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『妖精の独り言』 作者: 幻想弐士
私はポケットに手を突っ込み、くしゃくしゃになった箱を取り出した
支給された軍用煙草の一本を取り出し、咥えた
本当は薬のほうが欲しいのだけれど、そんな贅沢なものは言ってられないわね
使い古したジッポーの火で煙草に火を点ける
吸いこんだ肺に煙が満たされ、一息に吹く
吐き出された紫煙が青い空へと消えて行く
空はいいね
どこまでも広がる青い空を見ているだけで和む
平和な空……この汚れた地上とは大違いだ
視線を大好きな空から落とすと、そこには地獄があった
死体・死体・死体……辺り一面死体の海だ
昔は緑豊かな森が、今ではその面影はない
たくさんあった木は切り倒され、きれいな花が生茂っていた地面は大小の窪みと塹壕の穴だらけだ
軍服を着た敵味方の兵士たちがいっぱい倒れている
砲弾でふっとんだ誰のものかは分からない体の一部も転がっている
この光景を、私はただただ無感情に見つめていた
最初はゲーゲー吐きまくっていたけど、すぐに何も感じなくなった
この妖精戦争が始まったのは二度目である
第一次の戦争は一人の氷精の下らない理由で始まって、あっという間に終わった
私もちょっとした野次馬みたいに参加していたけど、結果はボコボコ
まあ、今の戦争に比べるとお遊びみたいなものだけどね
氷精……チルノちゃんは今も生きているのだろうか
突然始まった戦争
今度の戦争は遊びではなく、本当の殺しの戦争
何で始まったかは、そんなもの、とうに忘れてしまったわ
長く生死が隣り合わせの生活をしていたら、そんなのは記憶からなくなったもの
なぜ消えずにそのまま体が残るのか、なぜこんなことになってしまったかは、私には分からない
今大切なことは、どう上手く敵を殺し生き伸びることなのか……だ
いつまでもこうしていたいけど、そうは言ってられない
やるべきことはいくらでもあるのだから
重い体を喝を入れて動かし、愛用のLEライフルを持ち、立ちあがる
頭が寂しいので誰かはしらないが、転がっていた仲間のヘルメットを貰う
お鍋のようなヘルメットをかぶり、まずは辺り一面に転がっている死体漁り
中にはまだ息のある兵士もいたけど、ここには私一人しかいない
なのでひと思いに介錯するしかないのです
ライフルに銃剣を取り付け、心臓目がけてズブリ
あとはまた死体漁り再開です
運良く今日は、食糧と時計が手に入った
その他手に入った戦利品はリュックに詰めると、地図を確認しながら次の戦場に向かう為、私は歩く
今日もまたたくさん殺しました
もう私は壊れてしまったのかもしれない
あんなに嫌だった殺しが、今では習慣のように行っている
ナイフで突き刺し、掻き切り、血を浴びる
ライフルを構え、引き金を引くごとに相手の命が消える
手榴弾でふっ飛ばし、迫撃砲で木端微塵にし、装甲車で轢き殺してミンチにしたり……
ああ……次もまた、生き残れるのかな?
この戦争はまだまだ続きそうだ……
私は大妖精
今はただの兵士よ
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2014/08/03 14:43:41
- 更新日時:
- 2014/08/03 23:43:41
- 分類
- 大妖精
スナイパー大ちゃん、健在か!!
戦争はいけませんよ……。
こういう文章が書きたいなぁ、と思いました