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『姫様のお仕事』 作者: ぷぷ

姫様のお仕事

作品集: 2 投稿日時: 2009/07/17 16:05:40 更新日時: 2009/07/19 02:48:54
1、
「輝夜様〜 もう昼ですよ。 起きてください」



正午過ぎの永遠亭。

鈴仙が呆れたような声を出していた。
目の前には、服の乱れた輝夜が、少々だらしな・・・ではなく、色っぽい格好で寝ている。
敷布団から6割ほど、掛け布団から8割ほど、体がはみ出ている。
「何よ〜。 いいじゃない、朝方までネトゲのレベル上げしてたんだから〜」
布団に顔を埋め、肩を揺する鈴仙に抵抗する輝夜。

「全く・・・ 姫様なんだから、もっと貴族らしくして下さいよ・・・」
「姫だからこそ、自由気ままに生きられるのよ〜」
鈴仙の苦言にも輝夜はどこ吹く風だ。

「もうどうでもいいです。
 ・・・さてと、昼ごはんに何時もの焼き鳥でも買って来ようかな」
そう呟いて、鈴仙はその場を立ち去ろうとした。

「・・・ちょっと待ちなさい」
焼き鳥、という言葉に反応し、鈴仙を止める輝夜。
「はい? 何でしょう」
「その焼き鳥って、まさか妹紅の屋台のものじゃないでしょうね?」
そんな訳ないわよねぇ、といった感じで鈴仙に尋ねる輝夜。
「そのまさかですけど、何か問題でも?」
キョトンとした感じで、全く悪びれることなく応える鈴仙。
「あんな半ニートの作る焼き鳥にまだ嵌ってるの? 貴方」
「姫様だって、何時も美味しいって言って食べてるじゃないですか」
「う・・・ 確かに美味しいけど・・・」

悔しいが、妹紅の作る焼き鳥は確かに美味しい。
絶妙な塩加減に、甘みと辛味が程よく均整取れているタレ。
初めて口に入れたとき、夢中になって食べて、後に妹紅の作ったものと知って、無理やり
全て吐き・・・ だそうとして、やっぱり止めたのは良い(?)思い出だ。

「ていうか、妹紅さんが半ニートなら、姫様は何ニートなんですか?」
言葉に詰まる輝夜。

「・・・お姫様ニート。 略してヒートよ」
「まんま妹紅さんですね、それ」

ちくしょおおおおおおおお!!!
今日の鈴仙の突っ込みは激しすぎる。


「わ、私だって、和食なら結構美味しく作れるのよ?」
これでも昔は自炊に近い事をしていた身だ。
少し練習すれば、和食なら人並みに作れるはずだ。

「今の論点は、料理が美味しく作れる云々より、働いてるかいないかだと思うのですが」
「・・・貴方、本当に鈴仙? さっきから突込みが激しすぎるんだけど」
先頃から論戦で押されっぱなしの輝夜は、目の前の妖怪が鈴仙であることを
認めたくなくなってきた。

「姫様も、働いてみては如何ですか?」
「・・・は?」
何を言い出すのだ? こいつは。
「輝夜様は、お美しい外見は勿論のこと、気立てもよく、大人らしい落ち着きも持ち合わせて
 いるじゃないですか。 
 接客業なら、きっと引く手数多ですよ。
 妹紅さんより向いている気がしますよ、私は。
 働いて結果を出せば、私を見返せるんじゃないですか?」
「う・・・」
一理、ある。
真面目さ、子供受けの良さでは妹紅に負けているだろうが、鈴仙の言った、気立てと
お淑やかさでは勝っているだろう。

「(そうすれば、生活も規則正しくなるだろうし)」
余計な掃除や炊事の回数も減るだろう、と鈴仙は頭の中で計算していた。
とはいえ、期待はしていない。

「(まあ、どうせ『面倒くさい』でお終いでしょうが)」
何度もやっている問答だ。
何せこのお方は以前、自分と師匠とてゐの目の前で


「働いたら負けだと思ってる」


と堂々と言った人である。





「・・・そうねぇ。
 じゃあ働いてみようかしら」
「はいはい、もう私はしらな・・・ 
 えええええぇぇええええええぇええええええ??!!」

今日、輝夜は鈴仙に舌戦で押されっぱなしだった。
これで一泡吹かせてやっただろう。 満足満足。

「なーんてね。 冗談じょうだ」
「輝夜様!! 私感動しました!!!」

鈴仙が号泣しながら輝夜の肩を掴んできた。

「れ、鈴仙? どうし」
「私誤解してました! 輝夜様はやるときはやるお方だったのですね!」
「あ、あの」
「ヤツメウナギの屋台ですか?! 香霖堂ですか?!
 職場に伺ってもよろしいですよね?!
 ああ、輝夜様の晴れ姿(?)を、生きているうちに拝見出来る事になろうとは!
 この鈴仙、感動の極みであります!!」

鈴仙が、怪我というハンデを乗り越えて3連覇を成し遂げたような勢いで、感涙している。
すんげえ泣いてる。
ていうか鼻水拭け。



「師匠にも報告してきます! きっと喜ばれますよ!」
「あ、ちょ、ちょっと・・・」
鈴仙は、あっという間に走り去ってしまった。

これから永遠亭内では、『輝夜が働くと宣言した』と言う事が、あっという間に
広まるだろう。
ここまで来て、今更引くわけに行かない。
輝夜にも、それなりのプライドがあるのだ。

━━━ こうなったら自棄だわ。 見てなさいよ、永遠亭の者達。
    ・・・特に鈴仙
 
図らずも、輝夜は働くことになった。











2、
「う〜ん、あと3日早く来てくれれば、問題なかったんだけど・・・」
「今だと問題があるの?」



同日夕刻、八つ目鰻屋台の前にて。

屋台の接客の仕事をしたい、という申し出をした輝夜の話を聞いたミスティアが、渋い顔をした。

「んー、そろそろ来る頃だと思うけど」
「?」
「ミスティアー!」
声がした方を振り向くと、大妖精の他、何名かの妖精がいる。
「何? この子達」
「うちのウェイトレス」



「一昨日、あんまり忙しすぎて、偶々お客で来てた大ちゃんとその友達にヘルプを頼んだんです。
 そしたら、えらい大好評だったんですよ。 カワイイって」

大妖精を含めた数匹の妖精が、屋台を開く前準備を行っている。
確かに、エプロンを下げた妖精ウェイトレス達は、絵になっている。
女将のミスティアに認められただけあって、妖精にしては賢い者達のようだ。
「本人達も乗せられちゃって、暫く働いてみたいって言ったんです」

「・・・確かに、私は不要の様ね」
輝夜は肩を落とした。
「彼女達飽きっぽいから、2,3週間待ってもらえば・・・」
「御免なさいね、そこまで待てないの」

一つ、働き先の候補が消えた。









「駄目よ」
「駄目だぜ」
香霖堂で働けないかと交渉しに来た輝夜に対し、偶々店に来ていた霊夢と魔理沙が返答した。

「貴方達には聞いてないわ」
「聞かれているのは僕なんだが」
輝夜と霖之助が呆れている。

「アンタ、どうせ何か良からぬことを企んでるでしょ?」
「ここは私の別荘なんだ。 私の目が黒いうちは、勝手な真似はさせないぜ」
別荘て。

「アンタの為でもあるのよ? 輝夜」
「そうだぜ。 霖之助と二人っきりとか、危険で仕方がない」
「危険?」
「所謂ムッツリスケベって奴だ」
「牙を隠した猛獣だからね、霖之助さんは」
「あら怖い」
「・・・不名誉な言いがかりはよしてくれ」
クスクスと笑う輝夜と、不機嫌そうに霊夢と魔理沙を睨む霖之助。


「怒らないでよ、霖之助さん。
 ・・・牙の手入れなら、私が付き合ってあげるから」
そう言って霖之助の唇に人差し指を当てる霊夢。
「・・・おい霊夢。 霖之助から離れろ」
魔理沙が霊夢の手を払いのける。 目が据わっている。
「何よ魔理沙。 お子様は邪魔しないでくれない?」
「お子様ねぇ。 お前、自分の貧相な体を認識しているのか?」
「・・・ガサツで無乳な実質無職が何を言うのかしら?」
「・・・強欲で貧乳で職務放棄の巫女が調子に乗るなと言ったんだぜ?」


雰囲気がヤバイ。
案の定、二人はポケットからスペルカードを取り出そうとしている。
「子供には、時に体罰が必要なのよ、魔理沙!」
「晴れっぱなしで干し上がった頭の中に、血の雨を降らせてやるよ! 霊夢!」
「待て! 店の外でやってくれ!!」

輝夜は慌てて店から逃げた。
こんなところで勤めてては、命がいくつあっても足らない(無限にあるが)。
こと弾幕勝負に関しては、幻想郷トップレベルの二人だ。 巻き込まれたら、確実に
痛手を負う。
香霖堂は、諦める事にした。









「ふーん。 二件とも振られちゃった訳か」
「両方ともタイミングが悪くってね」

同日、辺りがすっかり暗くなった頃。
妹紅の焼き鳥屋で座っていた輝夜が、ため息を突いた。
今日は殺し合いはやらないらしい。 妹紅が焼き鳥屋を開いている間は、輝夜は
彼女に手を出さないようにしていた。

「よかったら、ウチで勤める?」
「・・・せ、青天の霹靂なんだけど」
素っ頓狂な事を口走る妹紅に、輝夜は驚きを通り越して、却って冷静に反応した。
「アンタ、頭と口の回転は早そうだし。 妖怪同士で揉め事起こった際に、割って入れる
 戦闘力も持ってるし」
「あら嬉しい。 評価してくれてるのね」
「喧嘩と商売は別物よ」
勿論給料もちゃんと出すよ、という妹紅。
考えもしなかったが、ひょっとしたら割といい職場なのかもしれない。
お互い顔見知りの方が、やり易いに決まっている。

「・・・ただ、アンタはいいの?」
「いいっていうと? 私と貴方の確執の話?
 貴方今さっき、商売と喧嘩は別物って言ったじゃない」
不安そうに問う妹紅に、輝夜は質問した。

「そう、商売。 つまり、私の焼き鳥屋で働くってことだ。
 そして私の店で勤めるって事は、私の部下になるって事なんだけど?」











「・・・ありえねえ」
「こら、お姫様。 言葉遣い、言葉遣い」
数秒考えた後、ありえねえ、と素直な感想を述べた輝夜。






「うう〜。 もう当てがないわよ〜」
「アンタ引篭もってばっかりだから、人脈が細いのよ。 私も細いけど」
永琳を見習ったら? と妹紅。

「・・・あ、そういえば。
 焼き鳥屋始める前の話なんだけど、以前永琳とレミリアの日雇いアルバイトを
 受けたことならあるな」
思い出したように言う妹紅。
「永琳とレミリア、ねぇ・・・  当たってみるかな」
半ば投げやりな輝夜。
「・・・先に言っておくと、もし同じバイトをやるつもりなら、決してお勧めはしない。
 最終手段だと思いなさい」
「お勧めしない?」
「私にも良心があるってことよ」
辛かったなぁ、あれは。 と、遠い目をする妹紅。

「もうめんどくさいし、当てもないからそれでいいわ。 永琳とレミリアね?」
勘定よ、とお金を置いて、輝夜はさっさと永遠亭に帰って行った。


「・・・まぁ、働くことの大変さを学ぶいい機会かもしれないけど・・・
 あれはドMじゃなきゃ絶えられないだろうなー」
妹紅は一人呟いた。











3、
「あうぅぅう!! ぎゃう!! ひぃいいい!!」
「おー。 人間に近い味がするー!」


永遠亭の一室。

輝夜が激痛に耐えられず、悲鳴を上げている。

彼女の左腕が、ルーミアに食いちぎられた。


吹き出す鮮血。 千切れる肉。


「おいしー! ありがとね、えーりん先生」
「どういたしまして。 モリモリ食べて大きく育ちましょうね」
「はーい!」
「ちょ・・・ 礼を゛言う゛な゛らわたじでしょ!!
 ていうかモリモリ食べるなぁあぁぁぁあぁ!」

腕だけじゃない。
足も首筋も、噛み千切られた痕がある。
部屋の傍らに、指や内臓の欠片が点在している。

「あ、アア!」
「あらら、おませさんねぇ、乳首なんか噛んで」
「あああギャアアアアアアアアアアアアア!!!!」
「あ、噛み千切った」





「気持ちいいくらいの食いっぷりね。 お茶漬けのCMに使えるんじゃない? あの子」
相変わらず、ルーミアは一心不乱に輝夜を食べている。
再生し続けるその食料は、尽きることはない。
輝夜は激痛に気絶しては、(常人なら)致命的な箇所に手をつけられ覚醒する、といったことを
繰り返している。


「貴方の言うとおりね。 これ、妖怪に効き過ぎだわ。
 とてもじゃないけど実用化できるレベルじゃないわね」
「感謝しなさいよ。 悲劇を回避してあげたんだから。
 ・・・8割以上は私の為だけど」

永琳が手に袋を握っている。
その袋の中には、青いクッキーと黄色のラムネが入っている。
そして彼女の隣には、レミリアがいる。
(詳細は  http://blog.livedoor.jp/pupusan/archives/942364.html を参照)


「輝夜を貸してあげるから、許して頂戴」
「・・・まぁ、どの程度紅魔館に貢献してくれるかによるわね」
「ヒック・・・ もう、やめてよぉ・・・」
「・・・あれをやるの?」
「そりゃそうよ。 蓬莱人くらいしか出来る種族は存在しないでしょ? あんなの」
「えーりん、えーりん・・・ 助けて、えーりん・・・」
「輝夜は人間じゃないわよ?」
「あのお姫様も妹紅も、阿求に人間に分類されてたし。
 ルーミアも美味しいって言ってるし、まあ似たようなもんじゃない?」
「そ、そうなのかしらね・・・」
「そーなのかー」
「そーなのよー」
二人とも、輝夜をガン無視で会話を続けている。
その癖、ルーミアの相手はしてやるお嬢様。


「そう言えば、妹紅の時はビニールプールだったらしいわね。
 またそれにするの?」
「・・・秘密よ」
「さいですか」
「えーりんのばかぁ! 聞きなさいよぉ・・・グスッ」

輝夜が、指が2本欠けている右手で、永琳の右腕を掴んだ。

「こんなの、仕事じゃな、いよぅ・・・ えーりんの嘘吐き・・・ もう嫌い・・・」
「何を言うの? 輝夜。 貴方、こう言ったじゃない。
『妹紅が以前、永琳の元で日雇いのバイトをしたんでしょ?』
『それ、私にもやらせて。 お仕事ちょーだい』
 って。

 私も散々警告したでしょ?
 『この仕事は貴方にやらせたくない。 辛いお仕事よ?』
 って」

「も、妹紅を妖怪の餌にしたの・・・?
 何、が仕事よ・・・  この変態ドS!」
「違うわよ。 薬品の実験体になってもらっただけ。
 薬品を服用する事が仕事か、服用後の経過観察が仕事か、の違いよ。
 ラムネをいくつ食べるとどれ位の食欲を感じるか、データを取りたかったのよ」
一応輝夜の従者であるにも拘らず、サラッと涼しげな表情で対応する永琳。

「妹紅も頑張ってくれたのよ?
 顔を真っ青にしたり、血を吐いたり。
 突然疑心暗鬼になって、ブツブツ訳の分からないことを言いながら、
 首の周りを引っ掻いたり」
「へ・・・ 変態! 変態!」
「科学者にとって、それは最高の褒め言葉よ。 光栄だわ」

お給料は出すから安心してね?
そう言って、輝夜をルーミアの方へ蹴飛ばす永琳。
心の底からの、満面の笑み。 
成長するわが子を見守る、母親の顔だ。



 ・・・ていうか、アンタ本当に、生物の治療を目的としてその薬開発したのか?
まさか、幻想郷大災害とか起こす気じゃないだろうな?

レミリアは、心の中でそう突っ込んだ。










4、
紅魔館の地下室。


フランは早くも、とらとらふぁんたじー9をクリアし、またも暇な日々が始まろうとしていた。
「あーあ。 なんか面白い事起きないかなぁ・・・
 魔理沙とか来たら楽しいのになぁ・・・」
枕に顔を埋め、足をバタバタさせる。


コンコン。

その時、扉がノックされた。
咲夜が紅茶でも持って来たのだろうか?

「ん〜? 誰? 咲夜?」
「私よ、フラン」
驚いた。 姉のレミリアらしい。

「何? お姉様。 弾幕勝負でもする? 丁度暇だし」
「違うわよ。 一緒にお風呂、入りましょ?」
姉の直接のお誘いは、そこまで頻度は低くない。
しかし、お風呂に一緒に入ろうとは、非常に珍しい。
吸血鬼にとって、流水は弱点だからだ。

「んー・・・ なんかやだよ。 怖いもん、お風呂」
本能が、大量の水を怖いと感じている。
「大丈夫よフラン。 今日のお風呂は、水じゃないの」
「え〜? 何それ」









「お姉様〜! これでも食らえ〜!」
紅魔館の浴場。
パレオを着たフランが、ビキニ姿のレミリアに、水鉄砲で攻撃した。
「やったわね〜フラン! お返しよ!」
レミリアがフランに水風船を投げつけた。
「キャ! ビシャビシャになっちゃうよ〜」

ロリコ・・・にとっては至福の光景だろう。
咲夜も、レミリアとフランが楽しそうに遊んでいる姿を見て、喜ぶだろう。

 ・・・しかし現実では、咲夜はウンザリした表情で、それを眺めている。
しかもマスクをしている。 すんごく嫌そうだ。
彼女は今、ある女の体を支えている。


「・・・」
輝夜が、放心状態で浴槽の前に座っている。
彼女の両手首から先は切られ、そこから大量の血液が噴き出ている。
排出先は、浴槽だ。


そう。
現在、紅魔館の浴槽は、水ではなく、血液で満たされている。
全部、輝夜の血。
つまり、水鉄砲じゃなくて血鉄砲。
水風船じゃなくて、血風船。
姉妹は血塗れ。 血も滴るいい女。
生臭すぎて、もう何がなんだか分からない、咲夜と美鈴。

━━━ これ、掃除は誰がやるのよ・・・

どーせ私だろうなぁ、と盛大な溜息をつく咲夜。

浴室を見渡すと、使い古された映画の小道具のように、手首が複数転がっている。
手首が再生しきると同時に、美鈴が輝夜の手首を抑え、咲夜がそれを切る。 切り落とす。
その度に輝夜が叫び声をあげる。 だんだん弱々しくなっては来たが。

「あた・・・ま・・・ クラクラしてきた・・・」
なんで私がこんな目に。

少し前、何やらこういう会話があったらしい。



〜〜〜〜〜〜〜


「輝夜。 アンタ、この浴槽を血液で満たしなさい」
「は、はあ?! どうやってよ? どこかから人間をさらって来いっていうの?」
「何言ってるのよ。 それじゃ霊夢に目をつけられちゃうでしょ?
 アンタ一人でやればいいのよ。
 ほら、さっさと始めなさいよ。 私とフランが遊ぶんだから」
「ちょ、ちょ! ま、待たれいマタレイ!
 そもそもどうやって・・・」
「咲夜」
「はい」
「美鈴を呼んできなさい。 後、何か食料と飲み水を用意して」
「は、はぁ・・・」
咲夜は、少々意味が分からないといった感じで、その場から去った。

「いやあの、本当にやらせるつもりなの?」
「何よ。 これは貴方の『仕事』よ。 給料はちゃんと払うわよ?」
「こんなの仕事じゃないわよ!」
「・・・ねぇねぇ、ところでさ。
 今日の永遠亭での貴方。 すっごく可愛かったわよ?」
「・・・はぁ?」
「グシャグシャな顔になって、泣いてたわね〜」
「・・・」
「しかも貴方、自分より遥か格下の妖怪に、喧嘩で何度も負けてたわね〜。
 命だけは助けて下さいって言ってたの覚えてる?
 蓬莱人だから死なないってのにさ。 アハハッハ」
輝夜の額に、青筋が浮かんだ。

「・・・喧嘩なら買うわよ?
 弾幕勝負なら、簡単に勝たせるつもりはないけど?」

それにはお構いなしに、続けるレミリア。
「それを天狗に教えてあげたら、どんな記事を書いてくれるのかしらね〜?」
「・・・え?」
輝夜硬直。

「一面は決まりよね。
 『泣きながら従者に助けを求める永遠亭の姫君』
 『名言飛び出す! 助けてえーりん』
 とかになるんじゃない?」
「・・・」
「さっきの事知ってるのって、永琳とルーミアと私だけなのよねぇ・・・
 ルーミアの記憶は消すって永琳が言ってたわ」
「・・・」
「で、どうする? この仕事。 引き受けてくれる?」
「・・・・・・」


〜〜〜〜〜〜〜



「う・・・ なにが、なんだか、わから・・・な・・・」
真っ青な顔で、目の焦点が合わず、フラフラしている輝夜。


「むぅ。 これはいけないわね。 美鈴、あれを」
「はーい」
咲夜の指示を受け、輝夜の口にサンドイッチを詰め込む美鈴。

「もがもごごっごごごごもぐもぐもぐもごご」
「栄養補給してくださいね」
「ひょっほあんふぁいえふひ(ちょっとアンタ入れすぎ)」
「咲夜さん、詰め込みました」
「OK、把握。 次は飲み物ね」
咲夜は、面倒臭そうに輝夜の顔を上に向け、2Lで98円の水のキャップを数本開け、うち一本の
先を輝夜の口に突っ込んだ。

「もぐあうぐp、おぐmぽうgゴクゴクゴクもうぐぐp、pぐぐ」
「気合いよ、輝夜」
「むひひひはっへうへひょ!(無理に決まってるでしょ!)」
「諦めたら、そこで試合終了ですよ」
「・・・その名言をここで使うの? 美鈴」



輝夜は実に合計12回両手首を切られ、7回の栄養補給を行った。
(因みに、前回の子供用プール使用の際は、妹紅は6回手首を切り、4回の栄養補給を行っている)

余談だが、『第一回 浴槽に沈んだ手首をたくさん集めよう大会』では、
フランが13個を拾って優勝した。















十数時間後。


紅魔館で最低限の休憩をとり、莫大な給料を受け取った輝夜は、それをリアカーに積んで
永遠亭に帰ってきた。

輝夜を迎えた永遠亭の面々は、彼女の疲れ切った表情と、その多すぎる報酬に感動し、驚愕した。



それ以降、永遠亭の面々は輝夜を見直し、
『グータラダメ姫君』ではなく、 『やればできるお方』という認識に変わった。

しかし、輝夜はどれ程しつこく質問されても、決して仕事の内容については語らなかった。




余談だが、輝夜は鈴仙が起こしてきた時は、ちゃんとすぐに起きるようになったらしい。
何でも、働くことの大変さが分かったから、らしい。










めでたしめでたし
ムシャクシャして書いた。 反省はしていない。



しかし、なんでこんな作品ができたのだろう。 我ながら意味不明。



※5の方

SS書いてる方なのかな?
確かに、態々修正した方がいい間違いを、放置しておく理由はないですね。

てなわけで修正しました。
ぷぷ
http://blog.livedoor.jp/pupusan/
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2009/07/17 16:05:40
更新日時:
2009/07/19 02:48:54
分類
輝夜可愛いよ輝夜
1. 名無し ■2009/07/18 02:11:55
吉良「手首と聞いてとんできました」
2. 名無し ■2009/07/18 03:14:25
輝夜よく頑張った…
文字通り骨を削り血を注ぐ仕事だったな。
あと、魔理沙が霖之助を霖之助って呼んでることに地味に萌えた。
3. 名無し ■2009/07/18 06:37:32
いやー、面白かった
後から確認したらラムネクッキーの方か、納得
相当なスプラッタなのにほのぼのとしてしまう辺りが秀逸
決して自分に耐性がついたせいではないと思いたい

霊夢と魔理沙がかち合うシーンが、何だか新鮮w
4. 名無し ■2009/07/18 10:17:06
咲夜さん無事だったのか!
5. 名無し ■2009/07/18 13:56:56
姫様への(歪んだ)愛を感じる・・・面白かったです。
誤変換:例を→礼を
HPチラッと見ましたが誤字脱字といった意図していない
軽度の間違いは自分への教訓(?)として敢えて残す意味は
無いので、修正した方が良いかと思います。
6. n ■2009/07/19 14:44:08
惨劇を回避したのか。
輝夜も最終的には満足できる結果に終わったわけだし、実質ハッピーエンドだな。
わぁい!
7. 名無し ■2009/07/25 12:53:25
あれ、さくぽが生きてる
8. 名無し ■2009/07/29 01:12:53
誰も触れないけど※1は幽霊屋敷に帰れw
9. 名無し ■2009/07/29 06:38:59
霧之助の所にした方がよかったよな・・・これ・・・
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