Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『黒い悪魔(仮)』 作者: 偏頭痛
ブーン
「蚊かしら?・・・・・いや違うわね」
霊夢が玄関で下駄の紐を調整している時にその音は突然聞こえてきた。
耳を澄ましてよく聞くと靴だなの下の隙間の中から聞こえている。
この音は羽音だ。
「・・・・・」 霊夢は嫌な予感に駆られながら作業を一時中断させると奥の部屋にいる伊吹をおーいと声をかけて呼んだ。
しばらくすると奥の麩の開く音がして伊吹萃香が玄関にチョコチョコと歩いてきた。
「うーい霊夢どーしたのー?」
昼間酒のせいもあって呑気な声色を孕んだ萃香の問い掛けに霊夢は黙って険しい視線を送る。
すると萃香も霊夢のただならぬ雰囲気に大事だと察したのかすぐさま凛とした顔つきに変わった。
霊夢はそれを確認すると顎で靴だなの下の隙間を萃香に示した。
首を傾げる萃香。
毎度のことながらそれで理解が及ばない萃香に多少の苛立ちを覚えながら霊夢は仕方なく言葉を発する。
「だ〜、アイツよ。アイツがいるみたいなのよ。いつもみたいにお願いね」
「あー、アレね。言葉に出してくれれば分かり易いのに」
やっと状況が理解できたのか靴を履き土間に出ると、萃香はそのまま霧状になった。 隙間の中に潜むやつを捕まえるために。
その様子を腕を組んで見守る霊夢。
「捕まえた?」
「まだだよー。でも今追いかけ回してる♪」
下から聞こえてくる楽しげな声に思わず苦笑してしまう。
しばらくカサカサという音と萃香の楽しげな声が玄関に響いていたが
ふいに止まった。 現場に緊張感が流れる。
数分後に萃香の声が響いた。
「ゴキブリ捕ったどおおおおおおおおおおお!!!!」
反響するのと同時に萃香が空間に出現した。
右手には大きなゴキブリを握っている。
「ひいいいいい!その名を呼ばないでっていつも行ってるでしょ!それに捕まえたんなら早くトイレに流しなさいよお!」
突然目の前に突きつけられたゴキブリに金切り声を上げて拒絶反応を起こす霊夢。 そんな霊夢に怪訝そうな顔を向ける萃香。
「全く人間ってのはつくづく変な生き物だねえ。こんなちっこいのの何が怖いのやら・・・・・」
萃香が怯える霊夢をからかうように肩をすくめるとこちらを見上げる霊夢の目が震えた。
「 い い か ら は や く 捨 て て 」
霊夢の目は笑っていなかった。
「はいはい了解したよー」 萃香は面白くなさそうにかぶりを振るとトイレへ行き掴んだゴキブリを便器の中に落とした。
ゴキブリはツルツルと滑る便器の表面を登ろうと一生懸命に四肢をばたつかせている。 そんなゴキブリを見ていると何だかかわいそうに見えてきた。
しかし逃がしてやりたいが先ほどから霊夢がこちらを睨んでいるし助けることは出来ないだろう。
「ごめんよ・・・・・でも仕方ないよね?今度はゴキブリ以外の動物に生まれ変わりな」
そう言うと萃香はトイレのレバーに手をかけ思い切り下に傾ける。
じゃああああああああ
勢い良く水が流れあっという間に足掻いていたゴキブリを攫った。
そしてゴキブリは回転しながら排水口の穴の中に流し込まれて消えていったのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「それじゃ萃香、明日の朝には戻るから。それまでは食事とか自分で何とかしなさいよ?」
「はーいはい。心配には及ばないよお」
今日は午前中に村からの使いが来た。どうやらとなり村の山奥で厄介な妖怪が暴れているようでその退治を霊夢に頼みに来たとのことだった。
ここからとなり村までは結構な距離があり又依頼人も連れて行かなければならないとあって霊夢も大変なのだそうだ。
つまり移動と妖怪退治込で約二日間かかるらしくこの間霊夢は博麗神社を留守にするのである。
したがって私は留守番を任されることになったのだった。
「全く面倒くさいったらありゃしないわ。あの依頼人がいなければ飛んでとなり村まですぐ行けるのに」
案の定霊夢は不機嫌そうだ。 暇さえあればいつもいつも金が欲しいとのたまう癖していざ仕事が来たらこうしてあからさまに不機嫌な態度をとる彼女の心情は毎回測りかねない。 人間はみんなこんなんなのだろうか。
「いいじゃん、お金貰えるんだし頑張りなよ♪神社のことは任せといてよ」
「まあそれもそうね。いいこと?私がいない間も家事も忘れずにこなすこと」
「はーい」
「それと・・・・・」 霊夢はここで言葉を区切った。
何だろう。
「おーい巫女さんやー、はよー出発しよーやー」
霊夢が続きを喋ろうとしたときに玄関口の方から依頼人の野太い声が聞こえてきた。
「ちっ・・・・・はいはい今行きますよー」
霊夢は話を中断されてイライラしているようだ。
「霊夢・・・・・何を言おうとしたの?」
気になって聞いてみると霊夢はしっかりと萃香と目を合わせた。
「アンタ昨日アイツを殺すことに躊躇してたね」
「え」
「殺すことに躊躇なんてしたらダメ、アンタはまだあいつらの恐ろしさを知らないわ」
霊夢はそれだけを言い残すと依頼人を引き連れて神社から去って行ってしまった。
「・・・・・あほらしい。あんなちっこいのの何が恐ろしいんだい。やっぱり人間は変な生き物だ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ぷひー♪やっぱ仕事終わりの一杯は格別だねえ!」
萃香は霊夢に言われた通りに家事を全て終わらせた。
時刻は午後3時を差しており、現在彼女は縁側で一升瓶を片手に昼酒としゃれこんでいた。
日差しもちょうどいい具合に暖かくていい昼酒日和だ。
「こんないい日には尚更酒のつまみが欲しいねえ」
そう言うと彼女は縁側から移動して居間や台所を探索し始めた。
こんなこと霊夢が居るときには滅多にできないことである。いつもなら霊夢に嫌な顔をされるか殴られる。 まあ貧乏巫女の彼女からすれば酒のつまみ程度でも大変貴重な食料なのだから仕方ないといえば仕方ないのだけれども。
とにもかくにもその霊夢は今日1日中いないのである。いわばこの神社は今日1日中萃香だけのもの。 萃香の心は早鐘を打つようにワクワクしていた。
台所の一番上の段にある右から三番目の戸棚の奥、数日前に小さくなって神社の中を探索していたらそこに旨そうな漬物入の上等な壺が隠されていたのを発見した。 あの時は家に霊夢が居たので手を出せなかったが今ならその味を舌で味わう事ができる。 なかなか大きな壺だったので少しくらいつまみ食いをしても霊夢にはバレないだろう。
壺を慎重に戸棚から下ろすと縁側に持ってゆく。
うん。この大きさなら大丈夫だ。萃香は重さから漬物の量をある程度予測すると壺のフタを取った。
瞬間、縁側を包み込む香ばしい漬物の香り。
「あ〜たまらないねえこの鼻をツンとさす漬物の香り」
気付けば漬物に手を伸ばしていた。素手でつまみ口へと運ぶ。 口に入れると漬物独特の風味が食欲をそそり噛むと
口の中にしゃりしゃりとした食感が広がる。
「ああ、本当に美味い。手が止まらない」
ある程度食べたら思い出したように酒を酒器に注ぎ飲み干した。 極楽だ。
萃香はひとしきり酒とつまみを楽しむと縁側に横になりうっとりと縁側から見える青空を見上げた。
「最高・・・・・」
午後の暖かな風がどこからともなく吹いてきて寝転がる萃香の髪を弄ぶ。 耳をすませば小鳥の囀りも微かに聞こえてきた。 日差しも適度にポカポカしていることだし、こんな日は昼寝だねと言わんばかりに眠りやすい体制になろうと寝返りをうって無意識に居間の方を覗くと壁に立掛けられた時計に
目がいった。 午後4時を少し回っていた。
「もうこんなに経ってたのか」
横になった状態でうつらうつらとしていた萃香はぼんやりとした思考の中でそう呟く。
「晩飯調達してこなきゃ…」
まどろみに吸い込まれそうになりながらも何とか瞼を開き覚醒した。
さて食料調達に行こうかと腰を浮かしたときにそれは来た。
ぐぎゅるるるるるるるぅ…
奇妙な音が自分の腹部から鳴り響いた。
訝しげな顔をしている間もなく再度音が鳴り響く、先程よりも長く大きな音だった。
「ん?一体なんな…!!!!」
突如激しい腹痛が萃香を襲った。 相変わらず腹の音は鳴っている。
「いた・・・・・い…なんで…!?」
身体中に尋常ではないレベルの排泄欲の波が広がってゆく。
もしやと思い、固まった身体を何とか動かして先程の漬物をよく観察してみた。
食べているときには全く気付かなかったが、漬物の中には色が変色しているものがちらほら混じっていた。 灰色に変色したもの、青黒く変色したもの、どれもとてもではないが食べ物と呼べる代物ではない。
「霊夢のやつ消費期限も気にしないのか、神経を疑うよ…!」
こんなものは早く捨てるに越したことはない。そう思い壺の縁に指を引っ掛けると台所の三角コーナーに中身を勢い良くぶちまけた。
漬物の底の方はもっとひどい有様で紫色に変色した漬物や黒光りする・・・・・奴らが蠢いていた。
「ひっ!」
底にいた数十匹のゴキブリたちは萃香にぶちまけられたことで今度は三角コーナーの中で四肢をバタつかせ不気味に蠢いていた。
外から差し込んでくる光で反射して怪しく黒光りするゴキブリたちの姿に萃香は初めて恐怖を感じた。 そして恐ろしい事実に気付く。
「待ってよ…こいつらがあのビンの中にいたってことは…!!」
萃香は思わず口を抑えたが少し遅かった。
胃から何かがせり上がってくる。
「ごぶぉ!うぐぼぉぉおおおおお!」
ビチョビチョビチョ
視界がぼやけて足もガクガクと痙攣している。
ぐぎゅるるるるるぅ!!!
「あがああああ!!」
便意もそろそろ限界だ。腹はまるで妊婦のお腹のように膨らみ今にも身を出さんとしている。
「どっ!どいれにっ!!」
右手で口を、左手で腹を抑えながら萃香はトイレの中へ駆け込んでいった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
カサカサカサ カサカサカサ カサカサカサ
不気味な音が神社内から微かに聞こえてくる。
ほんとうに微かにしか聞こえてこないのでたった今トイレに入った萃香に聞こえることもない。
カサカサカサ カサカサカサ カサカサカサ
誰も居なくなった台所の三角コーナー中からゴキブリの大群が溢れ出てくる。
そして恐るべきことにゴキブリは三角コーナーの中からだけではなくゴミ箱の中、外の草むら、置物の下の隙間などからも湧き出てきた。
カサカサカサ カサカサカサ カサカサカサ
やがて数百は集まったであろう博麗神社の居間はまるで黒い絨毯を床に敷かれたように思えるほどのゴキブリの大群に占拠されていた。
ゴキブリは地を這いずり周り部屋の中を駆け巡る。しかし部屋のスペースはそれ程広くはないのですぐにいっぱいいっぱいになった。
その窮屈具合はひどいもので地面にいたゴキブリの上にのって足場を作るゴキブリたちが大量に現れたせいで下のゴキブリたちが圧死する程であった。
潰されたゴキブリからは何やら得体の知れぬ気持悪い液体がブチュブチュと
零れ畳に濃いシミを作っていた。
しばらく群れは居間の中を窮屈そうに蠢いていたが、一匹また一匹と空いたスペースを求めて飛び立ち始めしまいには大移動をし始めた。
その触覚が感知した強烈な臭いのした方へ・・・・・。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ブポッ!!ブリュリュリュリュリュブリッ!!
「ひぅっ・・・・・くっ!!んほお!!」
萃香の小さなケツ穴からおおよそ少女がするとは到底信じられないグロテスクなウンコがビチャビチャと吹き出している。
「ハァハァ・・・・・!?まだ出るぅ!!」
ブボボボボボボボボボボォォ…!!!! 糞の勢いは凄まじく便器から糞がモリモリと漏れ出し始めていた。
「なっ流さなきゃ…!!ああああああ…!!」
ブリブリブリブリ!!!! 慌ててトイレのレバーに手を掛けようと試みたが自分の奥深くから込み上げてくる不思議な感覚
のせいで上手く手首に力が入らない。 糞は相変わらず強烈な悪臭を放出しながらケツ穴から垂れ流され、垂れ流すたびに何とも言えない快楽が萃香の全身を駆け巡ってゆく。 下半身に伝わる糞のヌチョヌチョとした生暖かい感触。
「あっ!!」
プシッ!!! シャアアアアアアアアアアアアアア……
自分の排便でオーガニズムに達しだらしなく潮を吹きながら、萃香はものの数分で汚らしく糞を垂れ流すこと以外何も考えられなくなっていた。
「あああ…ああ…あひっ…」
トイレの床には便器から漏れ出した萃香の糞でほぼ沼と化し、醜悪な沼を作り上げた張本人である萃香も身体の中の排斥物を全て吐き出したせいで心身ともに憔悴しきっていた。
目は宙を泳ぎ、ケツ穴からは赤黒い液体がぬるりと流れ出ていた。
カサカサカサカサ カサカサカサカサカサ カサカサカサカサカサ
「………?」
カサカサカサカサ カサカサカサカサカサカサカサカサ!!!
糞の臭いに惹かれて何千匹ものゴキブリがトイレの中に侵入してきた。
ゴキブリどもは萃香が生産した糞の周りにたかり、なんとあろうことかムシャムシャと齧り始めた。
「ひ……いやぁ…あっちいってぇ…」
必死に声を張り上げて追い払おうとした萃香だったが疲弊したまま大声を上げても小さな呟き程度にしかならない。
そうこうしているうちにゴキブリたちが糞の海をかいくぐって萃香のケツ穴の中、萃香の体内侵入し始めた。
萃香は足を懸命に閉じてケツ穴を極限まですぼめようとしたが、体力を大量に消費していたこともあり長くは続かなかった。
「あああああ…!!入ってう!!」
萃香のケツ穴が緩むとゴキブリたちは次々に我さきにと萃香の体内に潜り込んでゆく。
敏感になっているケツ穴をほじくり回されたことでまた波が襲って来て短く潮を吹きだすと、ゴキブリたちは萃香のクリトリスや性器にも関心を持ったらしくそこにも群がった。
「いっ…いやっ!!やめてっ!お願いだからっ!…いやぁ!」
ゴキブリたちは萃香の勃起したクリトリスの周りをうねうねとうごめき回り、そのたびにゴキブリたちの足の毛がジョリジョリとクリトリスをシゴキ上げる。 また数分のうちに快楽が萃香の全身を突き抜け萃香は両太ももをだらしなく開き潮を吹いた。
「だれか……霊夢…たすけ…」
意識が遠のいてゆく。もう何も考えられない。 もうどうでもいい…。
邪悪な欲に満ちたゴキブリたちが無数にひしめき合うなか萃香はとうとう閉じていた股を力なく開くと最後に小さく潮を吹くとそのまま白目をむいて失神してしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「萃香ーーー!帰ったわよお♪」
無事に妖怪退治を済ませた霊夢が博麗神社に戻ってくると、いつもなら騒がしくただいまと言って出迎えてくれるはずの萃香が今日は境内にいなかった。
「あり?萃香?」
さてはまた縁側で人のお菓子をつまみに一杯やってるなと頬を膨らませて縁側に行ってみたがそこにも彼女の姿は見えなかった。 縁側には酒器と萃香がいつも持ち歩いている瓢箪が置いてある。
「萃香……」
さすがに心配になってきた。萃香に何かあったんじゃないだろうか…。
カサカサカサカサ
嫌なな予想に苛まれていると不意にあの耳障りな音がすぐ近くから聞こえて来た。
台所の付近の床を見ると案の定黒光りを放つ大きなゴキブリがいた。
「ひゃ!!」
思わず近くに置いてあった酒器をゴキブリに投げると、ゴキブリはそれをすんなりと躱し部屋の奥の廊下の先に走って行った。
「はあはあはあ…今日は厄日だわ朝からアイツを見るなんて。それに何なのよあの大きさは」
早く萃香を見つけて退治してもらわなければ。 しばらくその場で激しくなった動悸を落ち着けていると
カサカサカサカサカサカサ
「きゃあああ!!!!」
先程のと同じくらいのゴキブリが五匹きれいに列を作って部屋の奥に走っていく光景が目に飛び込んできた。
「萃香!!!すいかああああ!!出てきなさい!!!」
あんなにデカいのが六匹!? もう一時の猶予も許されなくなった。
カサカサ
自分の足元から何かが這い出てくるのを霊夢は感じ取った。 ジョリジョリとした気持ちの悪い感触がくるぶしに伝わる。
下を確認する前に霊夢は駆け出していた。 体中から嫌な汗を吹き出しながら走った。
途中から地面の感触が固い床から何かヌメリとした感触を孕んだものに変わったのを足裏に感じていたが気にせずに駆け抜けた。
とにかくあの場所から離れたかった。
どれくらいの間走ったのだろう。結構な距離走ったはずだ。
私は気付くと真っ暗な空間を下へ下へと走っていっている感覚に囚われた。
おかしい、いくら神社といってもこんなに広かっただろうか。 それにこの空間に感覚…。
疑問に思い足を止めると、不意につんとした刺激臭が私の鼻をついた。
「なにこの臭い!くさっ!何処から匂ってくんのよお…」
不快感をあらわにした顔で歩を進めていると前方にある扉が見えて来た。
扉はよく見慣れたものだった。
「トイレ…?」
扉が見えてきたら刺激臭がさらにきつくなって何度かむせた。しかし私は臭いに耐えながらも扉へと向かった。
別にトイレが好きだからなどでは当然ない。 むしろ用事があるとき以外は極力避けたいくらいだ。
それでも私が今トイレに向かっているのはそこに現状を変える何かがあることを心の何処かで確信しているからに他ならない。 今までの経験上このような確信が外れたことなど一度もない。
いわゆる〈巫女の勘〉とかいうやつだ。 自慢ではないが私はこの勘のおかげで数々の場面で九死に一生を勝ち取ってきたのだ。 だから今回も私は私を信じて行動する。
きっとあの中に…。
この刺激臭はどうやらこのトイレの内側から匂ってくるらしいことが近づいていくうちに分かった。
中から女の喘ぎ声らしき音が漏れてくる。
少し聞き取りづらいが間違いない萃香の声だ。 私は流行る気持ちを抑えられず取っ手を両の手で掴むと思い切り扉を開け放った。
「萃香!!私よただ……い……ま……」
目の前の非現実的すぎる光景に思わず愕然とした。
「?きゃはっ!霊夢う!?霊夢だあああああ!!あははははははははは!」
萃香は確かにいた。 無数の巨大ゴキブリたちの生殖器らしい管を全身を使ってシゴキながら狂気の笑みを浮かべていた。
「萃香……あんた…」 かける言葉が見つからない。
私が沈黙していると萃香の方から話しかけて来た。
「霊夢う!ゴキブリさんって全然恐ろしくなんてないよ?」
「あんた何言って」
私が反論しようとすると萃香はそれを遮るように叫び出した。 顔には相変わらず恍惚とした笑みを浮かべながら。
「ゴキブリさんはねえっ!すんごく優しいんだよっ!証拠にほら見てよぉ♡」
そういうと萃香は体制を変え下半身を前に突き出すとゴキブリのそれと自分のそれの生生しい結合部分を私に見せてきた。 ゴキブリが萃香を下から突き上げるたびに萃香のヒダがずるりと剥け、そのたびに萃香は愛液を周辺に撒き散らし嬌声を上げて感じていた。 私はその光景のあまりの禍々しさに思わず口を覆い目を背けた。
喘ぎながら萃香は少しずつ霊夢に近づいて来ている。 私は動けなかった。勘が今動いたら危険だと私に言い聞かせていたのである。 じっと萃香が近づいてくるのを耐え忍ぶ。これがこの場面で最善の選択なのだ。
2人の距離が数歩間になったところで萃香が喘ぎ声を激しくさせた。身体も激しく上下させている。
私は萃香がゴキブリで果てるのをただただ震えて見ているしかなかった。
「いぐっ!!イグイグウうううううううう!!!」
激しく萃香の体が波打ったと思えば萃香は短く痙攣し始めた。
下の巨大ゴキブリも小刻みに痙攣を繰り返していた。 出ているのだろう。ゴキブリの子種が。
プツプツと私の首筋に鳥肌が立った。
しばらくすると下のゴキブリが上で白目を向いて痙攣している萃香を乱暴にどかした。
いや詳しく説明するならば弾きとばしたという表現のほうがあっていた。
弾きとばされた萃香は地面に腹を打ち付け低くうめき声をあげた。
「!!!この虫野郎!萃香に何すんのよ!!萃香!!!」
すかさず萃香に駆け寄り衰弱しきった萃香を抱きかかえる。 ゴキブリたちは性欲が引っ込んだのか何をするでもなく私たちを見つめていた。
「はぁはぁ……れい…む…きてくれたんだ…」
「!!萃香あんた正気に…!」
萃香の身体はズタボロだった。 腹はゴキブリたちの精液によって貯水タンクのように膨れ上がり、膣はゴキブリたちの巨大な肉棒によって蹂躙され見るも無残な状態にされている。 身体の節々にも痣や骨折の跡がみられた。
「萃香…!こんなになるまで……わたしが…私が付いてれば…!!」
涙なんて流している場合ではないとわかっているのに涙は私の頬を一筋滴り落ちるとそれを皮切りに後から後から零れ落ちた。 無言で泣き続ける私の腕の中で萃香は不思議そうな顔をしていた。しばらく不思議そうに私の泣き顔を見つめていたがやがて微笑むと今にも掠れそうな声で呟いた。
「れいむ逃げて」
確かにそう聞こえた。 無意識に肩が震えだす。これは愚かなことを言った萃香に対する憤りか、それとも萃香を見捨てて逃げることへの恐れかもはや自分でもよくわからなかった。
だが一つだけ言えることは萃香を見捨てていく気など毛頭ないということだ。
私は嫌がる萃香を無理やり担ぎ上げると背中に背負うと立ち上がる勢いそのままに地面を蹴り部屋を飛び出した。
後ろから無数の大きな羽音が追いかけてくる。
後ろの萃香が喚き散らして来る。
「霊夢!駄目なのよ!私を降ろして!霊夢だけ逃げて!!」
「バカなこと言うんじゃないの!!アンタは私の大事な家族よ!見捨てるはずないじゃない!!!」
尚も萃香は反論するのでスピードさらに上げてやった。 一刻も早くこの異様な空間から抜け出さなければならないと脳が叫んでいた。
後ろからの羽音はまだ沢山聞こえてくる。
「ちぃ!!しつこい害虫どもねえ!これでも喰らってなさい!」
振り向きざまに何度か弾幕を浴びせてやったがそれで静かになるのは数分だけでまたしばらくするとあの耳障りな羽音が耳に聞こえて来た。 そんな攻防を繰り返すうちにいつしかスペルカードも尽き、飛ぶ気力さえもなくなった。
体力が尽き地面に萃香ともども倒れこむ。中々のスピードで倒れこんだが何故かこの空間の地面は柔らかいので大事には至らなかった。
「……どこなのよ…ここ…」 自分の敷地内であるはずの場所でまさかこんなことをいうなんて思いもしなかった。
今のところ例の羽音は聞こえてこない。どうやら無我夢中で逃げるうちに上手く撒けたのだろう。
ふと背中の萃香の様子をみる。
「ぜえぜえぜえ…!!」 「萃香!!??」
大変だ。萃香が苦しそうに息をしている。 やはり今の身体であのスピードは負担が大きすぎたか。
私は萃香の頭を優しく撫でてやった。 なんの効果にもならないだろうがせめて彼女の気休めにでもなればと思ってした行動であった。 しばらくそうしてやっていると撫でている萃香の頭が小刻みに揺れていることに気付いた。
「萃香……?」
心配になって萃香の顔が見える位置に移動すると彼女は顔をクシャクシャにした状態で声も出さずに泣いていた。
「……大丈夫よ…私がついてる」
「霊夢はひどいわ…」
「?どうしたのよ」
「死ぬ覚悟は出来てたのに…それなのに!」
「萃香…」
「私霊夢だけでも逃げてっていったじゃない!!」
「……」
「なんであそこで見捨てて逃げなかったのよ!そしたらいまごろ」
スパアアアアアン!!!!
私は萃香の頬を平手打ちした。 萃香は呆然とした顔で私の方を見ていた。
「もう二度と私の前でそんなこと言わないで」
「れ……れいむ…」
萃香があまりに情けない顔をしているので思わず腕を組んで後ろを向いてしまった。
「さっきから何を勘違いしてるかしらないけどね。私は私の都合でアンタを助けてんの」
「………」
「だからアンタにとやかく言われる筋合いなんてないんだから……」
「………」
「だから……無事ここから脱出出来たら…一杯付き合いなさいよ?/////」
「あり…が……と……」
「ふっ!ふん!礼なら脱出できてから存分に言いなさい/////」
「」
「………」
「」
「………?」
「」
「…萃香」
「」
「萃香?」
「」
後ろを振り返るとにこやかに笑った萃香が壁に身を横たえてこちらを見つめていた。
「何だ驚かさないでよ」
「」
「ちょっといつまで笑ってんのよ、そんなに私と一杯やるのが楽しみなの?」
「」
「……もう…しょうがない…わねえ…」
「」
私は萃香のもとに駆け寄るとひしと抱きしめた。確かにあった彼女の温もりを確かめるように。同じときを過ごした大切な友との思い出を忘れないように。
「ああああ……ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
霞んでゆくゆく視界の端に大きな羽のようなものと暗闇の中に光る無数の目を捉えたような気がしたが、もうどうでもよくなった。
私は友と身を寄せ合うことでこの深い奈落から抜け落ちたのだ。 そうだ…行かなければ。 友が私を呼んでいる。
行こう……あのいつもの縁側へ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おーーーーーい!霊夢ーーーーー?」
午前三時の博麗神社には小鳥や猫が訪れる。
「なんだよいないのかー?まあ取りあえずあがるぜ」
「何かいいもんねーかなあ……ん?」
「なんだよ霊夢も萃香もいるじゃねえか……って縁側で仲良くお昼寝かよ」
「お前らにも可愛いとこあんのなあ……ここは起こさないようにっとお」
「おお!うひょー!!高そうな壺みっけ!おまけに漬物まで入ってらぁ♪」
「きっと霊夢がこっそり隠してたんだなあ…ふふふ…悪く思うなよ霊夢」
「では!さらばだぁー!!」
夏の木漏れ日が大変心地よいよく晴れた午後の出来事だったそうな。
お久しぶりです。偏頭痛です。今回はGを作中で描くということで出来る限り全力で気持ち悪く書かせて頂きました。(上手く書けたとはいってない)人によっては捉え方が分かれてしまう曖昧なものに出来上がってしまいましたが何卒よろしくお願い致します。
偏頭痛
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2015/06/08 17:34:00
- 更新日時:
- 2015/06/09 02:34:00
- 分類
- 萃香
- 霊夢
- 魔理沙
この話を読んで、怖いなと思いました(小並感)
あと最後のu…魔理沙様の台詞に草生えました
最後のは仕様です。
魔理沙のその後を想像すると非常に盛りますね。助けもこなそうで
そしてたしかに魔理沙に助けは来なさそうですね…。