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『白い部屋』 作者: 幻想保査長
「う、うぅん・・・」
あぁ、体がダルイわ
昨日は実験で体力を使いすぎたわ
それにしてもなんだか寒いわね
ちゃんとベットで寝ていたのに・・・
あぁ面倒臭いわ
「えっ?」
しかし彼女がパチュリーが視界に入ったものは予想外の光景だった
見慣れた自室ではなく見慣れない白い部屋だった
「どこよ・・・ここ」
部屋を見渡すと一通りの家具類が置かれていたが、扉らしきものは無かった
「ふむ、閉じこめられたわね。それに自分の魔力が感じられないわね・・・」
長年年を経ただけであって彼女は冷静に自分の置かれた状況を分析した
「色々疑問が残るけど、とりあえず第一の目標はここから脱出できるか」
床から立ち上がり、部屋の中央に鎮座している机に向かった
机の手前には色つきの箱があり、中央には短剣が突き刺さっていた
短剣を抜き取って調べてみると刃の側面に文字が彫られていることに気付いた
”The sword which gives rest”
「どういう意味?疲れたら自殺しろってことかしらね」
他に調べてみたが何もなく短剣を元の場所に置いた
「さて次はこの箱だけれど・・・」
深緑色の箱
純白のこの部屋で一際浮いた色をもつ箱
手に取るとズシリと重量のある重さ
外見は特になにもなく、蓋にはたったの4文字が書かれていた
”あけるな”
「開けるなっていわれても好奇心で開けちゃうわ」
パチュリーは躊躇なく箱を開けた
開けた瞬間、突然意識が途切れた
* * * * *
「んっ・・・ハッ!」
パチュリーは目覚めると飛び起きた
「私は確か・・・箱を開けて、それから・・・」
見渡すと視界に映るのは白い部屋
白一色の家具類
そして机の手前には首なし死体が一つ
よく観察してみると服装が自分と同じであった
「こ、これ・・・私・・・?」
首が無いがこの死体は自分自身だと思う
手を取って見るとまだ体温はあった
そして死体の足元には例の箱が落ちてあった
注意深く箱の中を見ると散弾が発射されるよう仕掛けが仕込まれていた
「これで私は死んだのね・・・」
しかしなぜ自分は死んだのに生き返った(?)のだ?
疑問がさらに増えた
「とりあえず部屋を調べてみるか」
考えを止め、脱出のことに切り替えることにする
とりあえず目についた白い棚を調べてみることにした
「見る限りどの段には何も置かれてないわね・・・あら?」
よくよく見てみると三段目の棚の壁にスイッチがあった
なんのスイッチかは知らない
「押さない方がいいかもしれないけど、ここから脱出できるかも」
ぽちっ
ドスッ!!
「えっ?」
腹部に衝撃を感じ、見下ろすと腹部に杭が撃ち込まれていた
パチュリーは腹部に撃ち込まれた杭をポカンと見つめ
今状況を理解するのに三秒を費やした
遅れてやってきたかのように口から血反吐を吐きだした
びしゃりと吐き出された血が杭に降りかかる
「し・・・・死にたく・・・・・な・・・・・・」
最後を言い終える前に視界がブラックアウト
* * * * *
「・・・・」
静かにパチュリーは目覚めた
首を動かしすと机の手前には首なし死体
棚の方には壁から生えた杭に腹を貫かれた死体
血が滴り白い床に赤の模様が点々と着色されている
「自分の死に姿を見るなんてね・・・」
ぽたっ・・・ぽたっ・・・
「あまりイイ気分ではないわね」
早くここから出たいわ
洋服ダンスに向かい、取っ手を持つ
何かしらの仕掛けがあるのではと思い慎重に開ける
中には一着の白いドレスと瓶があった
瓶の中身は無色透明の液体が入っていた
「なにかしらこれ?」
瓶の蓋を開封し、臭いを嗅いでみるが無臭
「水?いや、もしかしたら毒薬かもしれない」
只の水とは限らない
瓶を蓋を締め元の場所に戻す
残るはこのドレス
手にとって調べてみるが、なんの変哲もないドレスだった
「私を閉じ込めた奴は白が好きなのかしらね」
ポツリと独り言呟くと共にドレスを戻そうとした時であった
突然腕が動かなくなった
「・・・・えっ?」
そして意思とは関係なく両腕が動く
テキパキと腕は自分の服を脱がし始めた
脱がす・・・正確には破り脱ぐような乱雑の脱ぎであった
絹を裂く音が部屋に大きく響く
「ちょ!腕が勝手に・・!」
そして色白の素肌を晒された下着パチュリー
今度はドレス掴み、無理矢理着させられた
奇妙な事にドレスのサイズは自分の体ピッタリだった
着終わると腕の自由が戻る
「なんなのよ一体・・・けど、シンプルなドレスね」
正直こんな眩しい白は自分の色には合わない
最も自分には暗い色が似合うと思うけど
「ん?・・・・・ぐえっ?!ぐがっ!!(く、首がしまって!)」
突然の息苦しくなり、パニックに陥る
首を触ってみるとなんとドレスの襟口が縮小していた
襟口はどんどん縮みパチュリーの首を圧迫していく
「かひゅ!かっ!がかぁ!・・・ぁっ・・・・ぐっ・・・・」
呼吸ができなくなりジタバタと暴れるが縮小は止まらない
「げっ・・・・ひゅ・・・・・」
ちょろろろろろ・・・
ついには失禁をし、尿の水溜りを作る
「・・・・・ぐっ」
窒息して事切れてもなお縮小は止まらず首の肉を潰し、縮小が止まったのは骨まで喰い込んだ時であった
* * * * *
「かはっ!!はぁっ!はぁっ!」
息を荒くして飛び起き、自分の首が繋がっているかぺたぺたと触る
自分の首は繋がっていた
部屋を見渡す
真っ白の部屋
一通りの家具類がある
机の前には首無し死体
棚の前には腹を杭で貫かれた死体
衣装ダンスの手前には首が千切れ掛かっている死体
目覚める度に白い部屋に死体が増えて行く
パチュリーはベットに向かいシーツに潜り込んだ
「夢なら覚めなさいよ!もうイヤっ!こっから出してよ!」
かりかり・・・
夢なら覚め欲しいと必死に瞼を閉じる
かりかり・・・
しかし眠気は一向にこない
それもその筈、体が痒くて仕方がないのだ
がりがり・・・
強く引っ掻いても痒みは収まらず、寧ろ悪化していく
「痒い痒い・・・かゆいかゆいかゆい・・・」
両手でガリガリと体中引っ掻きまわす
がりがりがりがりがり・・・
まだまだ痒い
「かゆいかゆいかゆいかゆいかゆいかゆい・・・・」
狂ったようにパチュリーは体を?きまくる
遂には強く掻き過ぎて血が噴き出した
それでも痒みは止まらず引っ掻く力は強くなる
もはや肉を掻き毟るように掻く
足の爪先から頭まで
遂には傷つけてはならない血管に達してしまい
「かひゅ・・・い・・・・かゆ・・・・・かゆ・・・・」
ベットとシーツは鉄臭い赤色に染色された
* * * * *
パチュリーは起きた
のそりと気だるそうに起き上がった
机に向かった
ビチャッ
何か水みたいなものを踏んだが気にもしない
グニュ
なにか柔らかいものを踏んだが気にもしない
机に置かれている短剣を手に取った
「疲れたわ」
ドスッ
パチュリーは短剣を逆手に持ち、そのまま首に向けて突き刺した
「ぐげっ・・・がひゅ・・・・ごほっ!!」
防衛本能で突き刺す力が寸前で弱まってしまい、浅く突いてしまった
それでも最期の力を振り絞り短剣の柄を叩き、押し刺した
パチュリーは死んだ
パチュリーは目覚めた
そこは白い部屋だった
一通りの家具が置かれており、家具は皆白だった
- 作品情報
- 作品集:
- 29
- 投稿日時:
- 2011/09/27 11:19:24
- 更新日時:
- 2011/09/27 20:19:24
- 分類
- パチュリー・ノーレッジ
この強制参加の脱出ゲームでステージを見るたびに疲れたときに使え、と。
さて、パチュリーはこの『冷蔵庫』で何回、この短剣を使うのかな?
だけどものすごくいいネタをあっさりと使っちゃったような気がする。
もっと大作にできたような……現時点でも十分ではあるけど。