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『人型兵器、配備されませんかね?』 作者: パワフル裸ロボ
ある日、魔理沙のもとににとりから「面白いものが手に入った」という連絡が入り、早速にとり宅へ向かう。
「にとりーきたぞー」
「やあ魔理沙。よく来たね」
「こんにちは、魔理沙さん」
「なんで早苗がいるんだよ」
「私が呼んだのさ。早苗さんも興味がありそうなものだからね」
「一体何なんでしょう、私、気になります!」
というわけで三人はにとり所有の屋外実験場へと向かった。
「こ、こいつは……」
そこに待ち受けていたのは、巨大な人だった。人、といっても生物ではない。人の形を象った兵器だった。
「たまたま出向いた無縁塚にあったんだ。ボロボロだったけど、何体もあって、こいつの燃料やら部品やらもひとしきり揃ってたから直してみたんだ。たぶんほぼ元の姿に戻せたと思うよ」
「無縁塚にあったって? じゃあ外のもんなのか。早苗、なにかわかるか?」
「ええと、人型ロボットといってもメジャーなものからマイナーなものまでありますから……ごめんなさいわからないです」
早苗はロボットアニメやゲーム好きだが、わからないものもある。
「型式はスピリット・オブ・サムライって書いてあるよ」
「サムライ、か。見えねぇな」
「サムライっていうより、足軽ですかね?」
「鎧も兜もないんじゃねぇ」
各人各々の感想を漏らす。
「なあ、これ動かせるのか?」
魔理沙が手を挙げて尋ねる。
「動かせるようにはしてあるよ。乗る?」
というわけで、魔理沙が乗った。
「本来は生体に埋め込んだ情報装置で精神をリンクして操縦するみたいだけど、そんなやばい橋は渡れないから普通に操縦桿とペダルでできるようにしといたよ」
「流石だな。よし」
魔理沙は早速ペダルを踏み込む。足が大きく前に踏み出され、ズシン、と大地を揺らす。
「無理だこれー!」
数歩歩いたところで操縦席で魔理沙が悲鳴をあげた。
「どったの魔理沙?」
「し、振動がめちゃくちゃやばい!」
一歩踏み出した衝撃で、操縦席が大きく縦に跳ねた。シートベルトは締めていたので魔理沙が跳ねることはなかったが、衝撃は伝わってきた。
「歩くなんて、とてもじゃないが無理だぜこんなの。走るに至っては論外、死ぬ」
「もう、魔理沙さんは大げさですね」
早苗が魔理沙の言葉に苦笑いする。
「じゃあ早苗やってみろよ」
というわけで早苗が挑戦することに。
「早苗、いきまーす!」
早苗は勇んでペダルを大きく踏み込んだ。機体はその勇に応えるように足を振り上げ、走り始めた。だが十数歩ほどで、機体の進行は停止した。
「な、無理だろ?」
魔理沙が無線で呼びかけるが、返事がない。はてなと思った二人が機体を上りハッチを開いて中を確認する。
「ありゃりゃ」
なんと、早苗は首があらぬ方向に曲がり死んでしまっていた。走りの衝撃は凄まじく操縦席を揺さぶり、固定されていなかった首が耐え切れずにペキリと逝った模様。まさに、早苗、逝きまーす。
「乗るときは首も固定しなきゃならないのか? 早苗に無理やり見せられたロボットアニメだったら、誰ひとり首なんか固定してなかったが」
「いや、固定しててもこれだけの衝撃なら、脳震盪起こしたり、最悪内臓破裂もするかも」
二人はとりあえず早苗を操縦席から引きずり下ろした。
「ロボットってのは、乗るの難しいんだな。どうりでアニメとかだけでしか見ないわけだ」
「それだけじゃないよ。人型にすれば全重量が二本足にかかるわけだから、並みの金属なら立つことも難しいし、それに見合うだけの金属があったとしても消耗が激しくて、数日に一回は部品交換が必要になるだろうね」
これ見て、とにとりはふとももに当たる部分の装甲を開いた。
「この機体、人工筋肉っていうもので構成されてるんだけどさ」
「……切れてるな」
中身の人工筋肉の部分は、素人の魔理沙から見てもわかるくらい損傷していた。
「ちょっと走っただけでこの有様。あの調子で動かし続けてたら、数時間でお陀仏さ」
やれやれとにとりは頭をふる。
「あと姿勢制御の演算もすごい面倒。とんでもない計算量をほんの一瞬でやらなきゃならないから並みのCPUじゃ歩行もままならない。こいつは筋肉で足を動かしてるから、まだ動作と姿勢計算がマシなほうなんだ」
「なるほど、わからん」
「あと兵器として考えたら、二足歩行で立って歩いてるもんだから、的がでかくなるし、足への負担考えれば装甲も極力薄くしなきゃならない。厚くしたってたかが知れるし、消耗率高くてまともに運用もできない。武器は、人間みたいに持ち替えでいろんな種類を扱える利点はあるけれど、手を破壊されれば一切使えなくなるし、じゃあ腕そのものを武器にすればいい、ってんならそもそも戦車で事足りる」
「確かにな。それに乗ってみた側から言えば、歩くだけであんなガッタンガッタンなってたら確実に酔う。いざ戦うって時に乗り物酔いじゃあまともにやりあえる気がしない」
「結論からいうと、やっぱり人型の乗り物って不便極まりないんだよね」
「所詮はロマン、か……」
魔理沙は、志半ばに散っていった早苗を慮り、そっと目を閉じた。
無意味に死ぬ早苗。人型の機体は、幻想入りしてそうなマイナー路線行きました。
現実的に考えると、人型の利点ってロマンだけな気がして泣ける。人間サイズならまだ希望はあるけど、そこにロマンは感じられない。やっぱ人が乗って動かせなきゃね。
このあと早苗は銀色装甲のロボットとして蘇って、デトロイトの犯罪者達と激闘を繰り広げます。
パワフル裸ロボ
作品情報
作品集:
32
投稿日時:
2014/03/21 13:15:42
更新日時:
2014/03/21 22:15:42
分類
魔理沙
早苗
にとり
作者なりの人型兵器に対する考え
最も、最近はロボットのセカイもリアルに侵食されてますけどね。
視界の利かない場所で歩兵を随伴させないと敵兵に肉迫されて対戦車兵器で股関節を破壊されたり、『素手』で殴ると精密機械であるそれがぶっ壊れて始末書を書かされたりとか……。
あと、早苗さんの装甲は強く見えるように黒く塗装しましょう♪
人間の生活圏で活動する分には人間と同じ造りの方が活動させやすいですよ。
介護用或いは諜報用ですね。
↓
外界では人型兵器不要論が根絶されている
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人型兵器が通常兵器にとってかわっている
↓
やっぱり人型兵器が最強やったんや!
証 明 終 了
現実世界ではどうか?知らん
実在するのですか?
リアルだなぁ……