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『北白河ちゆり』 作者: 飯
ちゆりちゃんはどうしてあんなにちゆりちゃん?
それはね、痴百合ちゃんのちゆりちゃんの背中からちゆりちゃん楽しい嬉しいちゆりちゃんと斜め左下から逆立つ痴百合ちゃんのさようなら新ルル-A錠ちゆりちゃんと回るちゆりちゃん踊るちゆりちゃんそして
「えっ?」
振り返ると、岡崎夢美はとっくにほどけて糸状に拡散していた。
すっきりと冷えた、冬の朝のことだった。
「楽しい嬉しい痴百合ちゃん」
岡崎夢美の、少し低い声が、リノリウムの床に反射する。
朝日を反射して、白銀にきらめく夢美の糸が、ちゆりの喉元にするすると絡みついた。糸がちゆりの肌に触れるとき、その先端が少し冷えていて、ちゆりは軽く身震いした。
夢美様は、冷え症だからな。
「どうしたんだ。お腹でもすいたのか」
「ごきぶりがたくさん出たのよ」
ごきぶり。
この研究室に、二人以外の生命は存在しない。
まず、この夢時空の存在を認識した上で、そこに干渉しうるだけの力を持つ者しか、割り込んでくることはできない。
従って、そのごきぶりというものは、夢美の演算の結果算出されて生成された、まがいものなのだろう。
「ねえ、ちゆり。私、もうそろそろ、ごきぶりを殺すのにも飽きたわ」
糸が全身を這いまわる。
ひざの内側を撫で上げて、肋骨の上をやわやわとくすぐる。
ふっ、と、鼻息を漏らしたちゆりの、白い頬に心なしか朱色がさしている。
「……そうか。どれぐらい殺したんだ?」
「ざっと6ケタかしら」
だから、と夢美は疲れたように笑った。
「次にいきましょう」
夢美の糸が、ちゆりの額にその先端をぴたりと押し当てる。
ぐっ、と軽く力を加えると、それはちゆりの皮膚を通り抜け、頭蓋をくぐりぬけて、彼女の脳髄へと至った。
にゅるん。
接続。
「あっ」
圧倒的な刺激の入力、大脳皮質へと直接叩き込まれる電気シグナルに、ちゆりは悲鳴をあげる。
ちかちかちかちか。
五感のすべてが明滅を繰り返す。
皮膚感覚が失われ、視界もホワイトアウトし、最後に何も聞えなくなって、
ちゆりは目を覚ました。
寝室のようだ。
窓の外からは、樹木が風にそよぐ音がざわざわと響き、ときおり鳥の囀る声が入り混じってくる。
「よう」
ちゆりを見下ろしていたちゆりが、ちゆりに声をかけた。
「……なんだ? どうしてあんたがここに?」
ちゆりは、布団に寝かされていた。とりあえず上体を起こしてみる。
赤いセーラー服を着た、もう一人のちゆりは、にやにやと意地の悪い笑いを浮かべている。なにか企んでいるな、と思ったが、やっぱりろくでもないことを企んでいた。
そいつは言った。
「夢美さんが、うちに来て助手をファックしていいぞ、って言ったから。ファックしに来たんだ」
「おい」
ごきぶりの次は、私と私がセルフファックする可能性空間か。
まったく、ご主人様は趣味が悪いぜ。
部屋には、やっぱりきらきらと輝く細い細い夢美の糸が舞っていた。
ところどころ、ちゆりのツインテールの破片だとか、白い太もものかけらだとか、そういったものも一緒になってふわふわと漂っていた。
「ご主人様?」
「なあに、ちゆり」
ちゆりの呼びかけに応えて、隣の部屋から夢美が現れた。
赤服のちゆりが振り返り、あれ、と声をあげた。
「なんだ夢美さん、いたのか」
「最初から最後までいるわよ」
「そうよ」
玄関からも、もう一人、別の夢美が現れた。
この夢美は、どことなく髪が金色がかっていて、衣装も黒に近い濃い赤色だった。
「赤ちゆりと青ちゆりの子供は、紫ちゆりになるのかしら?」
「あら、なんだか不穏な色になったわね」
「しらねーよ」
「あのさあご主人様」
好き勝手な会話を始めた二人の夢美は置いておいて、ちゆりは糸状に拡散した夢美に、改めて声をかけた。
「今回の可能性空間の意図はわかったけど、なんで?」
「あのね、前回たくさんのごきぶりを殺したといったでしょう」
「ああ。で?」
夢美がゆらゆらと揺れる。笑っているらしい。
「たくさん殺したから、今度は生んでみたくなったのよ」
うん?
「私が私とセックスしたってごきぶりは生まれないぞ」
「あら、そうかしら」
「そうだよ何を言っているの?」
「あのさ」
振り返ると、赤ちゆりが、ちゆりのすぐ後ろまで近寄っていた。
「大切なのは、回路を作ることだ」
「そうよ」
きらきらと踊る糸の夢美も同意する。
「だから、始めるぞ」
「ひっ」
赤ちゆりが、後ろから抱きすくめるように、ちゆりの腹部に両腕をまわした。
「え、ちょっと」
「いいから」
よくない。ちゆりはそう思ったが、やわやわと撫でまわす指先がこそばゆくて、言葉がかたちにならない。
「ひ、ひいい、ひうっ」
這い上がるように、赤ちゆりの手のひらが、腹部から胸まわりへと、むずむずと迫っていく。
全身にびりびりと、痺れが走る。
快・不快の区別もつかない。
「くっくっく。くすぐったいだろ」
にやにやと、とても楽しそうに、赤ちゆりはちゆりのお腹まわりから肋骨あたりを、手のひらと指先を駆使して、さわさわと撫でまわしていた。
赤ちゆりの吐息が、ちゆりの首筋にかかって、またちゆりは、びくっと体を跳ねさせた。
「な、なにを、……」
「ちゃんとさー、スイッチをさぁ、作ってあげるとさ、いくらでもさ、女の子は、面白いことになるらしいぜ。知らないけど。どっかの夢美さんの受け売りだけど」
赤ちゆりの言葉に、糸状の夢美、隣から現れた夢美、玄関から現れた黒い夢美の三人も、くっくっく、とおかしな笑いを響かせる。
なんなんだこれ。
「私なら私だから私のツボとかわかるし」
「あっ、あっ、やめて、なんか」
赤ちゆりの指先が、ちゆりのおへそを、ぐにぐにと弄んでいる。
ツボってなんだ。私は私のツボも知らないのに、そちらの私は知っているのか。
だから、おへそを穿り返されているの?
「ひ、ひっ、ぃ」
赤ちゆりの手が、ちゆりの全身を撫でまわし、神経に目を覚ますよう指令を与えていく。
もう、訳がわからなかった。
気持ちいいのか、気持ち悪いのかすら、わからない。
ただ、もう耐えられなかった。
「そろそろいいかな」
赤ちゆりが、そう言って。
夢美が笑って。
夢美が頷いて。
夢美が「ええ」と答えた。
赤ちゆりの腕が溶けた。
流体と化したちゆりの組織が、ちゆりの全身にしみわたっていく。
「あっ、あ、あっ、あぁぁっ……!?」
びりびりびりびり。
触れたところから、染み込んできたところから、しびれるほどの快楽が走る。
そういう神経だけに、選択的に刺激を与えているのか?
むしろ、脳みそをいじくられているような気もする。
ちかちかする。
「ひ、いいいっ、ああ、」
「大丈夫だから、落ち着いて」
赤ちゆりが、優しく語りかけてくる。
その彼女も、明確な境界を失って、ぐにぐにとちゆりに侵入してきていた。
しみこんでくる。
私のところを、真っ白ななにかが、両端から流れ込んで、
痴百合ちゃんのちゆりちゃんの背中からちゆりちゃん楽しい嬉しい
逆立つ、
溶け込んだ赤ちゆりの右手が、ちゆりの子宮の裏側を撫でた。
「ひいいいいいいいいいい!?」
夢美の糸が、ちゆりの喉に絡みつく。
赤ちゆりの舌が、ちゆりの膀胱の内側を舐める。
黒い夢美の肩甲骨がちゆりの太ももをこすり上げる。
夢美は隣の部屋へとコーヒーを飲みに戻っていった。
あ、だめ、なんか出る。
」おご
「わあ! すごい、緑色のちゆりが生まれたわ!」
拡散した夢美が、歓喜の声をあげた。
「もう一回頑張ろうか」
溶け合った赤ちゆりが、励ましの言葉をくれた。
見ると、確かに緑色のセーラー服を着たちゆりが、床の上に転がっている。
それを認識すると、ちゆりはまた気持ち悪くなった。
「うっ、うぐ……また、出そう」
「そう、その調子でどんどん生むのよ!」
夢美の、元気いっぱいの声援が、部屋中に響き渡る。
「私は緑のちゆりですよ」
「そうよ」
「おご、おおおおおおおおおっ:」s
天井から、橙色のちゆりが降ってきた。
「ちぇんじゃないよ」
「そうだよ」
嬉しい楽しいちゆりちゃんは、踊りながら、まわりながら、
どんどんちゆりを増やし
「私はごきぶりじゃないぜ」
(ストロベリークライシス!)
目が覚めると、ちゆりはふかふかのベッドにうずもれていた。
「あ、気が付いた」
すぐ隣で、岡崎夢美がちゆりの顔をのぞきこんでいた。
一緒になってベッドに横になっていた。
「な……なんだっけ?」
「前の可能性空間で、ちゆりを生みすぎたのよ」
ちゆりは、いまひとつ状況が呑み込めず、きょろきょろと部屋を見回している。
研究棟の一室のようだった。リノリウムの床に、蛍光灯の光が反射している。
夢美は、するりとちゆりの体に腕を回した。
「でも、おかげでスイッチは無事に生成されたみたいよ」
「えっ」
夢美の長い指が、ちゆりのおへその周辺を撫でる。
「あっ」
ピリピリと、背筋に電流が走るのを、ちゆりは感じた。
ちゆりの長い睫が、白い頬の上で震えるのを、夢美は満足そうに眺めていた。
クリスマス岡崎夢美先生がそしてサンタクロースでした。
彼女がプレゼントにちゆりちゃんのおへそ
飯
- 作品情報
- 作品集:
- 29
- 投稿日時:
- 2011/12/24 11:16:51
- 更新日時:
- 2011/12/24 20:16:51
- 分類
- 東方夢時空
- 北白河ちゆり
- 岡崎夢美
只のコードの羅列も、脳に流し込んで知覚させればリアルに早変わり、と。
こうして、様々な可能性の洗礼を受けてアップデートされたのが、今の助手ですか。
教授殿のお考えは凡人には理解できません。理解した途端に発狂しそう。
だぜ口調の助手が満更でもないのなら、それで良いかも知れませんが。