お前やる気あんのか?

作品集: 1 投稿日時: 2009/03/14 21:34:43 更新日時: 2009/03/14 21:40:46
「わ、すごい! これ全部魔理沙が作ったの? 触っていーい? 駄目? じゃあ匂いだけでもっ」

 何もないところだけど上がってくれよ、と招かれた魔理沙の家には、普通の人間にはガラクタにしか見えないであろう物が散らかっていた。
 しかしそのガラクタの一つを拾い上げては、にとりは魔理沙にこれはなにかと尋ね、魔理沙は自慢げに答える。まんざらでもない様子だった。
 そんな問答の繰り返しの中で、魔理沙が一瞬、何かを言おうとして口ごもる。
 にとりは『どうしたの?』と尋ねるが、魔理沙は煮え切らない様子で、それでも意を決した様子で、それを口にした。

「あの、さ…よかったら、明日は私がにとりの家に行ってもいいかな」

 にとりの表情が一瞬だけ曇った。人見知りの彼女は、これまで他人を家にあげたことがなかったのだ。そもそも他人の家にあがることすら初めてだ。
 しかし今日までの数ヶ月間を過ごしてきた魔理沙との時間が、彼女の迷いを吹き飛ばした。

「うん、いいよ」

 明るい笑顔だった。それにつられるように、魔理沙の表情も笑顔になっている。にとりの心からのそれとは違う、半分だけの作り笑顔だったことを、にとりに知る術はない。


 その翌日、にとりの家には魔理沙の姿があった。

「へへ、散らかってるでしょ? 適当に足場作ってくつろいでてよ。紅茶いれてくるね。緑茶の方が好き? うん、ちゃんとあるよ」

 ―――その言葉を言った辺りから、にとりの記憶は途切れていた。










にとまりバトルロワイアル『お前やる気あんのか?』編




「ん…」

 視界がぼやける。意識がはっきりしない。自分はどうしてこんな所に居るのか?
 にとりの右手は手錠と長い鎖を経て天井とつながれていた。左手も同じ状況だ。

「なに、これ……? なんで私裸なの…? ねえっ…!」

 そこには魔理沙が居た。
 魔理沙は読んでいた本を閉じにとりにつかつかと歩み寄ると、その頬を思いっきり叩いた。

「…ねえ、魔理沙……私達、友達だよね…?」
 
 何がおかしいのか、魔理沙は突然吹き出した。こらえていた笑いが徐々に大きくなり、仕舞いには大笑いしながら、ポケットから取り出したもので、にとりを打った。

「ひっ…!」

 正確には、その横の壁をだ。鞭を使うのは初めての経験なので、狙いが上手く定まらないのだろう。

「ひゃーっはっはっはっは!!!! 友達ィ!!? 私が? お前のォ!!??? 馬鹿言ってんじゃねェよ馬鹿があああ!!! 馬鹿じゃねえかああああ!????」

 魔理沙の右腕が狂ったように振り回される。真っ白な肌に赤い筋が一本、また一本と増えるたびに、にとりはくぐもった悲鳴をあげる。

「私は!! 河童の発明が欲しくて!! この数ヶ月テメェーと友達面してやっただけだろォオオオ!??? この状況でまァだそれがわかンねえのかよぉおおおお!!!!!」

 鞭の激痛なんて感じなかった。叩かれてもいない胸が、締め付けられるように痛むのを感じた。
 やがて疲労がきたのか、魔理沙は鞭を置いた。
 そして、傍らに置いてあった歯車をくるくる回した。

「ぐっ……痛ッ…!」
 
 それはにとりの両腕を縛っている鎖と直結していた。結果、にとりの体を10cmほど浮かせた。つまさきがギリギリ地面につくぐらいの状態だ。

「いくつか発明品を拝借するだけのつもりだったが、もっといいこと考えたぜ。お前を私の助手として雇ってやる。何かいい発明をすれば鎖を10cm長くしてやる。簡単なギブアンドテイクだろ?」

 にとりは魔理沙の顔につばを吐きかけた。この数ヶ月友人として付き合った人間に、威勢よく言い放った。

「ふざけるな!! ここから出せ!」

 魔理沙は顔面をぬぐい、そこからは普段見せた事のない醜悪な顔をのぞかせた。にとりは数秒前の虚勢が剥がれていくのを感じていた。

 魔理沙がガラガラと歯車を回すと、にとりの体がまた10cm浮いた。両足はもう地面についていない。両肩の関節が軋み始めるのを感じた。

「ひっ……ギっ…! ィイイイいいいい!!! ぃ…痛いよぉ…魔理沙、助けて…! やめてぇえ…!」

 涙混じりの声をあげながらにとりは、天井、壁、床、すべてがコンクリートでできているこの部屋に、自分の創り出した機械達が置いてあることに気づく。
 魔理沙が今手に持っているものも、まさにそのうちの一つだった。

「変わった能力を持った知り合いがいてな。これの名称と用途も知ってるぜ?」

 『スタンガン』だ。か細い声で抵抗するにとりの真っ白な肌にそれを押し当て、スイッチを入れた。

「痛ッ……ァああああああああああああ!!!! グッ、ぎッ、がぁあアアアアア
ア!!!!」

 魔理沙はニヤニヤといやらしい笑みを浮かべながら、ビクビクと飛び跳ねるにとりを眺めている。

「ャ、ベデ…! アッ、アッ、アガッ、いぃいイイイイ!!!!!」

 魔理沙は一旦スタンガンのスイッチを切った。にとりは荒々しく息をつく。心底では、やっと終わったと思って安堵していた。

 しかしその認識が甘かったことを思い知らされる。魔理沙はニヤニヤとした笑みを向けながら、スタンガンをにとりの秘所にあてがった。涙、鼻水だらけのにとりの顔を覗き込む魔理沙に、にとりはか細い声で言った。

「ごめ…なさい……ごめん、なさい……お願いします……許して…くださ、い……っひッ…! ぅううう……!!」

 何がおかしいのか、魔理沙は腹を抱えて笑い始めた。にとりの背筋が凍った。そして魔理沙のか細い指が今にもスタンガンのスイッチを入れそうになっていることに恐怖し、失禁すらしそうになった。


 ……ピピピピピ…。

 謎の電子音が鳴り響いた。その音源は、にとりから左側の地面に置いてある、デジタル式の目覚まし時計だった。『19:00』と表示されている。

「7時……晩御飯の時間だな。少し待ってろ」

 魔理沙は一度立ち去り、数分後に再びやってきた。
 そして持ってきたチャーハンをにとりの前に置いた。もちろん両手はふさがっているし、地面においてあるそれを食べる手段もない。
 
 ―――食べたければ手錠を長くしろ、ということだろうか?
 そう思っていたにとりにとって、それは不可解な行動だった。
 魔理沙はにとりの両手を拘束していた手錠をあっさり外してしまったのだ。

「食べ終わったらちゃんと発明品を考えろよ。反抗的だとまた拘束するぜ」

 魔理沙が去った後、食べながら考えた。
 恐らく、ここは魔理沙の家だろう。そうでないにしても、調理された食料を数分で持ってくることができるということは、少なくともどこかの建物の中の一室なのだ。
 つまり、この部屋を脱出したからといってすぐに外に出られる保障はない。
 今は脱走なんて考えるより、魔理沙に従っていたほうが懸命だと思った。

「食べ終わったか? 食器を下げに来たぜ。それに、紙とペン。機械類のパーツもこれだけあれば十分だろ? 何か足りないものがあったら言ってくれ」

 魔理沙は『トイレは隅の穴』と言い残して、部屋から出て行った。
 にとりは、早速鉛筆を取り、新しい発明の設計図を書き始めた。以前から企画だけは溜まっていながらも、材料費や時間の都合で作れなかったメカがいくつもある。まずはそれから作ろうと思った。



 ピピピピピ…と、目覚まし時計が鳴った。それは『7:00』と表示されている。
 カレーライスを持った魔理沙が現れ、時計を止めた。
 魔理沙は全く進んでいない企画書を見て、小さくため息をついた。

「どういうことだ? にとり。全然進んでないじゃないか」

 そう。奇妙だった。当のにとりにも違和感があった。この晩、なぜか脳に霧がかかったように、自分の思考力が働かなかったのだ。

 そんなことを考えているうちに魔理沙は、にとりの両手を再び手錠で固定した。

 魔理沙はにとりの顎を掴んだ。ねじ切れるぐらいに力を入れると、にとりの口が無防備に開かれた。
 そして持っていたペンチを口の中にねじ込んで、にとりの前歯を挟んだ。

「ひっ…!? や、やめへ……魔理……ア゛がッ!!!!」

 コーン、と、床に白いものがうちつけられ、血がボタボタと滴り落ちた。

「お前やる気あんのか? 明日までにまだ出来てなかったら……。また歯じゃあ面白みがないから……そうだな、今度は耳でも落とすか」

 魔理沙はにとりの手錠を外し、部屋から出た。目の前にはスプーンと一緒に残されたカレーライスがあった。

 にとりは目の前にある香ばしい香に引き寄せられるようにスプーンを握った。しかし、それを地面にたたきつける。

 そう。昨晩、あのチャーハンを食べたときから、どうにも頭が働かない。恐ろしい想像だが、魔理沙は、現時点でにとりを従わせる気などないのではないか。

 つまりクスリによって少しずつ頭を支配して行き、最終的に屈服させるつもりなのでは?

「馬鹿げてる。そんな状態で発明なんかできるわけがない」

 そう、できるわけがない。しかし、できなかった結果が、未だに口の中の鋭い痛みとして残っている。

 次に魔理沙が来るのは昼だろうか。夜だろうか。いずれにせよ、にとりはこのカレーに手をつけるべきではないと思った。部屋の隅に並べてあるメカの一つを解体し、その内部にカレーを流し込んだ。

 やがて魔理沙が食器を下げにやってきた。

「あれ? もう食べ終わってたのか。食べ終わるのが少し早いんじゃないか?」

 カマをかけているだけだ。自分がクスリのことに気づいたことを、魔理沙に感づかれてはならない。にとりは慎重にそれを悟られぬよう返した。
 
 そして、魔理沙が部屋から出る一連の動作の、ちょっとした違和感に気づけたのは、例のクスリを摂取しなかったおかげだろうか。

 魔理沙は『ガチャ』と扉を開けて、出て、『バダム』と扉を閉めた。
 ……その一連の動作に、一つの音が足りない気がした。
 それはつまり、にとりをここに閉じ込めておくための必要条件どころか前提条件ですらある、施錠の音。

 にとりはふと考えた。そもそもこの扉に、鍵なんてついているのか?
 自分は昨晩からそう思い込んでいるが、それもクスリで弱った脳だ。信用に値しない。
 この扉、いつも魔理沙が出入りする際、施錠の音がまるでしないのだ。

 そんな無用心な話があるだろうか、などと色々考えていたが、そんなのは無意味だと思った。
 施錠されているかどうかなんて、実際にドアノブをひねってみればわかることだからだ。
 駄目で元々。握ってみたドアノブをひねると、ガチャ、と、軽快な音がした。

「ぇ…?」

 ドアノブを握った腕が押し出された。ギィ、と、扉が開いた。


 ガッシャーーーン!!!!

 鉄と石の弾ける、かなりでかい音だった。それは、天井から降りてきた鉄の柵が、石の床に激突した音だ。
 ほら、アクションゲームとかであるじゃないか。部屋に入った主人公達を閉じ込めるために、鉄の柵が落ちてくる、みたいな……。ただその柵の先端が槍のように尖っていて、さらに、内側から扉を開けた人間を狙いすましたように、その一点にのみそれが落ちてて……。

「ア゛っ、ギ、ォゴ、ェエエ、エ……」

 頭部から侵入した鉄槍は、にとりの食道、胃、腸を貫通し、下半身に穴を一つ増やして、地面に突き刺さる。その騒音は、魔理沙を呼び出す警報装置の役割も果たしていた。

「よぉにとり。この鉄柵な、ドアノブのここんところあるだろ? ここを押しながら回さ
ないと落ちてくる仕組みなんだ。なんでこんなモノがお前に突き刺さってるんだ? なぁ?」

「ぁ……ぇおぁあぉええ……」

 あまりの激痛ににとりは、喋ることさえままならなかった。

「はは、痛いのか? そうだよなぁ。いくら妖怪でもなぁ……」

 魔理沙はにとりの頭から生えている棒をガシッと掴んだ。

「こんなっ! 鉄の棒で!!こんな風に!!! 貫通したら痛いに決まってるよなぁああアア!!!!!」

 そしてそれを回して、生クリームをあわ立てるみたいににとりの内部をかき混ぜ始めた。文字通り直接内臓をほじくられる感覚と、それを凌駕する激痛に、にとりは血と胃液とチャーハンの混ざったものを吐き出した。

「アギャアアガガガガアィオゲエエエエエエエ!!!!!!!!!!!!」

 にとりの眼は正常な方向を向いてはいなかった。口から赤い液体をぶちまけながら、言葉にならない悲鳴をあげた。
 そんな中、魔理沙がキョトンとして、わざとらしく言った。

「あれ? にとり。さっき食べたカレーはどこ行った?」

「ぃ……ぃぁぁい…」

「ははは、『知らない』ってか? …………そんなワケないよなァアアアアアアアにとりィいいいいい!!!!!!!」

 魔理沙は血走った眼でにとりを貫いている棒を引き抜いた。『オゲッ』と、くぐもった声が聞こえたが、そんなことはお構いなしに、魔理沙は恋符を持ち、にとりの腹部を吹っ飛ばした。バスケットボール大の穴がポカンと開いた。

「ホラッ!!! コレのドコにッ!!!! カレーが入ってるンだよにとりィいいイイ!!!! さっきお前『ご馳走様』って言ったよなァアあああ!!??? テメエは舐めてんのかァアアアこの私をぉおオオオオ!!!!!!!!!

 魔理沙はにとりの腹部に手を突っ込んで、上下左右かまわずぐちゃぐちゃといじくりま
わした。

「ォゲっ、アッゲェエエエエガアァァアアアアアアアアア!!!!!!!!!!! ィギィいいイギいいィアイアッギャガガギャアアアアアア!!!!!!!!!!!!」
   
 もはやその声は人間のものではない。ああ、妖怪だったか。と、魔理沙は小さく笑った。
 そしてにとりの腹から一本の管をとりだし、その眼前につきだす。

「この腸を引きちぎってみるか? お前がカレーを食べたってことを立証するために」

 にとりは閉じなくなった口から言葉を発することができない。
 魔理沙は両手で掴んだそれを、容赦なく引きちぎって見せた。

「ヒギャぁアあああアアアアアアァァァアアアアア!!!!!!!!!!!!!」

 石張りの壁は赤黒く染まり、床にはにとりの出した排泄物が垂れ流しになっていた。や
がてにとりは意識を失った。



 意識を取り戻した時部屋にあったのは、見るも無残なにとりの姿だった。両腕がなかった。デジタル時計は『2:03』を示していた。

「はぁ……はぁ……!」

 腹には穴が開いている。呼吸もままならない。それでもにとりは力を振り絞った。ドアノブをひねるための手はないが、逃げるための脚は残っている。

「はぁ……ッぐ!! ぅぐぅうううう!!!!」

 傷口が軋む。それでもにとりは、扉に蹴りを放つのをやめなかった。石張りの部屋なのに、扉だけは木製だ。鍵がかかっていないのだから、本来は破壊する必要すらない扉を、にとりは蹴り続ける。
 逃げ出すなら今だ。今は深夜なのだ。魔理沙が就寝しているであろうこの時刻が唯一、脱出の機なのだ。
 バキ、という音がした。にとりは自分の脚が砕けたのかと思った。しかし、ギィ、と、扉がずれる音がした。
 ―――――扉が開いた!
 そのまま扉に体当たりをした。扉が倒れるのと同時に、にとりは部屋から飛び出した。
 部屋を出て、一本道の階段を登った。とても長い階段だった。大体三十分ぐらい登っただろうか。しばらくすると、魔理沙の部屋に出た。
「はぁー……ハー……ハー…」
 もう自分の呼吸がどこから出ているのかもわからない。出口はすぐそこだった。自分はもうすぐ、助かるのだ。
 扉に手をかけた。
 その時背後で、床を踏む音がした。にとりは振り返ることができなかった。

「よぉ、にとり」

 その声だけで、残り少ないにとりの内臓を押しつぶせてしまいそうだった。

「どこ行くんだ? こんな真昼間に」

 昼間、という魔理沙の言葉と、窓から差し込む太陽の光に疑問を持つ。
 馬鹿な。自分は確かに時計が深夜の2時を示している時間に脱出したはずだ。
 自分をここに閉じ込めた張本人魔理沙に渡された、その気になればいくらでも時間などずらせるデジタルの目覚まし時計が深夜2時を示している時間に……。

「う、そ……」

 信じられない、と言った表情で、にとりはようやく魔理沙を振り向く。魔理沙の表情は、これ以上ないくらい醜悪に歪んでいた。

「ヒャーッハハハハハハハ!!!! ところがどっこい! 夢じゃありません! 現実です! これが現実…!」

 魔理沙の手には、切断のための道具が握られている。それは包丁でも、にとりの両腕を落としたのこぎりでもない。
 番線カッターだった。魔理沙はそれを、にとりの細い脚にあてがった。
 ―――二度と脱走なんてできないように。

 短い悲鳴をあげた後、反射的ににとりは背を向け、扉を開けて走り出していた。

 魔理沙の顔は正気ではなかった。このままでは自分は一生を、奴隷として魔理沙に飼い殺されることで終わってしまう。
 そんなのは嫌だ。奴隷として生きるよりは、気高い河童の一族として死んでやる。

 その時、にとりは自分に向かってくる弾幕に気づいた。それはにとりの脚に向かっており、殺傷力はないが、軽く負傷させ、満身創痍の彼女を横転させる程度の威力だ。
 それでも両腕のないにとりにとっては、それを食らうことは捕まることと同義だ。徐々に迫り来る弾の恐怖が、にとりの歯でその舌を挟ませた。

「……あ?」

 にとりが舌を噛み切ろうとした瞬間。魔理沙が変な声を出す。弾はにとりに当たっていないが、極度の疲労から脚がほつれ、地面に倒れてしまった。
 魔理沙の放った弾は、突然飛んできたお札によって叩き落されていた。

「ようやく見つけたわよ魔理沙。これ以上この子に手を出すのは私が……博麗の巫女が許
さない」

 魔理沙は舌打ちをして恋符を構える。対する霊夢は、スペルカードをセットしない。その様子を見て、霊夢の実力をよく知る魔理沙も、ケラケラと笑い始める。

「オイオイ霊夢、いいのかよ? いくらお前でもこの至近距離で、スペルカードもなしにマスタースパークを食らって無事でいられると思うのかぁ?」

 霊夢は道端で潰れて死んでいるカエルを見るような目で魔理沙を見据えた。そしてすぐに目をそらした。

「そんな無駄口上が無くても溜めの長いマスタースパークを選んだ時点で、私には指一本動かす必要がない。私が貴方ならせいぜい、この子をいじめてきた体と頭のお別れの挨拶でもするのが一番賢い行動だと思うわ」

 理解できない、といった表情が、魔理沙の最後の表情で…。

「何を言って……」

 という台詞が、魔理沙の最後の言葉だった。
 最初に魔理沙の弾を撃ち落とすために霊夢の投げたお札の枚数は、魔理沙の弾より一枚多かった。その一枚がどこにむかって投げられたものなのかなんて、言うまでもない。
 棒立ちする体をよそに、魔理沙の頭が地面に落ちる。一瞬遅れて、体のほうの断面から
血が噴出した。にとりが流したのと全く同じ、赤い血だった。

「可愛そうに、にとり……こんな姿になっちゃって」

 霊夢は意識も虚ろになっているにとりを抱き上げた。いつの間にか、損失した両腕は元通りになっていた。腹の大穴も、体中の鞭の痕もなくなっていた。
 そういえば一日ごぶさたしていた太陽の光をあびながら、にとりはそっと目を閉じた。
 瞼から差し込む日の光が、心地よかった……。






















「お〜い、にとりー? 死んでるのかー?」

 デジタル時計は『2:32』を示していた。石張りの部屋で、腹に大穴を空けられ、両腕、両足を切断されて、にとりは絶命していた。

「おかしいな、妖怪がこの程度のことで死ぬはずはないんだが……」

 そこまで言って魔理沙は、にとりの口から流れ出ている血が、舌の断面からのものであることに気づいた。


はじめましてuryknmです。
ここは初投稿になります。次回作の予定はありません。
タイトルはわりと適当です。
読了ありがとうございました
uryknm
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2009/03/14 21:34:43
更新日時:
2009/03/14 21:40:46
分類
魔理沙
にとり
グロ
バトロワ
1. 名無し ■2009/03/14 22:12:11
なるほど、夢オチか。
普通の夢オチだと助からないと思ったら助かってたとかあるけどこれは逆だねぇ。
面白かった。でもバトルロワイアルか?wこれ
2. 名無し ■2009/03/14 23:52:22
バトロワではないなw
だがGJ
3. 名無し ■2009/03/15 00:40:06
安部公房
4. n ■2009/03/15 03:32:28
むしろキューブ(映画)に近いものを感じた。
というか腹をえぐった方が血が出るだろうに、舌を噛み切っただけで死ねるのか…?
5. 名無し ■2009/03/15 09:28:06
河童って生命力こんな高かたっけ
舌噛み切ったんだから窒息死じゃないか?
6. 名無し ■2009/03/15 11:28:02
ひぐらしにもこんなのあったな、鎖を長くしていく奴
7. 名無し ■2010/09/27 22:38:43
一条だな
カイジの
8. ふすま ■2014/07/07 09:43:48
おもしろかったです。
魔理沙マジ外道
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード