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『爪』 作者: 六波羅
「やだ・・・・・嫌だよぉ、もうやめて・・・・・」
扉の向こうから、低い金属音と共に、枯れた声が聞こえてくる。
霧雨魔理沙は拘束され身動きが取れず、ただ顔を涙と鼻水と汗でぐじゃぐじゃに濡らしながら、その声を聞いていた。
「ひっ、ぁやだ!やめて!これ以上は――」
声が急に止んだ途端、太いゴムが引きちぎれる様な音が響いた。
「あ"、がっ、あああ・・・・・」
扉の下をすり抜けて来た血が魔理沙の足元まで流れる。
しかし、魔理沙はその事に気付かなかった。気付くより早く、魔理沙を拘束していた拘束具が外れたからだ。
それが何故外れたのか、何か意図があって外したのか、そんな疑問は魔理沙にはどうでも良かった。
魔理沙の頭は、扉の向こうの少女を助ける事でいっぱいだった。
扉を勢い良く開ける。その際に右手の親指の爪が剥がれたが、魔理沙は気に留めず、ただ目の前の少女を見つめていた。
「霊夢っ!」
魔理沙が呼んだ少女――博麗霊夢は、紅白の巫女装束を更に紅く、黒く染め、部屋の壁に寄りかかっていた。
元々は白かったであろうその部屋は、今は彼女を中心に紅い花を咲かせている。
「・・・・・ま、りさ・・・?・・」
名前を呼ばれ、必死に返答した彼女は、とても痛々しい印象を魔理沙に植え付けた。
彼女の左足――正確には左足の膝から下にある筈の物が、彼女には無かった。
その代わりに、周りより一層色濃い血溜りが出来ている。
それが何を意味するかを理解した魔理沙は、急いで霊夢に駆け寄った。
「霊夢・・・・誰が、こんな事をやったんだ?」
魔理沙が尋ねると、霊夢は必死に言葉を紡ごうとした。
「・・・それ・・・・・・・は・・・・・・・・・・ぁ・・・・」
しかし、そこから、霊夢の口の動きが止まった。
「霊夢?おい!?霊夢!!誰だ、誰がやったんだ!?」
魔理沙が霊夢を揺する。しかし、返答は返って来なかった。
冷たい床が霊夢と霊夢の流した血の温もりを奪っていく。
低くなっていく霊夢の体温と反比例して、魔理沙の頭の中では霊夢との過去の出来事が芋づるの様に蘇ってくる。
何故このタイミングで蘇ってくるのか、魔理沙には分からなかった。分かりたくなかった。
「・・・・・・・・・・・・・・霊夢。」
魔理沙は低く呟いた。名前を呼ばれた霊夢からは言葉が返ってこない。
ふと、部屋の隅に何かがあるのを感じ、その方を見た。
そこには、本来なら霊夢についていた左足が、無造作に落ちていた。
断面からは骨が飛び出ていた。皮がびろびろと垂れているので、恐らくちぎられたのだろう。
改めて霊夢を見る。口は半開きで、眼球は正面より少し上を見据え、涙と血でぐしゃぐしゃに濡れた顔がそこにあった。
魔理沙はそれらを見て、初めて霊夢の死を実感した。
「うぁ、あ、ああああああああああああああああ!」
叫び続けて、息を切らしても、魔理沙はやめなかった。そうして叫び疲れ、ハァハァと肩を大きく上下に揺らして酸素を求める。
「霊夢・・・・・私は・・・・・・・・・・」
そう呟きながら、魔理沙は段々、自分の意識が遠のいていくのを感じた。
抗うこともできず、そのまま霊夢に被さる。
霊夢の冷たい体を肌で感じ、魔理沙の頬を大粒の涙が伝った。魔理沙の意識は、そこで途絶えた。
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「ん・・・・・」
魔理沙は、外から射す陽の光の眩しさに目を覚ます。目を覚ますと同時に、頬に違和感を感じた。
すぐに魔理沙は、涙が自分の顔を湿らせていることに気付いた。
(あれは・・・・・夢、だったのか。酷い夢だったな。でも、夢で泣くなんて。子供じゃあるまいし。)
少し自分を情けなく思いながら、涙を拭った。
その際に、魔理沙の右手にピリッと痛みが走った。不思議に思いながら、痛む右手を見る。
自分の右手を見て、魔理沙の顔は恐怖に青ざめた。
右手の親指の爪が、ごっそり剥がれていた。
はじめまして。初投稿になります。血塗れの霊夢を抱きしめる魔理沙って可愛くね〜か?と思って書きました。やっぱり可愛かったです。思い付けば続編も書きます。あまり読み返してないので、拙い文章かもしれません。御指摘お待ちしてます。
六波羅
- 作品情報
- 作品集:
- 32
- 投稿日時:
- 2015/06/28 09:01:42
- 更新日時:
- 2015/06/28 18:01:42
- 分類
- 霊夢
- 魔理沙
- 微グロ
この先魔理沙がどうなるのか。続きが気になります
続編も是非読みたいです
それにしても誰がこんな酷いことを