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『魂のゆくえ』 作者: 零雨→ウナル→うらんふ→筒教信者
〈リレー小説ルール>
1:小説の起承転結の各パートを一つずつ書いて、次の人に回す
2:どんな無茶振りでも必ず続けて書く
3:書き出しは「魔理沙が増えた」
■起(零雨)■
「魔理沙が増えた」
そんな噂が人形遣い、アリス・マーガトロイドに届いた。
アリスにはいまいち意味が分からなかったが、魔理沙の家に近づいて、その言葉の意味を理解した。
そこには、大量の魔理沙が居たからだ!!
「これは一体どうなってるのよぉぉぉ!?」
アリスの絶叫が、魔法の森に木霊した……。
「で?どうしてこうなったのか説明しなさい。」
大量に居た魔理沙たちを、全員正座させつつアリスが問う。
こめかみには血管が浮き出し、ピクピク動いており、イライラしているのが遠目からでもわかるほどだ。
対する魔理沙たちは、全員がアリスの鬼気迫る表情に顔を青くしていた。
その中で、1人の魔理沙がおずおずと手を上げた。
「あ、あのな、アリス?その、実験にちょっと、失敗してだな……。」
「実験?なんの実験をして、こんなことになったの?」
「あー、分裂魔法だな……。珍しいキノコが手に入ってな、それを増やそうと思って分裂魔法を試してみたんだ……。」
「はぁ……。で、これからどうするの?ぱっと見ただけでも100人以上には増えてるわよ?」
「そう、私の魔法は失敗したわけだが、ある意味で成功したともいえる。これだけ私が増えて、思考も共有している。自分の意志で動かせる、使い魔が大量に増えたみたいなもんだ!」
そう言うが早いか、魔理沙達はいっせいに立ち上がり、散り散りになって走っていった。
慌てて、人形を展開したアリスだったが、魔理沙たちの逃げ足は速く、捕まえれたのは1人だけだった。
仕方なく、捕まえた魔理沙に逃げた理由を聞くことにしたアリス。
最初は魔理沙も話すことを渋っていたが、アリスが人形を操り魔理沙の頬を軽く切り裂くと、渋っていたのが嘘のように簡単に全てを話した。
魔理沙が話した内容は、アリスを驚愕させるには十分だった。
なんと、幻想郷を征服するというのだ……。
アリスが魔理沙に計画を聞きだしている頃、人里では既に魔理沙による侵略が始まっていた。
徒党を組んで現れた魔理沙に、ただの人間である里の人々が敵うはずもなく、ほとんどの人間は魔理沙に捕まってしまった。
残った人里の戦力は、里の守護者である慧音のみ。
その慧音は、寺子屋に彼女の生徒達と一緒に立て篭もっている。
しかし、魔理沙達は容赦なく、寺子屋を襲撃した。
彼女達が選んだ方法は、単純かつ効果的。
それでいて最も残酷な方法だった。
寺子屋に火を放ったのだ。
慌てて飛び出してくる寺子屋の生徒達。
それを魔理沙達は狙い撃つ。
悲鳴と血飛沫を上げて、次々と倒れていく生徒達。
里の守護者である慧音が、魔理沙の所業を黙ってみているはずがなかった。
慧音は激昂し、雄叫びを上げながら飛び出してきた。
「何故だ!何故お前、いや、お前達はこんな無益なことをする!?」
叫ぶ慧音に対し、魔理沙は落ち着いた様子で答えた。
その目には侮蔑と、失望の色が浮かんでいた。
「無益?それはお前にとっての話だろう?私にとっては有益なことだ。」
「こんなことをして、幻想郷の他の連中がどうするか理解しているのか!?少なくとも、幻想郷の賢者はお前を確実に処刑するだろう。」
「ああ、それぐらいは私にも理解できるさ。……だから何だ?まさか、私がたった一人、いやこの場合は霧雨魔理沙だけでこんなことをするとでも思っていたのか?」
「……まさか、他にも協力者がいるのか!?」
魔理沙は慧音の問いには答えず、不敵な笑みを浮かべるだけだった。
「さて、そろそろ話は終わりだ。私達にはしなければならないことがあるしな。」
ザッ、と魔理沙達が慧音を取り囲む。
一対一なら慧音にも分があったが、一対多では勝ち目は薄い。
普段の冷静な慧音なら、ここで一旦逃げて体勢を立て直しただろう。
だが、教え子を殺された慧音は頭に血が上っておりそこまで考えが至らなかった。
輝くレーザーがぶつかり合い、人里の一角が眩い光に包まれた。
光が消えたとき、そこに慧音はいなかった。
変わりに、赤黒い肉塊と青い服の切れ端があった。
魔理沙達は満足そうにそれを見て微笑を浮かべると、機能の失われた人里を拠点とすべく動き出した。
人里を占領した魔理沙達が最初に行ったのは戦力の増強だった。
そのために人里を襲ったのだから。
里の人間達を捕獲した理由は、魔法に使用するためだった。
アリスに語った実験の失敗、アレも魔理沙の嘘だった。
あの場でアリスと敵対するのは不味いと判断したからだ。
魔理沙の分裂魔法には、人間の肉が必要だった。
始めは自らの肉を少しづつ削って人数を増やし、ある程度の人数が揃ってからは、増えた魔理沙を魔法に使用していた。
だが、その作業も今日で終了する。
人里の人間達を魔法に使用することで、今までとは比べ物にならない速度で数を増やせる。
ほんの十分程度で数倍、数十倍にまで増やすことが可能になったのだ。
「蓬莱人の肉でもあれば、もっと楽に増やせるんだがな……。」
そこで、魔理沙は思い出した。
人里の外れに、1人の蓬莱人が住んでいたことを。
次の目標は決まった。
そう呟くと、魔理沙達は蓬莱人、藤原妹紅の住処に飛び立った……。
■承(ウナル)■
「留守……か」
妹紅の家に来た無数の魔理沙たち。だが木製一階建ての慎ましやかな家には誰に人影も確認できなかった。
連れて来ておいた子どもの脳髄をぶちまけても姿を現さないところを見ると、居留守を使っている訳ではないだろう。偶然どこかへ出かけていたか、事前に異変に気付き身を隠したか。
肉片を回収しつつ、魔理沙たちは箒に跨り空へと浮かぶ。
「悪運の強い野郎だぜ。まあいい。まずは戦力増強だぜ」
その頃、アリスと妹紅は人里から離れ、山奥の広場へと移動していた。
捕らえた魔理沙から人里襲撃を聞き出したアリスは、聞こえてきた轟音に人里への救援を中止。まだ逃走の算段の立つ妹紅の元へと急いだのだ。結果的にそれは功を成し、こうして妹紅とアリスは魔理沙の手から逃れることができた。
「ありがとうアリス。おかげで助かった」
声だけ聞くならばいつもの調子のままだが、妹紅の顔には堪えきれない苦渋が走っている。
先ほど聞こえてきた断末魔。必死で妹紅の名を叫んでいたのは寺子屋で仲良くなった山村則男くんではないか。
握り締めた拳からは鮮血が滴り、奥歯が砕けるほど強く噛み締める。
それでも妹紅は背後を振り返ることはしなかった。彼女とて千年以上の時を裸一貫で生きてきた猛者だ。甘い考えはしない。
妹紅は魔法糸でぐるぐる巻きにされている魔理沙に詰め寄ると、ぐいと襟首を持ち上げる。
「洗いざらい喋ってもらおうか。お前の黒幕の事を」
「へっ。お見通しか妹紅」
「妹紅? どういうこと?」
不思議そうに首をかしげるアリス。妹紅は魔理沙を釣り上げたまま顔を吐き捨てるように言う。」
「この術には心当たりがある。これは輝夜が編み出した術だ」
目を見開くアリス。それとは対照的に魔理沙はにやりと笑んだ。
「ご名答。こいつはあの姫さんから教えてもらったもんさ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。なんであいつがあんたに協力を。いいえ、それ以前に何でこんな事をしたの。人里を襲撃とか、幻想郷征服とか。あんた自分がやったことを理解している?」
「輝夜に唆されたか? 褒美に世界の半分をやるとでも言われて」
「おいおい。私はそんな言葉には惑わされないぜ。清く正しく自分の心に正直に生きているのが私の自慢だぜ」
「なら、何故!!」
「世界から見捨てられた欠片を取り返すためさ」
謎めいた言葉にアリスも妹紅も眉間に皺を寄せる。
そんな彼女らに哀れみめいた視線を投げた後、魔理沙は森の広場をぐるりと見渡した。
「ああ、そうだ。あの時もここから始まった。ここ博麗神社からな」
「「――っ!?」」
その言葉を聞いた瞬間、アリスと妹紅の世界が一変した。
山の中の広場だった場所は、瞬間、境内を持つ神社へと姿を変える。
何故今までここをただの広場だと勘違いしていたのか、自分自身で不思議なくらいだ。そしてそんなことができる人物をアリスも妹紅も知っていた。
「まさか慧音が?」
「ああ、あいつは博麗神社の歴史を喰い、なかったことにしたんだ。だけど私は違う。私は覚えていた。忘れようと思っても忘れられるわけがない。霊夢の奴は鮮烈過ぎたわな」
まるで無邪気な童女のように微笑み、魔理沙は二人に視線を合わせる。
アリスも妹紅も不気味な気配に身動ぎした。
もはや優位は逆転していた。
今まではアリスたちが魔理沙を問い詰める立場だった。だが今は魔理沙がアリスたちを諭すように語りを始めている。
博麗霊夢。歴史から消された少女の真実を。
「語ってやるぜ。私の目的も奴らの罪も何もかもな」
一方その頃、人里に居城を構えた魔理沙はせっせと分裂魔法をくり返していた。
魔法陣の中に殺したての肉を置き、呪文を唱えながら薬を振り掛ける。途端、白い煙がもうもうと上がりそれが晴れた時、そこには新しい魔理沙がいる。
トップダウンが完璧故に仕事は素晴らしく円滑に進んだ。
やがて魔理沙は二倍、三倍とその数を増やして行く。
妹紅を確保できなかったので、結局人里の人間全員を肉塊に代えた。結果、遂には当初の十倍。千人の魔理沙が誕生した。
「ふふっ。これだけの戦力があれば連中もそうそう手は出せないはずだぜ」
にやにやと悦に浸る魔理沙。
事実、千人もの魔法使いを一度に相手にできるような者は幻想郷でもそうはいない。
織田信長の鉄砲隊よろしく隊列を組んで次々とマスタースパークを放たれれば、神レベルの力を持った者でもケツをローストされてしまうだろう。
「紫たちはさぞ焦っているだろうなあ。あのババアの顔に泥を塗ってやれただけでもここまでやった甲斐があるってもんだぜ」
そう嘯いた瞬間、魔理沙は強烈な眩暈と不整脈に襲われた。
「がっ! っぁううあああああああっ!!」
びしゃっ。口から鮮血が散り、魔理沙は人里の広場に蹲った。
まるで全身の骨が焼け爛れた鉄に変わってしまったかのような痛み。頭蓋の裏から脊髄、さらには歯茎さえ焼け爛れてしまったかのように思える。
他の魔理沙が慌てて駆け寄るが、医学的な処置でどうにかできる問題ではないことは魔理沙自身が一番理解していた。
「……ちょっと派手にやり過ぎたかな?」
「まったくね」
ふと顔を上げればいつからそこに居たのか、輝夜が茶屋に居座りながら茶を飲んでいた。
自重ぎみな笑みを浮かべ魔理沙は立ち上がり、輝夜の隣りへと座る。
「その魔法のリスク、説明したわよね?」
「太く短くが人生のモットーだぜ」
けらけらと笑い、魔理沙は側の皿に置かれたダンゴを一つ奪い口へと運ぶ。
血の味がした。
「妹紅が居ればもっと増やせたんだけどな」
「それこそ限界超えちゃうわよ? まあそもそも蓬莱人の肉だと元の魂に引きずられて術が失敗する可能性が高いけど」
「げっ。それを先に言えよ」
「だって貴方、私に頼んで来なかったんだもの。肉くれって。もう知っているのかと思ってたわ」
「これ以上おんぶだっこは悪いと思っただけだぜ」
「変な所で義理堅いのね」
「義理人情に生きる女だからな、私は」
「そのために寿命を削るなんてね。本当に愚か。『流転万華鏡』をそこまで使う人間は始めてだわ」
そう言い、輝夜は茶を一口含む。
『流転万華鏡』
それは輝夜が編み出し、時の陰陽師に伝えた禁術だった。
人肉を媒体にし、自らの魂を分割。自らの分身を生み出す。
だが魂を分割するという性質上、使用者は自らの寿命を削られる。分身を一つ作れば寿命は半分に、二つ作れば三分の一に。千人もの分身を作った魔理沙の寿命はどんなに長くても一ヶ月と持たない。いや、次の瞬間に死んでもおかしくないのだ。
「えげつねえ魔法だよなあ。人肉の方に目が行くから本当のリスクに気付きにくい」
「たかが肉片一つで分身が作れるなんて都合の良い話に乗る方がおかしいと私は思うけどね。他人を犠牲にするなんて安いもの、なんて考える連中はいくらでもいるし。初めにこの術を知った術師も散々人を殺して分身をした挙句、干物みたいになって死んだわ」
「ひでえ女だな」
「早々都合の良い話はないということよ。勝手に都合の良いように話を解釈して、ドツボに嵌るような馬鹿は死んでも良いわ」
「厳しいな。私には全部教えてくれたのに」
「愚かな子は好きだもの。馬鹿な奴は嫌いだけど」
「なんだそりゃ」
「成功しても死。失敗しても死。そして全てがうまくいっても誰にも感謝されない。助けた相手からツバを吐きかけられる。そんなことに挑む女は愚かだと思うけど?」
「違いない」
硬い声で返し、魔理沙は立ち上がる。
輝夜は最後の茶を飲み干した。
「行ってらっしゃい。愚かな人。貴方の行く末に幸あらんことを」
箒を地面に突き立て帽子を被り直し、魔理沙は人里の入り口へと歩み出た。
そこに立つのは優雅に傘を揺らす一人の少女。
「よう、紫」
「ご機嫌よう。魔理沙」
「ああ、ご機嫌だぜ。さっそく本題に入らせてもらうぜ」
「ええ、それがいいわ。私も話は早い方がいい」
千人の魔理沙は紫に向かい、八卦炉をかざした。
紫はただ微笑みながら、ゆっくりと傘を畳む。
「霊夢を開放してもらおうか、紫」
「それだけはさせないわ。魔理沙」
「博麗霊夢は幻想郷の人柱にされたのさ」
直接の原因は外の世界からの外圧と内側との摩擦によって博麗大結界に亀裂が走ったことだった。これにより結界は緩み、最悪崩壊ということもありえた。
幻想郷を維持するためには結界の強化が必要だった。その結果、紫はある結論に達した。
『博麗霊夢を結界の核と機能させることによる結界の大幅強化』
結界の一部となれば人間としての人格は消去され、博麗霊夢は存在しなくなる。つまり事実上、紫は霊夢を殺したことになる。その行為に反発は必至だったため、紫は博麗神社そのものを結界で隠し、慧音の能力によって博麗霊夢の歴史を完全に消去した。
そうして人々は博麗の巫女の居ない幻想郷をいとも容易く受け入れていった。
「だろ? アリス」
「……………」
魔理沙の言葉にアリスは反論できなかった。
今なら確かに博麗霊夢という少女のことを思い出せるのに、先ほどまではその存在すらまるで頭から切り取られたように忘れていたのだ。
「だけど私は覚えていた。覚えていて機会を待っていた。そして輝夜と出会った。あいつも能力のおかげで霊夢のことを覚えていたらしい。私は霊夢のことを忘れたふりをして機会を待った。そして今、機会は来た。後はやるだけだぜ」
「魔理沙あなたは……幻想郷を滅ぼす気なの?」
「ああ。そうだ」
きっぱりと魔理沙は答えた。
「霊夢を助ける。そのためには幻想郷がなくなったっていい」
「……だが、お前は慧音たちを殺した」
静かな妹紅の口調に、魔理沙は静かに目を閉じる。
「そんなことをして霊夢が喜ぶと思うか?」
「喜ばないさ。喜ばないだろうさ。あいつはそういう奴だ。飄々として傍若無人のくせに周囲のために自分を殺せる奴だ。霊夢の奴を引きずり出したところで、喜ぶどころか私を殺しに来るかもしれない」
「ならば!」
「そいつが望んでいることをやらせるのは、本当にそいつのためになるってのか!!」
静かな風が山を駆ける。
神社のご神木が揺れ、さわさわと木の葉の声を聞かせる。
「……霊夢は生まれ付いての巫女だぜ。幻想郷のために身を捨てる。それ以外のことなんて考えもしない。でも私にはそれが正しいとはどうしても思えないだけだぜ」
そこまで言い、魔理沙は迷いを振り切るように頭を振る。
「もう賽は投げられた。後戻りはできない。できるならお前たちに邪魔はして欲しくないんだけどな」
「……魔理沙。でも」
「なあ、アリス。お前は誰の味方なんだ?」
顔を上げ、真摯にアリスを見つめる魔理沙。
その瞳は在りし日の異変を解決している時のように、ひらすらに真っ直ぐだった。
■転(うらんふ)■
魔理沙と紫の戦いが始まろうとしていた、まさにその時。
大きな揺れが、幻想郷を襲った。
立っていられない。足元がぐらぐらする。
目の前の木々が揺れている。鳥が飛び立つ音が聞こえてくる。
普段は飄々とした、どこか超然とした雰囲気を持っている紫が、今は本当に驚愕して震えているのが分かった。
「どうした、紫?」
「…魔理沙、あなた」
紫は頬に一筋の汗をたらしながら、きっと魔理沙を見つめた。その目は、蒼く澄んでいた。
「博麗結界を、どうしたの?」
「…何のことだ?」
「ふざけないで」
「私はいつも真面目だぜ」
軽口をたたく魔理沙。しかし、口調とは裏腹に、表情は真剣だった。
(紫は、どうして、動揺している?)
魔理沙の記憶にある紫は、いつも余裕を持って笑っていた。常に、一歩先を読み、その動きは優雅で、洗練されていた。
腹立たしいことに、それは魔理沙の憧れでもあった。自分には出来ないものを、自分より遥かな高みで達成している者への憎悪にもにた憧れ。
それが今、紫には余裕が見当たらない。
キリキリとした、むき出しの感情を隠そうともしていない…それは普段の紫からは想像もつかない態度だった。
「もう一度聞くわ、魔理沙。そしてこれが最後の質問。あなた、博麗結界を、どうしたの?」
「…」
魔理沙は答えなかった。
否、答えることができなかった。
別に駆け引きでもなんでもない。本当に分からなかったからだ。
魔理沙の思考は常に一直線だった。霊夢を助けたいから、行動する。そのために、何を犠牲にしてもかまわない。
けれど、分からないことは分からない。分かったふりをすることも出来ない。
「結界が揺れているわ」
もはや魔理沙に何の興味もしめしいない風で、紫は空を見上げた。
魔理沙にとっては普通の空にしか見えないのだが、紫に見える風景は違っているのだろう。
「…魔理沙…あなた…結界を…壊したのね」
「私は壊してなんかいやしない」
私自身は壊れているかもしれないが。
少なくとも、霊夢一人のために里すべてを犠牲にしようとしている自分が、まともであるはずがない。
「…魔理沙」
「…なんだ」
「…あなた、もしかして」
紫は、まるで哀れなものを見るかのような冷ややかな瞳で、魔理沙を見つめた。
口元から大きなため息が出る。本当に、あきれた様子だった。
「博麗結界が、どんなものかも、知らなかったのね」
当たり前じゃないか。
いつも、紫が裏で動いているだけじゃないか。
なんでも知っているような顔をして。すべて、自分が責任をとるような顔をして。ひややかな顔をして。
「私は霊夢を結界の一部とした…今回、あなたが動いたのは、霊夢を何とか助けたかったからでしょう?なら、そもそもの発端である博麗結界がなんなのか、それを調べてみたの?」
紫はゆっくりと、振り向いた。
紅色の唇が開かれる。
「人間」
妖怪の表情だった。
哀れな人間を、飲み込む、妖怪の表情。あぁ、やはりこいつも、妖怪だったんだと、魔理沙は思った。
「博麗結界はある一人の人間の中にあるの。霊夢は、そこに封じ込めた」
「…なん…だと…」
魔理沙の頬に、冷たい汗が流れる。
人間の中に、結界が。知らなかった。知らなかった。知らなかった。
知らなかったから、今日、魔理沙は、たくさんの人間を、殺した。
「霊夢の意識は眠っているわ。存在もしていない。けれど、確かに、結界はあるの。あるからこそ、幻想郷は存在することができる」
そんな魔理沙を無視するかのように、紫は言葉を続けていく。
「この幻想郷が続いているかぎり、霊夢もまた、形を変えて生きている。幻想郷がなくなれば、霊夢も本当の意味で消えてしまう」
紫は手にしていた傘を魔理沙に向けた。
魔理沙の瞳のほんの数寸先に、傘のとがった先がきた。
「山村則男」
紫は、ゆっくりと、しかし確かな声で、いった。
「それが、博麗結界を体内にやどし…そして霊夢の魂を共有している、人間の名よ」
「則男ーーーー!!!!!起きてくれ!!!!!返事をしてくれ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
人里。
周囲には火が立ち上り、民家が炭となって消えている。
肉の焼ける匂いが立ち込めてくる。人の匂いだ。人の、焼ける匂い。
妹紅とアリスは、とらえた魔理沙とともに人里に降りてきていた。
魔理沙の目的が分かった以上、ほおっておくわけにもいかない。
山奥から里に下りる間に、何度も地震があった。まるで、博麗結界が消えて、幻想郷がなくなるような錯覚に陥ってしまうほどの、大きな地震。
見慣れた光景が見慣れぬ光景に代わっており、廃墟とかした人里の中で、妹紅は寺小屋で仲良くなった山村則男くんを見つけたのだ。
「よかった…まだ生きてる」
「妹紅…か…」
息も絶え絶えながら、それでも則男は生きていた。
いや、「生きている」というよりも、「まだ死んでない」という表現にしたほうが正しいだろうか。
則男の腹は血まみれで、そこから腸がはみ出しており、出血がひどく顔色も土気色になっている。
今は生きている。しかしもうすぐ、死ぬだろう。
「妹紅…」
「馬鹿、しゃべるな」
口を閉じさせる。
思えば、この山村則男は、不思議な男だった。
いつの間にか、寺小屋にいた。普通は他人となじまない妹紅が、なぜか心を打ちとけることができていた。
初めて会ったのに、初めての気がしない。
まるで、昔から、知っていた人のような。
「俺に…かまうな…」
則男はそういうと、弱弱しい手で妹紅の手を握り返していた。
「俺は…もう長くない」
「しゃべらなくていい」
「いいや、今しか言えないんだ。言わしてくれ…」
目の焦点があっていない。もう、何も見えていないのだろう。そんな状況にありながら、則男は、いった。
「幻想郷はいいなぁ…俺は…幻想郷が…好きだ…」
血を吐く。
地面が揺れる。
まるで、則男が死んでいくと同時に、幻想郷が死んでいくかのように。
「妹紅…お前は…死なないんだよな…」
「則男、もういい、だから、しゃべるな」
「…残念なのは、こんなに大好きな幻想郷が…もう見れなくなることなんだ…」
「則男…」
「妹紅…俺が死んでも…お前が幻想郷を見続けていてくれ…」
その時。
空が光った。
巨大な熱量をもった光の筋が、何本も里に降り注いでくる。
マスタースパーク
それも、百を超えるマスタースパークが、百を超える魔理沙から放たれたのだ。
黒い魔法使いが、瞳に決意をひめたままで、降りてきた。
「私は…何を犠牲にしても…霊夢を助ける!!!!!!!!!!!」
そして、山村則男は、死んだ。
■結(筒教信者)■
焦土と化した地面へと、一人の魔理沙が降り立つ。
ぐらりと揺れたのは地面か、それとも魔理沙か。それにたたらを踏んで踏ん張ると、掠れる視界で周囲を見渡した。
人が住んでいたはずの風景は瓦礫すら残らず、全てマスタースパークで吹き飛んでいた。それどころか、地面の色さえ熱と爆風によって色を変えてしまっている。
じゅう、と足の裏が熱で焼ける感覚がした。それが伝わってくるのが妙に遅く、魔理沙は苦笑いを浮かべた。
視界の端に、ぐじゅりぐじゅりと蠢く肉塊を捉えた。きっとあれは妹紅だろう。
アリスは……と探してみると、遠く離れた場所で彼女は倒れていた。時たま蠢くとこを見るに、無傷とは言えないが生きてはいるのだろう。
「ああ……多分アレだろうなぁ」
何の反応も示さない肉片を見つけると、魔理沙は手袋をはめてそれを拾い上げた。
山村則男の肉。妹紅が守ろうとしたおかげで、しっかりと残っていた。
一人で行って返り討ちにされては、守りきられてしまっては意味が無い。わざわざ大量の自分を引き連れてやってきたのも、おそらく妹紅が側に居るだろうと判断したからだ。
「ちょっと……待て……」
「ん? ああ、なんだもう復活したのか。そのまま寝っ転がってくれてて良いんだぜ?」
「そうは……いかないんだよ」
拾い上げた肉片を大事そうに抱え、飛び立とうとする魔理沙を妹紅の声が呼び止めた。
見れば、ぐじゅりぐじゅりと蠢く肉塊の一部が妹紅の顔を形作り、それがしゃべっている。
なるほど、先に顔だけを再生させたかと魔理沙は判断した。
かろうじて再生させたであろう片目が魔理沙の体を見据えている。
「それを使って、お前は何をするつもりだ……。何でわざわざ持ち帰ろうとする……」
「ん? そうだなぁ、ちょっとした実験だよ。今まで私がやってたことの、ちょっとした応用だ」
「応用……?」
「ああ、応用だぜ。勿論、この大量の私を創りだしたことの応用だ」
「大量の……まさか!」
妹紅が全てを言い終わる前に、魔理沙は飛び立った。
その背中に言葉は届かず、追いかけようにもまだ体が再生しきっていない。顔の再生を急いだことが裏目に出てしまっている。
何とか追いかけられないかと四苦八苦する妹紅の目の前に、スキマが開きにゅうと紫が顔をのぞかせた。
「……とても大変なことになってるみたいねぇ」
「くっ、紫か! 頼む、魔理沙のヤツを止めてくれ! あいつ、自分を使って……!!」
「ええ、知ってるわ。あの娘が何をするか、私はよく知っていますわ」
「それならっ!!」
「でもねぇ……止めないわよ?」
「な、にぃ!? おい、どういうことだ!?」
それを聞いた妹紅は紫が何を言ったか理解できないような顔をして、それから烈火のごとく怒り始めた。
ずるずると体を引きずり、何とか再生できた腕を伸ばし紫の胸ぐらをつかむ。
それに何の抵抗を示すこともなく、紫は言葉を続けた。
「魔理沙が何をしようとしているか、私はよく知っているの。だから止めないわ」
「お前……!」
「あのね、幻想郷の結界は限界に達しようとしていたの」
妹紅の言葉を遮るように、紫の唇が言葉を紡ぎ始める。
「内側と外側の摩擦、それが限界に達して結界にヒビが入った。だから、私と一緒に結界を維持している霊夢にも異常が出始めたのよ」
「霊夢に?」
「ええ、日に日に弱っていく霊夢を見捨てることなんて出来なかった。それは私があの娘を気に入っていただけじゃなく、霊夢が死んでしまうと結界が維持できなくなてしまうから。だから私は霊夢の魂だけでも維持しようとそれを人間の中に封じ込めたのよ」
「それが則男か。でも、何であいつだったんだ!?」
「深い理由なんてないわよ。ただ相性が良かった、それだけ」
「それ、だけ?」
「ええ。そうして霊夢の魂は封じ込められた。それで色々あってこうなったんだけれど……実はね、魔理沙に気取られるのは計画のうちだったのよ」
「お前……何を……」
紫はパサリと扇子を広げ、口元を隠した。
その口元は、全てが思い通りの進んでいることを喜ぶように歪んでいた。
大量の自分を引き連れた魔理沙は神社へと向かっていた。
懐には山村則男の肉片。それを大事そうに、決して落とさぬように抱えて猛スピードで飛んでいく。
自分の命が残り少ないことは、魔理沙自身がよく分かっていた。だからこそ脇目もふらず、神社へ向かっている。
神社にたどり着いた魔理沙が見たのは、境内にびっしりと書かれた魔方陣。その隅には輝夜が腰を下ろしていた。
そこへ降り立つと、輝夜が駆け寄ってくる。
「あなたの、分身の言うとおり、魔方陣はちゃんと用意しておいたわ。それに、すこしばかりアレンジを加えてものをね。ねぇ。これで本当に良かったの?」
「ああ。これで良いんだ……。ありがとうな、助かったぜ」
紫から真相を告げられた後、魔理沙は自分のうちの一人を輝夜の元へ向かわせていたのだ。
全ては霊夢を助けるために。そのためには、流転万華鏡をよく知る輝夜の助けが必要不可欠であった。
則男の体に縫いつけられた霊夢の魂はそのままに、魔理沙の肉体と魂を器にして霊夢を復活させる。自分の霊と他人の体を使って自分の複製を作る流転万華鏡のアレンジだ。
輝夜がようやく小脇に抱えていた肉塊に気が付き、眉をひそめた。
「これがその……山村則男って人間の体なのかしら?」
「ああ。霊夢が封じ込められてるっていう、忌々しい奴の体だ」
「ふぅん。でも、その中に霊夢の魂が残っているという保証はあるのかしら? そんな状態のものに?」
「ああ、きっと大丈夫だ。紫の奴がそんなにヤワな封印を施すはずがないからな。この肉が完全に消滅するか、時間が経って封印が弱まらない限り、霊夢の魂は縛られたままだ」
べちゃりと魔方陣の中央に肉塊を落とし、その傍に立つ。帽子の中から薬品を取り出し、それをふりかけた。
あとは、呪文を唱えるだけである。
紫は驚愕の表情を浮かべる妹紅へ、何をそんなに驚いているのかと冷ややかな視線を向けた。
「歴代の博麗の巫女がどうやって転生しているかなんて、知らないでしょう?」
「転生……?」
「そう、転生。例えば寿命が来たとき、重病を患ってしまったとき、今回のように結界を影響を受けてしまったとき。さっきも言ったでしょう、それで霊夢が弱りきってしまった時に転生させるのよ」
「これとそれとに何の関係があるんだよ、あいつは自分を犠牲にして!」
「それがあるのよ。思ってくれればくれるほど、それを媒介として転生した時に力を増すのだから。それになによりね……」
ばさりと扇子を畳んで見せた笑顔は、まさしく残忍な妖怪の顔であった
「面白いじゃない、頑張って何とかしようとする人間の姿を見るのが……」
呪文を唱える魔理沙の口から、鮮血がほとばしる。
悲痛な叫び声と共に吐き出される血液はどす黒く、魔理沙の身体が正常ではないことを如実に物語っていた。
だがすぐに叫び声は呪文へと戻った。崩れ落ちそうになる体を他の魔理沙が支え、作業を続ける。
それを境内の端から輝夜は冷ややかな眼差しで眺めていた。
――おかしな話しよねぇ……。博麗霊夢を転生させるためにやるのなら、八雲紫の力だけで十分なはずなんだけど。
そのことは知ってはいたが聞かれなかったのだから、言わなかったのだ。
どうせあのスキマ妖怪のことなのだから、わざとやらせているのだろう。それは哀れなことだとは思うが、輝夜の中には魔理沙の必死な姿を見て感じていた感情があった。
きっとこれが、紫が魔理沙を放おっておいた原因なのだろう。
それをおくびにも出さず、輝夜は魔理沙の行動を眺め続けていた。
「よし、これで完成だ」
魔理沙たちのうちの一人が呟いた。
もうもうと煙が上がり、その中へ魔理沙たちが飛び込んでいく。
自殺の順番待ちをしている魔理沙のうちの一人を捕まえて、輝夜は訊ねた。
「ねぇ魔理沙、貴方怖くないのかしら? こんなことをして……」
「怖い、か。少しぐらいはそういうのだってあるなぁ。でも、霊夢のためなんだ。あいつは自分の意志とか関係なく人柱にされたんだから……。それに私は自分がこうしたいって思ったんだからやってるんだぜ」
そんな魔理沙を見て――なんて実直で間抜けなんだろう――そんな事を思い、自分の近くにそういう人物が居たことを思い出して輝夜はほぞを噛んだ。
手を離すとその魔理沙も飛び込んでいった。
全ての魔理沙が煙の中へと消え、それが晴れたとき、そこには一人の少女が倒れていた。
黒髪の、明らかに魔理沙とは違う存在。それが現れた同時に、明らかに不安定だった幻想郷の結界が安定したのが感じ取れる。
少女をどうしようかと戸惑う輝夜の前に、にゅうとスキマから手が現れた。
その手は少女を優しく抱きかかえるとスキマの中へと連れ込む。その次に現れたのは紫の満足そうな笑顔だった。
「はぁい、上手くいったみたいね。良かったわぁ、わざわざ私が力を使う必要がなくて」
「ああやっぱり、貴方の力ならこんな回りくどい方法じゃなくてもよかったんじゃないかって思ってたわ」
「私は出来れば楽をしていきたい派ですわ。あくまで最後の保険でありたいの」
「……まったく、本当にタチが悪いわね。その子はどうするの?」
「そうねぇ。色々やって、新しい博麗の巫女になってもらうわ。それが魔理沙の願いでしょ?」
そう言ってくすくすと紫は嗤い、輝夜は肩を竦めることしか出来なかった。
紅白の巫女装束に身を包んだ少女が、神社の境内から飛び上がっていく。
その後ろ姿を紫は微笑ましく見つめていた。あれから月日が経ち、何も知らなかった少女はすっかり成長し、博麗の巫女として様になり始めていた。
もう何度となく繰り返してきたことだが、やはりそういう様子をみるのは自分が母親になったようで嬉しく思う。
「今日は何処へ行くのかしらねぇ」
「気になるのなら、後をつけるなり、私に行き先を突き止めろなり命じてくださればいいのに」
何時の間にか隣に立っていた藍が言うと、そこまでしなくても良いわと首を振った。
「そこまで拘束しても仕方が無いでしょう。ある程度、自分で色々と決めるようになってくれなくては、操り人形の巫女など面白くなどないわ」
「はぁ、分かりました。紫さまがそう仰るのなら」
どこか腑に落ちないもの感じながら、藍も紫と同じように少女が飛んでいった方角を眺めはじめた。
森へと入る前にマスクを着ける。魔法の森に生えているキノコの胞子は毒であり、耐性のある者でなければそれで体調を崩してしまうことがあるのだ。
貴方なら大丈夫よ、と紫に言われたことがあるのだが念には念を入れておいたほうがいいと判断したのだ。
妖怪に対して無敵に近い博麗の巫女とはいえ、自然に打ち勝てるほど強くはない。
草を踏みしめる音を立てながら向かった先は、一件の古ぼけた家屋だった。少女は時たまここに来ている。
蔦に覆われみすぼらしく見えるが、ドアはしっかりと取り付けられ、朽ちた壁や屋根には補修の跡が見て取れる。少女が補修した部分もあるが、何時の間にか直されていた場所もあった。
だというのに、その誰かを少女は見たことがない。最初の内こそ会ってみたいと思っていたが、一向に姿を表さないために今では諦めてしまっていた。
――その内、あっちから会いに来るわよ。
戸を軋ませて中に入ると、そこは様々な本の積みあげられた別世界だ。
ベッドの上や床、机の上まで積み上げられた本の山は読んでも読んでも読みきれなく、見るだけで心が踊る。
その中から読んでいる最中の本を取り上げると、椅子に腰を下ろし栞の挟んであるページを捲った。
それはどうやら此処に住んでいた魔法使いの日記らしく、日々の他愛もない、様々な人物の織り成す出来事が記録してある。
派手な心躍る冒険や甘い恋愛劇とは無縁だが、誰かの人生の一片を垣間見るのは楽しいものだ。そして不思議なことに、これを書いた魔女が他人のような気がしない。
これに登場する巫女が自分の先代だろうからどこか似ているのはわかるが、これの作者に対して抱く感情は何だろう。
「なんでかなぁ〜。うーん……」
いくら首を捻っても答えは出ず、仕方なく何代目かの博麗霊夢はまた日記帳に目を落とすのだった。
おわり
山村則男って誰なんですか!?
何処を書いていても大変だったし、最後は苦し紛れの尻切れトンボのようで申し訳ないのですが、でも楽しかったです!
しかし他の三名、想像力がぶっ飛んでてとんでもねぇ……。受け取るたびに「どうしよう」と頭を抱えてました。(筒教信者)
零雨→ウナル→うらんふ→筒教信者
作品情報
作品集:
29
投稿日時:
2011/12/05 11:15:23
更新日時:
2011/12/05 20:15:23
分類
東方
リレー小説
手を貸したのは、無限の命を持つ輝夜。
掌で躍らせたのは、無限の可能性を考慮した紫。
何者にも縛られない霊夢は、無限から零れた残滓を手に取る。
切ない魔理沙の物語、ありがとうございます
なんかもう話が二転三転斜め上の方向にぶっ飛んでシリアス展開の所でも笑いがとまらないというおかしな状態になりました。
最初はどう見ても悪役だったのに終わってみれば魔理沙の一途さがカッコイイ。
リレー小説らしい無茶苦茶さが面白かったです。