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『「産廃百物語B」藍さんに謝れ 』 作者: ギョウヘルインニ
「二人ともぉ、喧嘩してないで橙と遊んでよぉ」
懐かしき寺子屋の教室、輝夜と妹紅は些細なことで喧嘩していました。かつて、妹紅の父親が輝夜に酷い目に合わされたという些細なことです。
そんな二人のところに、橙が藍さんを呼び出すための。ちょっとした玩具を持って現れたのです。
いわゆる、あれです。こっくりさんの幻想郷バージョンです。
2人は橙に仲裁されてこの藍さんを仲直りのしるしとしてやることになりました。実際は喧嘩にも飽きていたので、ちょっとした刺激がほしかったのです。
さてそのままこっくりさんに使うような、鳥居の絵と平仮名が書かれた紙が机に置かれました。そして、それを囲うように椅子を置いて座り、指を橙が藍にお使いを頼まれた時に駄賃でもらった輸入銭に三人は指を置きました。
「藍しゃま、藍しゃま、降りましたら、鳥居のところからお入り下さい」
神妙な面持ちで橙は言いました。放課後誰もいない教室で無意味な沈黙が三人を襲います。
「……何も、起きないじゃない」
輝夜は、橙がやっぱり嘘をついているのだと思いました。それよりも、目の前にいる妹紅に唾を吐きつけたくなりまた。
妹紅は橙が嘘を言っているとは考えませんでしたが、それよりもさっきから抹香の臭いがするので換気したい気分です。
でも、なんだかわかりませんが途中で指を離したりしたら大変なことになるらしいで、怖くて離せません。
「そんなこと、無いよぉ。藍しゃまはあたしが呼んだら必ず来てくれるもん」
「まるで、私と永琳の関係みたいね。てゐの言うとおりだわ、なんだかあなたはキャラが被っている」
突然、輝夜がわけのわからないことを言ったときのことです。
「おい、輝夜、橙、それよりもなんだか指が動いて来てる」
三人の指が置かれた輸入銭が絵に書かれた鳥居に向かって動き出したのです。
「ほぉらあ! 輝夜ぁ! 藍しゃま来てくれたよぉ」
「うわ、気持ち悪い」
輝夜は橙がなんか自慢げに言っていることよりも、本当に動き出したので気持ち悪かったのです。妹紅がなんか裏で工作しているような気もしますが、そんな気配はかありません。
「まあ、なんか橙から質問してみれば?」
妹紅は半信半疑でしたが、それよりもさっきから背中の辺りが寒くてそっちのほうが気になっています。なので、早く終わらせて気になるところをチェックしたいなと思っています。
「ではぁ、あなたは藍しゃまですか?」
橙がそう言い終わると、指が鳥居の位置から、文字列に向かいます。そして、予想道理に”は”を経由して”い”で止まりました。
「やだ、私何もして無いのに指が動いた。気持ち悪い」
輝夜の物言いに妹紅は同感でしたが、妹紅に同調して事を起こす気はありません。とりあえず、その場を誤魔化すために口の中にたまっていた唾を飲み込みました。
「藍しゃまは、橙のことがぁ、好きですかぁ?」
一応効果があったらしく、橙は次の質問をしました。橙らしい気持ちの悪い質問でした。
それでも、律儀に、”だ”い”す”き”と動きました。
「うわ、本気なの? ヤダ気持ち悪い」
輝夜は、特に悪気はありませんが指の動きよりもこういうことを、聞くのも答えるのも気持ち悪かったのです。
「藍しゃま、今日の夕飯はなんですか?」
続けて質問です。今度もまた律儀に指が動き始めます。
”こ”う”き”ゆ”う”じ”ん”に”く”
これには、妹紅はドン引きでした。妖怪は人肉を食べることを知っていますし、それが普通なのが幻想郷です。
でも、ドン引きでした。輝夜もなんだか、顔から血の気が引いてるように見えます。
長年喧嘩してるせいか、輝夜の考えることが読み取れてしまいます。
最初は嫌な気分になりましたが、蓬莱人にも人間らしいところがあって親しみを感じました。
「やったよぉ! 今夜はご馳走だよぉ」
「ヤダぁ、もう止めたいわ」
輝夜は、完全に嫌になってしまいました。そして、輸入銭から指を離そうとしてしまいます。すかさずそこに、橙が止めにかかります。開いてる方の手で輝夜の腕を掴みました。妖怪と人間に近い体を持って居る蓬莱人です力では適いません。
「駄目だよぉ! 最後まで指を離しちゃ駄目だよぉ」
「はなして!」
藍さんはこっくりさんと同じルールなので途中で話したりしちゃ駄目なのです。橙は困った表情です。
「もう、嫌だこんなこと」
「あぁ! なんてことするのぉ!」
二人のやり取りを見ていた妹紅が橙が怖くて嫌になって指を離してしまいました。
「……二人ともぉ。どうしてくれるの? 放って置いたら、藍しゃまに呪い殺されちゃうよぉ」
妙な気迫と言いますか、真実味があるように橙は二人に言います。特に指を離した妹紅には指を指して言います。
「妹紅のせいよ、どうするの? 呪い殺される」
「蓬莱人の私たちが? 死ぬの?」
「藍しゃまの呪いは蓬莱人でもトロトロに溶かして殺しちゃうよぉ」
なんだか橙はまるで真実を言っているような雰囲気です。それが、恐ろしくて二人は気圧されてしまいます。特に妹紅は怖くてうずくまってしまいました。
「……ちょっと、橙。橙さん? 何か、藍さんの呪いから助かる方法は無いの? あったら教えてほしいわ」
何とか輝夜が橙に助かる方法はないかと聞きました。
「えぇ? 簡単なことだよぉ?」
橙は聞かれたとたんにいつもの雰囲気に戻りました。
「どうすればいいの?」
「簡単だよぉ。藍しゃまに直接謝りにいけばいいんだよぉ」
とっても、簡単なことでした。ふつうのこっくりさんは、途中で止めるととても不幸な目にあいます。しかし、そこは幻想郷です。
こっくりさんこと藍さんに直接謝ればいいのでしたよかったね。
「よかった、そんな簡単なことなのね」
輝夜はうずくまっている妹紅を蹴って立たせました。そして、三人はすぐ寺小屋を出て藍の元に謝りに行くことにしたのでした。
その途中で橙は思います。この二人を藍しゃまのところに連れて行けば二人をさばいてくれて今日の夕飯は高級人肉ゲットだとほくそ笑んでいたのです。
酔った勢いでまた書いてしまった。
ギョウヘルインニ
作品情報
作品集:
30
投稿日時:
2012/08/22 21:48:15
更新日時:
2012/08/23 06:49:01
分類
産廃百物語B
橙
妹紅
輝夜
程度の認識だろうね。
でも、橙の目論見は外れるのでした。
二人とも、『高級』とは程遠かったのでした。
この方法を使えば、いろんな連中を罠にハメられますね。
切れ者の橙って素敵です。
怖がってる輝夜と妹紅可愛いです。
ホラーなのにほのぼのしてきた…いけないいけない