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『恋と嫉妬』 作者: 灰々
まだ、8月の32日だからセーフっしょ!
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「おや、魔理沙さん、また、地下に行くんですか?」
「そうだぜ、悪いか?」
私が箒に乗って、飛び立とうとしたとき、射命丸の奴に声をかけられた。
「いえいえ、でしたら、お願いしたいことがありまして」
「なんだよ、面倒なことはNGだぜ」
「そんな、大変なことではありません。実は、私幻想郷ブロンド美女写真集を出そうと思いまして」
「はあ、そんなこと企んどったのか」
呆れてため息が漏れた。
「そこで、魔理沙さんに写真を撮ってきていただきたいのです。地下には三人も金髪美女がいますからね」
「土蜘蛛に橋姫に鬼か……」
さしずめ、鬼が怖くて自分では撮りに行けないのだろう。
「謝礼は勿論致します。更に、ブロンド美女写真集の表紙を魔理沙さんにして差し上げますよ」
「いや、流石に表紙は恥ずかしいぜ」
まあ、美女写真集と題がついてるものに乗ることが出来るというのは悪い気はしないが。
「そうですか」
「謝礼次第かな」
「じゃあ、これくらいで」
文が指で金額を示したのでもう二本分足りないぜとアピールする。
「わっかりました。それだけお支払いしましょう」
「これで契約成立だな」
私は文からカメラを受け取ると、地底の入り口を目指して飛び立った。
地底の入り口の近くで萃香に会った。
「おや、魔理沙。また、地底に行くのかい?」
「そうだぜ、悪いか?」
天狗とおんなじようなことを言ってきた。
「私が言うのもなんだが、地上の奴が地底の妖怪に関わらんほうがいいよ。中にはすっごい厄介な奴もいるから、そういう奴に気に入られると面倒な事になる」
厄介な奴なら何人も知り合いにいるが……まあ、魔理沙様の魅力に惚れてしまう妖怪が多いのも事実だ。気そつけよう。
「気をつけるよ。まあ、地下に行くのはやめんけど」
「そうかい、まあ、そう言うと思ってたよ」
萃香はそう言ってどこかへ行ってしまった。
「さて、写真、とっとと撮って、温泉行って、お酒買って帰るか」
私は箒を駆り、地下深くを目指す。
「おや、またきたんだね」
「あー、ヤマメか丁度いいや」
まずは一人目土蜘蛛の黒谷ヤマメに遭遇した。探す手間が省けたぜ。
私は、説明するのもめんどくさいと思って、写真を撮らせてくれとだけ頼んだ。
「いいよ。減る物じゃないしね」
あっさりと承諾を得る事が出来たのでカメラにヤマメの姿を収める。
一応仕事だしやり直しを食らわない様に、色んなアングルから写真を撮っておいた。これだけとればいくらか使える写真もあるだろう。
「ありがとよ」
礼をいってから、私はヤマメと別れた。
地上と地底を結ぶ橋の前には案の定橋姫が立っていた。
これで二匹目。私はカメラをスタンバイする。
「よう、パルスィ。良かったら写真撮らせてくんない?」
「は、はあ!?いきなり何よ」
「ダメか?」
上目遣いでお願いする。
「いや、ダメじゃ、ないけど……」
「じゃあ、オッケーっことだな」
同意も得たことだし、私は遠慮無くシャッターを切る。
最初は恥ずかしそうにしていたパルスィだったが、だんだんと乗ってきたのか終いにはポーズをとりはじめた。
「ありがとよ。パルスィ分を補充できたぜ」
「な、なにがパルスィ分よ!」
顔を真っ赤にして怒るパルスィ、からかいがいがありそうだ。
記念にその朱に染まった顔を一枚、とシャッターを切った。
旧都に着くと、一番騒がしい場所を探す。
思ったとおり、星熊勇儀が仲間の鬼を酒を呑み川しているではないか。
「よう、魔理沙。よく来たね。よかったら飲んでかない?」
「遠慮しとくぜ。それより写真いいか?」
「おん?そりゃ、天狗が持ってるカメラじゃないか。天狗の奴またなんか企んでんのかい?」
「美女写真集を出すんだぜ」
「ふーん、それに、載せたいと」
「そゆこと」
「そう言われちゃ悪い気はしないね。いいよ、どんどん撮りな!」
勇儀のボディービルショーの始まりである。
切れてるねー、とかナイスバルクとかいいながらシャッターを切る。こういう時乗りのいい鬼は扱いやすい。
勇儀の自慢の肉体美をカメラに収める事に成功した。
これで、ミッションコンプリートである。
私は地霊殿に新しくできた入浴施設で一風呂浴びて、帰りに旧都でちょいと高めのお酒を買って帰った。
その時はこれが、とんでもない事になるとは夢にも思わなかった。
翌日、目を覚ますと誰かがネギを切る音がする。男なら理想の目覚め方だろう。
「おはよう、魔理沙」
「パルスィ?」
何故か私の部屋に橋姫がいた。
「何やってんだ?」
「何って、朝食を作ってるのよ」
いや、なぜ朝食を作っているのだと問いただしたい。
「魔理沙が、私に会いにきてくれたでしょう。だから、私も魔理沙に会いにきたの」
「はあ、そりゃあそうも」
パルスィは、そう言うと、鍋に切った豆腐を入れた。
出来上がった朝食は非の打ち所が無いくらいに美味しかった。
今後飯炊き女として我が家に居座って貰ってもいいなとこの時は思った。
実際にそうなってしまった。彼女四六時中私につきまとった。
買い物に行く時も、魔女仲間と研究する時も、ずっとだ。
振る舞いがもう、私が妻です、みたいな感じになっててうんざりした。
流石にうっと惜しいなと思い始めた頃だ。
毎日私が買い物に言ってる店の主人が亡くなった。
その次の日には香霖が、その三日後にはアリスが……
「どうなってるんだ」
まさか、コイツが私に惚れたやつを次々と呪い殺してるんじゃ!?
コイツは嫉妬の妖怪、橋姫だ。そうに違いない。
私は問い詰めた。
「いい加減にしろ!全部お前がやったんだろう!?」
しかし、橋姫は急に泣き出して、
「知らないわ。私じゃない!」
と言った。それがとても演技には見えなくて私は戸惑った。
その泣き顔がすごいツボに嵌ってキュンときた。
その瞬間私の胸は締め付けられるよに痛み、呼吸が浅くなる……
目の前がクラクラしてきて、とうとう立っていられなくなった。
私は死んだ。
「地底には、厄介な奴がいっぱいいるって言ったじゃないかー」
伊吹萃香は魔理沙の棺に向かってそうぼやいた。
魔理沙は橋姫に惚れられてしまった。それが、運の尽き。
橋姫に惚れている、土蜘蛛がとある病気をばらまいていたのだ。
「パルスィに惚れるなんて許さない。パルスィは私だけのものだ!」
橋姫に惚れた者は胸が苦しくなって死んでしまう。【恋の病橋姫一型】という病気である。
橋姫は惚れた相手にはとことん一途で顔も美人だったので、皆が惚れてしまうのは仕方がないのだ。
橋姫はまた、今日も寂しく橋番をする。
「魔理沙さんの決死の取材無駄にはしませんよ。表紙は今は無き伝説の女泥棒霧雨魔理沙で行きます」
魔理沙の撮ってきた写真は無事、幻想郷ブロンド美女写真集に使われる事になった。
人里で販売したこの写真集はあっという間に売り切れ、天狗の懐は暖かくなったとさ。
めでたしめでたし。
テスト
テスト
―終わり―
いやあ、8月のラスト一時間、必死に抗ったんですけどダメでした。即興で考えたネタなんですが、ちょっと時間が足りなかったようです。
百物語用に書いてたSSは近いうちに投稿したいと思います。産廃創想話があれば……
紅のカリスマさん、せっかくのチャンスを無駄にしてしまい本当に申し訳ございません!!!!
灰々
- 作品情報
- 作品集:
- 28
- 投稿日時:
- 2011/08/31 15:38:12
- 更新日時:
- 2011/10/13 19:32:57
- 分類
- ヤバい、百物語用SSが終わらない……→8月が終わっちゃうーでも産廃百物語には参加したい。→そうだ。短いの書いてそっちを投稿しよう。→一時間で書き上げるとか無理だったんだよ。間に合わなかった……まあ、端から間に合ってなかったけどね!
十分にホラーですよ!!
ずっと貴方の百物語作品を楽しみにしていたのに……。
9月に入ってようやく……。
やはり怖いのは嫉妬より、人の不幸を食い物にするヤツ、と。
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