主人公二人は古明地姉妹のペット〜maid or pet.

作品集: 1 投稿日時: 2009/06/01 21:17:57 更新日時: 2009/06/01 21:17:57
「じゃあ、約束通りペットになってもらうわよ。」

かわいらしい帽子を被った、古明地 こいしという
妖怪は、敗者に向かって人間ににとっての
屈辱の言葉を吐いた。

その敗者とは、博霊 霊夢。

幻想郷最強を気取る博霊神社の巫女だ。

彼女は、だれから見ても満身創痍に見えた。そして、戦闘不能というより瀕死状態だった。


視線を霊夢からそらし、まわりをよく見てみると神社の
境内には、ボロボロになり、死んだように
倒れている霧雨 魔理沙がいた。
多分、霊夢の前に戦い、負けたのだろう。


まずこの小説を語る前に、こいしのいった約束を語らねばなるまい・・・・。


ある冬の日のことだ。

こいしは、いつもの遊びの延長で、地下世界から抜け出して、博麗神社に来ていた。

そこは絶好の遊び場で、ボールやらを持って一人で遊んでいた。

そして、かならず霊夢と魔理沙がいて、こいしを見守っていた。

「おい、こいし。私とサッカーごっこしないか。」

魔理沙は、こいしに声をかけ、遊びに誘った。

「うん、いいよ。」

こいしは、二つ返事で承諾し、蹴鞠のようにボールを蹴り合い始めた。

このとき、こいしは心のなかでこう思った。

―いつも、私のペットは癒しになるけど、
心を慰めてくれるペットより、心からわかりあえるペットが
欲しいなぁ。

でも、動物じゃあり得ないんだよね。


「おっと、こいしすまない。」
そう魔理沙が言うと、ボールは草木のおおい茂る茂みの方へと消えていった。

「もー。ちゃんと蹴ってよ。」

「悪い悪い。」

そのやり取りのあと、こいしは茂みへボールを取りにいく。


―あれ?私は覚(さとり)という妖怪だよね。
なら人間は格下・・・。
ボールをとらせるのはおかしいんじゃないかなぁ。

あっ、格下?
それなら、ペットにもできるんじゃないのかなあ。
いや、できるよ!


妖怪の脳は人間から見ると理解できない結論を出した。

しかし、元々妖怪にとって人間は、食糧か脅かす対象か下等生物かである。

こいしは、妖怪らしい考え方をしただけなのだ。


それからこいしは、魔理沙の元へボールを持ってきた・・・・と思いきや、
ボールを茂みのそばにおき、こう言った。


「魔理沙約束して!この戦いにあなたが負けたら、私のペットになって!」


何をいっているんだ。と魔理沙は笑い飛ばそうとしたが、こいしは「マジ」だった。

「私は、あなたと一緒に遊びたいの・・・。昼も夜も。」


「こいし、昼だけでいいじゃないか。」

「そんなのは嫌!」

こいしは、その言葉のあとに、
「弾幕のロールシャッハ」を宣言した。

あまりに量の多い弾幕が魔理沙に降り注いだ。

だが、歴戦の戦士は全く怯まず、華麗に避け、星形弾を喰らわせた。

「痛い!でも!」
次にこいしは表象「弾幕パラノイア」を宣言した。しかし、今回は、簡単なスペルではなかった。
相手を囲む楔弾が異様に狭い。それこそ、身動きもとれないくらいに。

「卑怯だぞ、こいし!」

魔理沙の声もむなしく、こいしは自機狙い弾をこれでもかというほどに浴びせた。


「勝てればいいの。略奪、征服するためにはね。」


その後、こいしは霊夢のところを訪れた。

「あら、こいし。魔理沙と遊んでいたんじゃないの。」

「まあ、遊んでいたわ。ボール遊びしててもつまらないから、倒しちゃった。
スペルカードでね。」

「? 何いってるの・・・。」
霊夢は、彼女の言葉の意味が理解できなかった。
だが、異様に殺気だっているのには気づいたが。

「ところでさ、はじめてあったとき私いったよね。私に負けたら、あなたをペットにするって。」

「それは昔のことじゃない。」

「もういちど、そんな勝負してくれないかなぁ。」


「構わないわよ。妖怪退治のプロが妖怪に負けることはあり得ない。
それは、負けたら人類の敗北を意味するからよ。」

「ふーん。自信があるんだ。」

「まあね!」

その言葉と共に、霊夢は数多のお札を投げつけた。
当然、こいしはそれを避ける。
―「イドの解放」

こいしはスペルを宣言した。
何千ものハートが霊夢に襲いかかる。

しかし、いつも繰り出す弾幕は、この三分の一の量だ。


こいしは、自らの利のために手加減のリミッターをはずしたのだ。

「くっ。弾幕ごっこなのに本気だすなんてなんて奴なの!」

「人間だって今まで欲しいもののためには本気だしてきたじゃない!」

圧倒的な不利の中、霊夢は二重の結界を張った。

―夢符「二重結界」

その結界の効果で一時的に、弾幕が遮られる。

と、そのときだった。

―「サブタレイニアンローズ」

こいしは、短期決戦を覚悟し、ラストスペルを繰り出した。
このスペルには、ほとんど隙間がなかった。

そして、こいしは無意識の力を借り、気配を消した。

「いきなり、ラストスペルなんて焦ってるわね!」

霊夢が油断した一瞬、こいしの気配が現れた。

そして、霊夢の腹に蹴りをいれた。

「アハハハハハハ!ハハハハハハ!勝った!これで勝った!」

渾身の蹴りを食らった霊夢の体は、そのまま薔薇の弾幕の追撃を受けた。


そうして、完全に気を失ってしまった。


その後、こいしは勝利を確認し、こういった。

「じゃあ約束通りペットになってもらうわよ。」

誰も、はいともいいえとも言わなかった。

二人の状態を見れば当然だが。

なにも、返事をしない二人を尻目に、こいしは瀕死の二人を運び、地霊殿へと帰っていった。


「ここはどこかしら・・・・。」

霊夢は、西洋風の部屋の中で五日間の眠りから覚めた。

となりにいる魔理沙はまだ寝ている。

「魔理沙、起きなさい!」

霊夢は揺すって魔理沙を起こす。

「むにゃ―。おはよ、霊夢。って、ここどこ!?」

魔理沙も周りを見渡して、気付く。

「確か、私達はこいしに負けて・・・。」

「なるほど、地霊殿に連れてこられたわけね。」

一度いったことのある地霊殿でも、そんなに細かく部屋を見たことは無いので
二人は、どこかがとっさにわからなかった。

「でもたしか、あのとき、言ってたよな。ペットにするって・・・・。」

その時、

バタン。急にドアがあき、人が何人か姿を表した。

その姿は、二人に見覚えのある顔だった。

こいし、その姉のさとり、そして、猫の姿のお燐。

「ねぇ、お姉ちゃん。約束を交わしてお姉ちゃんの
労働力兼私のペットをつれてきたよ。」

「まあ、こいし。はっきりいって女は、力仕事には役に立たないわ。
なんで力仕事のできる男をつれてこなかったの。最近、どの雄も雌も
農作業や力仕事をしなく、働かなくなってきてるのよ。
・・・・・まあ、メイドにしてこきつかってもいいんだけどね。」

(うわぁ、紅魔館のメイド長よりも待遇がひどくなる予感。)

その思いをさとりは、霊夢から汲み取った。
しかし、紅魔館が何なのかはまでは解らなかった。


(咲夜みたいな奴隷同然のメイドになるのか・・・・。)

この思いは魔理沙から汲み取ったが、咲夜がだれなのか解らなかった。

「まあ、あなたたちには、これからこいしの約束通り、ペットになっていただきます。
地霊殿のペットは家事、農作業わたしやこいしの世話などをします。
メイドといってもいいでしょう。ただし休みはありません。年中無休で働いてもらいます。」

さとりは、魔理沙からこのような思いを感じた。
(紅魔館のメイド長よりひどいぜ)と。

「紅魔館のメイドより待遇は悪いかもしれませんが、まあとにかく。
私たちのために奉仕していただきます。」

「おねえちゃん。私の世話だけでいいのよ。」

「いや、奉仕していただきます。なぜなら、あなたたちはもう地霊殿のペットだからです。」

(なんて強情なアマだ。)

魔理沙が罵倒したのを、さとりは逃しはしなかった。

「逆らうペットは殺して地獄に送ります!」


いきなり、さとりは魔理沙を勢いよく蹴った。
ギャッ。と言って魔理沙は、床に転がった。

「考えただけでも、罰を与えるなんて、ほんとタチ悪いぜ。」

「・・・。よく考えてみてください。家来やメイドならまだしもペットが飼い主を罵るなんて。有り得ないですよね?」


魔理沙はふとお燐に目線を会わせた、するとお燐は二度も頷いていた。

それが魔理沙にはかなり憎らしかった。


「とどのつまり、あなたたち二人はこれからはペットとして、わたしたちに飼われていただきます。」


これには霊夢も魔理沙も逆らえなかった。



だって、お札も八卦炉もひっぺはがされとて丸腰だったからだ。


肉弾戦に持ち込もうにも、相手は妖怪。人間の何倍も賢く、力があり、長生きだ。


それに、こいしとの約束もあり、とても自由にはなれなかった。




これから、東方プロジェクトの主人公、二人にとっての最大最悪の屈辱の日々が始まる。



朝5時、二人は起床した。

着替えと朝食を済ましたあと、農具をもって地霊殿のかなり遠くにある畑へと、重い足取りで行った。


畑は異様な光景だった。日光もないのに、まっすぐ作物が育っている。

「ヒョロヒョロかと思ったけど・・・・。」

「植物の底力を見たような気がしたぜ。」


(午前8時ごろに起きたさとりに聞くと、地底の植物は品種改良されているそうだ。)


二人は、他の人の形をとっているさとりのペットと共に、作物に水をやり、
土を耕してから種を蒔き、作物から食べられる部分を収穫した。


それで、それをお燐の持っているのとよく似た猫車に乗せ、地霊殿へ運んでいった。


午前6時、地霊殿中の掃除を二人だけで、二時間にわたりした。


午前8時、さとりとこいし起床。
作っておいた朝食と入れたての紅茶を差し出す。

午前9時〜11時半、魔理沙はこいしと遊び、霊夢は幼い、又は若くて人に化けられないペットの世話をする。

正午12時、古明地姉妹のための昼食を作る。

午後1時、また魔理沙はこいしと遊ぶ。霊夢は、一時休憩。
午後3時、姉妹のための甘味を作る。

午後4時、霊夢は旧都へ買い出しにいく。

午後5時、魔理沙は、若いペットを飼育小屋にいれる。

午後6時、夕飯の支度。
協力してフルコースを作る。

午後7時、夕飯。
ペット達にも餌を与える。

午後8時、風呂を焚く。
燃えた灰は明日畑に撒くのでとっておく。

午後10時、姉妹就寝。

そして、午後12時・・・・。

「あー。疲れたわ。やだわ、まだ一日目だけど。こんな生活。」

霊夢は、煎餅みたいに薄い布団にくるまれながら、早くも愚痴をこぼす。


「明らかに、咲夜よりひどいこき使い方たぜ。あっちの方は、時と空間を操る能力があるから、大幅にマシだけど。」

魔理沙も、同じような厚さの布団にくるまれながら、愚痴をこぼしていた。

「このまま何日もこうやって生きなきゃいけないのかしら。」

「隙を見て逃げ出そうぜ。」
「無理よ。さとりは他人の心が読めるの。計画がバレたら対策を打つわ。」

「あっ、そうか。」

「いまのところは、おとなしく働いていればいいの。あとで戦ってねじ伏せればいいの。じゃ、おやすみ。」

その言葉を最後に、二人は黙り、明かりを消し、深い眠りについた。

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そうして、何週間が経っただろうか。

二人は忙しい毎日に慣れ、古明地姉妹に従順に飼われていた。

そんななかで、魔理沙はこいしと毎日のように遊んでいた。

「魔理沙、旧都の外れにいいところがあるの〜。パルスィやヤマメ、キスメとも遊べるのよ〜。」

「わかったわかった。いまから一緒についていくから。」

魔理沙はかつて、関係ないのに強制撃破してしまった地底の妖怪の名前を聞きながら
嬉しそうなこいしにひきつられていた。


「だからいこ〜。」


ザッザッ。その時、大勢の人間の足音が聞こえた。

魔理沙は音のした方を振りかえって見てみると、それらの人間には、尻尾や羽が生えていた。

魔理沙は、こいつらはさとりのペットの烏が化けた姿なんだな。と気がついた。


「あっ、あなたたちはお姉ちゃんが手を焼いている不良カラスのみんなじゃない?」

「こいしお嬢。最近地霊殿で遊んでいると思えば、奴隷の人間と共に遊んでいたとは。」

「奴隷じゃないわ。ペットよ。」

「ペットも奴隷も同じでしょう。それに・・・。」

「なんだあいつらは?こいし?」

「灼熱地獄跡の烏たちよ。時々地霊殿に戻ってきて、私と遊んでいたの。」

「お空のバカと同じか。」

「いや・・・・。ふつうの鳥よ。」

「お話を切るようで悪いですが、そんな人間のどこがお気に入りなのですか?
貴女はそのペットが来てから、毎日一緒に遊んでいるのではないですか。」

「魔理沙は特別なの!」

「ほぅ・・・。特別ですか。」

そういうと不良カラスの一匹は、魔理沙に詰め寄った。
それに続いて他のカラス達も、間がないほどに詰め寄った。

「なっ、なんなんだ。お前ら。」

「人間の分際でこいしお嬢の寵愛を受けるとは・・・・。」

すると、カラスの一匹は魔理沙を思いっきり殴った。

またそれに続いて、他のカラスも魔理沙に暴力を振るい始める。

「お前ら、何でいきなりっ!」

魔理沙はリンチをしているカラス達に異議を唱えた。


「愚かで汚らわしい人間が妖怪に愛されるなんて、有り得ないっ!」

「奴隷種族は、一生蟻や蜂のように働き、神仏や動物にさえ愛されずに死ねばいい!」


「現世の面汚しめ!」


「存在価値のないゴミクズっ!!」


カラス達は、魔理沙を思い思いになぶる。

「やめて!皆!魔理沙は悪い人間じゃないのよ!飼い主である私の言うことを聞いて!」

そんな仲裁も空しく、カラス達は魔理沙に暴力を振るい続ける。

「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いやめてやめてやめてやめてやめて!」

魔理沙は懇願し続けるが、カラス達は聞く耳を持とうとしない。

その時一匹のカラスが、大きく魔理沙を蹴った。

すると、軽く放物線を描いた。

遠くに飛ばされて、魔理沙はピクリとも動かなかった。

「魔理沙大丈夫!?」

こいしはすぐさま、魔理沙のもとへと駆け寄った。


文々。新聞 第百二十×季 皐月の三

(三面記事見出しより抜粋。)

(写真は、ポスターを町中に張っているアリスと人形達。)


『異変解決の専門家、行方不明!』

「未だに音沙汰なし。神隠しか?」


博麗神社に行ったことのあるものは、すでに知っているかもしれないが。
ここ最近、巫女の姿が全くない。縁側でお茶を飲んでいなければ、境内を掃除してもいない。
そして、不自然なまでに彼女の姿を見たものが幻想郷にいないのだ。

ちなみに最後に彼女の姿を見たのは、鬼の伊吹萃香さんでふらっと幻想郷中を散歩してたら
パタリといなくなっていたと言う。

あと、魔法使いで霧雨魔法店経営の霧雨魔理沙さんも同じように行方不明になったと
取材の終盤に明らかになった。
彼女も、霊夢さんと同日に行方不明。

魔法の森の自宅にいってみても、鍵がかかっていて、中には入れなかった。

どうやら、彼女も神隠しにあったようである。

これをうけて、魔理沙さんの両親と友人は周囲に捜索を呼び掛けている。

今なおも、捜索を続行中だ。

もし、霊夢さんや魔理沙さんを見かけた場合は、文々。新聞までご連絡ください。


(撮影協力・出雲 るか様)


文々。新聞は、小規模発行ながらも幻想郷中にばらまかれた。

里の寺子屋では、
「慧音先生、本当にあの強い巫女が行方不明なんですか?」
「信じられないが・・・。そうらしいな。」

紅魔館では、

「魔理沙がいないなんて、悲しいわ!」

「私は霊夢がいなくなって寂しいわ。」

冥界では、

「妖夢、二人は冥界にはいないと文に伝えておきなさい。」

永遠亭では、

「地球って意外とおっかないのね。」

「でも大丈夫です。姫。私と鈴仙がお守りします。」

守矢神社では、

「霊夢さんも魔理沙さんも、どこに行ったんでしょうね。」
「あのトンデモ巫女と盗人かい。外の世界にでもいったんじゃないかねぇ。」

「でも、このまま異変が来たら誰が解決するんだろう・・・。もしかして、早苗?」


場面は一転して、八雲邸。

「紫様。今日の新聞をお読みになりましたか?」

式神の藍は、さっきまで眠っていた女主人に声をかける。

「さっき読んだわよ。」


紫という名の女主人は、藍の質問に答えた。


「また、境界に穴を開けたのですか?」

「違うわよ。」

「は?」

「よく考えてみなさい。生きた人間である彼女達は、冥界や天界に長居できない。
外の世界には、境界のほころびがないからいくことはできない。月へは、汚れがあるから
住めない。住んだとしても、月人はすぐに追い返す。」

「・・・・ということは?」

「地底妖怪の仕業ね。」

紫は、断言するように言った。
「あいつらは、妖怪らしい妖怪。だから、鬼以外は卑怯をいとわないものも多い。」

「そうなんですか。」

「霊夢と魔理沙という幻想郷の重要な傭兵を、懐柔するなんて気が違ってるにも程があるわね。
よく見てなさい忌むべき地底妖怪、こっちにはあんたらをぶっ潰す策はあるのよ。」

---------------------------------------------------------------------------------------

「魔理沙!死なないで!」

「ここは、三途の川・・・?」

魔理沙は2日の眠りから覚めた。地霊殿につれてこられたときのように、ボロボロになっていた。

「私、必死に看病したのよ。」

「ありがとう。こいし。」

「ところで、魔理沙。本当にごめんなさい。」

「?」

「自分勝手なわがままが、こんなことになるなんて。」

「いいんだよ。私は戦いに負けた。それだけだぜ。」

「いつか、お姉ちゃんに内緒で逃がしてあげるからね。」


そのころ、霊夢は。

「あーあ。まるで油売ってるみたいだわ。」

旧都で、畑でできた野菜を売っていた。
朝から待つも、買いに来る人はまばらで、暇をもて余していた。

「おい、あんたは・・・。」

赤い一角獣の角を持った鬼が霊夢に話しかけてきた。

「あ、あんたは、旧都で出会った鬼の四天王の・・・。」

「そう、星熊勇儀だよ。」

霊夢の記憶力は、特に特筆すべき点はなかったが、退治した妖怪を覚えていたのは流石かもしれない。


「それよりさ、野菜買ってかない?安くしとくからさぁ。」

「・・・・(呆れ)。そんなことより地上人のあんたがなぜここにいるんだい?」

「実はねぇ・・・・。」

霊夢はかくがくしかじかと事情を話始めた。

「そうかい。あんた自身を略奪されたのかい。」

「ペットにされてこき使われる日々。もう嫌よ。」

「大変だねぇ。でも解放してあげられないよ。私ゃ鬼以外の妖怪には、
なにも口出しできないからねぇ。」

「そこをなんとか・・・。」

「無理だね。ま、何とかして逃げるんだね。じゃ!」


勇儀は話終わると、近くにある居酒屋へと入っていった。


「・・・・。皆さん、野菜買ってくれませんかー!」



それから何日がたっただろうか。

久々に、地霊殿に客人がやって来たのだ。

その姿は、霊夢の巫女服によく似ていた。しかし、全体的に緑なのが大きな違いだった。

「あのー・・・。霊夢さんと魔理沙さんはいらっしゃいますか?」

「はい、何のようでしょうか。」

さとりは、直々に顔を出す。

(さとりさんですね。)

紫は、陰陽玉越しにさとりに話しかけた。

「その声は、昔聞いたことがあるわ。」

(はい。昔、霊夢と共にここに潜り込んだものです。ところで、今日は用事があって
ここに早苗を地下に潜らせました)

「用事とは?」

(今すぐ霊夢と魔理沙を解放しなさい。)

「できませんね。」

(あの二人がいないと、地上の異変はほったらかしで、地上のバランスが崩れるのです。)

「そう言われても、妹が連れてきたので・・・・。」

(じゃあ、その妹のところへつれていきなさい。)

「・・・・。(まあいいか。どうせ、この巫女負けるだろうし。)いいでしょう。」

早苗が地霊殿の庭につくと、こいしと魔理沙が仲良く遊んでいた。
早苗が来るのを見たこいしは、早苗の近くにやって来た。

「緑のお姉ちゃん。何かよう?」

「また会えましたね。こいしちゃん。」

「あー思い出した。守矢神社の巫女さんだー。」

「そう東風谷早苗です。」

「なんで地底に来たの?」

「それは・・・・・。」

(私に説明させてくれません?)

「その声は聞き覚えがある!」

(私は、八雲紫よ。今日はあなたに頼み事があって早苗に来てもらったの。)

「頼み事って?」

(霊夢と魔理沙をペットの身分から解放してほしいの)

「嫌!」

(そうしないと地上がダメになるの・・・。って聞いてないわね。じゃあこうしましょう。)
早苗と戦って、負けたら解放してくれる?)

「それでも嫌!」

「私にいい考えがあります。あなたが勝ったら、この東風谷早苗をペットにしていいですよ。」

「・・・・。それならいいよ!」

(早苗さん。いいのですか?)

「構いませんよ。」


かくして、早苗VSこいしの幻想郷の異変解決を賭けた決戦が始まった。

こいしは、先手でいい?と
きいたあとにまたこうきいた。

「いつものスペルカード戦でいい?」

(そうじゃないと被害が確実に出るからそれでいいわ。)

「被害って私だけじゃないですか。」



「じゃあいくね。表象「ご先祖様枕元に総立ち」!」

何本もの細長く白い弾が、規則正しく早苗に襲いかかる。

「これは、簡単ですね。」

早苗は飄々と避け、こいしにお札を投げつけたうえに、隙間の能力を使い、相手の懐に潜り込み勢いよく蹴った。

すると、こいしは勢いよく、後ろに叩きつけられた。

「うぐぅ・・・。ちょっと、貴女は諏訪二柱の巫女じゃなかったの?!」

(この巫女は、零落せし神、スキマ妖怪のサポートを受けているのですわ。)

「ぐぬ。なら、こっちも能力を使わせていただくわ!」

そういうと、こいしは完全に自身の気配を消した。

「紫さん・・・。どこにいるかわかりませんよ?」

(気にしなくていいわ。私がなんとかするから。)

その時、紫はこいしが早苗の背後にいることを「有意と無意の境界」を弄っていたのでわかった。

(後ろにいるわ。後ろに向かって、お札を発射しなさい。)

「は、はい!」

言われるがままに、早苗はなにもない背後を攻撃した。


零落れた神の妖力を含んだお札が、敵に突き刺さる。

「ぐわっ?!」

こいしは、声を出して地面に倒れる。

「・・・。ひどい、ひどいよ。私はただ、私の心をわかってくれるペットがほしかっただけなのに・・・・・。」

(そんな言い訳、幻想郷では通用しないわ。敗けを認めなさい。)

「そんなのは、絶対嫌よ!この戦いは譲れない!」


―復燃「恋の埋火」


燃え上がるハート型の弾幕が早苗を囲む。


(恋しかったのね・・・・。)
「孤独だったんですね・・・。」

早苗は,秘法「九字刺し」を発動しようと思ったがやめた。


それは、あまりにも古明地こいしという少女がかわいそうに思えたから・・・。


代わりに、呪符を投げた。
それは、一撃で相手を仕留めるほどに妖力が込められていて、
紫が、「これで完勝しなさい」といって受け取ったものだ。


バシッ!


当たった。


当たった瞬間、こいしの動きは停止し、そしてゆっくりと足場に倒れた。


「これで自由になったのか?」

魔理沙は、勝者である早苗に訊く。

「ええ勝ちました。」



その日、文々。新聞の号外が出た。


見出しは、『幻想郷の異変解決少女、帰還』
「神隠しで消えたわけではなかった。」

(写真は、二人の帰還を歓迎する人たち。)

先日、久々に紅白の巫女の姿が博麗神社に戻った。
おなじくして、黒い魔法使いも博麗神社で見かけることができるようになった。

ということで、神社に行ってみると前のように巫女の姿を見かけることができた。

しかしなぜ、彼女たちが拐われてしまった理由はわからない。当の本人に話を聞いても、取材拒否されてしまう。

というわけなので、八雲紫さんと共に救出へ向かった東風谷早苗さんに話を聞いてみた。

「あ、ああ。あれは、人間以下の扱いを受けたから、人間としての尊厳を
踏みにじられたから、沈黙しているんですよ。傷を抉らずにそのままにしておいてください。」

私には完全にちんぷんかんぷんだが、訴えられたら敵わないので、そっとしておくことにしよう。


追記・○月×日、帰還記念宴会が博麗神社で行われる模様。

(撮影協力・きなこ様)

さて、文々。新聞はおいといて、この私、八雲紫が後日談をお話ししましょう。

あれから、霊夢や魔理沙は悠々とした毎日を送っているわ。
彼女たちは、私だけに話してくれたけど、ペットとしてこき使われただけじゃないみたい。
さとりの飼ってるペットにいびられたり、虐められたり、凌辱されたりされてたみたいよ。

これじゃあ、凄いトラウマになるわね。


あ。あと、こいしは、もう地上に遊びに来なくなったわ。
さっき私が言った「ペットの扱い」の真実を知って酷く傷ついたみたい。

こうもいってたわ。

「私に、二人をペットにする資格はあったのかしら?」ってね・・・。



〈終〉




 
※ 管理人さんに指摘を受けたので、一つにまとめました。
読みづらくてすみませんでした。

 三年前から産廃をROMしてた人です。管理人さんとかに恩返しするために勇気出して書いてみました。
スタースリー
作品情報
作品集:
1
投稿日時:
2009/06/01 21:17:57
更新日時:
2009/06/01 21:17:57
分類
霊夢
魔理沙
さとり
こいし
古明地姉妹
1. 名無し ■2009/06/02 01:43:07
恩返ししたかったのにいきなり指摘されるって仕方ないね。
2. n ■2009/06/02 11:14:42
あれ? それほど酷くないんじゃ……と思ってたら、裏ではひどかったのですね。
いやはや人権のありがたみがわかりますね……
3. 名無し ■2009/06/04 05:58:57
うんうん、産廃のお話にしてはそんな酷くな……
作者様、いびる虐めるはともかく、陵辱は是非書くべきかと存じます!
4. 名無し ■2009/06/04 10:38:30
産廃なのに早苗さんが格好いい……だと?
お願いですからもっとやっちゃってください。
5. 名無し ■2009/06/12 22:30:48
なんというきれいな早苗さん

うん、ROMもいいけど、書いた方が面白さ増し増しだぜ
6. 名無し ■2009/06/16 20:28:57
(笑)がつかないフルーツを見た
7. 名無し ■2009/06/18 04:53:37
早苗さんがゆかりんに売られる形で二人の身代わりにされて奴隷にされたほうが良かった
8. 名無し ■2009/12/04 19:30:23
おもしろいよおもしろいよ!
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