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『「僕は下着泥棒じゃないけれど、この疑いを晴らすことが出来ないんだね。死刑は怖いから、パチュリー弁護士、君の力で罪を軽くしてくれないか?」』 作者: ギョウヘルインニ
パチュリーが村紗の運転するハイヤーで、留置所についたのは霖之助が拷問受けた後だった。
あの時少し、ファンデーションののりがよければお化粧が早く終わって間に合ったかもしれない。
パチュリーは、日頃お肌のケアを怠っていたことに気付いて少しの後悔をしていた。苦い思い出だった。
もしかしたら、お外にお出かけするためにお洒落してリボンを髪につけなければ間に合ったかもしれない。
後ろ髪につけるのに、小悪魔がいないから自分ひとりでつけたから左右対称に付けられず少しさびしかった。
コアは居ない。
そして、今日もここに来た。あの痴漢男にかけられた下着泥棒容疑を晴らすためだった。
「それで、下着盗んで何に使うの? そういうことして、楽しい? 楽しいからそういうことするのよね」
「待ってくれ、僕は下着泥棒じゃないよ。僕は女の子の本体が好きなんだ」
ぞぞぞぞと背筋が凍ってしまいそうな微笑と共に霖之助と共に自身の潔白を自信を持って言った。この間の拷問で隻眼になったところにもう一度刺し傷が付けられているが余裕ならしい。
それに耳が片方取れている。それが新しいお洒落のつもりならまったくセンスがない。
「君だって僕の性癖ぐらい知っているだろ? アリスに痴漢した時だって、布越しじゃ無く直接触ったのを知っているだろ」
それから、左右の人差し指を指先同士でくっつけて上目使いでそう言った。イラっとパチュリーは感じた。
「確かに証拠は無いし、アリバイがあるわね。霊夢のところに夜這いに行って用水路に落ちていて居たところを捕まったのね」
暗がりの水田地帯を酔っ払って歩いていたので用水路に霖之助は落ちてしまった。
これは、もう死んだかなって、以外に冷静に霖之助がまるで他人事のように考えてまどろみと共に生を終えようとしていると悪魔が囁いた。
名前は無いが、下着泥棒の人が助けてくれた。下着泥棒の濡れ衣をヒモのように依って放ってくれたのだった。
生存の本能とは凄いもので、無意識で霖之助はそれにすがりつき事なきを得たのだった。
でも、その後何故か警察さんに捕まっていた。どうして、こうなったかは、誰にも分からない。右腕の中にはくたびれた一片が在るだけなのに。
「そうだよ。だから、僕は無罪なんだ。助けてくれるだろ? お金だってあるよ」
霖之助は痴漢だけどお金は持っている。新式の芝刈り機を開発しその特許で財産を形成しているのだった。それと、酒の密造と少々の麻薬製造をたしなんでいる。
そのことを、彼は聞かれると何か物憂げな表情になって気持ち悪い。
「私がお金のことばかり考えていると思って居るようだけどそれだけじゃないわ」
「君も商売上手になったね。リトル君の情報でも欲しいのかい?」
挑発的な笑みを浮かべる、霖之助の湧いてくる怒りがおさえられそうも無いパチュリーは薄い唇を噛んだ。
「ええ、そうね。あなたがコアの情報を持っているのなら、今回は着手金を60万円のところ30万で負けるわ。それ以外に、裁判に勝っても負けても100万円を払ってもらうけど良い?」
「ふん、商売上手なつもりみたいだね。まあ、いいよ。今度も君に弁護を依頼するよ」
口の中で、ビタミンが不足した血の味を感じた。ニタニタ笑う彼の顔に泥を塗ってやりたい。生憎ここは、屋内だから土は無い。
それでも、パチュリーは大事な小悪魔のためにこの屈辱を受け入れるしかなかった。
「……今回は、霊夢のところに夜這いに行っていたことを裁判で証言するのよ。夜這いしていたのだから、その時間に下着泥棒するのは無理よ」
「……僕はあの時霊夢に振られて、5分くらいしか神社に居なかったんだ」
夜這いに行く前日に霖之助は勇気を出して恋文をしたためた。原稿用紙にして20ページに及ぶ文章を封筒にいれて霊夢の下駄箱にそっと入れた。ついでに下駄箱の匂いもかいだ。変態だ。
そして、その結果を聞きに言って玉砕したのだった。
傷心の霖之助は安酒かっくらって水田地帯に迷い込んだ。
「じゃあ、もういいわ。あなたが犯人だったということにして、あなたは反省しているから命だけは許して貰おうと思うわ」
「僕は下着泥棒じゃないよ。僕は確かに変態だけれども下着泥棒じゃない。それに僕は下着を穿かないんだ」
「……ええ。確かにそうかもしれないかも知れないわ」
「だったら」
「あなたが下着泥棒じゃないってことは私が知っている。それで良いじゃない」
霖之助はなんか勘違いした。眼がらんらんと輝いた。世界中が霖之助のことを下着泥棒だと思っても、目の前に居るパチュリーだけは事実を知っている。
なんか、脇の下が丸見えの服を作っているときみたいな感覚、これなら大丈夫、大丈夫だ。
これだけで、変態は生きていける。
「……僕は、下着泥棒をしたけど反省している」
「裁判のときはそこは、反省していますって言うのよ」
「分かったよ。そうするよ」
「ちなみに、利き腕はどっち?」
刑罰の落としどころ、落とすところはまあその辺りだろう。
「ん? 何を言っているんだい?」
「それもそうね。両方だから関係ないわね」
罪は腹に溜まる黒いものが溜まる消えない。
こうしてまた、偽裁判が始まったのだった。
冤罪を有罪にして、有罪でも反省しているから罪の重さをほんの少し軽くしてもらう前代未聞の偽裁判が始まったのだった。
「それで、パチュリーさん。これは、何ですか?」
映姫は不思議な変態を見る眼で、霖之助を見ている。真紅の赤でさえ斑を見つけてしまいそうな眼だ。
「下着泥棒よ」
「じゃあ、死刑ですね。下着を盗むなんて死をもって償うしかないと思いますが?」
「彼は反省している下着泥棒よ」
映姫の法に照らし合わせれば、死刑だ。下着泥棒だから、水攻めと決まっている。
しかし、情状酌量もありうる。反省しているしその他の要素が重なれば在るいわ減刑も在るかもしれない。
「いいえ、下着泥棒は気味が悪いからみんな死んだほうがいいと思います。森羅万象死刑です」
変態は総じて気味が悪いから根絶やしなくてはならない。この地上から穢れた変態を刈り取らなければならない。
「待って、彼は本当に反省しているの。彼は、レミィの下着を盗んだ。けど、それ悔いている。ここは、情状酌量しても良いんじゃない?」
さて問題です。今の発言に何か問題はあったでしょうか?
何も問題はありませんよね。
盗まれた下着がレミリアのだって、多分下着に名前書いてあったのでしょう。
警察さんの電話番号は、みんな知っていますよ。
「反省しているようには見えませんよ。やっぱり、死んで償うのが礼儀だと思います。死して恥を雪ぐのが最善であると思いますよ」
「待って、変態は死なずただ去るもののはずよ」
「それは、本題とは関係ありません。話をそらさないで下さい」
今宵は月が綺麗でございます。こんな日に裁判をしなくてならない、映姫はご機嫌斜めのプンスカなんです。
何がなんでも、霖之助を死刑にしてお月見を爽快な気持ちで楽しみたいのです。
この話とはまったく関係有りませんが、湯上りの火照った身体を冷ますため映姫は裁判所のバルコニーで夜風にあたるときが有ります。
「私は話をそらしてないわ」
「……そらしていないなら。誠意を見せて欲しいです。それが反省していて、、、、あ〜私が納得する材料が欲しいです」
偽裁判が始まって3分で映姫の我慢は底をついて、金銭かもしくは、物品を要求している。
そもそも、今回は訴えてる相手もいないのだから映姫が納得すれば良い。今まで見たいに、趣味にかこつけて邪魔な原告を映姫はくちなしにしてきたが今回は必要ない。
パチュリーは映姫が座っている椅子の後ろに歩いてくると、周りに見えないように未来に投稿されるであろう産廃創想話の原本を渡した。
「これは、未来の産廃創想話」
「そうよ、未来の産廃創想話はあなたに託されたわ。これをどうしようが貴女の勝手よ。ただ、この話での霖之助は許してあげて、情状酌量してあげてね」
「パチュリーさん。貴女の気持ちは分かりました」
「じゃあ、霖之助の罪を」
「パチュリーさんの気持ちはありがたいです。ですが、これは受け取れません」
まさかの展開に、パチュリーは焦燥を感じる。これは不味い。
「何で? 貴女の大好きな産廃創想話よ。それも、まだ誰も読んだことの無いの話なのに」
「これを読んだら、きっと楽しいでしょう。新型のリョナにグロにスカにカオス等々、それは、きっと楽しいでしょう」
「そうよ。それに、映姫が未来の話を盗作して産廃創想話で発表することだって出来るのに。貴女が望めば、産廃作家の地位と名誉が思いのままなのに」
「でも、駄目なんです。それでは、未来の私に楽しみはありません。それでは、どんなに地位や名誉があっても私は未来で楽しく生きていくことなんて出来ないでしょう。だから、これは受け取ることは出来ません。……霖之助は死刑です」
こうして、映姫はなんとなく良いこと言って偽裁判は幕を閉じたのだった。
パチュリーは初めて負けた。でも、それでもよかった。
平時は30分5000円で相談を受けているが、そこに毎日、半分幽霊の娘が来てノイローゼになりそう。
もう弁護士なんて、こりごりだ。まるで、レモン味のシャーベットが薄れて不味気分に似ている。
そうだ。最近していなかった魔法の研究でもしよう。
パチュリーはこの月が綺麗な夜にそう思ったときだった。
背後で、ドイツの高級車が止まる音がする。どこか、聞いた覚えのある音だ。パチュリーは知っている。
そうだ。あれは懐かしい小悪魔が運転するタクシーの音だ。そして、車のドアが閉まる音がしてやはり懐かしい足音、小悪魔に違いないそうに違いない。そうじゃなくちゃいけない気がする。
パチュリーは嬉しくて、小悪魔を迎えるために振り返った。予想どおり車を運転してきたのは、小悪魔に違いなかった。ところが、そのとき腹部に一瞬激痛が走った。スタンガンといわれる外の兵器にパチュリーは身体を犯されてしまった。
薄れ行く意識の中、笑顔がなんだか印象的だった。
そして、気がつくとパチュリーは教授になっていたのだった。
作品情報
作品集:
31
投稿日時:
2013/10/29 14:24:07
更新日時:
2013/10/29 23:30:37
分類
パチュリー
小悪魔
映姫
森近霖之助
人、それをカオスという。
これで弁護士パチュリーシリーズは終わりで、新生姜、もとい、新章がスタートするのですか?
これから、半人半霊の庭師はどこに愚痴を垂れに行くのだろうか……。
いや、自身が産廃のキャラならつまり過去や未来の因果律にも干渉できるという可能性ががが。
半分幽霊の娘…あいつか