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『古明地さとりの焦燥○育〜Extra』 作者: くろはち
・某日、地霊殿
地霊殿の主、さとりは待ちわびていた1つの小包を開封した。
小包の中にあるのは、一見ただの下着……のように見えるが、何故か鍵穴が付いている。
「付属の鍵を使わないと下着を穿く事も脱ぐ事も、もちろん脱がす事もできない……
河童謹製の完全防御パンツ『フォートレス』!
最近お燐が鍛えた脱がしテクもこいしのイタズラも、フォートレスの前には無力!」
さとりの最近の悩み、それはペットのお燐と妹のこいしが下着を脱がしてくる事だった。
お燐の場合は心を読んだ瞬間には既にさとりはノーパンになっているくらいの素早さ、
こいしに至っては心が読めないため、瞬間的な対処など到底不可能だ。
さとりはすぐさま下着を装着した。カチッと音が鳴り鍵穴が90度回転する。
自分で下着に手をかけ脱げないのを確認すると、さとりは思わずドヤ顔になる。
これでもう、恥ずかしい部分を露にされる心配から解放される……といいのだが。
「鍵には紐を付けて、首からかければ……これで完璧」
「何が完璧なの?」
「ひゃあっ!?こ、こいしっ!?」
さとりの背後にこいしが這い寄っていた事に、さとりは全く気付かなかった。さすが無意識。
「また外に行っていたの?朝ご飯も食べないで」
「だって面白いんだもん。お姉ちゃんも一緒に行く?」
「んー……考えておくわ。そこまで言うなら。じゃあ、お姉ちゃんは書斎に行ってくるから。
朝ご飯まだなら、冷蔵庫に入ってるからね」
さとりは小包を持って書斎に向かった。小包には説明書が入っており、緊急時の外し方も記載されている。
こいしにこれを読まれてしまっては、元も子もない。
「……あ、お姉ちゃんにお土産渡すの忘れてた。『文々。新聞』の号外ともう一つ秘密のアレ……」
こいしは号外をテーブルの上に置き、朝食を取るためにキッチンの冷蔵庫へと向かった。
……ちなみに、号外の下の方にはこんな記事があった。
『【新製品 回収のお願い】
河童謹製の完全防御パンツ「フォートレス」の梱包時に、
製品とは異なる形状の鍵が同梱されていた事が判明しました。
製造元では製品の自主回収および鍵の交換を……(以下省略)』
「『妖怪が普通に授業を受けているような寺子屋で、妖怪を怖がる者はほとんどいない……』と。」
さとりは書斎で紅茶を飲みながら、小説の執筆をしていた。
今日はいつもより余計に喉が乾く。朝食の時と合わせてティーカップ6杯分くらいの水分を摂取した。
ふるふるっ……
「……ちょっとお花を」
もちろん飲んだものはいずれ出る運命だ。自然の摂理には人形でもない限り逆らえない。
さとりは書斎の近くのトイレに入り、いつも通り鍵を閉める。
「えーと……鍵、鍵……」
首から掛けていた下着の鍵をさとりが取り出し、下着の鍵穴に差し込む。
あとは鍵を回して下着を下ろし、便座に座るだけだ……と思ったのだが。
ガチャッ、ガチャガチャガチャッ……
「あれ……?鍵が回らない……?」
さとりがどれだけ力を入れても、下着の鍵はかたくなに解錠を拒み続ける。
「何で……回らないのよっ!」
まだ尿意に耐える余裕はあるが、さとりは相当焦っている。
さとりが床下に隠しているそっち方面の小説だと、尿意ないし便意が限界ギリギリになってからでは遅いのがお約束のパターンだ。
「落ち着け、落ち着いて素数を数えるのよ私……こういう時は説明書を……」
一旦本来のゴール地点であるトイレを離れ、さとりは書斎に戻り小包を開いた。
「説明書は……ない!?確かにこの中に」
「お姉ちゃんが探してるのって、これ?」
さとりの後ろで再び声がする。言うまでもなくこいしの声だが、その手に持っているものは……
「そ、それは……」
「最初にネタばらししちゃうけど、お姉ちゃんが穿いてるそれ、鍵が違うらしいよ」
「違……う?」
さとりは愕然とした。一つは全く違う鍵に騙されてしまった事に。もう一つはさとりの命運がこいしに握られてしまった事に。
「と、とりあえず説明書を返して!」
「脱ぎたいの?教えてほしい?『緊急時の外し方』」
さとりは首を縦に振った。とはいえこいしが素直に教えてくれるかどうかは分からない。
「じゃあねー……これ飲んで?地上のお土産」
こいしが取り出したのは、黒く塗り潰されたラベルの貼られた小瓶だった。
「飲んでからのお楽しみ、さあさあ一気にグイッと!」
「……本当に飲んだら外し方教えてくれるのね?」
「もちろん!」
こいしの心は読めない。そのため本当か嘘かも分からない。
ただし断れば数時間後にはほぼ確実に漏らしてしまう。
力ずくで奪うことも出来ず、さとりに選択の余地は……なかった。
さとりが小瓶を口に当て、中身を豪快にらっぱ飲みした。
「お姉ちゃんすごーい!」
こいしの無邪気な拍手が書斎に響く。その拍手の後に訪れたのは……
ぶるぶるっ……
「いや……この感触……何……?」
さっきまでとは比べものにならない猛烈な尿意がさとりを襲う。あの小瓶のせいである事は言うまでもない。
「効いてきた?それ飲んだらすっごくおしっこしたくなるらしいよ」
「効いたから……早く外し方教えて……」
椅子に座り込み、さとりが涙目で股をぎゅっと閉じる。
「(ああ、おしっこを我慢するお姉ちゃん可愛いなぁ……)鍵穴の右に薄い金属のプレートがあるよね?そこを指で弾いて」
「えーと……これね?」
さとりが小さなプレートを指で弾くと、フタが開き4つの小さなボタンが現れる。
「そこで正しい順番でボタンを……面倒だから私がやるね」
こいしがさとりの前でしゃがみ、視線の高さを下着と同じにしてボタンを押していく。そして遂に……
ガチャッ!
鍵穴が再び90度回転し、下着のロックが遂に外れた!
「こいしが……素直に助けてくれた……?」
「嘘じゃないって言ったよね?よかったね、お姉ちゃん」
「ありがとう……」
ホッとするのはまだ早い。さとりの尿意は既に限界ギリギリだ。早くトイレに行かないと本当のゴールではない。
「うう……漏れちゃう……おしっこ……」
内股でさとりが廊下をゆっくりと歩いていく。もはや主の威厳などどこにもない。
ただ、おしっこを出したい。それだけしか考えられなかった。
書斎からトイレまでの距離は10メートル程度のはずなのに、さとりには4〜5倍程度の距離に感じられた。
その距離を制覇し、さとりはようやくトイレのドアに手を掛ける。
「(間に合う……やっとおしっこ出来る……!)」
ガチャッ!ガチャガチャッ!
しかし無情にもドアは開かなかった。
「入ってまーす」
「こいし!?いつの間に先回りしてたの?」
「ごめんねお姉ちゃん、私もおしっこしたかったんだ」
ジョロロロロロロ……
トイレの中からわざとらしいおしっこの音が聞こえる。水音のせいでさとりの尿意が一気に加速した。
「お願い……早く代わって……」
「上の階にもトイレあるから、そっち行ってきたら?」
「ダメ……絶対間に合わない……」
さとりの声はこれ以上ないくらい弱々しくなっている。今地面に座り込んだら二度と立ち上がれそうにない。
「しょうがないなー……もう終わるよー」
こいしが水洗レバーをひねり、さとりの膀胱に会心の一撃。さとりは足をガクガク震わせながら何とか立った状態をキープする。
ガチャッ
「はいどうぞ」
最後の扉が、今……開かれた!
「た……助かっ……た……」
さとりは一瞬だけこいしを超える速さでトイレに飛び込み、勢いよくドアを閉めた。
……その時、最大のミスを犯してしまった!
バタンッ!
「あひぃっ!」
第三の眼のコードが、勢いよく閉められたドアに挟まった。さとりにとっては非常に感じやすい部位である。
そんな部位に強い刺激が加われば……
じわっ……
「ま……待って……まだ……」
せめて下着だけでも下ろしたかったさとりだったが、力尽きた膀胱はその願いさえも聞き届けてくれなかった。
プシャッ、ジュワァァァァ……
「やだ……止まらない……おしっこ止まらないよぉ……ぐすっ……ひっく……」
泣きながらトイレの床にへたり込むさとり。ゴールである便器を目の前にして、だらしない格好のままおしっこが出続ける。
「お姉ちゃん……?」
「ごめん……ごめんねこいし……こんな恥ずかしいお姉ちゃんで……」
「ううん、お姉ちゃんは何も悪くないよ。ほらパンツとスカート脱いで」
確かに今回のお漏らし事件、最後を除けばさとりにそれほど落ち度はなかった。
さとりは何とか意識を取り戻し、ぐっしょりと濡れた下着とスカートを脱いだ。
「(お姉ちゃんのお漏らしパンツ……超レアアイテムだよぉ……)」
「パンツは洗濯しなくていいから捨てて……トラウマになりそうだから」
「はいはーい(とりあえず私のお部屋に飾るのがいいかな)。
あれ……お姉ちゃん、お股ぐっしょり濡れてるよ?」
「シャワー浴びないと……ひゃうっ!」
こいしがさとりの股に顔を近づけ、舌でペロリと残ったおしっこを舐める。
「大丈夫だよ、私が綺麗にしてあげるから。んー甘酸っぱくていい感じ」
「ちょっとこいし……!やめて……!」
後日、さとりがこの日の出来事を元にして書き上げた小説で地霊殿の財政難を救ったのはまた別のお話……
黒の名無し8号改め、くろはちです。気が付けば2つ目のSSに手を付けてました。
今回はギャグ抜きで前から書いてみたかった「脱げない」系の内容にしてみました、内容は相変わらず薄めですが…
鍵もいいですが呪い装備もいいかもしれないですね、幻想郷には装備を外してくれる教会がないですけど(
くろはち
作品情報
作品集:
30
投稿日時:
2012/08/01 22:38:00
更新日時:
2012/08/02 07:38:00
分類
古明地さとり
古明地こいし
焦らし
お漏らし
※某新作ゲームとは全く関係ありません
新型の貞操帯かと思った……。
こいしは何時だって素直です。欲望にね。
案外すんなり外れたかと思ったら、そう来ましたか。そっちに注意を引かせるとは、ずいぶん高度な事をなさる。
さとりんはおろおろするのが似合うね