Deprecated : Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
Warning : Cannot modify header information - headers already sent by (output started at /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php:270) in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/global.php on line 40
『産廃百物語A「マキャベリにして曰く『目的のためならばあらゆる手段は正当化される』」』 作者: 穀潰し
あの子が出来たのは十数年ほど前だった。
あの子は、周囲から見れば所謂不思議な子−−−神様が見える、奇跡を起こせるなんて言い出す、不思議を通り越して、少し頭がおかしいと思われるような子だった。
もともと持って生まれた力だからそれを自慢したくなるのも分かるけど、私から見ても少しはしゃぎすぎていたと思う。
だからあの子には親しい友人も、気軽に話が出来る存在も、ましてや心を許せる存在も居なかった。
それが自身が幼い頃に行った数多の行為のツケだったとあの子は気づいただろうか。
そのうちあの子は愚痴を言うようになった。
周りから変な目で見られだしたこと。
同じクラスの女子が意地悪をすること。
好きな男の子ができたけどその子はほかの女子にも人気があること。
最初は私もアドバイスしてたりしたけど、何時からか一方的にあの子の話を聴くようになっていた。
そんなある日。
あの子は学校に行かなくなった。
好きだった男子の取り巻きたちにいじめられたのが理由だ。
あの子は私を目にするたびに自分をいじめた女子が憎いといった。
そのいじめを見てみぬ振りしていたクラスの皆も憎いといった。
そして現実味のない復讐やクラスメイトの悪口を延々と話し続けた。
私はただ黙って相槌を打つ。
だって復讐心は正当な心だもの。実行するかどうかは別として、持つだけならそれを咎める必要なんてない。
またこの頃から近所と折り合いが悪くなり、 中傷ビラや落書きなどの悪質な嫌がらせが彼女の家に行われた。
一度は郵便受けに刻んだ猫が入っていた。
そんな状況だ、円満な家庭環境なんて出来るはずもない。
昼夜問わず家族間での怒鳴り声はやまなかった。
数年後、あの子は部屋に引きこもるようになった。
私もあの子の姿を見ることがめっきり減った。
めっきりふけこんだあの子の両親の話を聞いていると。
昼は絶対に出てこない。
ご飯は部屋の前においていく。
深夜になるとトイレに行くときだけ出てくる。
そんな生活を送っているようだ。
私はあの子に会いにいった。
あの子は私に会うのを拒絶した。
扉越しに会いたくないと怒鳴った。
それはそうだ。
私みたいな存在が見えなければ、そもそもこんなことになっていないのだから。
それがたとえ理不尽な八つ当たりだとしても、私は気にしなかった。
だってこれらは必要なことなのだから。
あの子は何を話しかけても黙っていた。
一度だけちらりと見えたあの子はげっそりと青白くやつれていた。
絞った雑巾のようだった。
それから毎日あの子に会いに行った。
心配そうにおろおろするもう一柱は放っておいて。
毎日、毎日あの子の部屋まで会いに行った。
そのうちあの子は扉越しに話をするようになった。
自身の力をどうすればいいか分からなくなったこと。
一度八つ当たりで力を振るったらとてもひどいことになったこと。
恋人ができたと思ったら、自身の力を知られて『化け物』といわれたこと。
助けてほしくて両親に相談したら『知ったことか』と切捨てられたこと。
死のうと思ったこと。
手首を切ったこと。
昔と同じ様にあの子が一方的にしゃべり続け、私は相槌を打つ。
意見を求められたときはなるべく無難な意見を言う。
そのうちあの子は部屋を出た。通学……はまだ無理だから、通信制の学校に行くことにした。
だんだん性格も明るくなり始めた。
そんなある日。
あの子は事故にあった。
相手がそんなに速度が出てなかったから命に別状は無かったけど。
いざ自分から一歩踏み出そうとした矢先の事故。
ベッドに横になったあの子は泣きながら謝った。
両親に。そして私たちに。
今まで散々迷惑をかけたのに、まだかけ続ける自分が情けない。
泣いているあの子を慰めた。寝転んだまま泣いている人を慰めるのは難しいものだと思った。
慰めながらあの子にある提案をした。
悪いことばかり起きる。いっそのこと新しい土地で一から始めて見ようと。
彼女は全身の水分を絞りつくすようにして泣きながら「本当ですか? またご迷惑をおかけすることになってしまいます。本当に私もご一緒していいんですか?」と何度も聞き返した。
私は訊かれる度に頷き返した。
良いも悪いもあるわけないじゃない。
だって私は。
アナタのことがずっと好きだったのだから。
顔をゆがめてクラスメイトの悪口を言っていたときも。
能力との折り合いが付かなくて荒れていたときも。
一方的に愚痴をしゃべり続けていたときも。
アナタが泣きながら両親とけんかしたと伝えてきたときも。
引き篭って別人のようにやせたときも。
小学生の頃にアナタが好きな男子の名前をその取り巻きたちに伝えて、その結果いじめられたときも。
アナタの家のポストに入れる猫を刻んだときも。
恋人の前でわざと力を振るわせたときも。
祟りを起こし、事故に合わせたときも。
そのすべてが好きだった。
だから。
これでやっと一緒に始められるね。
私の大切な風祝。
我が子可愛さのあまり、その行動を制限する。これも一つの愛。
お久しぶり、もしくは初めまして。筆者の穀潰しです。
簡単にまとめますと、ケロちゃんが早苗を『自主的に』幻想郷に行きたがるように仕向けたわけですね。
その理由?
子供と平穏に過ごしたがることに、理由が必要ですか?
>んh様
猫可愛がりとはこのことを言うのでしょうね。
そして神奈子様は肝心な時にヘタレなのが私のジャステス。
>ヨーグルト様
愛のカタチは色々有ります。それが綺麗だろうと歪んでいようと愛にはかわりありませんものね。
>NutsIn先任曹長殿
でも幾ら業背負ったからってあんなにはっちゃけなくてもいいと思うのですよ。
そんなことだから産廃のアイドルになってしまうのです。
>零雨様
歪んだ性格、正しくこの先祖にしてこの子孫ありですね。
>エイエイ様
書かれる方々によって、ビッチだらけだったり、屑ばっかりだったり、変態ばっかりだったり多種多様な幻想郷。
だからこそ魅力があるのでしょうね。
>ウナル様
どんな工程でも、終わりよければ全て良しですものね!!
取り敢えず思ったこと。
皆様の感想を拝見して、改めて「ああ、間違いなく此処は産廃だ」と実感いたしました。
穀潰し
作品情報
作品集:
28
投稿日時:
2011/08/19 14:13:27
更新日時:
2011/09/26 10:10:58
分類
産廃百物語A
洩矢諏訪子
東風谷早苗
マキャベリシリーズ
そんでもう一柱の無能っぷりもたまんない
示された場所は、ここではない場所。
リュックを背負って、業を背負って、いざ、楽園へ!!
幻想郷でのあの性格は元の世界でなりたかった自分でしょうか