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『超高齢者戦隊ババレンジャー【第9話】(後編@)』 作者: どっかのメンヘラ

超高齢者戦隊ババレンジャー【第9話】(後編@)

作品集: 29 投稿日時: 2011/09/23 10:02:24 更新日時: 2011/09/23 19:03:02
暗い牢獄の中の角で、空は膝を抱え座っていた。
「ううぅ・・・・・おなかすいたよぉ・・・。さとり様ぁ・・・。」
空の目の前にはまた新しい八つ裂きにされた金髪の妖精の死体があった。アリスによれば「頭が春のおまんこ狂い春妖精」らしいが空にはこの説明は理解できなかった。
「うにゅぅ・・・どうしよう。お腹すいてるのに食べたくないよ・・・。」
空の頭の中にまたあの緑髪の妖精の断末魔が呼び起こされる。
「・・・でも食べたいよう・・・。」
空の中であのいまいましい記憶と食欲が交互に現れては消えた。
ぐぅ・・・・。
空の本能は必死に彼女に死体を食べることを要求し続けている。それもそのはず、空は捕らえられてから何一つ口にしていない―コップ一杯の水すらも与えられなかった。妖怪である彼女ももはや限界だった。
「うにゅ・・・。」
空の右手が、そろり、そろりとゆっくりしたいの断片に近づく。手にとって口元へ近づけると、嗅ぎ慣れた鉄の香り、空にとってはご馳走の香りがした。
「・・・・あむっ・・・むぐっ・・・むぐっ・・・。」
空はそれを覚悟を決めて、というより極々自然な気持ちで、いや、さらに言えば無意識のうちに口に入れた。
「むぐっ・・・むぐっ・・・。」
口の中に広がる鉄の味、生肉の感触、空はそのすべてをしっかりと味わいつくすようにかみ締め続けた。
「むぐっ・・・むぐっ・・・美味しい・・・。」
限界までこらえた食欲の前にあのトラウマはもろくも崩れ去った。空はまた口に肉片を運び、放り入れた。
「うにゅ・・・うにゅ・・・うにゅっ!?」
その時だ。空に異変が起きた。
「うにゅっ?!うにゅっ!?」
体の奥から激しい要求がわいた、いや違う。要求とはまったく違う別の何か・・・それは「義務」とか「脅迫」だとかそういう感情に近い。この死体を早く食べなければいけない。食べなければ自分はどうにかなってしまう。死んでしまうかもしれない。いや死ぬより苦しい目に遭うかもしれない・・・。
「あああぁぁぁぁ!!!うにゅっ!!!うにゅっ!!!」
空は無我夢中で肉片を口に頬張った。ぐちゃぐちゃと肉を咀嚼し、彼女の服は血の色に染まった。
「うにゅ!うにゅにゅ!!うんぐ!!むぐっ!!うにゅ!!」
肉を次々口に詰めて、ほとんど咀嚼もしないで飲み込むうちに、段々と空は自分が自分で無いような気がした。自分の体が自分の意思に反して動いている感覚に襲われた。
「むぐっ!!んぐ!!むぐ!!もごご!!」
(どうしよう・・・手が止まらない!!口が止まらない!!怖いよさとり様!!助けて!!助けて!!助けて!!)
肉が喉を下る感覚、肉を死体から引きちぎる感覚、血の臭い・・・すべての感覚が少しづつ自分の物で無いように感じる。すべてがほかの者の身におきている出来事、他人事のように思えた。
(さとり様・・・怖いよ・・・怖いよ・・・。)
もう自分の感覚ではなくなってしまった感覚は自分から少しづつ遠のいて、少しの聴覚を残して消えていった。
霊烏路空の心は、それきり閉ざされた。




「あらやっと全部食べてくれたのね、えらいわねぇ地獄烏さん。」
血溜まりのなかで血みどろになり、ぼんやりと宙を見上げる空にアリスは話しかけた。
「・・・・・アナタハ・・・ダレ・・・?」
その言葉を聴いた瞬間、アリスの口は不気味な微笑みをたたえた。
「私はアリス。あなたのご主人様よ。」
「アリス・・・ワタシノ・・・ゴシュジンサマ・・・。」
空は一言つぶやいただけだったが、アリスはそのまま続けた。
「そしてあなたは霊烏路空。私の僕。私以外の命令を絶対に受け入れない存在よ。」
アリスはそのまま空に近づき、空の頭を優しく撫でながら耳元でささやいた。
「あなたに今から命令を与えるわ。忘れちゃダメよ。」
そしてアリスは、霊烏路空に命令をささやいた。その声はとても甘く優しい声だった。
「ワカリマシタ・・・ゴシュジンサマ・・・・。」
空はその言葉を聞き入れた。
「空ちゃんはおりこうさんね。さぁ、そんな血だらけの服ではみっともないわ。コレに着替えなさい。」
アリスは真っ黒なローブを空に手渡した。




レミリアはゆっくりと目を開けた。白い天井、薬品のにおい、良く整理整頓された部屋が目に映った。
「・・・・・。」
レミリアは無言で体を起こした。身には病院の検診で着るような寝巻きを着けていた。それから少し遅れてここは医務室だとわかった。
「咲夜・・・。」
レミリアの目に咲夜の姿は映らなかった。しかし隣の部屋からモーター音と咲夜の押し殺した荒い息遣いが聞こえていた。
彼女は自分の顎と頬をさする。潰れてぐちゃぐちゃになっている様子も無い。吸血鬼の驚異的な回復力により顎は傷一つ残さず治っていた。
(そうだ・・・わたしはフランに殴られて・・・。)
ベッドから降りて医務室の白くぶ厚いカーテンを開けた。太陽はもう地平線に完全に隠れて山際は燃えるように赤くなっていた。
「・・・。」
レミリアはそれをしばらく眺めていたが、ふと何かを決心したように隣の部屋と繋がっている医務室の扉を開いた。
「咲夜。」
「あああぁん!イキます!!咲夜イキます!!お嬢様の寝ている医務室の隣でイッちゃいます!!!あああん!!」
咲夜はとなりの薬品倉庫の真ん中の床でマイケルを装着しながら背中をのけぞらせ体中を激しく痙攣させていた。咲夜の体は弧をえがいてつま先と後頭部だけが地面に接触し彼女の全身を支えていた。
「ハァハァハァ・・・・。」
咲夜の着衣は乱れに乱れスレンダーな体型にふさわしい控えめな胸ははだけられ、その乳頭は痛々しいぐらいに硬くなっていた。下着を付けていない下半身には怪しげにうごめく機械が装着されていた。
「咲夜。二度も呼ばせるな。」
はっ!と咲夜はレミリアの方を向いた。顔がどんどん青ざめてゆく。
「咲夜、今すぐ私の着替えを用意しろ。外出する。」
「え!?どこへですか?!」
レミリアはまだ半分呆けている咲夜に構わず言い放った。
「話は後だ!!早く用意しろ咲夜ブリッジ大佐!!」
「は、はいぃ!!」
そのまま咲夜は急いで着替えを取りに部屋をでた。
レミリアはまた医務室に行って窓の外を睨んだ。
(紅美鈴、別に許したわけじゃないわ。すべてはフランのためなんだからね。)






「ハイワンモアセッ!ワンモアセッ!はい紫さん!!そんなんじゃだめですよ!体が硬いですよ!!神奈子さん腕上がってない!!!永琳さんもっと足上げて!!白蓮さんもっと動きをおおきく!!幽々子さん全然ダメ!!全体的にダメ!!」
ババレンジャー達は人里をぶらついていたところを阿求に捕まって無理やりエアロビを受けさせられていた。
阿求は亡霊化してから非常にアクティブな性格になり、最近エアロビ教室まで開くようになった。その名も「Aque's Boot Camp(アキューズ・ブート・キャンプ)」である。
「阿求!!もうダメ!!私の背骨は限界よっ!!私の背骨のライフはもうとっくに-2000ぐらいよ!!」
紫が悲痛な叫び声をあげるが阿求はそんなこと気にもとめない。
「ダメダメそこであきらめちゃぁ!!」
神奈子が泣き顔でさけんだ。
「私たちにはまだこれからしなくちゃいけないことが山ほどあるのにぃぃ!!」
「神奈子さん!!未来のことは考えちゃダメ!!大丈夫かな?あはぁ〜んって不安になってくるでしょ? !」
スパルタンな阿求のエアロビにヘトヘトにされる5人。お構いなしな阿求。このままではババァ5人の椎間板が持たない!!どうする紫?!
「こうなったら必殺!!スキマ・スイッチ!!」
紫は阿求の隙をついてスキマを展開した。
「さぁみんな!!早くここへ・・・。」
そう言いかけた時だった。
がしっ!めきょめきょめきょ・・・。
阿求はそのスキマの両端をひっつかみ、左右から押しつぶすように無理やり閉じた。阿求の細い腕には無数の青筋が浮かんでいる。
「どこへ逃げようというのですか?紫さん?」
阿求は笑顔で問いかけた、がこめかみに大きな青筋が浮かんでいる。
「えぇぇ・・・それって素手で閉じられるの・・・?」
自分のスキマの新事実に驚く紫。本人もこのことには気づかなかったようである。
「さぁ紫さん・・・あとこれをもう5セット続けてもらいますからね!!」
「・・・いやああああ!!!」
阿求の屋敷にババァ5人の悲鳴が響いた。




「なんなのよあの屋敷は?騒がしいわね。」
その屋敷のとなりでレミリアはふとつぶやいた。
「私は聞き込み調査で忙しいというのに。」
レミリアは咲夜と人里にわざわざ自分で出向いて二手に分かれ聞き込み調査を行っていた。咲夜は別のところで聴きこみ調査をしている。
「私がさっき手に入れた情報によるとここらへんにある蕎麦屋で働いているらしいわね。店主に私の手持ち全部渡してでも美鈴を引き渡してもらうわ!」
そう言うとレミリアはポケットから自分の一ヶ月分のお小遣い5000円を取り出した。ちなみに紅魔館の当主はレミリアだが財政管理は全て咲夜がになっており、レミリアが自由に使えるお金はいつも咲夜から「お小遣い」の形で渡されている。
しばらく商店街を歩いていると、それと思しき店の看板が見えてきた。
「さて、あそこにあるのが噂に聞いた蕎麦屋ね。・・・っな!」
商店街を進み蕎麦屋の前にきたレミリアは、ある張り紙を見つけた。
『蕎麦屋まんぷく堂は閉店しました。5ヶ月のご愛顧ありがとうございました。』
「そんなぁ〜・・・。」
がっくりと肩を落とししょんぼりと踵を返したレミリア。ふと顔を上げると目の前に一人の男がいた。
「お嬢さん、僕の店に何か用かい?」
その蕎麦屋の店主だった。




「そう・・・随分前にやめさせちゃったのね・・・。」
レミリアは店の前で立ち話するのも何なので店の中に入れてもらい、テーブルをはさみ向い合って店主と話していた。店主は店に忘れていたものを取りに来たらしい。
「あぁ・・・その後もっゴロツキのせいで色々あって経営がずっと左前でね・・・。まあもともと向いてないのもあったんだろうけど、この前里のとなりの小さな集落に住んでる母親が病気になってしまってね。それで決心がついてこの店をたたむことにしたんだ。」
店主の右目の周りは青黒く腫れ、腕も痣や傷だらけになっていた。
「・・・・・それで・・・美鈴はどこへ行ったのかしらない?」
店主は一息置いて、言った。
「申し訳ないが・・・彼女がやめたあとこの近所で彼女を見かけることはなくなってしまった。今彼女がどこにいるかはわからないんだ・・・。力になれなくて済まない。」
店主は申し訳なさそうにうつむいた。
「いいえ。気にしないで。」
「だが・・・一つ噂を聞いたんだ。」
店主は顔を上げた。
「最近里の外れの倉庫街に、夜中にゴロツキたちと出入りしている真っ赤な髪の女がいるらしい。あまり考えたくないが・・・。」
「なんですって・・・それは本当なの!?」
レミリアは店主に詰め寄った。店主の鼻先1センチ前にレミリアの顔が迫った。
「いっ・・・いや・・・確かなことはわからない・・・あくまでただの噂だし。」
しかしレミリアは確信していた。
「美鈴に間違いないわ。」



倉庫街の近くの平屋建てのアパートの一室から一人の女が出てきた。白いタンクトップにデニムのミニスカートを履いた真っ赤な長髪の女だ。ただでさえ露出度が高い上に下着をつけていないのかタンクトップの下の突起が透けて浮き出ていた。
その服装は一見すると売女かアバズレのようである。
その女、紅美鈴の表情は悲しげなものであった。
「また・・・今日も恥ずかしいことさせられるのかな・・・?」
美鈴は犯されてから毎日のように御殿の男たちから辱めを受け続けていた。美鈴の頭の中を嫌な記憶がめぐった。
イマラチオ、罵倒、殴る蹴るは当たり前。
またある時は男たちの目の前で自慰をさせられた。
あるときは男たちの目の前で排泄を強要された。
またある時は慣らすこともなく肛門に挿入された。
少し屈めば下半身が露出するほど丈の短い着物一枚だけを着せられて深夜の人里を歩かされたこともあった。通行人とすれ違うたびに裾をまくられ下着も付けない下半身を露出させられたりたもとをはだけられ胸を露出させられた。顔を赤らめ立ち去る人、ぎょっとしつつも見入る人、まるで自分がいないかのように振る舞う人もいた。
その後男たちと深夜も開いている焼き鳥屋の屋台へ行って体を張って焼き鳥をただにしてもらってこいと命令された。そして屋台の店主さんの前で着物を脱いで裸になって「私のスケベな体を好きにさせてあげるからやきとり無料にしてください」って言わされた。
気の弱そうなおじいちゃんの店主さんは男に見張られてるから逆らえなくて、すごく申し訳なさそうに私の胸やあそこ撫でまわしてた。よく覚えてないけど、きっと私恥ずかしくて泣いてたと思う。
店主さんの顔は青ざめてて手が震えてた。とてもよろこんでたようには見えなかった。
あれから私の中でますますいろいろな物が壊れてしまった。昨日はどうしたんだっけ?そうだ、秘所に筆を突っ込まれて自分の名前を書かされてそのあといつものように犯されたんだっけ。もうそんなこともどうでも良くなってしまった。
美鈴が色々な思いを巡らせていた、その時だ。
「美鈴!!」
後ろで声がした。懐かしい、いや、忌々しいかつての自分の主の声が。
「・・・やっと見つけたわ。」
美鈴は振り返らなかった。
「美鈴・・・。」
レミリアは一声置くと、腹に力を込め威厳たっぷりに言い放った。
「今すぐ紅魔館に戻れ!そしてこれからも私のしもべとして働け!これは命令だ!!」
美鈴は何も答えなかった。
「聞いているのか門番!!」
しばらくの沈黙、そして美鈴は答えた。
「・・・誰に向かって口を聞いている?」
「へ?」
あまりにも冷たく高圧的な美鈴の第一声にレミリアは思わず呆けた声を出した。美鈴はなおも続ける。
「私はもうお前らとは何も関係ない、私はお前らに何も恩も義理もない。」
「ちょっ、ちょっと!美鈴!?」
「お前とわたしは赤の他人だ。私に指図するな。」
「ちょっと待って!!ねぇ!」
歩みを進めようとする美鈴にレミリアが駆け寄った。その時だ。
ばしゅっ!どごぉん!!
「近づくな!!」
美鈴の目にも留まらぬ回し蹴りがレミリアの脇腹にあたり、レミリアはそのままゴミ捨て場に墜落した。
「お嬢様!!お嬢様ーっ!」
後ろから声がした。咲夜だ。
「お嬢様!!大丈夫ですか!?お嬢様!!」
「ううぅ・・・咲夜!!私のことはいいから美鈴を追って頂戴!!」
「はい!!」
咲夜は美鈴を追って走った。美鈴はアパートから50メートルほど離れた倉庫街の入り口のところに居た。
「美鈴!!」
咲夜が大声で呼びかけても。美鈴は歩みを止めない。
「待って!!お願い!!」
美鈴はやっと立ち止まった。
「美鈴!!お願い!!帰ってきて!!お嬢様はわざわざ自分から探しに行きたいって言い出したのよ!!それに妹様もパチュリー様もあなたに帰ってきてほしいって言ってるわ!!お願い!!」
美鈴は何も答えなかった。
「美鈴、また私と一緒に働きましょう。ねぇ!」
「それなら・・・。」
美鈴は一息置いて、叫んだ。
「何であの時お嬢様に何も口出ししなかったんですか!!!」
咲夜は言葉に詰まってしまい俯くことしか出来なかった。
「それは・・・。」
「あのとき何も言わずにただ黙ってただけでしたよね?咲夜さん。」
咲夜は美鈴の言葉に何も反論できなかった。
「・・・咲夜さん、あなたは結局お嬢様の『犬』でしかなかったんですよ。」
「・・・。」
美鈴の言葉が鋭利な刃物のように咲夜の心に刺さった。咲夜のナイフよりずっと鋭利な言葉だった。
「咲夜さん、どうしてもなら私は紅魔館に戻ってもいいんですよ。」
咲夜ははっと驚き顔を上げた。
「私は口先だけならお嬢様のことを許したって言えますし、紅魔館で今から何事もなかったかのように働くこともできます。でも・・・。」
美鈴は一呼吸おいて続けた。
「それじゃぁ紅魔館の雰囲気はいつまでもギクシャクしたままなんです。そんな状態で働いてても、誰も幸せになんかなりません。私も、お嬢様も妹様もパチュリー様も小悪魔さんも・・・咲夜さんも・・・。」
美鈴の声は震えていた。
「だから・・・だからもう終わりにしましょう。全部終わったんです。戻らないんです。」
美鈴は振り返った。
「さようなら、咲夜さん。」
美鈴の悲しげな目から一粒だけ涙がこぼれた。
「美鈴・・・。」
美鈴はそのまま咲夜に背をむけ、歩き出してしまった。
「咲夜ああぁ!!咲夜あぁぁ!!」
後ろからレミリアがかけてきた。
「はっ!!お嬢様!!どうしました!?」
レミリアが咲夜に泣きながら駆け寄ってきた。
「帽子に鰯の頭がくっついたぁぁぁぁ取ってぇぇええぇ鰯いやあああ!!!」
「はい!お嬢様!今すぐ取ります!」
咲夜はレミリアの帽子についた鰯を取ってやった。
「ううぅ・・・。もうやだよぉぉ・・・お家帰るぅぅ。」
レミリアはさっきの威厳はどこへやら、小さな子供のように泣き出してしまった。
「仕方ないですね・・・。」
すっかり意気消沈した咲夜はレミリアをなだめながら家路につくことにした。



「むっ!お前は誰だ!?」
紅魔館の門の前にひとりの女が立っていた。真っ黒なローブに真っ黒な髪と黒な羽をもった少女だ。
「・・・トオシテ。」
少女は一言だけ言った。
「怪しいやつめ!!さっきは侵入を許して面目丸つぶれだったがこんどこそは入れないぞ!!」
門番役のメイド妖精が憤りながら答えた。
「ジャマ。キエテ。」
少女は右手を相手につきだした。その時だ。
バシッ!!
眩い閃光が起こった。妖精はいなくなっていた。ただ黒焦げの石畳に黒焦げの物体が落ちていた。
「オジャマシマス。」
黒いローブの娘は屋敷へと入っていった。
黒いローブの少女――霊烏路空は紅魔館の大きな扉に右手のひらをおいた。
バキバキ!じゅううぅ・・・。
鉄製の扉は真っ赤に光ったとたんに溶けて崩れ、ちょうど空の身長より少し大きめの穴が開いた。
穴をくぐって中へ入ると、メイド妖精たち15人が一斉に驚いた顔でこちらを見ていた。
「なっ・・・何者だお前は!!」
「この女何が目的だ!?」
「入り口を見張ってた奴はどこだ!!」
一斉に槍を構えながら近づいてゆく。
「ジャマシナイデ。」
空が右手を構えたその時だ。
ばしゅ!
一瞬閃光が光った。
「うわっ!!うわあああ!ああああ!!!!」
「いやあああぁ!!熱い!!熱い!!」
突然目の前の妖精二人の体が火に包まれた。妖精は全身を焦がしながら転げ回る。
「うわああ!!」
「来るな!!来るな!!」
残りの妖精たちはすっかり怯え切りながら槍を捨てて逃げ惑った。
「いやぁ!!」
妖精が一人、階段の踊場で自分の服の裾を踏んで転んでしまった。空はそれを見逃さなかった。
がしっ!
「いやあああ!!!放して!!!嫌あああああ!!!」
空は上から覆いかぶさるように妖精にのしかかり頭をつかんで床に伏せさせた。
「・・・シンデ。」
空がそうつぶやいた瞬間ばんと爆発音がなり空と妖精の周りが真っ白な湯気に覆われた。
「・・・。」
空が湯気の中から立ち上がった。空の足元で妖精が体を震わせて痙攣している。
妖精の頭の上半分ははじけ飛び、破れた部分と飛び出たくすんだ桃色の脳や血液からは湯気がほこほこと沸き上がっていた。
「ツギニ、コロサレタイノハ、ダレ?」 
空の言葉に残りの妖精たちは激しく取り乱し人ごとはかけ離れた叫びを上げた。もはやそこには正気を保つものは誰一人としていなかった。
「そこまでよ!!」
いきを切らしながらも、はっきりと女の声が響いた。
「・・・ダレ?」
空が振り返った先には、肩で息をする紫色の髪の少女がいた。
「どうもエントランスが騒がしいと思ったら・・・どんだ迷惑な来客があったようね・・・。」
パチュリーは肩で息をしながら話した。胸元には攻撃魔法専用の大きなグリモワールを抱えている。
空はただパチュリーをじっと見据えながら手の甲についた血を舐めとった。
「何が目的かしら?図書館の本?財産?この館の主の命?」
パチュリーは早くも右手に赤くうずまく炎を宿らせていた。
「チガウヨ・・・ワタシハ・・・・。」
空は右頬についた脳の破片を手の甲でぬぐい去ると、言った。
「ワタシハ・・・コノヤカタヲコワシニキタノ。」
そう言うが早く空の胸の目が光を放った。
どっごごおおおおぉぉお!!!
一瞬あたりはまばゆいばかりの光に包まれた。瞬時に周りのものすべてが発火し、爆発した。
爆発の衝撃で天井のドームが崩れ、あたりに炎と砂埃が舞った。
燃え盛る炎の中、空はがれきの上に立っていた。空は燃え盛る焔に向かって話しかけた。
「マダシンデナカッタンダ。」
炎を水魔法でかき消し、パチュリーが出てきた。あたりに水蒸気が漂う。
肩で息をするパチュリー。防御が既で間に合わなかったのか左手の服の肘の部分が焦げて穴が開いていた。
「ずいぶん派手に荒らしてくれたわね。代償は高く付くわよ。」



「嘘・・・何なの・・・これ・・・?」
御殿に立ち入った美鈴は中の様子に驚愕した。
館の中に多数の死体が転がっていた。それだけでも異様だが、更に奇妙なことにすべての死体が完全に干からびてミイラ化していた。
「ああん!ああん!はぁはぁ・・・んん!出てる!・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
そのミイラの山の中で、ミイラの上で腰を振って艶やかな喘ぎ声を出す桃色の髪の少女がいた。
「・・・ミスティア・・・これは一体・・・。」
「はぁ・・・はぁ・・・。あぁ、門番さん。」
ミスティアは上気しきった顔で振りかえり美鈴を見た。
「ご覧のとおり男の人達から精を搾り取ってたところだよ。」
ミスティアは一息ついて男から降りると傍らに脱いであった服を身につけた。
「あ!そうだ!ここの御殿はもう使う人いないから今日限りで閉鎖ね。はい、退職金。」
そう言うとミスティアはポケットから札束が入った封筒を取り出すと美鈴に差し出した。厚さからしてゆうに100万は超えるであろう。
美鈴は後退りした。
「どうしたの?いらないの?」
「・・・狂ってる・・・。」
美鈴が思わず言葉を漏らした。
「ん?何が?あ、そうか分かった!」
ミスティアは間髪入れずに答えた。
「私がここの男たちと仲良くバッコンバッコンやってたからここの男たちと仲がいいと思ってたんでしょう?」
ミスティアは人差し指を左右にふり、三回舌打ちした。
「あれはただの『性処理道具』だよ。私はただ気持ち好くなりたいからアイツらとしてたの。アイツらはただの道具だからなんの愛着もないわけ。全く門番さんはウブなんだから。まぁそこが可愛いんだけどね。」
ミスティアはヘラヘラと笑いながら封筒を美鈴に掴ませた。
「じゃーね!バイバーイ!」
ミスティアはそのまま御殿を出ていった。
美鈴はしばらく呆然と御殿の中に立っていたが、やがてふらふらと御殿から出た。
「私は・・・私はあんな異常な連中と働いてたのか・・・。」
うかつだった。紅魔館より何十倍もマシだと思って働いていた自分が愚かだった。この男たちではなく自分がミイラになっていた可能性だってあったのだ。美鈴は自分の浅はかさを呪った。
「私・・・もう完全に帰る所がなくなっちゃった・・・。」
美鈴がふと漏らしたその時だ。
どぉぉ・・・。
遠くのほうで何かが爆発する音がした。
なんだろうとぼんやりと振り返った。
遠くの空が紅い。大火事だろうか?
その時、美鈴は気づいた。
「・・・紅魔館の方角だ・・・!」
思った矢先に、美鈴は紅魔館の方角へと飛び出していった。
まだ先ほど咲夜と別れてから10分も経っていない。しかしレミリアは高い飛翔能力を持つ吸血鬼、咲夜は時間を操る能力すらあるのだ。もう館に到着している可能性は十分にある。
「お嬢様!!咲夜さん!!」
美鈴は一直線に屋敷へと向かっていった。
お久しぶりです
そうこうしているうちに新作が発表されてしまいました・・・
どっかのメンヘラ
作品情報
作品集:
29
投稿日時:
2011/09/23 10:02:24
更新日時:
2011/09/23 19:03:02
分類
幻想郷最凶のババァ軍団
老害
終わりそうにない・・・
1. NutsIn先任曹長 ■2011/09/23 21:22:07
一体、この話は何処へ向かっているのですか!?
このストーリーって、私が産廃デビューする前から連載していますよね?

息を飲むシリアス展開、と言うか超展開。
それらを力と老害でぶち壊して無理矢理解決するバ……お姉様方。
続きを楽しみに……、以前はしていたのですが、すっかり忘れていましたので、お早めに更新を。

これ、ちゃんとハッピーエンドで終わりますよね……?
2. 名無し ■2011/09/24 20:01:34
やった!! ババレンジャーの続編だ!!
なんかシリアス部分とおふざけ部分の差が凄い事になってるw
あと美鈴が救われそうで一安心。
3. 木質 ■2011/09/25 18:10:47
ババア達のテンションが健在で嬉しい限りです。
阿求なノリノリが面白過ぎ。

美鈴のされたプレイが全部素晴らしくエロい。
お空襲来の紅魔館の危機に、美鈴とババア達がどう関わってくるのか楽しみです。
4. 幻想保査長 ■2011/09/25 18:50:58
やっと続編来ましたか
余りにも遅すぎていままでのストーリー忘れちゃいましたよ・・・
5. ローゼメタル ■2011/09/30 17:03:32
きっと、今日はどっかのメンヘラ兄貴生存確認の日なんだよ!(涙声)
6. 名無し ■2011/10/09 21:49:47
じゃあ明日は?(震え声)
7. 名無し ■2011/10/22 16:59:50
兄貴の生存記念日だろう(迫真)
8. 名無し ■2011/11/09 00:54:38
兄貴は旅にでたのりん
名前 メール
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