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『白さ白さ』 作者: A
「千歳飴よ!」
「いいやハッカ……!」
白玉楼の畳部屋で誰かが言い争いをしています。
「お二人とも何の話を?」
そこにお茶菓子を持って、庭師の妖夢が訪ねてきました。
「今、利き妖夢をやっていたところなの」
「利き妖夢、ですか」
「そう、妖夢は何味なんだろうなって話」
言い争いをしていた西行寺 幽々子とルナサ・プリズムリバーは妖夢を使って遊ぶのが大好きでした。
「でしたらどうぞ、片腕ぐらいなら」
それを見た妖夢は自慢の刀を左肩に添えて二人へあげようとしました。
変な奴らを相手にしすぎた妖夢は冗談と本気の区別がつかなくなってしまい、自分でも冗談か本気か分からない行動を取る子になったのです。
「わー! 待って待って! 実際に味わうことなく予想するのが風流なのよ」
「そうそう」
血も涙もない妖怪らしいことを言う二人ですが、実は血も涙もある妖夢のそれを見るのが怖くてたまらなかったのです。
「やっぱり妖夢は千歳飴だと思うのよ。ほら、千歳って女の子みたいな名前じゃない」
「名前のこじつけならこっちもある……ハッカは墓であり、転じて冥界の少女にぴったり」
どうやら二人は本気で妖夢の味を探求してるわけではないようです。
彼女らにとってはこれで充分趣深い遊びができてるのです。
二人を見てると妖夢は自分の味が気になってしまい、自分の腕をぺろりと舐めてみました。
すると妖夢は急に泣き出してしまいました。
「うっ、ひっく、うええええん」
「ど、どうしたの妖夢」
「妖夢……」
さすがに動揺が隠せません。どうしちゃったのでしょうか。
「私、私……しょっぱかったんです。これでは二人に何て言えばいいのか……」
きめ細かい白い肌には水気がなく、荒れた様子は一切無いそれは紛れもなく塩釜でした。
「馬鹿ね、妖夢。妖夢が塩釜だったら、本当に大事なものは中身、でしょう?」
「はい、仰るとおりです」
「それで、その……今日の夕食なんだけど」
「ええもちろん、魂魄 妖夢の塩釜です」
すると突然ルナサがヴァイオリンを妖夢めがけて振り下ろしました。
すんでの所で避けた妖夢はルナサに抗議します。
「いきなり何をするのですか!」
「妖夢が塩竃と分かった以上、かち割って中身を頂戴するのみ……」
「ダメです、これは幽々子様のご飯ですから絶対に渡すわけにはいきません」
「あ、ヴァイオリンをひぎらせて蒸すのもいいかも」
幽々子の悪食はとどまるところを知らず、二人はルナサのヴァイオリンに襲いかかりました。
「という夢を見たのよ」
その話を聞いた妖夢は幽々子を刀の柄でかち割ってみました。
幽々子は砂糖で固めたかき氷だったようです。
いちごシロップが妖夢は苦手だったので食べませんでしたとさ。
- 作品情報
- 作品集:
- 30
- 投稿日時:
- 2012/08/09 13:57:58
- 更新日時:
- 2012/08/09 22:57:58
- 分類
- 妖夢
- 幽々子