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『拷問3』 作者: ぼく
この作品は、拷問2の続きになります。
三日目
昨日の出来事。
あれは、私達四人の仲に、確実に変化をもたらしていた。
薄暗い地下牢、こんな非日常の中で、私ことレミリア・スカーレットはなんとかまだ正気を保っている。考えても考えても、脱出法はおろか、こうなった原因も、これからどうすべきかも、何も思い浮かばない。それでも考えることをやめることすらできない。
咲夜は、フランの腹部を下唇を噛み締めて苦しそうな表情を押し殺しながら、盗み見る。自分のせいでフランに苦しいおもいをさせたと思っているのだ。あんなのはどう考えても咲夜の不義ではない。それどころか、やりすぎなくらい、尽くしたと思う。
フランは、自分が四度も刺されたのは咲夜のせいだと思い込んでしまっている。いたぶられ、刺されて、見当違いな相手に怒りを向けてしまうのも、幼い彼女にとっては仕方ないことなのかもしれない。
美鈴はそんな二人の張り詰めた空気の中、ただただ震えてそこにいる。がたがたと、これまで起こったことを思い出し、また、これから起こることを想像して。
せめて何か話せたら。お互いに何か話せたら、心も少しは休まるかもしれない。少しは、落ち着くかもしれない。
しかしこの張り詰めた中、誰一人声を出すひとはいない。
いつまでも静まり返った牢獄。いつまでも。
皆きっと、私と同じように、考えても考えても進まない恐怖と戦っているのだろう。
この無機質な牢獄で、負傷者が日に日に増えて、そして。結果、私達は全員、ここで一生を終えることになったり、するのではないだろうか……?
パチュリー・ノーレッジ。
私の、親友。
フランとも仲良くしてくれて、私の家の図書館で毎日本を読んでいる。
物静かで、時々毒舌も吐くけど、美しく優しく、とにかく彼女は素晴らしい人で。何でも知っていて、常に新しい刺激をくれる人。
そんな彼女のことが、大好きだった。
美鈴を。フランを。咲夜を。傷付けたあいつは、本当に私の親友、パチュリー・ノーレッジなのか。
これだけのことを目の当たりにしても、まだ心は信じることをしない。
周りを見回してみる。
私は手首の拘束具と胸の周りに鎖。美鈴も同じ状況。
咲夜は腕を後ろ手で結ばれ、足にも枷がついている。昨日の拷問が終わった後、小悪魔と名乗る少女がつけにきた。後ろに腕が回されているせいで、爪の様子は確認できない。化膿しないように、と処置していたのは確かで、怪我させておいて処置はしっかりと施す彼女らのことがますますわからなくなった。
フランは一番厳重で、足枷、手枷、首輪、胸の周りに鎖。全く動けないように、ぎちぎちにとめられている。俯いて項垂れているが、眠ってはいない。
周りに飛び散る血の痕の割りに、フランの怪我は酷くは無い。人間であったなら即死だろうが、私達はそれくらいで死なない。彼女も、わかっているのだ。一晩経つと粗方治ってしまう。今は不摂生のせいで、治りは遅いようだけれど、それでも大抵は。
昨日も、誰一人として一睡もしていない。もちろん、置かれているお弁当にも手はつけていない。あの日から、食事も睡眠も一切摂っていない。
私達の疲労は、もう限界まできていた。
かつん。
「ひっ」
真っ白い廊下に響く、無常な足音。かつんかつんと迫ってくるそれ。私を含む、全員の表情が強張る。
「おはよう。よく眠れたかしら」
静まり返る。誰も、彼女と目を合わせることはしない。わかっているから。この後この女は、私達の中からターゲットを決め、いたぶる。わかっている。大人しくしていないと、次のターゲットは自分だということ。
いいえ、
一日目は美鈴
二日目はフランと咲夜
今日、は。
私だ。私なのだろう。
「何か言って頂戴、寂しいわ。」
彼女がつまらなさそうに唇を尖らせる。震える声で、なんとか、虚勢を張ってみる
「やるならはやくしなさい。早く終わらせるのよ」
我ながら情けない声。
必死の思いで振り絞ったその言葉をきょとん、と受け止めた後。
「あら………ふふ。」
と、意味深に笑う。
ぐるりと牢の中を見渡して、彼女は置きっぱなしにしてある弁当箱を拾い上げる。
「やっぱり無理矢理食べさせないと駄目なのかしら。」
冷たい、機械みたいな声。こいつには血なんて流れてないんじゃないか、なんて考えてしまう。
「いいわ。ちょっと待ってて。」
そう言い残して出て行く。姿が見えなくなっただけなのに、ぶわっと涙が噴出してきた。
こわい、怖い怖い怖い怖い。こわい。
程なくして彼女が帰ってきた。その手には。
同じ大きさ、同じ彩り、内容の、よっつの弁当箱。
先程までここにあった二つは、処分されたようだ。
それをそれぞれ私達の前にひとつひとつ置いていく。
「さあ、食べて。食べ終わるのが一番遅かったひとと、今日は遊ぶことにするわ。」
「ちょっ、と!待ちなさいよ!」
途端にフランの声が響く。
「それって今日も私がやられる可能性があるってこと!?冗談じゃないわ!!!」
「煩いわねえ……」
「昨日酷いことされたのよ!?除外しなさいよ!!!じゃないtうぐっ…」
ガツッ、と鈍い音が響く。
「ぐだぐだ言ってないで早く食べなさい。食べれば良いんだから。」
「ひぐっ、うぅ……っ」
すすり泣く声。胃が受け付けないけれど、無理矢理押し込んでいく。全身縛られた私達は、必死に弁当箱に顔を突っ込んで、舌を伸ばし、吐き出そうとする身体をなんとか抑えて飲み下していく。はやく。急ぐ心とは裏腹に、全く減らない。それでもなんとか咀嚼して少しずつ少しずつ流し込む。
「一番早いのはフランね、そんなにもう私と遊びたくないのかしら」
「あっ、当たり前……!もうこれ以上好きにさせて…たまるもんですか…!」
「ふうん。でも差はそんなにないわよ。早くしないと抜かされちゃう。」
「嫌!!私はもう充分に苦しんだはず!!!嫌よ!!!!」
その時。がつがつと食らいつく妹の様子を見ていた美鈴が。
「う”、え、ええ。お”え”ええッ」
弁当の上に吐き出した。二日間食事を摂っていないにも関わらず、胃液と泡と、どろどろとした液体状のものがたっぷりと撒き散らされる。つんとした嘔吐物特有の臭いが鼻を突き、思わずつられてしまいそうになるのを堪える。
「あらあら。汚いわね、美鈴。」
「っ、ご、めんなさ…うぅっ…」
苦しい。くるしい。なんでこんなことに。
この弁当にも、永遠亭の薬がふんだんに入っていることだろう。
これでまた、何日も出られない。能力が、使えない。戦えない。抗えない。
苦しい、くるしいくるしいくるしいくるしいくるしいくるしい……
美鈴は嘔吐物塗れのそれを口に頬張り、また吐く。また頬張って、吐く、を繰り返していく。ぼとぼとと口端から溢れ出るそれが異臭を放ち、私達の食欲を更に削ぎ落とす。
結局、
フランが一番に食べ終え、次に咲夜が食べ終え… 私が、食べ終えた。
嘔吐物に塗れたそれを、美鈴は食べきることが出来なかった。パチェは少し不満げにそれを処分して、「自分の嘔吐物ぐらいたべきるぐらいでないと困るわ。次吐いたら絶対に最後まで食べさせるから。」と淡々と言ってのけた。
こうして、三日目のターゲットは。私でなく、美鈴に決まった。
「ごめん…なさいパチュリー様……やめてください…やめて…ください……ひっ…ぐ、ぅ……もう、やですっ、こわい……怖いよぉ……」
真っ青な顔で懇願する美鈴。怖い。私でさえこんなに怖い。美鈴はこの、何百倍もこわいんだろうな。
「やめるわけないじゃない。」
さらりと返すパチェ。
「今日はね、股裂きをするわ。」
私達は牢から出され、真っ白い廊下を歩く。この時に限り、足枷の類は外される。チャンスなのだろう。四人でかかれば女一人くらい。ただ薬の回ったこの身体では、只の人間以下の力しか出せない。魔法使いに挑むなど、できっこない。おぼつかない足取り。一日目のことを嫌でも思い出してしまう。
美鈴が浸けられた水牢を通り過ぎ、大きな部屋へ入る。
大掛かりな拷問具。
美鈴の拘束具が、全て外される。
小悪魔が現れ、私達の見張りにつく。
美鈴の身体は、磔にされていく。
大きな十字架を象る拷問具。
立ったままはりつけられ、首、腹、それぞれの足首が固定される。
「これね、ほら。脚を固定している金属が動くの。それぞれ左右に、真下から真上まで。円を描くようにね。これであなたには股裂きという拷問を受けてもらう。理解したわね。脚が開いていくの。真下から真上へ。一定のスピードでね!」
股裂き。
聞いたことは、ある。
徐々に脚が開いていくようなものだとも知っている。ただ、
「今までのに比べたら、ましだと思った?」
「そんなことは……」
「あなた、身体柔らかいしね。」
「………」
「とりあえず、やってみましょ」
スイッチを、押す。
ゴウン……と大きな音がして、真下にある両足が徐々に左右に分かれていく。不安げに拳をぎゅうっと握るのが見える。
10度
20度
30度
思っていたよりずっと、ゆっくり、ゆっくりと開いていくのだ。
すらりと長く、細く美しい脚が。
40度
60度
「ゆっくりのほうが、長く楽しめるでしょう?」
真っ白い部屋。大きな十字架。磔の少女。湧き出る汗。
80度
110度
「嫌っ……」
フランが小さく啼く。
自分があの場に立っていることを想像したのだろう。
130度
150度
痛みはなさそうだが、それ以上に恐怖。
この女が痛くなったらやめ、なんてするわけない。
どこまでいくつもりなのか。
ふつうの人間なら180度でも柔らかいほうだろう。
170度
180度。
「これでやっと垂直ね、美鈴。どうかしら」
「う…痛くなってきました……」
無理な体勢で縛られた上脚を広げられているのだから、至るところが痛くなってくるはずだ。唯一拘束されていない手で内股を擦る。かちかちと噛み合わないように歯を鳴らす。
私であればもう泣き叫んでいるかもしれない。女性らしい柔らかい身体。武道から作りこまれたしなやかで蹴りに優れた関節。私でなくて良かったと思ってしまう。
200度
210度
「あ、あああ、痛い、いた…もうやめてください!!いたい!いたいい!!」
髪を振り乱すも、首の拘束具が絞まるだけ。苦痛の表情。真っ赤になる顔は醜く歪んでいる。覗き込むようにして見るパチェ。気が触れているとしか思えない。
230度
「やああああああ!!!もう駄目!!!!脚が千切れちゃう!やめてえええええ!!!!」
がんがんと、拳で思いっきり脚を叩く美鈴。どうにかして気を紛らわそうとしてパニックになっている。片手で髪を掴みがしがしと掻き毟る。ぶちぶちと大量の長い髪糸が滑り落ちる。
「もう止めてください!パチュリー様ああ!!!!」
「とめなさい!!!頭おかしいわあんた!!!」
咲夜もフランも喚いている。一切応えることなく、恍惚の表情を浮かべるパチェ。こいつは、私達が騒ぐのさえ楽しんでいる……
250度
ぶちぶち、と脚の付け根が鳴る。内出血で内側が赤く染まる。ぶち、ぶち。ぶちり。
「あ”あああああ”あ”あ”ああがああああッ!助けて!!!だずげでええええええ!!!!!!嫌”ッいやあああ”あああああああ!!!!!!」
そして。
290度。
ぎちぎちっ、と骨の軋んだ音がしたと思えば、次いで鈍い音が響く。
ボクンッ。
「あ”ぐううっ!!!!??」
股関節の脱臼。
「あら。はずれちゃった。…んー。はずれちゃったら360までいけちゃうし……ここまでにしておきましょう。」
やれやれと肩を竦める彼女。意識を手放す美鈴。こいつは悪魔か。
スイッチを切り、拘束具を外す。崩れ落ちる美鈴が激痛で意識を取り戻す。
「滑稽ね」
そうして、今日の拷問が終わる。
小悪魔に連れられ牢に戻る。彼女は「外れた美鈴さんの脚を嵌め直します、」と言ってすぐにとりかかってくれる。
「ひぐううっ……」
ボクンッと目を逸らしたくなる音が響く。
全て終わり、小悪魔が去って。
なぜだか物凄く眠くなって私達は全員死んだように眠った。
三日目
終了
死亡者
なし
本日の負傷者
紅美鈴
ぼくですぼくぼく。
1,2は血とか多かったし、あんま入り込めないかと思って……
血出さないように書いてみました、やっぱ血ださないとぐろくなくなるなー、葛藤。
さて、次ぐらいで誰か殺すかな、そろそろ。
毎度読んでくれてありがとうです、コメント、凄く励みになってます!
ではまた
ぼく
- 作品情報
- 作品集:
- 31
- 投稿日時:
- 2013/02/22 15:31:49
- 更新日時:
- 2013/02/23 00:31:49
それが良い味をだしている。