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『夜と妖精と怪談と、それから聖水』 作者: 黒の名無し8号

夜と妖精と怪談と、それから聖水

作品集: 30 投稿日時: 2012/07/20 19:12:58 更新日時: 2012/07/21 04:12:58
「あー終わったー……」
「居残りお疲れさん、気を付けて帰るんだぞ」
「さようなら先生」

月が中途半端に出始めた午後8時頃、寺子屋の教室から2人の妖精が帰途に付いた。
と言っても、満月でも新月でもないありきたりな月夜だ。

「待たせてごめん大ちゃん、あの問題強すぎて」
「別にいいよ、でも9×9ってそんなに強いかな……?」

九九の補習で未だかつてない(?)戦いを終えた気分のチルノと、自ら付き添って補習をサポートした大妖精。

「もちろん強いよ!さいきょーの数字『9』が力を合わせたらさいきょーさいきょーじゃん!」
「あはは……あ、そうだ。チルノちゃん、ちょっと先に行ってて」
「なに?忘れ物?」
「うん、ちょっとね……」

『忘れ物をした』と大妖精はチルノに告げ、廊下を逆戻りしていく。

「うう……そういえば我慢してたんだった……」

忘れ物とは単なる口実、大妖精は高まっていた尿意を抑えながら寺子屋のトイレへ向かう。
帰り道で限界に達してしまえば、そこら辺の草むらで花を摘むことを強いられてしまうからだ。
ただし今回の決断にも2つの壁がある。1つは『暗さ』。
日中の授業のみを想定した寺子屋には、教室以外に照明が設置されていない。
頼れるのは月明かりのみ。それでも個室の中にまで月明かりは入ってこない。
その暗さから来る恐怖心が尿意を押し殺してしまうとそこで試合終了だ。

そしてもう1つの壁、3日前に出来たばかりの新しい壁が……

「暗いなぁ……あれ!?使用禁止!?」

休み時間に噂になった『新説・厠の花子さん』である。
「夜に奥から2番目のトイレに入ると、花子さんと呼ばれる恐ろしい妖怪が現れる……」
のフレーズだけでお分かり頂けるだろう。外界に伝わる花子さんよりも出現頻度は高い。

「お昼までは全部使えたのに……しかも2番目だけ使える……」

教室で普通に妖怪が授業を受けているような寺子屋で、妖怪を怖がらない者はほとんどいない。
ただし未知の妖怪とあっては話が別だ。そこに暗さが追い討ちをかけ……

「やっぱり家まで我慢しようかな……」

ここで思わず負けそうになる大妖精。しかしその選択肢もギャンブルに近い。
膀胱に溜め込んだおしっこの量を予想すると、間に合う確率は2割弱……ッ!

「でも間に合わないかも……どうしよう……」
「入らないの?」
「きゃぁっ!?」

不意に背後から肩を叩かれる大妖精。
ただし背後に立っていたのは敵ではなく、非常に頼れる正義の味方だった。

「なんだ、チルノちゃんか……(ちょっと出そうだった……)」
「ついて来るのが遅かったからけーね先生に聞いたけど『忘れ物なんて無い』って言ってたよ。
それでもしかしたら……って思ってたんだけど、やっぱりおしっこしたかったんだね!」
「大声で言わないでよ……」

この氷精、デリカシーはあまり持ち合わせていない。
その代わりさいきょーを自称するだけあって、何かを怖がることも滅多にない。
この唯一無二の駒、チルノをどう配置すればこの場を切り抜けられるか……
大妖精は5秒ほど考え、結論を出した。先ほど驚いたせいで漏らすまでの猶予はほとんどなくなっている。

「お願い!一緒に中に入って!」
「ええーっ!?」
「今日だけでいいから!ねっ!お願い!」
「……しょーがないなぁ、任せなさい!」

さいきょーの仲間が加わり、突入の決心が付いた。一応個室に入る前に大妖精が軽くノックをする。
……返事はない。ドアの鍵も空室であることを示す青色だ。

「外じゃだめなの?」
「だって……もし何かあったら急に入れないし……」

大妖精はチルノを個室に引き込み、鍵を閉める。
ここで現れた第3の壁が『友達のそばで用を足す恥ずかしさ』だ。

「じゃあ……あっち向いててね。何かあるまで絶対こっち見ないでね」
「別に見ないって」

チルノの確認を取った後、大妖精は第3の壁を越えスカートと下着を下ろす。
妖精ならぬ幼精の幼いスジが晒されるが、一応見られてはいない。
下着を下ろした瞬間から尿意は一掃高まり、椅子取りゲームのように慌てて便座に座る。
そして力を緩めると、長時間せき止められていたダムがようやく開門された。

しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……

勢いよくおしっこが便器に降り注ぐ。
ほっとし過ぎたせいで、水を流す音でかき消す選択肢はすっかり失念していた。

「(気持ちいいけど……恥ずかしいしまだちょっと怖いなぁ……)」
「おー、出てる出てる」
「へっ?ひゃぁっ!?見ないでって言ったのに!」

『別に見ない』という言葉はどこへやら。いつの間にかチルノは大妖精の花摘みを鑑賞し始めていた。

「(あぁ…見られてる…私の濃いおしっこ……)」

無常にもダムからの放水はまだ終わらない。ちょうど中盤あたりだろうか。

「……やっぱり生えてないんだね」
「そこも評価しちゃうの!?いいからあっち向いてよ!」
「実は大ちゃんにお願いがあるんだ」
「な、何?飲ませてなんて言わないよね!?」
「そうじゃなくて、大ちゃんが気持ちよさそうにおしっこしてるの見てたら……
あたいもしたくなっちゃってさ」

そう言い、チルノも下着を下ろし始めた。どうやら本気らしい。

「ちょ、ちょっと待って!今は私が」
「しょーがないじゃん、他のトイレは使えないし、一緒にするしかないじゃない。ちょっと奥詰めて」

そして既に大妖精が座っている便座に強引にチルノも座り、2人乗りならぬ2人座りの形になった。
寺子屋のトイレは一応人間サイズに作られている。体の小さな妖精なら何とか可能な形式だ。

「もっと奥に詰めてくれないとはみ出ちゃうじゃん。あ、もう駄目かも」
「いや無理だって!もう私出し終わったのにお尻も拭けないじゃん!」

大妖精はチルノと後ろの便座のフタに挟まれ、身動きが取れなくなっていた。
大妖精が少しでも前に出たら、チルノのおしっこが外に飛び出てOBになってしまう。

しゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……

「ふー……ごくらくごくらく……」
「それはお風呂で使う言葉だよ……」

気を使って水を流そうにも、奥に詰めすぎて水洗レバーが手の届かない位置に来てしまっている。

「この事は2人だけの秘密だね」
「う、うん……そうだね……」

言うまでもない。この事が外部にばれてしまっては、2人は最悪の場合不登校児になってしまう。

「……ねぇ大ちゃん」
「な……なに?」
「名前的に大きい方はしないの?」
「しないよ!?名前(?)だけで人……じゃなくて妖精を判断しないで!?」

静かな夜も吹き飛ぶほどのボケツッコミをやっているうちに、ようやくチルノも用を済ました。

「すっきりしたー……さて、早く帰ろっか……あれ?」
「どうしたの?」
「紙が……なかった」

チルノが『ありのまま今起こったことを話すぜ』的な表情でペーパーホルダーをカラカラと鳴らした。

「んなーっ!?」
「しゃーない、芯で拭くか」
「いやそれ駄目!色々と駄目だから!」
「じゃあ芯は大ちゃんにあげるよ、あたいは別に拭かなくても」
「そういう問題じゃなくてー!」
「あの…これ、どうぞ」

その時、背後からポケットティッシュを差し出す冷たい手が差し伸べられた。

「あ、ありがとうございま……きゃぁぁぁぁっ!」
「どしたの大ちゃん?……あっ!花子さんだ!」

なんとポケットティッシュを差し出したのは、今回の出来事の発端である新説花子さんだった。
しかし怒っている様子も泣いている様子もない。笑っている。にっこりと笑っている。

「いやー面白かったですよ、お二方の『厠漫才』。久々に笑わせてもらいました」
「えーと……私達は別に漫才してたわけじゃ……」
「このポケットティッシュはせめてもの気持ちです。また会えるといいですね」
「私はイヤです!」

花子さんは満足して姿を消してしまった……怪談とは何だったのか。

「優しい妖怪だったねー」
「う…うん、そうだったらいいね……」
「何やってるんだ二人とも?」

花子さんの次に聞こえた声は、2人がよく知る慧音先生の声だった。

「あ……先生……どこから聞いてました?」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「実は大ちゃんにお願いがあるんだ」
「な、何?飲ませてなんて言わないよね!?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「↑ちょうどこの辺りだな」
「(いやぁぁぁぁぁっ!全部聞かれてたぁーーー!)」
「全く……安心しろ、お前達がさっき作った『歴史』は食ってもみ消してやるから」

歴史を食べる。その能力は黒歴史の隠蔽にも使える便利な能力だ。
これで……長い夜が終わった……

「……最後にもう一つ、これは『使用禁止』の張り紙を1枚だけ忘れた私の失態だが……
そのトイレも水が流れないからな」
「「えぇーーーっ!?」」

グルルルル……

その時、密接したチルノの冷気で冷やされた大妖精のお腹が鳴った。

「……まさか……大ちゃん、お腹空いた?」
「お前の冷気でお腹を壊したんだバカ」
「先生……もう1回歴史を食べてもらっていいですか?」
「いや待て、歴史を食べても便は修理するまで残るぞ?そっちを食べる趣味もない」
「でも……も……もう駄目……」

……3人の夜は、もうしばらく終わりそうにない……
The End
初投降です(二重の意味で)。小説の方は独学で数年ほど書き続けていましたが
所詮独学なのでかなり拙いです。主にセリフが多い。
とっさに「スカギャグ」という言葉を思いつきキーボードを打ち始めたらいつの間にかこんなSSが完成していました。

糞要素も嫌いではないですが、まだそっちの方の描写は技量的に難しそうです……
黒の名無し8号
作品情報
作品集:
30
投稿日時:
2012/07/20 19:12:58
更新日時:
2012/07/21 04:12:58
分類
怪談
チルノ
大妖精
寺子屋
ギャグ要素あり
放尿
1. NutsIn先任曹長 ■2012/07/21 05:12:58
ほのぼのスカギャグ話、楽しませていただきました。
幻想郷なんだから、怪談が『実話』の頻度も高いよね。

何だこのチルノ!? 彼女は『彼女』が化けた姿で本物は表で待っていた……、というオチじゃなかったぜ!!
さいきょーだ!!
2. 名無し ■2012/07/21 21:40:06
もうねなんなんだろうこの読後感

なんともいえませんわ
3. 名無し ■2012/07/24 03:12:26
恥じらいも変態要素もないチルノちゃんがイメージぴったりだ
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