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『バレンタインデー』 作者: 弥生

バレンタインデー

作品集: 32 投稿日時: 2015/02/13 15:34:13 更新日時: 2015/02/15 01:48:34
2/14 0:00

今日はバレンタインデーだ。
幻想卿とかも浮かれ気分でどうかしてるんじゃないか。

そう思うパルスィ。
だが、そのパルスィにも渡したい相手、勇儀がいる。

今年は渡せるだろうか。
 


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0:30

とりあえず材料を確かめた。

・・・大丈夫だ。

勇儀はお酒が好きだから
チョコの中にお酒を入れるために
買ってきた鬼殺し。

でもこれ焼酎らしい。
勇儀は焼酎も飲めるのだろうか。

よく冷やしておこう。




…………………………………………………………………………………………………

同時刻

冬。夜の花ははっきり見えれば綺麗だ。
 
花などが咲いている庭がある家。
そこに住む強者がいた。

強者は彼女の為にマフラーを編んでいた。
もうすぐ3月だから
もうそろそろいらないと思うが。

しかし強者の脳内では
彼女と二人で同じマフラーを巻いている。
そんな感じだった。

マフラーは強者のトレードマークとなる向日葵が
描かれている。

「アリス、喜んでくれるかしら?」

楽しそうに一人言を呟く強者、幽香は
その後も編み続けた。




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1:40

気が付くと時間がだいぶ掛かっていた。
マフラーを編んでる最中に眠くなってきたと
思ったら……。
寝よう。

マフラーが6mを越えた事に幽香は
気が付かなかった。




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8:40

「いかん!寝過ごした!」

大妖精は跳ね起きた。


土曜日でも授業はある。
この時間はどう足掻いても遅刻だ。

今日は休もうかな…
だけどチルノちゃんに会う機会を
逃す訳にはいかない。

大妖精な家を出た。
薬の入ったチョコを持って。


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同時刻

早速作るか…。

馴れた手つきでやっていく。
チョコの中に酒を入れる技術も
既に身に付けていた。





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9:20

「はぁっ…はぁっ…間に合っ
「間に合って無いぞ」


「大ちゃんが遅刻なんて珍しいね。」
「夜更かししちゃって…」

夜中までチョコの形にこだわり、
中に薬を入れるのは楽な仕事ではなかった。




……………………………………………………………………………………………………
10:10

時間を掛けすぎた。
まさか頭痛が起こるとは。

しばらく休んでいたが、未だにズキズキする。

何だか熱くなってきた。

早く渡して休もうか。

…探すか。




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11:00

勇儀は呑んでいた。



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同時刻

パルスィは勇儀を探しているが、
熱があるようで移動速度が低下している。

今日中に勇儀を見つけられれば良いんだけど……。



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同時刻

今食べさせたら大変な事になるよね…。

いつチルノにチルノを渡そうか考えている。
チルノの事だから、渡せばすぐに食べるだろう。

それではまずい。

何とか二人きりの時に渡すんだ。





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11:40

去年自分だけの特別なチョコを貰った小傘は
早苗に贈る為のJKが好きそうなチョコを作っていた。

ただ、小傘は時代遅れな為、
結局ハートの形にしてしまった。無念。




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12:00

土曜日の授業が終わった。

「チルノちゃん」
「あ、チョコ?」
「うん」
 
薬には媚薬とか睡眠薬とか入ってる。

「わー、後で食べるね。」
「どうして?今食べてよ、ほら。」

ぐいっ、と差し出す大妖精。

「二人きりの時ででしょ?」
「チョコちゃん…!」

…ん?睡眠薬いらなくね?



 
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同時刻

勇儀は温泉へ向かう。
パルスィから遠ざかっていく。

それをパルスィは知らない。

ズキズキと痛む頭。





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13:00

「んぁ…?あら?」

幽香は目を覚ました。夜中遅くまで寝てたから
疲れていたのだ。



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15:00

おやつの時間だ。
チルノちゃんとチョコを食べた。
眠くなってきた。




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15:35

「アリス」

6m以上もあるマフラーを抱えて
アリスの元へ訪れた。

「これ」
「あぁ、私も…はい、チョコ。」
「あっ…私もチョコにしておけば良かったかしら。」
「良いのよ。嬉しいわ。」

綺麗な箱に綺麗なリボンを掛けられている。
きっと美味しいのだろう。

「ねぇアリス。散歩に行かない?」
「良いわね。行きましょうか。」
 
同じマフラーを身に着けて外へ出た。




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16:50

「何処なの…勇儀……」

パルスィはそろそろ限界だった。
顔が真っ赤になっている。
熱があるのだろう。

でも、渡してもこんな感じになってしまうだろう。

頭痛が激しくなっていく…。
早くしないと……!!




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同時刻

「私、幸せだわ。」
「どうしたのアリス。気色悪いわ。」

二人は歩いていた。

葉のついていない木の枝には雪が積もっている。

「たまには首輪無しってのもアリね…」
「アリスだけに?」
「どういうこと?……あ」

彼女達が見た者はフラつきながら
危ない歩きをしているパルスィだ。

二人はパルスィだとは認識していない。

「あの人大丈夫からしね。」
「・・・貴女の人形で見守ってあげたら?」
「そうね。心配だけど、貴女との時間も大切だもの。」

見知らぬ者を助ける二人は
現代の若者には無いものをもっている
そんな気がする。





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18:10

吐き気を感じたパルスィはその場で座り込んだ。
頭痛があまりにも酷く
アリスの人形に気が付かなかった。



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同時刻

勇儀は家に向かっていた。



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同時刻

もうすぐ真っ暗になる。
早苗を驚かしてやろう。
2度驚かしてやろう。




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18:45

おええぇえぇええぇえぇっっ

遂に吐いてしまった。
あぁ、意識が朦朧とする………。
もうすぐで勇儀の家なのに…………。






……………………………………………………………………………………………………19:10

「おいっ!パルスィ!?」

パルスィが低姿勢で家に向かっていると思ったら
家の前で突然倒れて驚いた。

・・・意識はある様だ。

「どうしたんだ!?凄い熱だぞ!!」
「ぅ…あ……ゅう………ぎぃ………」
「待ってろよ!」

パルスィを抱き抱えて家へあげる。

本当に凄い熱だ。
こんなの…どうすれば良いんだ…?

「ぅおーい?どうしたんだよぉー?」

丁度良いところに萃香が駆け付けてくれた。

「ちょっと急いで博麗の巫女ん所に行ってきてくれ。」
「わかった!」

博麗の巫女に頼めば何とかなるはずだ。

「パルスィ、頑張ってくれよ…!」




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同時刻

「いないいない……bッ……居ない?」

間違えて『いないいないばぁ』と言いそうになった小傘。
だが早苗は居なかった。
そう、いないのは早苗なのだった。




……………………………………………………………………………………………………
同時刻

「大体配り終えましたかね。」

早苗はチョコを配っていた。

「小傘さんにも渡さなくては。」




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19:20

「あら?」

アリスの元に人形が戻ってきた。

「さっきの人、大変な事になってるらしいわ。」
「…まぁ、あんな様子だったから。」
「ちょっと霊夢のとこに行ってくるわ。」

勇儀とアリスは紫になんとかしてもらうために
霊夢を呼ぶつもりだ。
何故紫なのか。
お婆ちゃんの知恵ぶk




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21:00

「パルスィ!パルスィ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「病人は?」
「こいつです」

二人が霊夢のところへ行く
    ↓
霊夢が紫を呼んでくれる
    ↓
紫が永琳を呼んでくれる
    ↓
勇儀の家へ到着(隙間)


「病人扱いなんて酷いじゃない。
 それに、こんな大人数どうしたのよ?
 あれ?ここどこ?」
「覚えてないのか?」
「あぁ、何だか頭が痛い…。そのせいかも。」


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21:10

「その薬はその場凌ぎにしかならないけど。」
「無いよりはマシか。」
「私はちゃんとした薬を持ってくるわ。それ飲んでて。」
「あぁ、ありがとう、助かる。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「あぁそうだパルスィ、チョコ作ってきたんだ。」
「どっ、どうしてよ?まだそんな日じゃないでしょ。」
「今日はバレンタインデーだぞ。」
「!!?」


どうやら

「そんな訳無いでしょ………ありがと(ボソッ」
「食べても良いぞ?」
「そっ、それじゃあ遠慮なく。」


記憶が飛んでしまったらしいな。

「私ね」
「うん?」
「ずっとチョコあげたかったんだから。」パクッ
「あぁ、知ってるよ。…!?」

ビチャビチャと音を発てた。
嘔吐したのだ。

「大丈夫か!?」
「ごめんなさい……あっ……勿体無い………」

自分のゲロを口に含もうとする。含ん…あっ飲んだ。

「おい!止めろ!」
「…ごめんなさい……せっかく作ってくれたのに。」
「別に良いさ。」
「不味かった訳じゃ無いのよ…」
「あぁ、分かったから、もう寝てろ、な?」



……………………………………………………………………………………………………21:30

「っ!?」

パルスィが危ない



……………………………………………………………………………………………………
同時刻

「(寝たか。)」

後始末をしている内に寝た様だ。

頭が痛そうだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どうしたんだ?」

紫が連絡をしに来た。

「今永琳が薬を作ってるの。それで、伝言よ。」

「『パルスィが危ないかもしれない。
  私も早く薬を作るから、見守ってて。』」

「時間が掛かるのか。」
「何の病気か教えてくれないんだけど
 顔色を変えていたわね。」

パルスィは綺麗な顔をしている。




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21:45

パルスィの意識が無くなった。



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23:00

「患者はっ!?」

慌てた様子の永琳が薬を持って来た。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「間に合わなかったらどうしようかと。」
「ありがとう。どうお礼をして良いか……」
「普段はお礼は貰わないんだけどね」
「酒でも飲むか?」
「貴女の彼女が寝てるわ。二人で呑んでたら
 可哀想じゃない。」
「かっ、彼女じゃ……」
「見たとこ両想いじゃないの。
 医者の目は誤魔化せないわ。」

ドヤ顔の永琳に感謝をする。

「ところで、何の病気だったんだ?」
「あぁ、それはね………」





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同時刻

「うらめしやー!」
「小傘さん、今年もどうぞ宜しくお願いします♪」

もうビビられない小傘は残念がっていた。
が、早苗にチョコを貰えて嬉しかった。

「今年はわちきも作ってみた!」
「あら、可愛いですね。」
「そう?良かったー!」
「貴女がですよ」

頬に手を添えられる。

「左手は添えるだけ…左手は……」

どこかの雑誌で読んだのだろう。


顔を近づけ、不意に口付け。

・・・韻を踏んだが恥ずかしい………


「一緒に食べますよ?」
「わっ、分かったよ…」
「貴女とチョコを、ですよ?」
「うぎゅぅ……」

今年の早苗は積極的だ。



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23:20

幽香はアリスの家に泊まる事にした。

アリスから貰ったチョコを食べた。
           
「そのチョコ、私の体の全ての液体を混ぜたのよ。」
「アリスがヤンデレって噂、本当だったの…?」

ドMのヤンデレって凄いと思う(小並感)

「嘘よ。」
「アリスって時々怖い冗談言うわよね。」

それでもアリスは幽香をとてつもなく愛してる為、
信じてしまうのは仕方がないね。



……………………………………………………………………………………………………
2/15  0:00

「おはよぉ、チルノちやん」
「まだ夜だよ?」

大妖精のチョコの中に入っていた
睡眠薬の効果で寝ていた。
さて、お楽しみはこれからだ!




……………………………………………………………………………………………………
0:50

「徹夜お疲れ様でした。」
「私いらなかったですね。」

そう。死神に仕事は無かった。

「あ、はい。 当日に渡せなくてすんません。」
「いいえ、嬉しいです。ありがとうございます。」

 
「私は少しだけお話をしてきます。

……………………………………………………………………………………………………

・・
・・・
・・・それで、
パルスィさんの病名とは?」

「『脳炎』です。」

脳炎とは、まず急な発熱が起こります。
同時に頭痛がします。
その痛みはどんどん激しくなります。
吐き気がし、嘔吐が伴います。
意識障害を起こす前に診断に行くのが最適です。

今回は何でもアリのえーりん さんが
居たから助かったと思って下さい。

それにしても、どっかの歌で
妖怪は病気も何にも無いと
言っていた気がするのですよ。
勘違いですかね?


あ、渡さなくて良いんですか?それ。
まだ間に合いますよ。





……………………………………………………………………………………………………
1:00

「あの…小町。」

残業をしてもらえたのは正直ビックリした。
まさかあの小町が。

ご褒美に私も素直になりましょう。

「いつも貰ってばかりでは悪いので…」
「体をいつも戴いているじゃないですか。」
「えっ…あっ…いや……そうですが…。」
 

「その……受け取ってくれませんか?」

小町が映姫をお持ち帰るのは遅い話じゃなかった。







……………………………………………………………………………………………………
1:20

目が覚めると勇儀が座っていた。
ずっと見ていてくれていたのか。
…ずっと?

「ずっと!?」
「どどどどうした!?急に!?驚かすなよ…」
「あっ…ごめんなさい。」

妙に全体が軽い。
朝起きたら頭が重い事が日常だったのに。
そもそも熱が引いてる。

「今何時?」
「そうだな、大体なぁ…1時かな。」

渡せなかった。
バレンタインの間に渡すって、決めたのに……。

「あっ、おい…泣くなよ」
「うぐっ…だってぇ……」
「…チョコ美味しかったぞ」
「嘘よぉ…私……渡して………あれ……?」

ポケットに入れていたチョコレートが消えている。

「すまん、勝手に食った。」
「良いわ。美味しかったんでしょ?」
「あぁ。 あ、そうだ、一晩泊めてくれよ。」
「最初からそのつもりよ。あと、その…
 ……ありがとうね。」





……………………………………………………………………………………………………
朝、頭が重い、怠い日が続く時はうつ病かもしれません。

パルスィは想い人にやっとチョコを渡せて、
妬まずいられたから
症状が消えたのかもしれませんね。
どうも、甘党の弥生です。


完成しました。
病気は図書館で本借りて選びました。

遂に小傘に『わちき』と言わせました。

万歳    万歳     万歳


排水口にはバレンタインデー糞喰らえなんて
空気がなくて驚きました。
本当の意味での糞喰らえならありますけどね。
弥生
作品情報
作品集:
32
投稿日時:
2015/02/13 15:34:13
更新日時:
2015/02/15 01:48:34
分類
聖バレンタインデー
勇パル
完成
1. まいん ■2015/02/14 12:43:25
大ちゃんだけ思いが伝わったのか。パルスィの思いも渡せられれば良いなぁ。
幽香も小傘も思いが伝わると良いね。
2. 弥生 ■2015/02/15 02:08:41
早くからコメントありがとうございます。
皆伝えられました。ハッピーエンドでウルトラハッピーです。
3. レベル0 ■2015/03/18 08:34:43
バレンタインデーネタ……いいですね。
頑張る女の子逹の話は見ていて微笑ましいです。
彼女達の愛はチョコよりも甘いですね
4. 弥生 ■2015/03/20 23:36:16
コメントありがとうございます。
本当ですね、甘いです。
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