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『バレンタインデー』 作者: 弥生
2/14 0:00
今日はバレンタインデーだ。
幻想卿とかも浮かれ気分でどうかしてるんじゃないか。
そう思うパルスィ。
だが、そのパルスィにも渡したい相手、勇儀がいる。
今年は渡せるだろうか。
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0:30
とりあえず材料を確かめた。
・・・大丈夫だ。
勇儀はお酒が好きだから
チョコの中にお酒を入れるために
買ってきた鬼殺し。
でもこれ焼酎らしい。
勇儀は焼酎も飲めるのだろうか。
よく冷やしておこう。
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同時刻
冬。夜の花ははっきり見えれば綺麗だ。
花などが咲いている庭がある家。
そこに住む強者がいた。
強者は彼女の為にマフラーを編んでいた。
もうすぐ3月だから
もうそろそろいらないと思うが。
しかし強者の脳内では
彼女と二人で同じマフラーを巻いている。
そんな感じだった。
マフラーは強者のトレードマークとなる向日葵が
描かれている。
「アリス、喜んでくれるかしら?」
楽しそうに一人言を呟く強者、幽香は
その後も編み続けた。
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1:40
気が付くと時間がだいぶ掛かっていた。
マフラーを編んでる最中に眠くなってきたと
思ったら……。
寝よう。
マフラーが6mを越えた事に幽香は
気が付かなかった。
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8:40
「いかん!寝過ごした!」
大妖精は跳ね起きた。
土曜日でも授業はある。
この時間はどう足掻いても遅刻だ。
今日は休もうかな…
だけどチルノちゃんに会う機会を
逃す訳にはいかない。
大妖精な家を出た。
薬の入ったチョコを持って。
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同時刻
早速作るか…。
馴れた手つきでやっていく。
チョコの中に酒を入れる技術も
既に身に付けていた。
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9:20
「はぁっ…はぁっ…間に合っ
「間に合って無いぞ」
「大ちゃんが遅刻なんて珍しいね。」
「夜更かししちゃって…」
夜中までチョコの形にこだわり、
中に薬を入れるのは楽な仕事ではなかった。
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10:10
時間を掛けすぎた。
まさか頭痛が起こるとは。
しばらく休んでいたが、未だにズキズキする。
何だか熱くなってきた。
早く渡して休もうか。
…探すか。
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11:00
勇儀は呑んでいた。
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同時刻
パルスィは勇儀を探しているが、
熱があるようで移動速度が低下している。
今日中に勇儀を見つけられれば良いんだけど……。
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同時刻
今食べさせたら大変な事になるよね…。
いつチルノにチルノを渡そうか考えている。
チルノの事だから、渡せばすぐに食べるだろう。
それではまずい。
何とか二人きりの時に渡すんだ。
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11:40
去年自分だけの特別なチョコを貰った小傘は
早苗に贈る為のJKが好きそうなチョコを作っていた。
ただ、小傘は時代遅れな為、
結局ハートの形にしてしまった。無念。
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12:00
土曜日の授業が終わった。
「チルノちゃん」
「あ、チョコ?」
「うん」
薬には媚薬とか睡眠薬とか入ってる。
「わー、後で食べるね。」
「どうして?今食べてよ、ほら。」
ぐいっ、と差し出す大妖精。
「二人きりの時ででしょ?」
「チョコちゃん…!」
…ん?睡眠薬いらなくね?
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同時刻
勇儀は温泉へ向かう。
パルスィから遠ざかっていく。
それをパルスィは知らない。
ズキズキと痛む頭。
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13:00
「んぁ…?あら?」
幽香は目を覚ました。夜中遅くまで寝てたから
疲れていたのだ。
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15:00
おやつの時間だ。
チルノちゃんとチョコを食べた。
眠くなってきた。
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15:35
「アリス」
6m以上もあるマフラーを抱えて
アリスの元へ訪れた。
「これ」
「あぁ、私も…はい、チョコ。」
「あっ…私もチョコにしておけば良かったかしら。」
「良いのよ。嬉しいわ。」
綺麗な箱に綺麗なリボンを掛けられている。
きっと美味しいのだろう。
「ねぇアリス。散歩に行かない?」
「良いわね。行きましょうか。」
同じマフラーを身に着けて外へ出た。
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16:50
「何処なの…勇儀……」
パルスィはそろそろ限界だった。
顔が真っ赤になっている。
熱があるのだろう。
でも、渡してもこんな感じになってしまうだろう。
頭痛が激しくなっていく…。
早くしないと……!!
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同時刻
「私、幸せだわ。」
「どうしたのアリス。気色悪いわ。」
二人は歩いていた。
葉のついていない木の枝には雪が積もっている。
「たまには首輪無しってのもアリね…」
「アリスだけに?」
「どういうこと?……あ」
彼女達が見た者はフラつきながら
危ない歩きをしているパルスィだ。
二人はパルスィだとは認識していない。
「あの人大丈夫からしね。」
「・・・貴女の人形で見守ってあげたら?」
「そうね。心配だけど、貴女との時間も大切だもの。」
見知らぬ者を助ける二人は
現代の若者には無いものをもっている
そんな気がする。
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18:10
吐き気を感じたパルスィはその場で座り込んだ。
頭痛があまりにも酷く
アリスの人形に気が付かなかった。
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同時刻
勇儀は家に向かっていた。
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同時刻
もうすぐ真っ暗になる。
早苗を驚かしてやろう。
2度驚かしてやろう。
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18:45
おええぇえぇええぇえぇっっ
遂に吐いてしまった。
あぁ、意識が朦朧とする………。
もうすぐで勇儀の家なのに…………。
……………………………………………………………………………………………………19:10
「おいっ!パルスィ!?」
パルスィが低姿勢で家に向かっていると思ったら
家の前で突然倒れて驚いた。
・・・意識はある様だ。
「どうしたんだ!?凄い熱だぞ!!」
「ぅ…あ……ゅう………ぎぃ………」
「待ってろよ!」
パルスィを抱き抱えて家へあげる。
本当に凄い熱だ。
こんなの…どうすれば良いんだ…?
「ぅおーい?どうしたんだよぉー?」
丁度良いところに萃香が駆け付けてくれた。
「ちょっと急いで博麗の巫女ん所に行ってきてくれ。」
「わかった!」
博麗の巫女に頼めば何とかなるはずだ。
「パルスィ、頑張ってくれよ…!」
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同時刻
「いないいない……bッ……居ない?」
間違えて『いないいないばぁ』と言いそうになった小傘。
だが早苗は居なかった。
そう、いないのは早苗なのだった。
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同時刻
「大体配り終えましたかね。」
早苗はチョコを配っていた。
「小傘さんにも渡さなくては。」
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19:20
「あら?」
アリスの元に人形が戻ってきた。
「さっきの人、大変な事になってるらしいわ。」
「…まぁ、あんな様子だったから。」
「ちょっと霊夢のとこに行ってくるわ。」
勇儀とアリスは紫になんとかしてもらうために
霊夢を呼ぶつもりだ。
何故紫なのか。
お婆ちゃんの知恵ぶk
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21:00
「パルスィ!パルスィ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「病人は?」
「こいつです」
二人が霊夢のところへ行く
↓
霊夢が紫を呼んでくれる
↓
紫が永琳を呼んでくれる
↓
勇儀の家へ到着(隙間)
「病人扱いなんて酷いじゃない。
それに、こんな大人数どうしたのよ?
あれ?ここどこ?」
「覚えてないのか?」
「あぁ、何だか頭が痛い…。そのせいかも。」
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21:10
「その薬はその場凌ぎにしかならないけど。」
「無いよりはマシか。」
「私はちゃんとした薬を持ってくるわ。それ飲んでて。」
「あぁ、ありがとう、助かる。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あぁそうだパルスィ、チョコ作ってきたんだ。」
「どっ、どうしてよ?まだそんな日じゃないでしょ。」
「今日はバレンタインデーだぞ。」
「!!?」
どうやら
「そんな訳無いでしょ………ありがと(ボソッ」
「食べても良いぞ?」
「そっ、それじゃあ遠慮なく。」
記憶が飛んでしまったらしいな。
「私ね」
「うん?」
「ずっとチョコあげたかったんだから。」パクッ
「あぁ、知ってるよ。…!?」
ビチャビチャと音を発てた。
嘔吐したのだ。
「大丈夫か!?」
「ごめんなさい……あっ……勿体無い………」
自分のゲロを口に含もうとする。含ん…あっ飲んだ。
「おい!止めろ!」
「…ごめんなさい……せっかく作ってくれたのに。」
「別に良いさ。」
「不味かった訳じゃ無いのよ…」
「あぁ、分かったから、もう寝てろ、な?」
……………………………………………………………………………………………………21:30
「っ!?」
パルスィが危ない
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同時刻
「(寝たか。)」
後始末をしている内に寝た様だ。
頭が痛そうだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「どうしたんだ?」
紫が連絡をしに来た。
「今永琳が薬を作ってるの。それで、伝言よ。」
「『パルスィが危ないかもしれない。
私も早く薬を作るから、見守ってて。』」
「時間が掛かるのか。」
「何の病気か教えてくれないんだけど
顔色を変えていたわね。」
パルスィは綺麗な顔をしている。
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21:45
パルスィの意識が無くなった。
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23:00
「患者はっ!?」
慌てた様子の永琳が薬を持って来た。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「間に合わなかったらどうしようかと。」
「ありがとう。どうお礼をして良いか……」
「普段はお礼は貰わないんだけどね」
「酒でも飲むか?」
「貴女の彼女が寝てるわ。二人で呑んでたら
可哀想じゃない。」
「かっ、彼女じゃ……」
「見たとこ両想いじゃないの。
医者の目は誤魔化せないわ。」
ドヤ顔の永琳に感謝をする。
「ところで、何の病気だったんだ?」
「あぁ、それはね………」
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同時刻
「うらめしやー!」
「小傘さん、今年もどうぞ宜しくお願いします♪」
もうビビられない小傘は残念がっていた。
が、早苗にチョコを貰えて嬉しかった。
「今年はわちきも作ってみた!」
「あら、可愛いですね。」
「そう?良かったー!」
「貴女がですよ」
頬に手を添えられる。
「左手は添えるだけ…左手は……」
どこかの雑誌で読んだのだろう。
顔を近づけ、不意に口付け。
・・・韻を踏んだが恥ずかしい………
「一緒に食べますよ?」
「わっ、分かったよ…」
「貴女とチョコを、ですよ?」
「うぎゅぅ……」
今年の早苗は積極的だ。
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23:20
幽香はアリスの家に泊まる事にした。
アリスから貰ったチョコを食べた。
「そのチョコ、私の体の全ての液体を混ぜたのよ。」
「アリスがヤンデレって噂、本当だったの…?」
ドMのヤンデレって凄いと思う(小並感)
「嘘よ。」
「アリスって時々怖い冗談言うわよね。」
それでもアリスは幽香をとてつもなく愛してる為、
信じてしまうのは仕方がないね。
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2/15 0:00
「おはよぉ、チルノちやん」
「まだ夜だよ?」
大妖精のチョコの中に入っていた
睡眠薬の効果で寝ていた。
さて、お楽しみはこれからだ!
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0:50
「徹夜お疲れ様でした。」
「私いらなかったですね。」
そう。死神に仕事は無かった。
「あ、はい。 当日に渡せなくてすんません。」
「いいえ、嬉しいです。ありがとうございます。」
「私は少しだけお話をしてきます。
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・
・・
・・・
・・・それで、
パルスィさんの病名とは?」
「『脳炎』です。」
脳炎とは、まず急な発熱が起こります。
同時に頭痛がします。
その痛みはどんどん激しくなります。
吐き気がし、嘔吐が伴います。
意識障害を起こす前に診断に行くのが最適です。
今回は何でもアリのえーりん さんが
居たから助かったと思って下さい。
それにしても、どっかの歌で
妖怪は病気も何にも無いと
言っていた気がするのですよ。
勘違いですかね?
あ、渡さなくて良いんですか?それ。
まだ間に合いますよ。
……………………………………………………………………………………………………
1:00
「あの…小町。」
残業をしてもらえたのは正直ビックリした。
まさかあの小町が。
ご褒美に私も素直になりましょう。
「いつも貰ってばかりでは悪いので…」
「体をいつも戴いているじゃないですか。」
「えっ…あっ…いや……そうですが…。」
「その……受け取ってくれませんか?」
小町が映姫をお持ち帰るのは遅い話じゃなかった。
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1:20
目が覚めると勇儀が座っていた。
ずっと見ていてくれていたのか。
…ずっと?
「ずっと!?」
「どどどどうした!?急に!?驚かすなよ…」
「あっ…ごめんなさい。」
妙に全体が軽い。
朝起きたら頭が重い事が日常だったのに。
そもそも熱が引いてる。
「今何時?」
「そうだな、大体なぁ…1時かな。」
渡せなかった。
バレンタインの間に渡すって、決めたのに……。
「あっ、おい…泣くなよ」
「うぐっ…だってぇ……」
「…チョコ美味しかったぞ」
「嘘よぉ…私……渡して………あれ……?」
ポケットに入れていたチョコレートが消えている。
「すまん、勝手に食った。」
「良いわ。美味しかったんでしょ?」
「あぁ。 あ、そうだ、一晩泊めてくれよ。」
「最初からそのつもりよ。あと、その…
……ありがとうね。」
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朝、頭が重い、怠い日が続く時はうつ病かもしれません。
パルスィは想い人にやっとチョコを渡せて、
妬まずいられたから
症状が消えたのかもしれませんね。
どうも、甘党の弥生です。
完成しました。
病気は図書館で本借りて選びました。
遂に小傘に『わちき』と言わせました。
万歳 万歳 万歳
排水口にはバレンタインデー糞喰らえなんて
空気がなくて驚きました。
本当の意味での糞喰らえならありますけどね。
弥生
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2015/02/13 15:34:13
- 更新日時:
- 2015/02/15 01:48:34
- 分類
- 聖バレンタインデー
- 勇パル
- 完成
幽香も小傘も思いが伝わると良いね。
皆伝えられました。ハッピーエンドでウルトラハッピーです。
頑張る女の子逹の話は見ていて微笑ましいです。
彼女達の愛はチョコよりも甘いですね
本当ですね、甘いです。