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『卵巡りアフター』 作者: pnp

卵巡りアフター

作品集: 1 投稿日時: 2009/03/09 14:57:25 更新日時: 2009/03/10 08:47:14
 これは下にある『卵巡り』の投稿後、更に妄想を進めた末に生まれた作品です。
が、もはや卵はほとんど関係ないので、下の作品を見ていなくても大丈夫だと思います。
 尚、話の都合上、犬走椛が登場しますが、原作で喋ってくれなかったので(easy攻略時点)、作者が勝手に性格や口調を決めてしまいました。
ご了承下さい。



+++++++++++++++
 白玉楼に、“地下室”があった。
 雲の上に存在するそれを、果たして地下と呼んでいいのかは分からない。
それでも、地上で言う地下室に相当する部屋が、白玉楼にもあるのだ。
そこに、四肢を切断された射命丸文が軟禁されていた。


 逃げる事はできない。
その姿こそが原因一つでもあったのだが、もう一つ彼女が逃げられない理由があった。
 それは、恐怖だ。

 カラン、コロンと、可愛らしい下駄の音が地下室に響く。
 それと同時に、射命丸はビクリと体を縮める。
彼女は、抗おうにも抗えない。
逃げ出そうにも動けない。
結局、その恐怖から逃れる術など存在しないのだ。
 恐怖の根源が、そっと地下室の扉を開く。


「ご機嫌いかが?」
 どこか優雅で、そして異常に優しげな声で文に語りかけるのは、西行寺幽々子だ。
冥界に住む亡霊で、死を操る程度の能力を持つ。
 そんな大きな存在に声をかけられた文は、ガタガタと震えながら、言う。
「ご、ごめん、なさい……」
「……」
「ごめんなさ……」
「何回も聞いたのよそれはっ!」
 地下室に幽々子の怒声が響く。
元々の声質からか、怒鳴っても迫力のある声とは感じられない。
しかし、今の文にとって、それは何よりも恐ろしい声色なのだ。無論、死よりも。
 いっそ死んだ方が楽な気さえする。
 しかし、相手は死後の魂の行き先を決める存在。
そんな彼女に嫌われた状態で死んでも、結局は地獄なのだ。


 カランコロンカランコロン。
 早足で文に近づく幽々子。下駄が石質の床を叩く音が何とも美麗だ。
ただし、そう感じるのはまともな精神状態であり、かつ幽々子の怒りを買っていない者のみの感想。
どちらも満たせていない文にとって、それは恐怖のの始まりを告げる号砲に過ぎない。




 まるで壁に立てかけられているような文の前に立つや否や、幽々子の渾身の蹴りが文の腹にぶつかる。
「がはぁっ!」
「こっちは謝罪なんて求めちゃいないのよこの役立たずっ!!」
 蹴る、と言うより踏みつけると言った感じに、幽々子の暴力が続く。
何度も何度も腹を踏みつけられる文。
それなりに備わっている腹筋も全く意味を成さない。
 暫く踏まれている内に、文の股から白濁した液体が流れ出す。
 それを確認すると、幽々子は乱暴に文の髪を掴んで持ち上げ、その液体目掛けて文を投げつけた。
 両手足のない文は、受身を取るのは愚か、手を付くことさえ許されず、流れ出たそれに顔から突っ込む。
鼻を床に強打し、鼻血が流れ出れる。
床に広がった白濁色の液体と血が混じり、何とも気色の悪い彩りとなった。
「謝罪はいいの。卵をよこしなさい」
「で、でずがら……い、以前、言っだ通りなんでず……」
 文の股から流れたモノ。
それは、人里で散々受けた、人間の精液だった。
子宮に溜まったそれが、幽々子に蹴られた事で逆流してきたのだ。
「人との性交では……か、鴉天狗はぁ……子を孕めないんです……」
「……ッ」
 言葉を失う幽々子。

 以前、この射命丸の企画で、幻想郷内の様々な生物の卵を食べ歩いた事があった。
それの最後に、ルーミアに案内され、幽々子は生まれて初めて、勿論死しても初めて、天狗の卵の味を堪能した。
その味をどうしてももう一度……否。何度でも楽しみたいと、幽々子は射命丸を冥界へと持ち帰り、私物とした。
 人里の男共に文を犯させることで、文から卵を採ろうとしていたのだ。
あれほど楽しみにしていた天狗の卵。
思い出すだけでもう一度味わいたくなる、とても素晴らしい味であった。
文を捕らえた時点で、あれが定期的に食べられるのだと、幽々子は狂喜した。

 しかし、現実はコレだ。

 妖夢も紅魔館のメイドに教わり、卵料理が板についてきた。
そして、卵を産むための射命丸文。
準備は完璧だった。
 ところが、人間との性行為では、天狗は孕む事ができなかったのだ。
胎生の生物と卵生の生物の性行為では、やはり無理があったのだろうか。
 となると、文を孕ませるには他の鴉天狗と性行為をさせるしかない。
 しかし、それは山の天狗全てを敵に回す事になる。
弾幕ごっこでも、殺し合いでも負ける気は全くなかったが、生態系の崩壊を招いてしまう。
それに、そこまでの大騒動、若しくは大虐殺を行えば、さすがに博麗の巫女も黙ってはいないだろう。

 それでも、一度食べたあの卵の味が、どうしても忘れられなかった。
 それがかえって幽々子の気を立たせた。
もう一歩の所で手に入るものが、手に入らない。
それが溜まらなく悔しいのだ。
「あ〜!! 悔しい!!」
 精液に顔を埋める文の横っ腹に一発蹴りを見舞い、幽々子は地下室を後にした。

 静かになった地下室で、文はほっと胸を撫で下ろした。
「今日は、比較的穏やかにすみました……」
 幽々子の八つ当たりは、今に始まった事ではなかった。






 幽々子は以来、どうすれば天狗の卵を得られるかを考える事が多くなった。
元々、おっとりした性格だった為、考え事でボーっとしてても、誰かに怪しまれるような事はなかった。
 考えれているようで何一つ考えられていない、実のない思考をしながら外をうろついていると、ある人型の影が目に入った。
頭に被っている、と言うより乗せている帽子に見覚えがある。
「射命丸と同じものだわ」
 剣と盾を携えた、射命丸とは別の天狗だ。
獣のような耳と尻尾がある。
 興味本位と、僅かな希望を胸に、幽々子がその天狗に話しかける。
「こんにちは」
「え……あ、こんにちは」
 意表を突かれたように、天狗も挨拶を返す。
「何か探しものかしら?」
「何故、そんなことを」
「遠くから見てると、何かを探しているように見えたから」
「そうですか」
 少し陰りのある苦笑を含め、幽々子の問いに答える。
「仲間を探しているんです」
「?」
「射命丸文、と言う鴉天狗なのですが」
「知っているわ。新聞書いてる」
 行方も知っているが、ここでボロを出さないのが幽々子だ。
「いないの?」
「はい。普段からあまり山にはいないので、気に留めずにいたのですが、全然帰って来なくて……」
「……」
 その天狗は、天狗であるものの、姿かたちは文とは全く異なる天狗だった。
恐らく、鴉天狗ではないのだろう。
 幽々子の中の悪意が、再び燃え始める。
「お名前は?」
「犬走椛です」
「椛ね。文って、鴉天狗と言う天狗らしいけど」
「はい」
「あなたは違う?」
「はい。私は白狼天狗と言う種です」
「ふーん……」
――どうせ文をこれ以上性交させても、卵ができるとは思えない。ならば、一か八か、こいつに賭けてみてはどうだろう。
 欲望に、幽々子が負けた。
「椛」
「はい?」
「私は、もしかしたら文の行方の手がかりを持っているかもしれない」
「え!?」
「冥界まで来てくださる? 先日、あの子の物じゃないかなっていう物を拾ったの」
「は、はい! 勿論!」
 幽々子が身を翻す。
背を椛に向けたまま、幽々子は笑っていた。
優雅で、そしてあどけない笑み。
願いが叶った子供のような笑みだった。




*






 白玉楼の一室に監禁されている文は、疑問を感じていた。
いつもなら、孕む事は絶対にないが、人里に連れて行かれる時間だ。
それなのに、今日は妖夢が食事を運んできただけで、それ以外は何も起こっていない。
幽々子は一度も顔を見せていない。
「諦めてくれたんでしょうか」
 一人呟き、少しだけ安堵した。
だが、自分を取り巻く状況は決していいとは言えない。
ただ人里へ行かなくてよくなっただけなのだ。
幽々子の腹の虫が治まっていない限り、あの理不尽な暴力は続くのだろう。
 いつ幽々子が来てもいいように、心の準備をしっかりとしておいた。
痛みが和らぐ訳ではないが、しておかないよりはマシに思えた。
 そんな文の取り組みも空しく、二度目の食事を幽霊が運んできてからも、幽々子は現れなかった。


 彼女の感覚すると、大体夕方頃。
ようやく、カラン、コロンと言う下駄の音が鳴り出した。
「きた……」
 息を呑む文。
手足がないので、皿に盛られた食事を犬のように喰らい、その時口の周りについた食べ物をどうにか僅かに残った肩で拭い、その時を待つ。
だが、扉が開いた次の瞬間、文の視界が一瞬真っ白になった。
「え……?」
「ほら。今日からここがあなたの部屋」
 幽々子に背を押され、部屋に押し入れられる人影。
 白い髪と耳と尻尾。
赤い袴。
「椛……? な、なんで……」
「うふふ……これで私の夢も叶うわね」
「だといいですけどね」
 希望に満ちた幽々子。そしてそれに付き添う妖夢。
 耐え切れず、文が怒鳴り声を上げた。
「西行寺幽々子ォッ!!」
「?」
 何を突然、と言った表情で、地下室を立ち去ろうとした幽々子が振り返る。
「どうして!? どうして椛が!」
「ついてきてと言ったら付いてきてくれたのよ。あなたがあまりにも役立たずだから、明日からこの子が代わりよ」
「……何……?」
「鴉じゃ無理でも、狼なら大丈夫かもでしょ?」
「ま、まさか……」
 恐る恐る、椛の姿を見る。
 屈辱的で、どこか悲しげな表情と、涙で濡れた頬。
 赤い袴のいたるところに、何かで濡れた跡がある。
 遅かった。椛の純潔は、幽々子の欲望の為に奪われてしまっていた。
「明日からがんばっていい卵を孕んで頂戴ね。逃げるなんて考えちゃダメよ? そこの両手足のない役立たずな先輩がどうなってもいいってのなら逃げても構わないけど」
「……文……さん……?」
 意識が朦朧としていたのか、椛はようやく文に気づいたようだった。
 同時に、部屋の扉が閉まった。

 よろよろと椛が立ち上がり、文の変わり果てた姿を見る。
「文さん……生きておられたのですね……よかった……」
「椛……私を探してくれていたの……?」
「ええ。仕事熱心な文さんですから……山にいないなんて日常茶飯事でしたが、あまりにも空ける日が多くて……それで……」
「……ごめんなさい…………私のせいで……」
「いえ。文さんは悪くないです。悪いのは、あの亡霊ですから」
 閉まった扉の方を睨みつける椛。
まだその目には、反抗の意思が篭っていた。
「椛、明日からは絶対に幽々子の言う事を聞いちゃダメ」
「そんな訳にはいかないです。文さんが苦しむ事になっちゃいますから」
「いいのよ、私は。……もう、散々痛めつけられてるんだから……」
「いいえ。……きっと明日から、今日みたいな事が続くと思います」
 椛は、涙を堪えながら自分の考えを口にする。
「私が、人里で体を売り続ければ文さんは何もされません。私だって、犯されるだけなら死ぬ事もない。だから……それを続けて、逃亡の機会を待ちましょう」
「そんな……! そんなの、椛が……」
「大丈夫です。耐えてみせます。そして、また山へ帰りましょう。そして、幽々子がこんな事をしていたというのを霊夢さんにでも言えばいいでしょう」
「……」
「耐えてみせます。絶対に」




*





 次の日の明朝に、幽々子が椛を連れて部屋を出て行った。
文がその役を受け持っていた時とほぼ同じ時間。
これから昼過ぎまで、椛は望まない性交を強制されるのだと思うと、文は悲しみで一杯になってしまう。
いくら逃げる為とは言え、これではあまりに椛が可哀想だった。
そもそも、この状況の発端である卵巡りに、椛は一切関与していないにも関わらずこの仕打ちは、あまりに酷い。
「椛……ごめんなさい」
 謝って許される者ではないのかもしれないが、これを言わないと文の気が治まらなかった。


 異変を感じたのは、見知らぬ幽霊が二度目の食事を持ってきてからだ。
 食事は毎日、律儀に定刻通りに持ってくる。
しかし、二度目と言う事は、既に時は昼なのだろう。
「いつ帰ってくるのでしょうか……」
 自分が人里へ生かされていた頃は、既に帰ってきてもいい時間だ。
なのに、幽々子も椛も帰ってくる様子がない。
 椛も早く終えたいに決まっている。
食事も摂らず、文は椛の帰りを待ち続けた。
あの下駄の音が、扉の向こうでなるのを待ち続けた。


 そんな彼女の願いが叶ったのは、昨日と同じくらいの時間の夕方である。
ようやく下駄の音が響いた。
この音を待ち侘びる日がこようとは、文自身も思っていなかった。
 扉が開く。
先に顔を出したのは白髪の半霊。
その後に、椛を抱えた幽々子が顔を覗かせる。
「はい、お疲れ様」
 幽々子が投げ捨てるかのように、椛を部屋へと放り込む。
椛は昨日よりも酷い有様だった。
「この天狗はあなたよりも人気者よ、文。もう人が並ぶわ並ぶわ。ま、手も足もない薄気味悪い天狗なんて、その手の人間しか相手にしないでしょうから、当然かもしれないわね」
「……外道……!」
「この調子なら、近いうちに身篭ってくれるわ」
 頬に手を当て、うっとりとその時を待つ幽々子。
カランコロンと下駄を鳴らし、姿を消した。
 幽々子の姿が消えてから、椛がゆっくりと上体を起こした。
「椛……」
「大丈夫です」
 椛は無理に笑って見せた。
「こうすれば、二人の命は助かるんですから」
 そう言われると、もう文は何も言えなかった。
 興味本位で『卵巡り』なんてものを企画してしまった自分を呪うことしかできない。



 それからは、こんな日が続いた。
椛は人里へ。文はそれを見送る。
いつも夕方になってようやく椛は帰ってきた。
 これだけ屈辱的な日々を送ってなお、椛の瞳から光は消えなかった。
 逃亡の機会を、今か今かと伺っているのだ。
 まるで弾幕ごっこを攻略するかのような日々。
どうすれば痛くないか。どうすれば生きながらえることができるかを、身をもって模索するのだ。
失敗は成功の為の布石。成功の為の失敗に躊躇してはならないのだ。
 そんな日々が続き、苦痛すらもパターン化して、痛みに苦しみに鈍感になってきたある夜。
 そのパターンが崩壊した。



*





 珍しく、夕食を運んできた妖夢に付き添い、幽々子が部屋を訪れた。
「こんばんは」
「……」
 文は目を合わせない。椛はギロリと幽々子を睨みつける。
目が合ったが、幽々子は何も気にしていない様子だった。
「今日は椛ががんばってくれたから、ご馳走よ」
 ご馳走、といっても、普段より少しだけご飯の量が多い程度の粗末な夕食だ。
屈辱的この上なかったが、椛もそれを口にする。
 長い日々の中で、文の手足は完全に再生していた。
妖怪とはそういうものなのだ。
これで団扇さえあれば、逃亡を試みていたかもしれない。
だが、相手が相手なので、なかなか機会を掴む事ができずにいたのだ。

「椛ちゃん? かわいいかわいい赤ちゃんはまだかしら」
「……」
「もうっ。そんなに怖い顔しないで。ね?」
 上機嫌な幽々子。
それを見ていた妖夢が、不意に口を開いた。
「あの、幽々子様」
「何?」
「非常に申し上げにくいのですが……」
 椛と幽々子の顔を交互に見てから、妖夢が思い切ったように言い放った。
「果たして、この天狗は卵を産むのでしょうか」
 思いがけない妖夢の一言に、幽々子が目を見開く。
「どういう事?」
「この天狗はどうやら白狼天狗と言うらしいです」
「知ってるわ」
「じゃあこいつは狼、と言う事ですよね?」
 少しの静止の後、幽々子が一層大きく目を見開く。
妖夢が言わんとしている事に、気づいてしまったのだ。
「狼は、その、卵生でない筈なんです」
「……」
「ですから、白狼天狗も、胎生なのではないでしょうか」
 どこを見ているのか分からない様な瞳で、虚空を見つめる幽々子。
瞳の質感はそのままに、首だけがゆっくりと椛の方を向く。
 何も言わなかった。
だが、目は口ほどにものを言う、と言う言葉があるように、椛は幽々子が尋ねようとしている事を察した。
『あなたたちは卵を産まないの?』
――ここぞと言わんばかりに、椛が不適に笑んだ。
「そんな事にも気づけなかったのですか」



 椛を見つめたまま微動だにしない幽々子。
本当に少しも動かない。
椛と目は合っているが、きっと幽々子の視界に椛は映っていないのだろう。
 暫くして、変化が起こった。
幽々子の双眸に、涙が浮かんできたのだ。
そして、
「……うえええぇぇん……」
泣き崩れた。
 願いが叶わなかったくらいで泣き崩れる歳には決して見えない。
元々、子供っぽい性格なのだろう。
 妖夢が慌てて宥める。
「幽々子様、元気を出してください。明日のお夕飯は幽々子様の好きな物、何でも作ってあげますから」
「だって……えっく……だってぇ!」
「じゃ、じゃあお昼ご飯も何でもリクエストを受け付けますから。ね?」
 主の子供っぽさは、側近である妖夢は既に知っていたが、監禁している面々の前で泣き崩れられるのは今後に響くのではと危惧した。
だから、がんばってあやしているのだが、逆効果である。
 しかし。


 不意に、幽々子の肩に乗せていた妖夢の手が撥ね除けられた。
 その次の瞬間、幽々子の渾身の拳が椛の頬にぶつかっていた。
あまりに唐突な攻撃に回避すら行えず、椛は後頭部を壁に強打し、意識が飛びかける。
しかし幽々子に胸倉を引っ掴まれ、その卒倒は防がれてしまった。
 瞳に涙の跡を残す幽々子の顔が、ほんのすぐ先にまで近づいている。
その形相は、椛や文は愚か、妖夢すら見た事のない表情。
 普段は温厚な幽々子が本気で怒っているのだ。
 ギリギリと歯を食いしばり、その悔しさを、怒りを、憤りを表現している。
椛もその剣幕に言葉を失った。

「あんたたちは私をバカにしてるの!?」
 相変わらず迫力に欠ける声。
しかし、今の幽々子の表情を見れば、その迫力のない声が嘘のように感じてしまうだろう。
「鴉を捕らえりゃ孕めない! 狼を捕らえりゃ卵を産めない!」
 椛を床に叩きつける。
そして、喚き散らしながら八つ当たりのように椛を蹴り始めた。
「どうしてあんたたちは私の願いを叶えられないのよ!? 私をバカにしてるんでしょう!? そうでしょう!」
 蹴られながらも、椛は幽々子を睨み続けた。
どんな罵詈雑言も一切無視した。
椛は暴力にも、罵倒にも屈しなかった。
「な、何よ」
「……」
「何なのよ、その目は」
「……」
 お互いに目を離さずに、両者の視線がぶつかった。
暫くして、幽々子が身を翻した。






 早足で自室へと向かう幽々子を、短い脚で妖夢が必死に追いかける。
「ゆ、幽々子様」
「何」
「どうするんです、あの二人。もう卵は産めないと分かりましたが……」
「そうね」
 ピタリ、と幽々子が足を止める。
「でも、卵はもういいの」
「え?」
「私ね、もっと楽しい事を見つけたわ」
 振り返った幽々子の表情は、さきほどとは打って変わっていた。
 への字に曲がった口は、優雅に上へとつりあがっている。
「椛を屈服させる」
「……椛を?」
「食前食後の運動に丁度いいわ。紫にも、体型を気にしなさいって言われてた事だし」
「……」
「明日から楽しみね。ふふっ」
 無邪気に、とんでもない事を言い出した主に、妖夢は苦笑いした。
「流石、幽々子様です」







*







 監禁された二人が、日常のパターンの崩壊を思い知らされる事となったのは、次の日の昼。
 処分に掛かってくるのではと、椛は最後の抵抗の為に心の準備をしておいた。
しかし、幽々子は朝は現れなかった。
 昼になり、ようやく下駄の音が響きだした。
「来ました」
「そうみたいね」
「文さん、準備はいいですか」
「ええ」
 扉の鍵の開く音。
ギィ、と錆付いた音を響かせ、扉が開く。
 先手必勝と言わんばかりに、椛がそれに飛びかかろうとした。
しかし。
「っ!?」
「残念でした」
 幽々子の意地悪な声。
下で妖夢が刀を構えていた。
「バカねぇ。私が何の対策も無しに来ると思った? あんたが私に攻めて掛かってくるんじゃないかって事くらい察せるわ。妖夢、椛を抑えておきなさい」
「はい」
 刀を首筋に当て、椛の行動の自由を奪う。
それを確認すると、幽々子は文の元へと歩いていく。
 カラン、コロン、カラン、コロン。
何とも優雅な足取りが、風情ある音を鳴らす。
 幽々子が文の目の前に立ち、暫く屈む文を見下ろしていた。
「な、何です」
「いろいろ考えてみたのよ」

 微笑みながらそう言うと、幽々子が文の胸倉を掴んだ。
即座に椛が割って入ろうとしたが、妖夢に制止されてしまう。
「そもそも、こんな状況になったのはみんなあんたのせいだったものね」
「ぐぅ……!」
「卵巡りなんて企画したのもあんた。企画さえなければ天狗の卵だって食べられなかったし。食べられなければもう一度食べたいなんて考えは生まれなかった。それさえなければこんなに悔しい思いをする事もなかった」
「そ、そんなの……」
「しっかりと責任を取ってもらうからね」
 幽々子が指をパチンと鳴らす。
 閉めていない扉から霊魂がふよふよと飛んできた。
球状の霊魂は、頭の上に何かを載せていた。
それは、木刀だった。
 幽々子はその木刀を徐に掴み、力一杯文に向かって振り下ろす。
「痛っ!」
「もはやあんたに残された贖罪の方法なんてこれくらいなものなのよ」
 言いながら幽々子は、何度も文を木刀で殴る。
手足は再生しているから、手でどうにか防ぐ事はできている。
しかし、そんな防衛手段は申し訳程度の効果しか発揮してくれない。
「ほら、ほら、ほら! 前みたいに言いなさいよ! 謝りなさいよほら!」
「痛いです! や、やめて……! いぎぃっ!」
 ガムシャラに振り下ろされる木刀が偶然指にあたり、爪が割れた。
それに絶叫する余裕もないほど、間髪入れずに次の攻撃がくる。
 次第に文の悲鳴は聞こえなくなった。
 憧れていた先輩が理不尽な暴力を受けているのを見せられた椛は、狂ったように叫んでいた。
「止めろ!! 止めろ止めろ止めろォ!! なんで文さんを……!」
 叫ぶ椛を、幽々子がチラリと横目で見る。
 悲しみと怒りに歪む椛の顔を見て、幽々子は心の中で喜びに浸っていた。
椛のその表情が。言葉が。文を慕い、敬い、庇うその態度が、幽々子の嗜虐性を加速させる。

 木刀を放り投げ、文の首を掴む。
「ひぃっ……!?」
「もうここで絞め殺してあげましょうか」
「……や……ゃめ……えぇ……」
 実に楽しそうに文の首を絞め始めた幽々子。
狭く暗い地下室に、椛の声が響く。
「止めろォ!! 止めろったら!!」
「それが人に物事を頼む態度かしら? 天狗の社会ってのはこの程度なの?」
「……ッ!」
 椛は握り拳を作り、肩を震わせて泣いていた。
 だが、ここでプライドなんてものを護っている場合ではなかった。
このままでは文の命が危ない。
 ゆっくりと、床に掌と膝を額付ける。
「お……お願いします……文さんを離してください……!」
「それだけぇ? さっきの無礼な態度についての謝罪とかは?」
「……白狼天狗の分際で、偉そうな態度をとって、申し訳ありませんでした」
「はいはい。よく言えました。……あら。気絶してるわ、こいつ」
 長い時間首を絞められ、文は昏倒していた。
幽々子は乱暴を首から手を離し、木刀を拾うと、妖夢と共に部屋を出た。
 二人が出て行った直後、椛が駆け寄り、文の体を揺さぶる。
息はしていた。脈もある。
「よかった……」
 突然の幽々子の変貌に、椛は恐怖していた。
 その日、彼女が漠然と思い浮かべていた不安は、的中した。
 幽々子の文への暴力は、何日も続いた。
その間、椛は何故かほとんど相手にされなかった。
まるで見せ付けであるかのように、文だけ暴力を振るわれ続けた。




 そんな、ある日の事だった。
 傷だらけで死んだような目をしている文と、無傷の椛。
申し訳なさと不甲斐なさから、椛は文にほとんど話しかけられずにいた。
その日も、二人は大きく距離を取り、床に黙って座っていた。
 そして、いつもの下駄の音。
開け放たれた扉の向こうに、いつもの二人。
だが、今日はいつもに増して荷物が多い。
鞭や木刀などの、拷問用の道具を持ってくる事が多くなってきていたが、今日はそれらとはコンセプトが違った。
斧や鋸や桐などの、殺傷性の高い道具を持ってきたのだ。
「さあ。今日はゲームをするわよ」
 楽しそうに幽々子は、工具箱のようなものの中からそれらの道具を取り出す。
まるで飯事遊びでも始めるかのような無邪気な笑顔。妖夢もそれに付き添っている。
「いい椛。ルールを説明するわ。一回しか説明しないからよく聞いて」
「?」
「これから私とあなたでゲームをする。あなたが勝ったら何もしない。私が勝ったら……」
 チラリと文を横目で見る。そして視線を戻し、言う。
「文の四肢の一つを切断する」
「え――」
「あなたがルールを破っても切断。私に歯向かおうものなら問答無用で切断。ゲームを放棄しても切断。わかったわね? 簡単でしょ? じゃあ始めましょ」
「ちょ、ちょっと……!」
「まずは超公平にじゃんけんゲーム。じゃーんけーん……」
 強引にゲームを開始した幽々子。
椛は文の表情を伺った。
一体、これは何の冗談だと言った感じの文の表情。
目を見開いて、まるで幽々子が夢の中の存在かのような眼差しを向けている。無論、これは現実である。
「ぽん!」
 幽々子がグー。椛がチョキ。
「きゃー! 勝っちゃった! って事で右腕頂きっ」
 置いておいた手斧を握り締め、乱暴に一振り。
肘と肩の間を斧が通り抜ける。
ドサリと、文の腕が落ちた。
噴出した血で文の顔が濡れる。そこでようやく、文は起こった出来事を理解したようだった。
「うあああああぁぁぁぁぁ!!」
「文さん!」
「じゃあ次も公平にジャンケンね! じゃんけん、ぽん!」
 あまりの展開の速さに、椛は追いつけなかった。
即座に出した握り拳の先にあったのは、真っ白い幽々子の掌。
「やった二連勝! 左腕もお預け!」
 泣き叫びながら右腕を押さえる文をうつ伏せに押し倒し、伸ばされた左腕に斧を振り下ろす。
刃と石質の床の間で強引に左腕が刎ねられた。
「いぎゃあああああああああああぁぁぁぁぁ!!!」
「ふっふーん。私ったら、ほんとに最強ね」
 椛まで、目の前の光景が信じられなくなった。
自分のせいで、文の両腕が切られてしまった。
文の身を案じるよりも先に、自責の念で涙が溢れてしまった。

「さて、ジャンケンは飽きたわ。次は……」
 面白そうなものはないかと幽々子が視線を外すと、転がっている文の腕が二本、目に入った。
「椛! 私が五十数えるまでにこの腕を食べなさい!」
「そ、そんな事できる訳が……!」
「できないならゲーム放棄で右脚が吹っ飛ぶけど、それでいい?」
「……!」
 泣き叫ぶ文を見る。
「(これ以上の苦痛は与えたくない……)」
 腕を拾い上げる。
そして、齧り付いた。
「吐いても敗北判定で右脚切るからね。いーち、にーい、さーん……」
 間延びした幽々子の声。
 椛は無心で喰らい続けた。これが文の腕であるという事を思い出すと、吐いてしまいそうだった。
だから、何も考えなかった。



「よんじゅー……終わり? よかったわね。右脚は護れたわ」
 口の周りに大量の血をつけ、目に涙を浮かべる椛。
文の腕を食った。
 その事実を、食してから実感する。
そして、耐え切れなくなった。
「……うえぇ……っ……げほっ……」
 食べたばかりの文の腕を吐き戻した。
途端に幽々子の表情が輝いた。
「あ、吐いた! 失敗!」
「え?」
 反論の隙も無く、お構いなしに斧を文の足へと落とす。
肉を貫通し、斧が床を叩く音が響いた後、文の絶叫が木霊する。
 吐瀉物を口元に引っ付けたまま、椛が声を荒げた。
「何で……なんで? 全部食べたのに、何でぇ!?」
「吐いたらダメだって言っておいたじゃない」
「食べた後だったじゃない!」
「吐いたら切るって言った。あんたが吐いたから切ったのよ。簡単な事じゃない」
「うう……! うああああああ!」
 激情に身を任せた椛が拳を握る。
今までやり場の無かった怒りを、眼前の亡霊へ向かって叫び声に変換してぶつける。
床を蹴り、一気に距離を詰める。
握った拳が幽々子の頬を捉える直前で、白髪の少女が割って入った。
 持っている刀の鞘で、椛を殴り飛ばす。
「よくやったわ妖夢」
「お安い御用です」
 視線を椛に向けたまま、妖夢が嬉しそうに返事をする。警戒を怠らず、刀を構えたままじっと椛を観察する。
殴り飛ばされた椛は、よろよろと立ち上がろうとして、再び倒れこんだ。
「負けた腹いせに私に殴りかかるわ、ルールを破るわ。とんでもない屑ね」
「全くです」
「最初に提示したルールを二個破ったわね。って事で、二箇所切断ね」
「や……やめ……ろぉ……!」
「やめないわ」
 床に置いた鋸を握った幽々子が、ペロリと舌を出して答える。


「ま、待ってぇ! そ、そんなので足を切るんじゃないでしょうね!?」
「切るわよ」
「嫌だ! 切るなら一思いに……」
 足を切る事を前提として話が進んでいる以上、この空間はもはや正常ではない。
しかし、その異常な空間の中に潜む僅かな安楽を、文は求め始めていた。
『逃亡』なんて言葉は、もう頭に浮かんでこなかった。
永遠に続きそうな地獄を、少しでも楽な方へと持っていく。
異常な空間を、文は知らず知らずの内に受け入れていた。
「嫌だ嫌だと言われると余計にやりたくなっちゃうのよねぇ」
 鋸のギザギザした刃が、文の足の上に乗る。
 ガチガチと歯を震わせ、涙を流す文。
もはや、新聞のネタを探して幻想郷中を飛び回っていた頃の、気丈で誇り高い態度は消え失せていた。
「お願いします!! お願いしますぅ! 卵だって何だって産みます! 何だってします! しますから……」
「ダメ」
 可愛らしい声の後に、ジャリジャリと文の皮膚が割かれ始めた。
「やだああああああぁぁぁぁぁあぁあ!! やべてください!! やべでぐだざいいいいいぃぃぃぃ!!!!」
「椛、聞こえる? あんたのルール違反の所為で大変な罰ゲームを遂行する羽目になったのよ」
 手を血で真っ赤に染めながら、鼻歌交じりに、まるで木で工作でもする子供のように、文の足をガリガリと削っていく。
あっという間に鋸の刃の半分が、文の脚の中に埋もれて見えなくなった。
「うああああああああぁぁぁあ!! 誰がぁああ! 誰か助けてえええええ!!」
「冥界には幽霊と私たちしかいませんよっと」
 初めてにしてはうまく鋸を操る幽々子。
が、しばらくして骨に到達してしまった。
「ありゃ。骨ね」
 暫く考え込む幽々子。
「妖夢ー。ハンマー取って」
「これですか」
「そう、それ」
 両手で扱う大型のハンマーを手渡され、幽々子が柄を握って立ち上がる。
「強硬手段っと」
 鋸で半分くらい削られた脚に向かって、ハンマーを振り下ろす。
ベキッという軽快な音。
 だが、文はもうまともに反応もしなくなっていた。
ビクンと体を動かした以外、何も起こらない。
 残りは面倒くさくなって斧で切った。
「よし。切断完了。椛、生きてる?」
 一時の感情に身を任せた所為で、文を苦しめてしまった自分を呪うように、椛は頭を抱えて震えていた。
誰に言う訳でもなく、謝罪の言葉を繰り返している。
「さてと。次は『私に殴りかかった』件の切断ね」
「……もぅ……痛いの……嫌……です……」
「四肢は全部取っちゃったし……他に奪う所が……」
 涙、鼻水、汗、涎、尿、血など、あらゆる液体を出しつくし、どろどろに汚れきって横たわる文を眺める。
そして、ポンと手を打ち、床に並べた道具の一つを手に取った。
「まだあるじゃないっ」
 手に取ったのは、桐だった。
「目が残ってたわね」

 今度こそ、文は言葉を失った。
『めがのこってたわね』
 この言葉を瞬時に頭の中で何度も何度も反芻する。
 文は今から奪われるらしい部位を用いて、幽々子を見上げてみた。
血塗れの手には尖った桐。
いつもの和やかな表情。しかしその表情には一切の冗談も含んでいない。
「よし。張り切っていくわよ」
 文の傍に正座し、後頭部を抱える。
そして、桐の尖端を向け始めた。
「ああああああああああぁぁあぁぁっぁぁぁあ!!」
「よしよし。いい子いい子」
「やだぁあ!!!! 椛! 椛助けて!!!! 椛!! 椛ぃ!!」
「文さん……!」
「行ったらダメですよ」
「やだ、この子ったら、おしっこ漏らしちゃって」
「霊夢さん!! 魔理紗さん!! アリスさん!! レミリアさん!! 咲夜さん!! だれか、だれかあああぁぁぁぁ!!!」
 知る限りの助けてくれそうな名を挙げる。しかし、誰もここには居はしないし、声は届かない。
「最後の罰ゲームよ。我慢なさいね」
 ゆっくりと。
本当にゆっくりと。桐を文の眼球へと挿入する。
「があああああああああああぁぁぁぁぁぁああ!!!」






*







 両手足と目を失ってから、文は眠っている事が多くなった。
目には包帯が巻かれていて、寝ているか否かは判断しづらい。
 ほとんど死んだような文を、椛は看病し続けた。
目元に隈を作り、髪はボサボサで、げっそりとやせ細ってしまった椛だが、それでも生きていた。
 妖夢が運んでくる食事を、文に食べさせてやるのだ。
「文さん、ご飯です」
 文は何も言わず、口を大きく開ける。
零したり、口の周りを汚したりしながら、椛に入れられた食事を食む。


 部屋の外で、妖夢が幽々子の元へと飛んできた。
「幽々子様。魔理紗さんが来られました」
「魔理紗が?」
「はい。大至急、博麗神社に来て欲しいとの事です。魔法の森の虫が大きくなったとか、何とかで」
「異変と言う訳ね。いいわ。行きましょう」
「あ、地下室のあいつらはどうしますか?」
 幽々子は地下室の方を向き、言った。
「放っておきましょう。どっちにしろ助けるつもりはないし」
「そうですか」
「幽霊たちにも、あいつらの食事は要らないと伝えておきなさい」





*




「文さん、ご飯です」
 椛の声。
文は黙って口を開ける。



次の日。
「文さん。ご飯です」
 椛の声。
文は黙って口を開ける。



その次の日。
「文さん。ご飯です」
 椛の声。
文は黙って口を開ける。




その次の次の日。
「文さん。ご飯です」
 椛の小さな声。
文は黙って口を開ける。
 少し特殊な食感がした。



その数日後。
「文さん。ご飯です」
 椛の掠れた声。
「すみません。手を縛られてしまいました。口移しでいいですか?」
文は黙って口を開ける。
「失礼します」
椛の口から、文の口へと食物が渡される。鉄の味が強い気がした。



その数日後。
椛の声は無かった。
文は何も口にできなくなった。




*






「意外と長引きましたね」
「そうね。でも、解決できてよかったわ」
 異変を解決し、冥界へと帰ってきた幽々子。
「ところで、地下室はどうなっているのでしょうか」
「二人とも死んでいるかもね」
 二人は地下室へと向かう。
扉を開ける。先に妖夢が部屋へ入った。
「ひえっ」
妖夢が小さな悲鳴を上げる。
幽々子も中に入ってみて、思わず息を呑んだ。
「どうなってんの、これ」


 文は久しぶりの他人の声に、耳を欹てた。
動くことはない。
「椛は死んでるわね」
「文は生きてるんですね。食事は与えていなかった筈です」
「……この骨、文の腕のものよね」
「そうみたいですね。こんなに血塗れでしたっけ?」
「椛の傷口から察するに、以前食わせた文の腕の骨を折って尖らせて、脚から削り切ったんでしょうね」
「もしかして……椛は自分を文に食わせていたんでしょうか」
「恐らく。足がなくなって、今度は腕。……ああ、片目も無い。両腕が無くなる前に目も食わせたんだわ、きっと」
「片腕が無くなって、もう片腕も食わせてたみたいですけど」
「口で千切ったのよ。口の周りに血がついてる」
「文は気づかなかったんでしょうか」
「悲鳴を殺していたんでしょうね。ご苦労様な事だわ」

 残された文を、幽々子は見据える。
文は、どういった訳か泣いていた。
「まあ、楽しませてくれたし、死後の世界くらいはいい所へ送ってあげるわ」
 幽々子の、死を操る程度の能力が展開された。
「それじゃあね。さようなら」
まず、前作への沢山のコメント、ありがとうございました。

 とても長くなりました。
誤字、脱字がかなりあるかもしれません。
 叫び声って難しいですね。
これから勉強していきたいです。

 ありがとうございました。
pnp
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2009/03/09 14:57:25
更新日時:
2009/03/10 08:47:14
1. 名無し ■2009/03/10 00:34:33
とても楽しめました。これからのご活躍をますます期待しております。
2. 名無し ■2009/03/10 02:16:23
前編のコミカルさが皆無に……
3. 名無し ■2009/03/10 02:36:57
なんという外道なゆゆ様
だがそれがいい
4. 名無し ■2009/03/10 03:31:39
うう、なんて可愛そうなんだ
見入ってしまったよ
5. 名無し ■2009/03/10 04:59:22
とてもよかったです、本当に心が踊るくらい!
自分もこれぐらいのものを書いてみたいものです
6. 名無し ■2009/03/10 08:45:24
椛かわいいよ椛
7. 名無し ■2009/03/10 10:26:35
文が微妙に自業自得なだけに、椛が輝く……(いい意味で
8. 名無し ■2009/03/11 00:29:53
良いもの読ませていただきました
極限状態の中、文に尽くす椛が綺麗だ……
9. 名無し ■2009/03/11 15:19:28
第二段落の椛と文の会話以降ニヤニヤがとまらない。どうしてくれる
10. 名無し ■2009/03/11 20:10:55
椛に泣いた
11. ■2009/03/11 23:12:40
痛いSSでした(痛覚的な意味で)。
そして椛が健気でいいかんじ
12. 名無し ■2009/03/14 16:11:05
レミリア「あら亡霊、楽しそうじゃない?私も混ぜなさいよ。」

レミリアが助けてくれるかは甚だ怪しいwと勝手に妄想。
13. 名無し ■2009/03/18 12:44:05
椛哀れすぎでワロタ
14. 名無し ■2009/03/23 09:40:15
ゆゆ様が超かわいいんですけどぉ
15. 名無し ■2009/03/24 09:51:08
椛・・・・。(´;ω;`)ブワ
16. 名無し ■2009/03/24 18:36:27
ゆゆさまのサディスティックさは自分の発想を超えてた
目を抉るのがラストあたりと繋がってるのもきれいだ
すげー面白かったです
17. 名無し ■2009/03/28 22:34:17
おー…、でもこれを見てすら、可愛さを失っていない面子がすごいなと思う。
レミリア、フランの吸血鬼って羽生えてるし卵生だったら…、とか妄想してしまった。
前回に引き続き面白かったです。
18. 名無し ■2010/04/24 23:27:10
椛がいいこすぎて辛い
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