら、それこそ自分の欲望のために使うしかないと思われるので、ここは私達月の民が地上の民が持っている財産を没収しておけば、世の中が正しい方向に導けると私は確信を持っている。少なからずこれからの幻想郷の指導者は、八雲紫でなくこの私以外だったら永琳しかいないだろう。
幻想郷の住人達はお祭り騒ぎが大好きで、こういうイベントものには致命的に耐性がないという事を私は地上に来てから嫌というほど理解させられた。
なぜならあいつらときたら、何かとことがあるたびに呆れるぐらいにお酒を呑みたがる傾向にあり、ほぼ毎日神社で浴びるほど酒を呑み続けていてお祭り騒ぎが大好きなのだから。
「『月都万象展』の開催は一ヶ月後にするから、ここで私達月の民の威厳を地上の愚民どもに知らしめてやるわよ!」
―35― 月都万象展の開催に向けて
「てゐ、早速あなたに仕事を与えるわ。これから私達は『月都万象展』を開催することを、今すぐに地上の下衆どもに教えてやりなさい!わかったわね!?」
“寿司パーティ”をお開きにしてから、私はてゐが本当に私達に懐柔した証として『月都万象展』の開催を地上の民に教えるという重大な仕事を与えた。
「か、かしこまりましたっ!」
てゐは私に忠誠を誓った証しとして、地上の民どもに『月都万象展』の開催を伝えるために脱兎の如く永遠亭を飛び出していった。
賤しい“詐欺兎”のこいつの事だから、本当は信頼すべきでないことはわかっているつもりだ。一応名目上は信頼してやらないとかわいそうなので、心身ともに壊れるまでこき使っておいて、使えなくなったらポイ捨て扱いしても構わないだろう。
造反する危険性はなくもないが、私達に逆らったら命はないという事を教育してやったから、変なことを試みることはないと思う。
「永琳と鈴仙は因幡どもをコキ使って、一ヶ月後に開く『月都万象展』の会場のセッティングをしておきなさい!」
永琳と鈴仙には『月都万象展』の会場のセッティングを任せておくが、地上の因幡どもをこき使っておけば何の問題もないだろう。
「承知しました。姫様のご期待に応えれるように、身命を賭けて職務を遂行するつもりでございます」
鈴仙は『月都万象展』の準備に取り掛かろうと意気込み始めた。
「姫様、本気で『月都万象展』をやるのですね!地上の民に対し、月の民である我々の威厳を徹底的に見せつけて、いけ好かないあの連中どもの地べたに這いつくばらせるお考えですか!」
「確かに今回の『月都万象展』を大成功させる為には、あの“詐欺兎”を徹底的にコキ使っておく必要がありますからね」
永琳の瞳を見ると、『月都万象展』を開く意味を私以上に理解しているので、地上の民が我々にひれ伏す光景を想像していたに違いないと思う。かくいう私も、あの憎き八雲紫と取り巻き連中の妖怪どもが、私達の目の前で地べたに這いつくばるというこれ以上ない屈辱を味あわせてやらなくてはならないのだから。
「姫様。いよいよ我々月の民が幻想郷の覇権を握る時代が到来すると思うと、本来の姿を取り戻したと言ってもいいでしょう」
永琳は幻想郷を支配するのが我々月の民であることを想像したのか、今まで不本意な忍耐を強いられてきた屈辱を晴らせると思ったようだ。
「そのためには、『月都万象展』を成功させ、我々月の民の威信を地上の愚民どもに知らしめなくてはならないのよっ!」
私達が幻想郷を支配するためには、『月都万象展』を大成功させることが足掛かりとなる事だと思われる。
「永琳、地上の愚民どもは間違いなく『月都万象展』を見にやってくるわ」
「地上の愚民のときたら月の都に非常に関心を持っているし、あの八雲紫なんかは2度も大惨敗を喫しているというのに懲りずに月の都に攻めかかろうとしているんだから、私達の文明の一部だけを公開してやろうじゃないの」
地上の民どもは月の都に関心を持っているのだが、あいつらの文明程度では私達の技術を模倣することすらできないのだ。妖怪の山の天狗と河童は、幻想郷の中でも非常に高い文明を持っているのだが我々に及びはしない。なぜなら今のあいつらがいるところは、我々月の民が1億年以上前にいたところだからだ。
奴らは来る。絶対に来る。幻想郷に住む地上の愚民どもはそろいもそろって月の都に関心があり、どんなリスクを支払っても地上の珍品コレクターが我先に月の都の技術を身に来ざるを得ない筈だと私は思う。
―あとがき―
この凡庸極まりないSSの作者である私は、東方キャラ達をとある目標を達成するために一つのチームにまとめ上げることが出来ないと思います。なんたって彼女達はそろいもそろって自己主張とエゴの塊ですし、絶対に譲歩する考えを持つことがないと思われるのです。俺以外の誰でもいいから東方キャラをチームとしてまとめ上げてくれ…
今回も姫様をひたすら暴れさせて、やりたい放題やらせておくだけやらせておいて、ついでに調子に乗っていたてゐを徹底的にフルボッコにさせてみました。言うまでもなくアレなんですが、読者の皆様にとって相変わらず滅茶苦茶な展開で進んでいくと思いますので、良くも悪くも予想を裏切るための工夫をそれなりにしているつもりです。
今までこの作品を読んでいただいた読者様に感謝してもしきれませんし、中途半端な段階でも多くのコメントを頂けたことに作者の私は感無量でございます。
イル・プリンチベ
作品情報
作品集:
28
投稿日時:
2011/08/09 08:11:48
更新日時:
2011/08/09 17:11:48
分類
蓬莱山輝夜
永遠亭
ブラック企業
「こんな奴らに組織が作れるわけない」って現実を忠実に再現してます。
さて、そろそろ永遠亭の最後を飾るド派手な花火が上がるころですね!! 楽しみに待ってます!!
どこのムバラクだ
今度から、朝に顔を洗った後、少し鏡を見る時間を増やしたほうが宜しいかと。
一体、何時、こいつらが身の程を知るのだろうか。
いい加減、ストレスが溜まってきたので、そろそろひっくり返し時かな。
色々しすぎて永遠亭にしかいれない感じなんですかね?
強制税収してんじゃ反ゆかりん派 多そうだなあ
じゃないと私のモヤモヤ感がで憤死しそうです