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『怒りのサニーちゃん』 作者: はと71
宴会の音を気にしながらも夕食の後片付けをしていたサニーミルクはようやく一段落つき、神社にやってきた。
すでに日は落ちており、あたりは薄暗い。
宴会はすでに解散したようで、境内は散らかったままだ。
結界はあるが、いつものように鍵のかかっていない不用心な神社に上がり込み、霊夢の姿を探していた。
もう神社は慣れたものである。
なにか物音がした部屋の障子を開けると、そこに霊夢がいた。
「霊夢さ…」
居たのだが。
「な…」
服がひどく乱れた姿、被さるように霊夢を押さえつけながらこちらを向く何者か。
その巨体は動かさずに顔だけを突然現れたサニーミルクに向ける。
「なにしてんのよ!」
その頭には立派な角が生えていた。
「鬼っ!? 霊夢さんに、何してるの。離れてっ!」
叫んでもその巨体は反応しない。
しばらくしてようやく。
「妖精か…。 後にしろ」
めんどくさそうにそう告げた。
霊夢は浅く呼吸をしている様子は見えるが、ケガをしているのか血が流れ尋常な様子には見えない。
「霊夢さんから離れろ!」
鬼は面倒くさそうに再び視線をサニーミルクに向けた。
その瞬間、目映い光が神社の中に放たれた。
反射した光を屈折させ、目に入る光量を制限する。
サニーミルクの視界がモノクロになった。
突然の光に腕で目を保護する鬼からはその姿は見えていない。
鬼に駆け寄る。
力を足に込めに駆けだすと同時に羽を大きく羽ばたかせる、全力で接近し右腕に力を込め鬼の顔めがけ打ち込む。
「いっ?」
まぶしい世界の中でまぶしい光を引きはがすように鬼の腕が素早く動き、その腕でサニーミルクの拳と右手がスローモーションで潰されていく。
そして次の瞬間サニーミルクは吹き飛ばされ、障子を突き破ると庭先を転がり植えられていた低木につっこんだ。
数本の木々をなぎ倒し、やや太い木に激突するとサニーミルクは動かなくなった。
反応が無くなった事を確認した鬼は、ため息をつくと
「…邪魔が入ったな。博麗の巫女よ。」
そうつぶやくと、視点の定まらない霊夢を見つめた。
─
──
────
気がつくとそこにいた。
見慣れた神社の中。
宴会の準備に使ったのか、きれいに洗われた食器と包丁が置かれていた。
「(なんでここにいるんだろ)」
ぼーっとしたままのサニーミルクはその包丁を手に取り、しっかりと握りしめた。
「(霊夢さんを助けないと)」
「博麗の巫女だと聞いて期待したが、所詮ただの人間か…こう反応がなくてはつまらん」
ぐったりとした霊夢は微かに反応するが、最初に食らった毒か、あるいは未知の技か、それによってほとんど動く事はできなかった。
気配を感じ振り返るとそこには先ほども見た妖精が居た。いや、向かってきていた。
なにかが妖精の手元で月の光を反射して光った。
なぜ気配に気がつかなかったのか、と自問する間はなかった。
とっさに両腕でその妖精を止める。
「ぶっころしでやるッ!」
その妖精が放ったとは一瞬気がつくことが出来なかった。
包丁が鬼の手と腕を激しく傷つける。
さっと後ろへ下がり、ゼーゼーと荒い呼吸を整えるサニーミルク。
「…妖精。鬼に傷を付けるとは、なかなか見込みがあるな」
立ち上がりサニーミルクの方へと一歩踏み込む。
鬼は怒るというよりは楽しそうににやりと笑った。
手に持っていた包丁が吹き飛ぶ。突然の事に驚くサニーミルク。
そのまま動けずに、にらみ合う。
「!」
声にならない声をあげ、無茶苦茶に殴りつける。
しばらくの間その様子を見ていたが、ダメージを受けている様子の無い鬼は、サニーミルクに一撃を打ち込む。
軽い体が今度は上方に吹き飛ぶ。軒先の屋根を破壊し、少し先の地面に激突した。
衝撃で血があちこちに飛び散る。
「この傷の礼だ。お前も可愛がってやるぞ」
明らかに手加減をしていたが、地面に激突した衝撃にサニーミルクは全く動かなかった。
「妖精は脆いな。…力加減が難しい」
サニーミルクに手を伸ばす。
「!?」
手が触れた瞬間、それは起こった。
サニーミルクが微かに顔を上げ鬼を見る。
すぐ近くに糸が切れたように倒れ込んだ鬼はサニーミルクの顔を唖然として見つめる。
「 シネ クズ が っ 」
と同時にサニーミルクの体がボロボロと崩れはじめる。
サニーミルクの手のひらから眩く光を放つ一枚の紙切れ、お札の姿が見えた。
お札が燃え上がり崩れたサニーミルクを包むと同時に、鬼が触れた指先がボロボロと崩れ落ちる。
直後、見えない何かに包まれるかのように透明の球体が発生し、その中が白く輝く。
その光に驚いたのか、木の枝にとまっていた鳥たちが一斉に飛び立った。
輝きは10秒ほどで失われ境内に静寂が戻った。
───
サニーミルクは漂っていた。
とても薄い意識の中で、戻ってきたいつもの面々に霊夢が助け出される様子が見えた。
心から安心し、意識を消した。
翌々日、サニーミルクは太陽の光を感じ爽快な目覚めを迎えた。
起き出すとスターが朝食を作っている。
「…スター、おはよう」
「あら、やっと起きたのね、お寝坊さん」
「えへへ、ちょっと疲れたから」
「まあ、いいわ。お味噌汁できたわよ」
「ありがとう。…霊夢さんのケガ大丈夫だったかな?」
「新聞には今日には治療が終わるって書いてあったわよ」
「そうなんだ」
サニーは何事も無かったかのように朝食を食べ始める。
ちょうど夜更かししていたのか眠そうに目をこすりながらルナチャイルドが起きてきた。
「あら、サニー。おはよう。」
「ルナ、おはよう」
いつものように平和な時間が流れる。
サニーミルクはいつものように味噌汁を飲み干した。
微妙なものが出来てしまった。3/21はサニーミルクの日、ということで(?)初投稿です。
霊夢の事が大好きなサニーミルク、あるいはサニーちゃんを書きたかったのですが…。
妖精は死んでも復活しますので、格上の相手でも何度でも何処まででも、自爆攻撃すらできちゃうので、本気で怒らせると怖いのかもしれませんね。
弱い故、色々と武器とかため込んでそうだし…。
はと71
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2014/03/21 10:15:33
- 更新日時:
- 2014/03/21 19:15:33
- 分類
- サニーミルク
- オリキャラ少し(名無し)
だが、決死の思いは本物。
呪符は霊夢から予め効果と使用法を聞いていたのかな?
私はよくここやTwitterのSSで霊夢と三月精の親しい絡みを書いていますので、このサニーは好ましい♪
3,2,1の後はレイ。ムが訪れる……。
そしてサニーが生えてきてすぐに行動に移れる辺り、よほど強く霊夢の事を想っていたんでしょうね。
タグに霊夢付け忘れた事に気がつく…。すいません。
本来は地底から鬼がやってくるあたりとか、危ないお札を入手するとか、その後の話とか色々あったはずなんですが、少し書いてどう読んでもそのあたり理解できない内容になったため消しました。orz
良い文章書ける人すごい!
あのお札は、触れたものを一定範囲で消滅させる、博麗神社のどこぞに封印されていたもの的な謎設定でした。
妖精は、復活有りの特攻隊のようなやばさがあるよなぁ、と思ったもののそういうSSや絵はあまり見ませんでしたので、書いてみた次第です。思い次第で復活速度速くなりそうですよね。
10回目のようやくやったか! とか言ってたら雄叫びを上げてやってくる妖精怖い。
まぁそこまで恨まれる事をしちゃ自業自得ですが。