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『お疲れゆうかりん』 作者: バイヨン
風見幽香は疲労困憊の有様であった。
幻想郷の大妖たる彼女を、いったい何がここまで追い詰めたのか。
彼女をも上回る強大な妖怪か。あるいは神にでも祟られたのか。
そのどちらも不正解である。
彼女を疲弊させたのは、他でもない「花」であった。
春に咲く花は多い。
彼女は色とりどりの花で彩られた春の到来を心待ちにしていた。
だが、待てど暮らせど春がこない。長く生きてきた彼女の経験からしても、これは明らかに異常な遅さであった。
風の噂で、これは冥界の亡霊お嬢様が春を集めている為に起こった異変であり、博麗霊夢が解決に赴いている、と聞いてはいたのだが。
冥界のお嬢様をこらしめ、春を取り返して万事解決、というほど事態は単純でない。
終わらない冬に、幻想郷中の植物達が混乱してしまっていた。
このままでは正しい季節に花を咲かせられない者が沢山出てしまう。
幽香は幻想郷のあちらこちらを飛び回り、植物たちに事情を伝えたり、調子を崩した者を自らの力で治してやったり、休む間もなく奔走していたのである。
彼女の尽力のおかげで、異変解決後、幻想郷は無理なく春へ移行できたのだ。
しかし風見幽香の力は強大とはいえ、その本質は季節の花を楽しみながらゆっくり暮らす平和な妖怪である。
短い間にあちこちを飛び回り、大量の力を使ったことによる負担は、彼女が思う以上に重かった。
異変解決から数日後。
その日は、ようやく到来した春を祝ってリグルとお花見に行く約束だったのだが。
けたたましく目覚ましが鳴り、起きろ起きろと喚き散らす。
今日はその音がいつも以上にうるさく、頭に響くように感じられた。
ここ最近、どうも目覚めが悪いが、今日は輪をかけて酷い。
「頭、痛い……」
ぼぅっとする頭のまま、水でも飲もうかとベッドから立ち上がると、強烈な眩暈に襲われ、よろめいた。
「! ……うぇっ」
すると今度は強烈な吐き気が来た。咄嗟に口を手で覆う。
「トイレ……けぷっ」
ふらつく足でどうにかトイレまで行き、便器に顔を近付ける。
「うぐっ……おぇっ! ……ぅえぇっ!」
凄まじい吐き気に何度もえづくが、何故か吐けない。
「う……はぁ、ふぅ、ぐっ! ……うぅ」
地べたに座り、便器にしなだれるような格好で何度も吐こうとするが、吐瀉物は喉のあたりまであがってきてもすぐ戻ってしまう。手足が震え、涙が滲む。
「う……ふう、はふぅ……」
だが10分ほどえづいていると、吐き気も少し落ち着いてきた。
ゆっくりと背後の壁にもたれかかり、呼吸を整える。
胃がずしりと重い感触が残るが、思考を取り戻す位の余裕は生まれた。
「……はぁ、この、私が、ここまで調子、崩すなんて……いつぶりかしら」
(何が毒でも口にしたのか、ここ数日、慢性的な気怠さや頭痛はあってもここまで酷い症状は無かったのに。どうして突然、こんな……)
このひどい体調不良の原因を考えてみるが、また頭痛が復活してきた。
「うぅ……、お花見は、無理……ね。リグルに、言わないと……」
そう思い立ち上がる。
またきつい眩暈。
「う……、ちょっと、寝てから……」
よたよたと寝室まで歩き、ベッドに倒れ込むと、幽香はそのまま泥のように眠った。
「幽香さ〜ん!居ないんですか〜!ゆうかさ〜ん!」
幽香の家のドアをどんどん、と叩くのは、蛍の妖怪リグル・ナイトバグである。
時間を大分過ぎても約束の場所に現れないので、心配で来てしまった。
「……う〜ん、どっかいっちゃったのかな? もうやることは終わった、っていってたのに……」
幽香は気まぐれではあっても、人との約束をそう簡単に忘れたり、破ったりはしないはず。
「疲れて寝ちゃってるのかな? でも寝過ぎは体に良くないよね」
幽香を起こしてやることにしたリグル。だがドアはしっかり閉まっている。
「窓とか空いてないかな〜、っと……」
侵入口を探す。2階の窓の一つの鍵がかかっていないのに気づき、そこからお邪魔する。
「失礼しま〜す……寝室はどっちだっけな」
2階の部屋を見て回るが、いない。そもそも人の気配すらない。
幽香の存在感を感じ取れない。
「いないのかな? 幽香さ〜ん?」
とんとんと階段を降り、1階へ。
なにか嫌な予感がした。
予感というよりは気配だ。弱った妖怪の気配がひとつ。
「え? いや、そんな、まさか、ねえ?」
だんだん心配になる。不安な気持ちになり、早足になってくる。
「……ここだ」
寝室らしき部屋の前に来た。
意を決し、扉を開ける!
「失礼しますっ! ……あ」
ピンクのパジャマ姿でベッドに横たわる幽香の姿を見つけた。しかしその寝顔は真っ白で、寝息も不規則だ。
そっと幽香に手を置き、優しく揺らして起こそうとする。じとり、と汗の感触。
「幽香さん、リグルですよ。体調悪いんですか?」
幽香はうっすらと目を開け、リグルをとらえる。
「……リグル……ゔぐっっっ!?」
ベチャッ!
幽香が突然目を見開き、手で口を押さえたかと思うと、何かを噴き出した。押さえた手の指の隙間から、粘っこい何かが滴り落ちる。
「ぅえっ?……ちょ、大丈夫ですか?!」
「うぐ……、くぁーっ!くうぅーっ!」
幽香は首を振るばかりだ。背中が波打っている。まだ吐くのだろう。
「ちょ、ちょっと我慢して! ああ、洗面器か何か……」
すぐ近くの炊事場にお釜がある。
これしかない。
「す、すみませんがこれしかないです! これに!」
一瞬戸惑う幽香だが、もう余裕がない。
「くぅ、ゔっ! げ、おぇぇぇっ! うぇ、げろっ! おええええええええっ!!」
ボトッ! ビチャビチャビチャビチャッ!!
幽香はものすごい勢いで、タガが外れたように嘔吐する。喉を固形物が遡る感覚が嘔吐感を助長する。吐瀉物には昨日食べたものが原型に近いままみえる。
「うぇぇぇぇっ、うっ、えっ、えれっ、えれれっ、ぐぅっ、う! ……げぼっ!げぇぇぇぇぇっ!」
ベチャッ、ピチャピャッ、ビタビタビタッ!!
「はぁっ、はぁっ、はぁ……」
どうやらひとつの波が終ったようだ。小康状態になる。
「あぁぁ、リグル、ごめんね、今日は……無理……ゔぅっ!」
「だ、大丈夫ですから、胃の中のもの全部だしちゃいましょ?きっと楽になるから」
相変わらず気持ち悪そうな幽香に、リグルはできるだけ優しく声をかける。
「うん……くぅ、気持ち、悪いぃ……」
目に涙を浮かべながら細かくえづく。
「ほら、背中さすってあげますから、吐けそうですか?」
「ぐ、あぅ、うぇっ! うぉえっ! シャーーっ! シャーーっ!」
今度はさらさらしたものを吐き始めた。
「んんっ、ふっ、幽香さんっ、頑張って!」
リグルも非力な細腕に鞭打って、少しでも吐きやすいように背中をさすりつづけてやる。
「ぐえっ、うっ、けぷっ……はふぅ。 リグル、もう大丈夫よ、ありがとう」
たくさん吐いて、少しは落ち着いてきたようだ。
「幽香さんもこんなに体調崩すことあるんですね……、水飲みます?」
「ええ、お願い」
温目の水を手渡してやる。今なら飲めるようだ。
「ふう」
「楽になりましたか? ……これ、捨ててきますね」
「あ、ごめんなさいね。きたないのに」
汚物の処理を済ませ、リグルが帰ってくる。
「大変でしたね。とりあえず横になって」
「あ、でもまだ吐くかも……」
「洗面器もってきましたから、吐きたくなったらこれに吐いて下さい。水も汲んでおきますね」
「あ、ありがと」
「私はお医者さん呼んできますから」
「お、お医者さん? 竹林の? ……う〜ん」
正直呼んでほしくないようだ。
プライドの高い彼女のことである、自分の情けない姿をあまり見せたくないのは当然だろう。
しかし体調を相当派手に崩してしまっている以上、医者にしっかり看てもらうべきだということは、彼女自身良く理解していた。
「しっかり看てもらって、早く治さないと! ね、幽香さん?」
「え……えぇ、そうね、じゃあお願い出来るかしら」
「じゃあ、行ってきますね」
一時的に落ち着いているとはいえ、またいつひどい嘔吐がはじまるかわからない。リグルは大急ぎで永遠亭に向った。
「あら、どちら様? 永遠亭に御用かしら?」
迷いそうになりつつも、親切な道案内人のおかげでなんとか辿り着いたリグルは、入口付近で兎と鉢合わせた。
永遠亭の薬師、八意永琳の助手であり弟子の玉兎、鈴仙・優曇華院・イナバである。
ちょうど薬売りから帰ってきたところのようだ。
「あの、永琳先生にお会いしたいのですが!」
「師匠ですか? どこか悪いの? 健康そうに見えるけど……」
「いや、その、私ではないんですけど……」
鈴仙はしばらくリグルを値踏みするように見るが、嫌な波長は感じなかったようだ。
「うん、悪い人には見えないし、大丈夫でしょ。案内します、ついてきて下さい」
「ありがとうございます!」
「あなたがウドンゲの言ってた方かしら?」
回転椅子に座りリグルに問いかける白衣の女性は、“月の頭脳”の異名を持つ天才薬師、八意永琳。
「はい、その、看て欲しい人がいまして……」
「歯切れが悪いのね。単刀直入に聞くけど、一体どなたが病気なのかしら?」
「か、風見幽香、です」
「へ?」
「ゆ、幽香さんが大変なんです! 助けて下さい、お願いします!」
必死に頭を下げるリグル。
「いや、まあ頭上げて。……風見幽香さんって、あの、お花の方よね?」
「そうです! 今日会いにいったら、吐き下しちゃってて……」
「あら」
「なので、その、お忙しいの中すみませんが、診察までできなくてもせめてお薬を……」
「ふむ」
(あの風見幽香が体調を崩すなんて滅多にあることじゃないわね。しかもそれを間近で観察できるなんて……レアだわ)
「……よろしい。看に出向きましょう」
「本当ですか?! ありがとうございます!」
ぱぁっと笑顔になるリグル。彼女には、永琳の心中など知る由もない。
まあ幽香の回復に繋がるのは間違いないから、問題ないといえばないかも知れないが……
「礼は良くなってから聞くわ。ウドンゲ! ……”準備“はできてるわね?」
「はい。師匠」
準備は万端である。
リグルが、永琳と鈴仙を連れて幽香邸帰ってくる。
幽香は眠っていたが、洗面器には少し吐瀉物が溜まっている。
やはりまだ回復していないようだ。
「幽香さん、お医者さん連れてきましたよ」
幽香はゆっくりと体を起こし、会釈する。
「わざわざ来ていただいて、しかもこんな格好で申し訳ないわ。今日はよろしくお願いするわね」
「あらご丁寧に。今は落ち着いているようだから、早速だけど診察始めましょう。ウドンゲ」
「はい。準備できてます」
リグルは永琳に指示された食材を買いに人里へ降り、その間に一通りの診察を終えて点滴を受ける。
「かなり内臓が弱ってるわね。特に消化器の衰弱が酷いわ。なにか体に大きな負担でもかけたのかしら?」
「……えぇ、まあ」
「消化器の衰弱が原因で等張性の脱水症状を起こしてたわ。激しい嘔吐もこのせいね。経口補水塩出しておくから、水と一緒に飲んでおいて。水分補給は欠かしちゃ駄目よ」
「気をつけるわ」
「あと、朝夕2回のお薬と栄養剤出しとくわね。 それと、リグルちゃんがご飯作ってくれると思うけど、なるべく食べてね。無理に食べなくてもいいけど、お薬と栄養剤だけだと胃が荒れちゃうから」
「努力するわ」
ひとしきり説明を終えたところで、部屋のドアが空く。
「ただいま帰りました!」
「リグルちゃんも帰ってきたみたいだし、……点滴も終ったわね。じゃあ私達はこれで失礼しましょうか」
「あ、お帰りですか?」
「ええ。ウドンゲ、“帰る”わよ」
「はい。帰りましょう、師匠」
「今日は世話になったわね」
「明後日にまたみにくるから、それまでに良くなってちょうだい。礼はその時聞くわ」
「今日は本当にありがとうございました!」
「ええ。また明後日に会いましょう」
「……もう行った?」
「? ええ、世闇に消えて、もう見えないですよ」
その言葉を聞くなり、幽香はそれまでの余裕を湛えた表情を一変させ、洗面器に顔を近づけた。
「うぇ……っぷ、けぷっ」
「……我慢してたんですか、まだ吐きそうですか?」
「え……え、まだ気持ち悪……うぉえっっ!」
ビタタッ!
「すっきりしちゃいましょ。それで出すだけ出したらもう寝ましょう。明日にはきっと良くなるから」
「そ……うね…あぅっ、おええっ!」
その晩も吐き気は引かず辛い夜になりましたが、幽香の高い回復力とリグルの看病の甲斐あって、次の日の昼にはすっかり元気になりましたとさ!
よかったね!ゆうかりん!
うふふふふふふ
〜幽リグEND〜
ゲロかわいいゆうかりんを書きたい一心だったのですが、
まだまだ課題は多そうですね。
ゲロくさいSSにも寛容なあなたのゲロくさいご指摘、ご感想、
お待ちしております。
また、もしゲロかわいい女の子に心当たりがございましたら、
ぜひ教えていただきたいです。
けーね先生とかゲロが映えそうですよね。
ゲロ美人。
あなたのお気に召しますように
バイヨン
- 作品情報
- 作品集:
- 30
- 投稿日時:
- 2012/04/08 18:32:19
- 更新日時:
- 2012/04/14 22:34:51
- 分類
- 風見幽香
- リグル・ナイトバグ
- スカトロ
- ゲロ
- 嘔吐
ゲロの口移しとか塗りあいとかきぼんぬ
そしてゲロっていいですよね。
私は誰も悪くないゲロが大好きなのですが、この路線の作品は貴重です。
テキスト保存します!
≫1 ゲロは悲惨で暴力的な表現とセットになりがちですよね
ゲロはかわいいのに。
≫2 確かにあまり吐瀉物の臭いとか、形状とかは描写してないでね
スカトロ分は希薄かも。でも明確な嘔吐表現があるので、
とりあえずスカトロタグは残しておきます。
≫3 ゆうかりんの新鮮な産地直送ゲロを口移しで直飲みしたい
≫4 ありがとうございます。 食べ過ぎ美鈴がゲロゲロしてる作品の方ですよね?
やっぱり幽リグはSMより仲良しラブラブでいて欲しいですよね。
ゲロ最高です! かわいい娘はゲロもかわいい。むしろゲロがかわいい娘がかわいい。
これからもこの路線で行きたいのでよろしくです