銀のリング

作品集: 1 投稿日時: 2009/03/27 01:39:04 更新日時: 2009/04/16 01:39:54
※キャラ崩壊注意
※グロ注意












紅魔館の大図書館。

「錬金術は苦手だったけど、案外簡単にできちゃうのね。」

銀色をした手のひら大ほどの大きさのリングが、湯気を立てながら魔法陣から現れた。
紅茶を持ってきた咲夜が不思議そうに眺める。

「今度は何をお作りになられたんですか?」

咲夜がパチュリーの紅茶を淹れながら尋ねた。

「吸血鬼の力を封じ込める首輪よ。ためしに作ってみたら、成功しちゃったわ。」
「力を封じ込める…ですか?」
「そうよ。フランが暴れたときとか、役に立ちそうでしょ?」

出された紅茶を啜りながら、パチュリーが答えた。
咲夜はリングを眺めながら、ふと疑問に思った。首輪という割に、それは完全なリング状で切れ目などない。

「あの、これどうやって付けるんでしょう?」
「…でもやっぱりそう思うわよね。普通に考えたら、暴れだしてから付けるのなんて無理だもの。普段から付けてって言っても、怒るに決まってるし。」
「いえ、そうではなく…。」
「ん?…ああ、そのままリングを首に押し込めばいいの。直接人の手で押し込まないとダメだから、投げ当てたりしても無駄だけど。」

なるほど、魔具だけに付け方も特殊というわけだ。咲夜の興味は、リングの方へとどんどん引き寄せられていった。

「力を封じ込めるって、どのくらいですか?」
「…瀟洒な従者がずいぶんと食い付くわね。使う気満々かしら?」
「いえ!決してそんな…。」
「ふふ、冗談よ。あなたもレミィ達には苦労してるものね。」

笑いながらパチュリーは、リングの効果をざっと教えてくれた。
・装着中は、飛行、変身、再生、弾幕、スペルカード等、あらゆる能力が使えない。
・力は人間の子供程度まで落ちる。
・吸血鬼は自分でこのリングを外せない。
・吸血鬼にしか効果はない。

「ちなみに外すときは逆に引っ張ればいいから。」
「随分と強力なんですね…。」
「そうね。でもさっきも言ったけど実際吸血鬼との戦闘中に付けたりなんて無理だし、仮に付けれても他に仲間がいれば簡単に外されるし。本来実用性はないわ。
 まあ咲夜の能力なら暴れだしてから付けるのも比較的簡単だろうから、あなたに預けとくわ。いざというときは、よろしくね。」
「かしこまりました…。」

咲夜はリングを受け取ると、胸の高鳴りを悟られない内に足早に大図書館を出ていった。









「咲夜、今帰ったわ。」
「おかえりなさいませ、お嬢様。」

日没後、館の主が帰館する。咲夜は一礼をし、レミリアから日傘を受け取った。

「聞いてよ咲夜。霊夢ったら、『お茶ぐらいなら出すわよ』って言ってホントにお茶しか出さないのよ。」
「…次お出かけになるとき、お菓子か何かご用意しましょうか?」
「ええ、お願いするわ。」

口では愚痴を言いつつも、上機嫌なレミリア。楽しそうに神社での出来事を話す彼女は、非常に可愛らしかった。
紅霧異変以降、レミリアは毎日のように博麗神社に行っていた。
しかも初めの頃は咲夜と一緒に神社に行っていたのに、最近になってからは『館を空けるのが心配だから』と一人で行くようになった。
咲夜は知っている。それは建前であり、本当の目的は霊夢と2人だけで会うためであることを。知っているからこそ、霊夢が殺してやりたいほど憎かった。
私の方が霊夢なんかよりずっと長くお嬢様といるし、ずっとお嬢様のことを知ってるし、ずっとお嬢様のために尽くしてきた。
なのに何故、あんな突然現れた巫女にお嬢様が盗られてしまうのか。私はこんなにも、お嬢様のことを愛しているのに…。
しかし咲夜は、いくら心に思えど決して顔には出さない。そうすることが、彼女が瀟洒であり続けるための秘訣だった。

「あー、疲れた。咲夜、お風呂にしてちょうだい。今日はすぐ寝るわ。」
「え?もうお休みになられるんですか?」

寝るのが早いのも、最近になってからだ。人間なら不思議ではないが、彼女は吸血鬼。
勿論吸血鬼は本来夜行性であり、今の時間から寝るなんてありえない。夜の王が聞いて呆れる。
ああ、あの巫女のせいでお嬢様が滅茶苦茶だ…。このままでは、いずれお体を壊してしまうだろう。

まあそんな心配、もうする必要なくなるんですけどね。





夜、レミリアの眠る寝室の扉を、咲夜はそっと押し開けた。

「ん…?…誰?」

吸血鬼の習性か、眠っていても僅かな気配で目を覚ます。眠そうな目を扉の方へ向ける。

「お休みのところ申し訳ございません。お部屋の掃除に参りました。」
「ああ…咲夜ね。よろしく頼むわ…。」

安堵した表情でそう言うと、彼女は再び眠りについた。
それからは咲夜が少々物音を立てても、目を覚ますことはなかった。
首にリングを付けられても、目を覚ますことはなかった。
抱きかかえられ寝室から運び出されても、目を覚ますことはなかった。
理由は、咲夜が時間を止めていたからである。









突然の堅い地面の感触に、レミリアは目を覚ました。
薄暗いの部屋の中。壁の燭台に挿してある何本かの蝋燭が、辺りをぼんやりと照らす。
一辺が約5メートル、石造りの立方体の部屋。レミリアはこの部屋を知っている。大昔に使っていた、フランの反省室である。
でも何故?たしかこの部屋へ通じる通路は、塞いでしまったはず…。

「お目覚めですか?お嬢様。」

暗がりの向こうの咲夜が言った。暗くて、表情がよく見えない。

「え?咲夜?何?ここは?」

混乱するレミリア。
咲夜に歩み寄ろうと立ち上がるが…
『ジャラリ』
壁から伸びる鎖によって足首が繋がれており、その場から移動できないことに気付く。

「????????」

ますます混乱するレミリアだが、とりあえず自分が拘束されていることは理解した。
しかしいつの間に?誰が?何のために?そして何故、咲夜は見ているだけで私を助けようとしないのか?

「咲夜、鎖を外して。」
「無理です。外れません。」
「…じゃあ自分で外すわよ…。」

レミリアは鎖を引き千切ろうと両手で引っ張った。が、ビクともしない。
もう一度やってみる。やはりビクともしない。手が痛くなった。

「無駄ですよ。今のお嬢様はその首輪の効果で、人間の子供程度の力しか出せません。」

…首輪?
レミリアは自分の首に手を当ててみる。たしかに何か、金属の首輪のようなものが自分の首に巻き付いているのが確認できた。
途端に息苦しく感じて引っ張ってみるが、これもやはり取れない。首輪の効果?どういうこと?
だが新たに分かったこともある。咲夜の様子があきらかにおかしい。レミリアもいよいよ焦りだし、少しきつめの口調で言った。

「ちょっと咲夜!?冗談はいいから、早く外しなさい!命令よ!」
「お断りします。」
「…!?」

きっぱりと言い捨てる咲夜。レミリアは困惑した。今まで如何なるときでも、咲夜が命令に背いたことなど一度もなかった。

「…どうしたの咲夜?あなたおかしいわよ…?」
「ご心配には及びませんよ。今そちらに行きますから。」

そう言うと、咲夜がこちらまで歩いてきた。表情が見える位置まで近づいたとき、レミリアは咲夜の顔を見てぞっとした。
醜い笑顔。極限まで顔面をひきつらせて作ったようなその顔は、まるでピエロのようだった。
自分の知る咲夜の面影はそこにはない。思わず後ずさろうとするが、背中は壁に阻まれ、逃げ場はなかった。
咲夜はレミリアの眼前まで来ると、満面の笑みで懐から鞭を取り出した。

「な、何をするの!?」
「何って、鞭を打つんですよ。」
「………嘘でしょ…?」

レミリアはまだ、心のどこかで咲夜のことを信じていた。
きっとこれはドッキリか何かで、次の瞬間には『申し訳ありませんでした!お嬢様!』と頭を下げる咲夜の姿が思い浮ぶ。
しかしそんな思いも虚しく、咲夜は鞭を振りかぶると、思い切りレミリアの体に打ちつけた。

『ビシィ!!』
「!!!ひいっっっ!!!???」

あまりの痛みにレミリアは悲鳴を上げた。鞭は殺傷能力こそほとんどないが、受者には張り付くような痛みを与える。
休む間もなく、咲夜はもう一度打ちつける。

「痛い!痛い!痛い!痛い!痛いぃぃいぃ!!!!」

たまらずレミリアは頭を抱えて壁際にうずくまるが、咲夜は容赦なくその体に鞭を振るい続けた。
打ちつけられた部分の服が破れ、肌には次々とミミズ腫れができる。

「やめて!!!あなた自分が何をしてるのか分かってるの!?それ以上やったら、殺すわよ!!!?」

声を張り上げ、殺意を剥き出しにしてレミリアが威嚇する。しかし、咲夜には何の効果もなかった。

「ああ、怒ったお嬢様もなんと可愛らしい!もっともっと可愛がって、理想のお嬢様にして差し上げますからね!!」

よだれを垂らし身悶えする咲夜。
信頼する従者のあまりの変貌に、レミリアは今にも泣きそうだった。
否、すでに泣いていた。瞳に収まりきらない涙が零れだし、頬を伝った。

「………咲夜……私がわがまま言って困ってたなら謝るから……。お願い……許して……………。」

ぽろぽろと涙を流し懇願する。
それを見ていた咲夜が、突然レミリアに唇を重ねた。

「!?んんんんんんん!!?」

くぐもった呻き声を上げるレミリア。咲夜は舌を入れ、彼女の口内を犯す。
1分ほどそうした後、ようやく咲夜は唇を離した。酸素を求め、肩で息をするレミリア。

「あは…可愛すぎますよぉ。あのお嬢様が泣いちゃうなんて、反則ですぅ。ハァハァ…。」

咲夜が恍惚として言った。

咲夜が壊れてしまった。レミリアの心は、怒りよりも悲しみと絶望でいっぱいだった。


その後も、咲夜は鞭を振るい、接吻を求め、欲望のままにレミリアの体を弄んだ。
抵抗する力のないレミリアは、ただひたすら耐えるしかなかった。









翌朝、紅魔館は騒然としていた。館の主がいなくなったのだから、当然である。
メイド妖精と門番妖精を総動員して館の中を捜索したが、結局見つかることはなかった。

「やっぱりレミィは外に行ったんじゃないの?」
「昨日も一晩中見張ってましたけど、お嬢様は来ませんでしたよ?門以外から出たのなら、結界が破られてわかりますし…。」
「…どうせまた居眠りでもしてたんでしょ。」
「寝てませんよ!夜は特に危険ですから、昼みたいにだらけてなんかいません!」

議論するパチュリーと美鈴。とはいっても、館にいないのなら外に行ったと考えるしかない。
何らかの方法でレミリアは昨晩紅魔館を抜け出した、ということでとりあえずは片付けられた。

「心配ないわよ咲夜。レミィが急にいなくなるなんて、昔にも何度かあったわ。」
「そうですよ。きっとお嬢様はすぐ戻ってきますから…。」

落ち込んでいる咲夜に、2人が慰めの言葉をかける。
メイド妖精達も、レミリアより咲夜の方を心配しているようだった。
それほどまで、咲夜は消沈していた。

「…ご心配おかけして申し訳ありません。私のことはいいですから、一刻も早くお嬢様を見つけてあげて下さい…。」

弱々しく微笑む咲夜に、皆心痛する。

目の前にいる人間が主をさらった張本人などと思う者は、ただの一人もいなかった。








監禁から3日目の昼。

フランドールの部屋のある地下通路の突き当たりに、咲夜はいた。一見すると行き止まりだが、よく見ると壁には小さな穴がある。
自身の能力で空間を操り、穴を広げて中に入る。そこには反省室へと通じるもうひとつの通路が隠されていた。
以前紅魔館内の見取り図によって発見した空間。何故壁で塞がれていたのかはわからないが、今となってはかえって都合がよかった。
反省室の壁は魔力や気を遮断する材質でできているらしく、おかげでパチュリーや美鈴に気づかれることもない。
まさに咲夜にとっては、最高の環境であった。

咲夜は反省室の前まで来ると、扉をノックをした。別にノックなどする必要はないが、こうしたほうがレミリアの怯えた顔が見れるのだ。

「お嬢様、お食事をお持ちしました。」
「………。」

中から返事はない。だが咲夜は気にせず扉の鍵を開け、部屋の中へ入った。
膝を抱えうずくまる裸のレミリアが、視界に入る。あざだらけの体が痛々しい。
咲夜がトレーの料理を床に並べる。パンとスープに人肉ハンバーグ、血の紅茶…。

「さあどうぞ、召し上がってください。」

にこにこしながら咲夜が勧める。以前のような引きつった笑いではなく普通の笑顔に戻っていたが、かえってそれが不気味だった。
レミリアはゆっくりと手を伸ばし、もそもそとパンをかじる。正直食欲なんてなかったが、逆らえばまた"愛の鞭"という名の拷問が始まる。大人しく従うしかなかった。
咲夜は待っている間も、ずっと微笑みながらレミリアを見続ける。

「ごちそうさま…。」
「はい、お粗末さまでした。」

だいぶ時間をかけて、レミリアが食事を終える。咲夜は手際よく食器を片付けると、ハンカチでレミリアの口を拭いた。

「ではお嬢様、夕食のときにまた来ますので、いい子にしていてくださいね。」

そう言って部屋を去ってゆく咲夜。
残されたレミリアは、今回は何もされなかったことを心から安堵した。







地下から出た咲夜は要所で時間を止め、誰にも見つからないよう慎重にキッチンを目指し移動する。
まあ万一見つかったとしても、妖精メイド相手ならどうにでも誤魔化せるが、念には念をだ。
無事キッチンまで戻り食器の片付けを終えた咲夜は、ふと窓の外を見た。なにやら門のほうが騒がしい。


「だ〜か〜ら、会えないってどういうことよ?レミリアがそう言ってるの!?」
「すいません。詳しくは言えないんです…。今日のところは、どうかお引取り下さい…。」

門前で、霊夢と美鈴が口論している。どうやらレミリアに会いに来たようだが、門前払いを受けてご立腹の様子だ。

「美鈴。何かあったの?」

時を止めたのか、咲夜が美鈴の背後にいきなり現れる。

「咲夜さん…!?あ、それが…。霊夢が…その………お嬢様に…会いたいらしいんですけど…。」

美鈴が躊躇いがちに言う。今の紅魔館では、咲夜の前でレミリアの話をするのはタブーだった。

「そう…。お嬢様に会いに来たのね…。」
「咲夜、なんなのよこの門番は?わけわかんないこと言ってないで、早くレミリアに会わせなさいよ。」
「お嬢様は3日前からいないわ。」
「え?」
「ちょっと咲夜さん!?いいんですか?そんなこと言っても!?」
「いいのよ、美鈴。いずれバレることだし、博麗の巫女には言っておくべきだわ。霊夢には私から説明するから。」

そう言って館の中へ霊夢を招き入れる。
レミリアの失踪については、極力外部には洩らさないようにしていた。
理由は幻想郷の混乱を招かないためでもあり、主のいない隙に良からぬことを考える妖怪のためでもある。

応接室に案内された霊夢は、咲夜に用意された紅茶を飲みながら驚いたように言った。

「レミリアがいなくなったって、本当なの?」
「ええ、3日前の朝から、行方がわからなくなってるわ……。」

暗い面持ちで答える咲夜。
博麗の巫女にとっても、これは由々しき事態である。
強大な力を持った吸血鬼が一人いなくなったということは、相対的に他の妖怪の力が増したということである。
最悪、幻想郷のパワーバランスが崩壊し、幻想郷そのものがなくなってしまうことだって有り得なくはなかった。
実際はそこまでひどいことにはならないだろうが、早急に対策を取らなければいけないことには変わりない。

「わかった。私も博麗の巫女として、レミリアを探すの手伝うわ。」
「博麗の巫女として…?霊夢として手伝うんじゃないの?」
「…どういう意味よ?」
「わざわざ心配で会いに来たくらいだし、随分お嬢様に気をかけてるようだけど…。」
「そ、そんな!!別に心配ってわけじゃなくて…!ただ、最近急に神社に来なくなっちゃったから、どうしたのかなって…。」

霊夢が赤面しながら弁解する。咲夜が奥歯をギリっと噛んだ。霊夢はそれに気づく様子もなく、続けて言った。

「レ、レミリアは大丈夫よ!紫達にも頼んでみるし、だから皆で探せば、きっと見つか……って………あ………れ……………?――――」

突然、霊夢を猛烈な睡魔が襲った。視界がグワンと歪み、体を起こしていることができない。
咲夜が笑っている。霊夢の記憶は、そこで途絶えた。









『コンコン』

ノックの音にビクッと反応するレミリア。
もう夕食だろうか?まだ早いような気もするが部屋には時計がないため、正確な時刻はわからない。

「ご友人を連れてきましたよ。」

ご友人?レミリアは嫌な予感がした。
咲夜が扉を開けて入ってくる。その腕に抱きかかえられてぐったりしているのは、紛れもなく、霊夢だった。

「霊夢!?な…なんで…?霊夢!!しっかりして!?」
「あはは!大丈夫ですよ、眠ってるだけですから。」

そう言って咲夜は霊夢を乱暴に床に投げ落とす。衝撃で霊夢はうぐっと呻き声をあげた。

「ほら、霊夢。いつまで寝てるの?早く起きなさい。」

咲夜がぐりぐりと霊夢の頭を踏みつける。痛みに目を覚ます霊夢。

「痛…。…あれ…?私…?。」
「霊夢!霊夢!!」
「え…何?レ、レミリア…??どうしたのよ!その格好!?」

全裸にあざだらけのレミリアに、目を丸くする霊夢。
まだ薬の効果が残っているのか、頭がボーッとする。行方不明のはずのレミリアが何故ここに?それにあの格好は?状況が全く理解できない。
なんとか立ち上がろうとするが、手足が縄で縛られているため、上手く身動きも取れない。

「な、なんなのよこれ!?咲夜!?」

自分を見下ろしている咲夜に怒りの視線を向ける。
咲夜は霊夢を無視してレミリアの方を向いた。

「日頃からお嬢様には教養が足りないと思っていたので、今日は特別授業をしようと思いまして。」

咲夜はそう言って、通路から大きな木箱を運び込む。中には、斧や、鉈、鋸などが入っているのが見えた。

「今から簡単な問題を出しますから、お嬢様がそれに間違えるたびに、罰ゲームとして霊夢の四肢を1本切断しますね。」
「な…!?」

レミリアの顔が恐怖で引きつる。咲夜は本気だ。

「わ、私の四肢を切断…?バカじゃないの?何を言ってんの…咲夜?」
「じゃあ始めましょうか。」

咲夜は霊夢を無視してポケットから1枚のメモ用紙を取り出すと、それを読み上げた。

「では問題です。
『ある泥棒魔法使いが、図書館の本を1日目は1冊、2日目は2冊、3日目は3冊と、日数と同じ数だけ本を盗んでいきました。
 盗まれた本の合計が1000冊を超えるのは、いったい何日目でしょうか?』
 はいスタート!制限時間は30秒です。」
「え?え?えーっと……。」

必死で計算するレミリア。

「…3日で6冊…4日で10冊…5日で15冊…だから…。」
「あと15秒ですよ。」

咲夜がニヤニヤしながら懐中時計で時間を見ている。

「せ…1000冊なんて、そんなの30秒でわかるわけないじゃない!?」
「あと5秒〜。」
「く…!ひゃ…、100日目!!」
「残念、不正解!罰ゲ〜ム!!」

咲夜は嬉しそうに木箱から大鉈とハンマーを取り出した。その鉈の刀身を見て、霊夢もようやく状況を理解した。

「ほ、本気なの…!?ひっ…やだやだやだやだ!レミリア、助けて!!」
「咲夜!やめなさい!お願い!やめて!!」

咲夜は身を捩って逃げようとする霊夢の右腕の付け根に鉈を当てると、その上に思い切りハンマーを打ちつけた。

『ゴスッ!』
「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!」
「いやぁ!!!やめて!霊夢――!!!」

鉈が腕に食い込んだ。飛び散る返り血に咲夜の服も赤く染まるが、気にする様子もなく続けざまにハンマーを振り下ろす。
みるみる鉈が食い込んでいき、あっという間に霊夢の右腕は切断された。大量の血が噴出し、むせ返るような血の臭いが部屋に充満する。
とりあえずこのままでは死んでしまうので、咲夜は八意印の止血剤を傷口に塗る。すると瞬く間に出血は止まり、赤黒い断面だけが残った。

「はい、じゃあ次の問題行きましょうか。今度はがんばってくださいね。」
「……ぁ………………ぁぁ…………。」
「…れいむ…れいむ…!…ぐすっ……ぃやぁ……。…もうやだぁ……。」

放心状態の霊夢に、泣きじゃくるレミリア。

「いけませんよ、お嬢様。当主たるもの最低限の教養は身につけておかないと…。それとも次も不正解にしますか?」
「…!!!わかった!やるから!!やるから、霊夢にはもう何もしないで!!」
「それはお嬢様次第ですよ。」

咲夜はポケットを探り、次の問題のメモを取り出す。

「では次の問題です、
『氷精が湖で蛙を凍らせて遊んでいました。凍らせるのに小さい蛙は1秒、中くらいの蛙は2秒、大きい蛙は3秒かかります。
 それぞれの蛙の数は同じとして、全部凍らせるのに1分かかりました。さて、蛙は全部で何匹でいたのでしょうか?』
 制限時間は10秒、サービス問題ですよ。はいスタート!」

レミリアは黙って必死に考える。
間違えれば霊夢の四肢が切られる。全身に脂汗がにじんだ。焦れば焦るほど、頭の中が真っ白になる。
普段なら難なく解けるような問題でも、頭が正常に動いてくれない。もう問題文すら思い出すことができない。

「レミリア!答えて!早く答えてええええええええええ!!!!!!」
「……なんで……なんで……わかんない……のよ……!」
「3、2、1……タイムアーウト!残念!また罰ゲームです!」

鉈とハンマーを持って、嬉々として霊夢の元へ歩く咲夜。

「いやあああ!!!来ないで!!来ないで!!来ないでぇぇぇ!!!!!!」
「……ごめんね………ごめんね霊夢……!」

レミリアは自分のふがいなさを呪った。何が夜の王、何がカリスマだ。
肝心なところでパニクって、友人の1人も救うことができない。
レミリアは耳を塞いでうずくまるが、霊夢の絶叫と、腕が切断される音を遮ることはできなかった。





残りの問題も、レミリアはすべて答えることができなかった。
両足も失われ、達磨状態で床に転がる霊夢。意識はあるのかないのか、白目を剥いてヒューヒューと息を洩らす。

「もう手足がありませんね。じゃあ最後の罰ゲームは首にしましょう。」
「…え?」

レミリアは自分の耳を疑った。思考が固まる。
咲夜は木箱から斧を取り出すと、

「えーと…。」

ポケットを探るが、メモ用紙は見当たらない。

「あ、もう問題がないです。じゃあ最後の問題はこうしましょう。『私の今日の朝御飯はなんだったしょう?』はいスタート!制限時間は5秒!」
「そ、そんなの問題じゃ…。」
「4…、3…、2……」
「ト、トースト!!」

レミリアは生まれて初めて、神に祈った。この羽も、牙も、魂もいりませんから、どうか……霊夢を助けてください……。
しかし目の前にいたのは、悪魔だった。

「残念〜。実は今日、朝御飯食べてないんですよ。」

咲夜は斧を振りかぶり、霊夢の首目掛けて振り下ろした。

「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」

ザクンと軽快な音がして、霊夢の頭が吹っ飛んだ。

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

レミリアが発狂する。

「あはは、お嬢様?大丈夫ですか?」

笑いながら咲夜はレミリアの元へと近づく。

「!!!殺してやる!!!殺してやる!!!殺してやる!!!!!」

レミリアが咲夜の首を絞めようと襲い掛かる。が、当然かなうはずもない。
軽くねじ伏せられ、床に叩きつけられた。

「…ちくしょう……!う、うわぁぁぁん…!!!!…れいむぅ…れいむぅ……ひっぐ……。」
「お嬢様、今日は粗相が過ぎますよ。明日まで十分反省していてくださいね。」

泣き崩れるレミリアを尻目に、咲夜は霊夢の死体や刃物を片付けて、部屋を出て行った。



その日を境に、レミリアは食事を全く食べなくなった。無理やり食べさせようとしても、すべて戻してしまう。
鞭を打っても、ナイフで切り刻んでも、決してレミリアが物を口にすることはなかった。




数日たったある日、咲夜が反省室に行ってみると、そこにレミリアの姿はなく、あったのは灰の山と銀色に輝くリングだけだった。









一ヵ月後、霊夢とレミリアの失踪により幻想郷崩壊と騒がれていたが、八雲紫の頑張りでなんとか最悪の事態は免れた。
次期博麗の巫女には、他に代わりもいなかったので、とりあえず東風谷早苗が選ばれた。
とうとう主人公だと空気を読まず大はしゃぎする早苗に、皆が侮蔑の視線を送る。
代わりが見つかったら即交代させようと、誰もが思った。

紅魔館の方はレミリアの代わりにフランドールが当主を務めた。
当主になってからのフランは非常に大人しく、皆が危惧したような問題は一切起こらなかった。
だがフランもパチュリーも美鈴も、そして咲夜も、レミリア・スカーレットが戻ってくることをいつまでも待ち続けた。














ある日の昼、フランドールの眠る寝室の扉を、銀髪のメイドがそっと押し開ける。
その従者のポケットの中には、銀色に輝く懐中時計と、銀色に輝くリングが入っていた。




自分の中ではかなりオーソドックスな話。

でもちょっとキャラ崩壊しすぎました。無駄に長いし…。

最後まで読んでくれた方、ありがとうございます。


4/16追記
たくさんのコメントありがとうございます!
2、3行しか出番のなかった早苗さんの人気っぷりに、嫉妬せざるを得ません。

ちなみに1問目は45日目、2問目は30匹で正解です。2問目はともかく、1問目はあえて厳しい難易度にしました。ごめんね、おぜう様。
>盗まれた本の合計が「初めて」1000冊を超えるのは って問題ではなかったし。
おっしゃる通りですねorz。でも訂正はしないことにします。そんな問題の理不尽さも、おぜう様には感じていただきましょう。
紅魚群
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2009/03/27 01:39:04
更新日時:
2009/04/16 01:39:54
分類
レミリア
霊夢
咲夜
グロ
1. 名無し ■2009/03/27 02:24:47
うわー最低だな… 



早苗が
2. 名無し ■2009/03/27 02:33:31
ちょっと早苗を●してくる
3. 名無し ■2009/03/27 02:55:38
フラン監禁の経緯とそれが成功したかについて妄想が止まらない
だがそれよりも早苗
4. 名無し ■2009/03/27 03:11:32
残りの問題の部分で霊夢が命乞いをし苦しむ姿が見たい。
フランちゃんと仲良くなった早苗ちゃんも霊夢よりぐちゃぐちゃにごくり
5. 名無し ■2009/03/27 08:39:15
ああ、次は早苗さんだ
6. 名無し ■2009/03/27 12:13:51
早苗をどう拷問するか楽しみにしてますぜ
7. 名無し ■2009/03/27 12:29:43
最初の問題の答えは45日が正解だと思った
8. 名無し ■2009/03/27 12:37:59
イってる咲夜さんや苦しむ霊夢も良かったけど早苗に色々と持ってかれた
9. 名無し ■2009/03/27 16:54:38
産廃的に早苗さんが調子こくのは決定事項なのか
10. 名無し ■2009/03/27 18:51:57
問題普通に考えこんでしまった
一問目は45日目、二問目は30匹であってるよね?
しかも30秒とは・・・けーねとかなら余裕なんだろうけど


だがそれよりも早苗
11. 名無し ■2009/03/27 21:37:26
ガウスなら解ける



早苗(笑)
12. 名無し ■2009/03/27 22:03:36
一問目は Σ1/2k(k+1)>1000 を満たす数を求めればいいらしい
30秒じゃ絶対解けねぇw
13. 名無し ■2009/03/28 00:29:53
病んだ咲夜さんかわいい
弱々しいお嬢様もかわいい
早苗w
14. 名無し ■2009/03/28 01:54:16
早苗マジで害悪
15. 名無し ■2009/03/28 02:12:09
これはすごく抜ける
16. 名無し ■2009/03/28 17:39:57
咲夜さんになりたいと本気で思った俺
17. 名無し ■2009/03/28 18:17:04
おぜうさまがせつない・・・(´・ω・)

でもおっきしたお!!(^ω^)
18. 名無し ■2009/04/09 01:47:35
100日目・・・合ってないか?
盗まれた本の合計が「初めて」1000冊を超えるのは

って問題ではなかったし。

って考えるのはひねくれてるのかorz
19. 名無し ■2009/04/13 08:33:02
>って考えるのはひねくれてるのかorz
どの道殺る気満々の人がとんち解答を認めるはずがない

早苗は速攻で後釜が見つかって一気に権威凋落して心身ともにボコられるといいよ
20. 名無し ■2009/04/18 22:02:27
とりあえず咲夜、早苗もやっちまおうか。
いやその前に咲夜さん、アンタも他の紅魔館勢にフルボッコされたほうがいいんじゃないかね?
21. 名無し ■2014/06/02 23:16:22
早苗www
それよりも咲夜さん問題難しすぎるっすよ。
殺る気満々じゃないっすかw
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