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『頼り』 作者: 弥生
霊夢の様子がおかしい。
そう思い始めたのはつい最近だった。
元々霊夢を愛している紫は、今夜も彼女の為に頑張るのである。
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「睡眠薬?」
「そう、あるわよね?」
きっと嫌なことがあったのだろう。
軽いものじゃないみたいだし、せめて忘れられる時間を作ってあげたかった。
「本当にこれで良いのかしら?」
「えぇ、早く出して。」
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永琳から貰った薬を持って、博麗神社へ向かう。
そこには酷く疲れている霊夢の姿があった。
「何かあったの?やつれているわ。」
なんだか手間が無駄にならない様だ。嬉しいような、悲しいような。
「何も無いわ。最近悪夢を見るだけよ。」
「(悪夢…。これ睡眠薬なんだけど…。)」
逆効果だったら嫌われてしまう。
でも、せっかく用意したし…
そう考えると渡さない方が面倒だ。
「そんな貴女にはこれ。嫌な悪夢を見ずに眠れるわ。」
深い眠りに入ると夢を見ないと聞いたことがある。
運ではあるが、その深い方に賭けてみよう。
「でもお高いんでしょう?」
「無料よ。」
霊夢が聞き慣れない言葉を使ったのも、多分疲れているからだろう。
期待した答え方かは分からなかった。
霊夢がただの睡眠薬だと気付いた事には気付いていた。
「ありがとう、いただくわね。ところで紫。私の事……好き……?」
…。
………。
…………!!?
初めて攻められた瞬間だった。
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ある日頼まれた依頼。
魔理沙を殺すのを手伝ってだなんて、流石に物騒だ。
…しかし断れなかった。断る気なんてなかった。
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「悪夢を見なくなる薬ってある?」
「偶然ね。今完成したところよ。丁度良いから持って行きなさい。」
「ここに魔理沙は来たかしら。」
「来ないわよ。貴女なら簡単に探せるじゃない。わざわざここを訪ねなくても…。」
狙いはそこじゃなかった。
「そう言えばそうね。ところで、毒キノコってあるかしら。」
「いや、あるにはあるけど…一体何に使うのよ。」
「バレンタインに欲しいの。」
「貴女まさ…
「それ、譲ってくれない?」
威圧。
「……。」
無言で差し出す永琳に一言「ありがとう」と残すと
すぐに霊夢の元へ向かった。
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魔理沙は逃げているだけで、霊夢に危害を加えない。
どうも不審に思った。
しかし私に気が付いた時、動きが止まった。
どうやら諦めたみたいだ。
「(後は霊夢に任せることにして……。
……これが死体になったら何処に捨てようかしら。)」
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いつの間にか霊夢は寝ていた。
紫色にブクブクと腫れた顔の魔理沙の顔を踏みつけながら。
「あらあら。…それにしても可愛いわね。」
紫は懐から、リボンの掛かった箱を取り出した。
「私からよ。受け取って。」
箱から『悪夢を見なくなる薬入りチョコ』を取り出す。
「これでもう悩まなくても良いわよね。」
独り言が終わったと同時に、強い冷気がした。
霊夢が震えている。
「大変っ!神社まで連れていかなきゃ。」
この時にチョコを落としてしまった。
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「ごめんなさい。なくしてしまったわ。」
箱から取り出していた為、見付けても汚いだろう。
チョコはまた次の機会で良い。
すっかり忘れていた死体。どうしようか。
まず、また戻ってから考えよう。
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「どうしてよ…あり得ないわ!」
死体が消えているのだ。
「ねぇ、あれ本当に毒キノコだったの?」
「そうよ。同じのあるから食べてみる?」
「貴女何か知っているわね。」
「言い掛かりは止めて頂戴。」
早く探さないと!
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道端で倒れている金髪の少女があった。
その顔は綺麗だった。綺麗な顔で死んでいた。
「嘘……え…?」
死んでいる。結果は良い。
しかし、何故顔が綺麗なんだろうか。
そもそも何故生きていたのか。…生きていたのか?
自分は悪い夢でも見ているのだろうか。
「あっ…」
さっき取り出した箱の中に、1つだけチョコが入っていた。
「糖分摂って落ち着きましょう…。」
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「毒消し?」
「あぁ、そうだ。私は毒を食わされる。」
「そんな、誰かに宣言でもされたの?」
「いや、そうではないんだけど……。」
「…まぁ、良いわ。」
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「行ったわよ。」
「助かったぜ、ありがとうな。」
「ねぇ、紫の言っていたのって…。」
「だろうな。…本当に紫が関わっていたのか……。くそっ」
「どうして貴女の言った事が当たっていたのかしら。」
「なんか急に分かるんだよ。なんでだろうな。」
「さぁ…。もしかして今回以外にも?」
「あぁ、よく当たるよ。こんな残酷なのばっかだけどな。」
「…じゃあもう分かってる?」
「最初に紫に渡したのは『悪夢を見なくなる薬』じゃない。」
「凄いわね。そうよ、あれは『夢すら見なくなる薬』。つまり死ぬって訳。
でも多分誰も食べないわ。私のことを警戒する筈だから。」
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「腹…減ったなぁ……。…お、チョコか。地面に落ちたのはやっぱり汚いかな。」
ぐるぐるぐるぐる〜
「あぁもう良いや!食べよう!!」
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そこで頭に入ってくる。
死ぬ薬で自分が死ぬ、と。
食べた後は反則だろう。
静かに絶望した。
どうも、例の語録を覚えた弥生です。
今回もです。
基本、紫目線ですね。裏はこんなのだと思って下さい。
テーマは「自分でやれ」ですね。
ちょっと薬剤師に頼りすぎだと思いますよ。
※この話は『夢』の別視点です。
あの短編から夢に繋げ、さらに繋げられた事に驚いてます。
最初はただ魔理沙にメタいこと言わせたかっただけだったのに。
魔理沙の最期がショボいのは仕様です。
弥生
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2015/05/14 15:42:08
- 更新日時:
- 2015/05/15 22:34:54
- 分類
- 霊夢
- 紫
- 魔理沙
- 完結
そうですね。死ぬ事自体は確定してましたから。
場の転換が多いこともあるかもしれませんが、全体に霊夢が病んでいるのと、魔理沙の未来が予知されることの間の、脈絡がなさがとても不安になる作品に思えました。私はこういった影のある作品が好きなので、とても楽しめました。長文失礼しました。
そう言ってもらえると有難いです。
1つの出来事を、色々な方向からぐちゃぐちゃに書いていたので本当に脈絡がないです。
でも楽しめてもらえて良かったです。
今回は続編なんだね。
次回作も期待してるよ!!
何…だと……!?
番外編を考えているので、それでお願いします。