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『永遠亭のハロウィン』 作者: ぷぷ

永遠亭のハロウィン

作品集: 2 投稿日時: 2009/07/20 04:52:48 更新日時: 2009/07/20 23:37:29
0、
「ねえ、鈴仙」
「なんですか? 師匠」
「今日は何の日か知ってる?」
「え? 何か特別な日でしたっけ?」
「今日はハロウィンなのよ」
「ハロウィン?」
「簡単に言うと、お菓子をくれない大人に、悪戯をしてもいい日なの」
「はぁ」
「というわけで、輝夜をいぢめましょう」
「は? え? どういう流れでそうなったんですか?」
「何よ鈴仙。 輝夜をいぢめたくないの?」
「あ、いえ。
 とても物凄く非常に激しく苛めたいです」
「決まりね。 てゐにはもう声をかけてあるから」











1、
「トリック・オア・トリート」
「ZZz・・・」
「トリック・オア・トリート」
「Zzz・・・・・・」






ズルッ

ゴン!!

「ぶべら!!」







ある日の朝。

輝夜は、頭が枕から落ち、強か頭を打ったことによって、起床した。

「イタタ・・・ 何なのよ、もう・・・」
「輝夜様。 朝ですよ〜」
鈴仙が輝夜を起こしにきた。

「・・・鈴仙」
「はい? 何でしょう、姫」
「いや、何って・・・ 何でそんなことするの?」
鈴仙の手には、輝夜の枕が握られている。
どうやら、彼女が枕を引っこ抜いたらしい。


「姫、今日は年に一度のハロウィンという日なんです」
「ハ、ハロウィン?」
「だから、こう言わなきゃならないんです」
「こ、こうって?」
「トリック・オア・トリート」
「とりっくおあとりーと?」
「お菓子くれなきゃ、悪戯しちゃうぞ! って意味です」
「そ、そうなの」
「今、輝夜様は私にお菓子をくれませんでしたよね?」
「う、うん。 そりゃだって・・・」
「だから、私は輝夜様に悪戯しなきゃならないんです」
「え? は、はぁ・・・」
「輝夜様! 起き抜けだからといって、そんな間の抜けた返事をしてはなりません!」
「は、はい!」
何か知らないが、言いくるめられた上に、怒られた輝夜。


「お布団は片して置きます。 朝食を召し上がって下さい」
「わ、わかったわ・・・」
鈴仙に促され、輝夜は首を傾げながらも、朝食を食べに食卓へ向かった。












2、
食事の間につくと、既に食事は机に並ばれていた。
出来立てらしく、茶碗の白米、そして味噌汁から湯気が上がっている。


そんな中、輝夜は唖然としていた。

「あ、朝から天麩羅?!」
間違いなく、机の上に置かれているのは、天麩羅である。

━━━ (滅茶苦茶胃にもたれそうなんだけど・・・)

しかも芋天がやたら多い。 ていうか大きい。
何で採れたての姿のままで揚がってるのよ、この甘藷。
せめて切ってから揚げてくれ・・・
輝夜はため息をついた。 これも悪戯の一環なのだろうか?



「姫様〜 早く座ってください〜」
てゐが、輝夜の椅子を持って待機している。
どうやら、輝夜が食事の机に着くのに合わせて、椅子を動かしてくれるつもりらしい。

めっさ笑顔なてゐ。
流石に輝夜は、てゐが何をしようとしているのか察した。
「てゐ」
「なぁ〜に? 姫様」
「椅子、私に渡しなさい」
てゐを軽く睨みつける輝夜。

「な、なんで?」
「どうせ、座ろうとしたところで、椅子を引いて私に尻もちつかせる気なんでしょ?」
「あはは、ばれちゃったか〜」
てゐが舌を出して苦笑いを浮かべた。

「どうせ、はろうぃんとやらでしょ?
 ・・・そもそも貴方は、悪戯なら普段からやってるでしょ?」
「姫にはあんまりやらないよ。
 やるとしても、鈴仙やお師匠様を巻き込んだ上でだよ」
まあ、確かに。


「で、徒労に終わったわけね。 御苦労様」
「む〜・・・」
輝夜はフフンと笑って、自ら椅子を引き、座った。















バキッ

ガタ、ゴン!!

「はべら!!!」




輝夜は、壮大にに頭を打った。
椅子の脚が折れ、後ろ向きに倒れたのだ。


「ぶっ・・・ ギャハハハハハッハ!!!!
 PUGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」

てゐが仰向きに倒れて、大笑いしている。

「あ、甘いよ、姫様!
 私の悪戯が、そんな簡単な1段階で済むわけないじゃん!!」
目に涙を浮かべ、爆笑するてゐ。
一方輝夜は、別の意味で涙目になっている。

「ううう〜〜 イタタタタタ・・・」
暫く唸っていた輝夜だが、痛みが治まるとてゐに向かって、
「・・・許さないわよ、てゐ! 覚悟しなさい!!」
といって、スペルカードを出そうとし・・・


「ん? 輝夜様。 どうなさったのですか?」
目の前にいるのは鈴仙。
てゐはとっくに逃げていた。 憎いアンチクショウめ。

「あら、まだ召し上がってなかったのですね、朝食。
 冷めちゃいますよ? 早いとこ食べましょう」
私も朝食まだだったんですよ、と鈴仙は言った。

「・・・あれ? 輝夜様。
 その椅子、壊れちゃったんですか?」
「そうなのよ。 実はてゐが・・・」
輝夜は、ほんの数分前に起こっていた事の顛末を、鈴仙に説明した。

「・・・いけませんね、てゐは。 悪戯が過ぎます」
「そうよね。 そう思うわよね?」
少し怒った表情で、返答する鈴仙。 目に涙を浮かべている。
同意をとれた輝夜は、少し気分が晴れた。

「椅子が可哀そうじゃないですか! まだまだ使えるイスだったのに・・・
 ああ、可哀そうに、イーちゃん・・・」
「あ、そっちなんだ・・・」
ていうか、名前あったんだ・・・





「・・・まあ、とりあえず食べましょう」
「そ、そうね」
そうだ、朝食だ。
冷めてしまうと、美味しくなくなってしまう。

「「頂きます」」

輝夜はいきなり手はつけず、鈴仙の様子を見ながら、徐々に箸をつけていった。
食事に悪戯されている可能性を考慮し、鈴仙が手をつけていったものから食べることに
したのだ。
勿論、自分の食事だけに細工がされている可能性もあるが・・・
その場合はどの道お手上げだ。


味噌汁、ご飯、問題なし。

芋天+天汁・・・ 何で鈴仙のは切れてて、私の芋天は生まれたままの姿なんだろう。
鈴仙に突っ込むとするか。

「ねえ、鈴仙」
「何でしょう? 姫様」
「なんで私のサツマ「そう! 美味しいですよね! このお芋!」」
突如、話を遮る鈴仙。

「いやあの「穣子様が、いいお芋が取れたって事で、御裾分けに来てくれたのです!」」
「う、うん、それでね「この鈴仙、感動でしたよ! 何ていったって、
 豊穣の神様から直接農作物を頂けるなんて、滅多に無い事ですよ!」」
「あ、うん。 そうね・・・」
ダメだこりゃ・・・

取り合えず串を刺し、天汁につけ、齧るようにして食べる輝夜。
下品なのは分かっているが、現状ではこうやって食べるしかない。

「(芯まで熱がちゃんと通ってる・・・)」
変なところで凝ってるなぁ、この悪戯は・・・
まあ問題はなさそう。 というか、美味しい。 流石は秋の豊穣の神だ。

鈴仙は、海老天に塩を付けて食べている。
「(よーし、じゃあ私も・・・)」

天麩羅の主役といえば、やはり海老だろう。
輝夜は海老天に塩をつけ、口に運んだ。



















「・・・・・・鈴仙」
「はい? 何でしょうか」
「・・・これ、塩じゃなくて、砂糖なんだけど・・・」
甘い。 あめえ。 何これ。

「ええ、砂糖ですよ?」
「いや、ええって・・・ ここは普通は塩でしょ?」
「いやいや、姫様。 常識にとらわれてはいけませんよ」
「常識というか、何というか、こr」
「常識にとらわれないと、自機が回ってくるらしいんですよ」

 ・・・あれか? 某自信過剰で少々アイタタな山の神の巫女のことか?

「慣れれば意外といけますよ?」
「い、いや、いいわ・・・」
海老だけでなく、人参等の天麩羅も、時折砂糖につけて口に運ぶ鈴仙。
輝夜はあきらめて、全部天汁で食べることにした。











3、
15分後、輝夜の自室。


朝食を食べ終えた輝夜は、取り合えずPCを起動し、ネットをやることにした。
電源を入れ、マウスを手元に持っていく。














ない。
マウスがない。 
上下左右、東西南北、どこを見てもない。

「あ、あれ? なんでないの?」
昨日、もとい寝る寸前まで、普通に使っていたはずなのだが・・・

「と、取り合えずログインしておこうかしら・・・」
パスワードをいれ、待機画面まで持っていこうとする輝夜。


 ・・・ここで、もう一つの異変に気づいた。


キーボード。
マウスと違って、現物はある。
但し、『P(せ)』のキーだけ無い。
明らかに、抜き取られた形跡がある。

「何なのよ・・・ また『はろうぃん』とやらの悪戯?」
誰だ? やったのは。
鈴仙か? てゐか?
「てゐは行方不明だし、今の鈴仙はちょっとまともな会話ができそうにないし・・・」
 ・・・しょうがない。 予備のキーボードとマウスくらいあるはずだ。
永琳に聞いてみよう。

「輝夜。 ちょっといい?」
 ・・・ジャストタイミング。 永琳が部屋に来た。
「ねえ、永琳。 実はカクカクジカジカで・・・」

 ・・・・・・

「あるわよ。 その二つの控えなら」
永琳は言った。

「流石ね、永琳は。 じゃあ、それ持ってきてくれる?」
「了解。 ちょっと待っててね」
直ぐ戻るわ、といって、永琳は去っていった。














5分後。

永琳と輝夜が対峙していた。
二人とも、無言である。

「・・・えーっと、永琳? これは・・・何?」
「何って、頼まれたものを持ってきたのよ」
輝夜が沈黙を破り、永琳がそれに応えた。

永琳の手には、以下の二点がある。

(1)PS2接続マウス(ホイール)
(2)キーボードの『P(せ)』キー (勿論、輝夜のPCのKBとは規格が違う)



「えーと、うん。 確かに、間違ってはいないけどね?
 せめて光学式のマウスはなかったの?」
「倉庫で眠っているわ」
「え、じゃあそれ持ってきてよ」
「輝夜」
永琳が、真剣な眼差しで輝夜を見た。

「な、何? 永琳」
「貴方は、FCやSFCのゲームが面白いとは思わないの?」
何を言い出すのだ? 永琳は。
「面白いと思うけど? それがどうか・・・」
「彼らは、このホイールマウスは。
 そんな時から、現役で頑張ってきた子達なのよ?」
「は、はぁ・・・」
「だから、大事に使ってあげて?」
ね? と言って微笑む永琳。
「わ、わかりました・・・」
気がついたら、輝夜は頷いていた。



「・・・で、マウスの方は分かったとして、これは?」
輝夜は、キーボードの『P』のボタンを手に取って言った。

「普通にキーボードだけ持ってきてくれれば、それでよかったんだけど・・・」
「ピチューン」
永琳が、突如訳の分からない事を口走った。
「・・・え?」
やや困惑した表情で、顔を上げる輝夜。

「姫。 そのPはね、ピチューンなの」
永淋は輝夜にお構いなしに、続けた。

「御免なさい。 意味が分からないんだけど・・・」
「ピチューン、よ」
「いやね、永琳。 あのね」
「ピチューン、よ」
そういうと、永琳は奇妙なダンスを踊りだした。

「ピチューン、ピチュピチュ・・・」


Q1、この気持ち悪い踊りは何ですか?
A、ヤゴコロダンスっていいます。
  どんなものか見たい人は、 http://www.youtube.com/watch?v=AYr3TTargpw を参照に!






・・・もう駄目だ。  
輝夜は頭を抱えた。

悪戯ってレベルじゃねーぞ。
皆狂ってないか?




「ピッチュピチュピチュ、ぴっちゅーん」
取り敢えず輝夜は、踊ることにした。













4、
この世に生まれてから既に1000年以上経つが、こんな異様な状況は初めてだった。


ハロウィンっていうのは、こんなカオスな日なのだろうか?
輝夜は、一刻も早く、この一日が終わってくれることを祈った。

 ・・・昼食の時間だ。
輝夜は自室から出て、再び食卓へ向かった。






道中。

因幡達が、廊下で正座をしている。
「・・・貴方達、どうかしたの?」
永琳にでも、派手に怒られたのか?
「いえ、なんでもありません」
無表情で答える因幡達。
「そ、そう・・・」
見つめられて気持ち悪いが、兎に角食卓へ向かうことにした。

























バキッ

ドス!

「もぐら!!!」





輝夜が、間抜けな声を上げた。
まあ、ある意味しょうがないのだが。

廊下の床が突然壊れ、輝夜は腰から下が、廊下に嵌っていた。


「うぐぐぐぐぐ・・・」
痛みはそれほどではないが、何せかっこ悪い。
まして今は、因幡達が正座をしながら輝夜を囲んでいるのだ。
輝夜は顔を真っ赤にしながら、這い上がって下半身を穴から出した。

「えと、ね」
「・・・」
「あ、うん。 そのね。
 手伝ってくれてもよかったんじゃ・・・」
「・・・・・・」
「あ、いやその、ゴメンナサイマジスイマセンデシタ」

相変わらず無表情な因幡達を不気味に感じながら、輝夜は食事の間に向かった。


途中、二回穴にはまり、1回マリオ式ジャンプ台で頭を天井にぶつけたが、正直もう
どうでもよかった。













5、
「・・・というわけなの」

食事の間には、輝夜の他、永琳、鈴仙、てゐがいた。
「・・・つまり、ハロウィンを機に、より親睦を深めたかったと。
 そういうわけなのね?」
輝夜はため息をついた。

「姫はどんなに悪戯しても怒りませんでしたね。
 流石は、懐が深い方です」
鈴仙が凄いですね、と感心したように言った。 
「私はともかく、鈴仙とかお師匠様とか、普段姫に悪戯しない人がやったら、どういう
 リアクション取るのか、って言うのが見たかったんだよね」
てゐが、悪びれる様子もなく言った。
「貴方と私たちの新たな面を、お互い発見できたでしょ?
 年に一度くらい、こういう日があってもいいんじゃない?」
永琳が言った。
食事の間の扉の隙間から、数名の因幡が覗いているのが分かる。
輝夜と眼が合うと、恥ずかしそうに俯いた。


━━━ 新たな面、か。
      まあ、いいかな。 今日ぐらいは。


輝夜はもう一度溜息をついたが、その後笑顔を見せた。
「それも、もう終わりなんでしょ?」
「ええ、終わりよ。 もう十分」
取り敢えず、安堵する輝夜。
「さ、お昼ごはんにしましょう」
「れーせん、今日の昼ごはんって何ー?」
「素麺よ、てゐ。
 麺汁作ってくれない? 私は麺を茹でるから」
「じゃあ私は箸を並べるわね、鈴仙」
テキパキと動く3名。

━━━ 私は、随分と良い部下と友人に恵まれたらしい。

何だかんだで、結局私を楽しませるために、色々やっていたらしい。
 ・・・彼女たちの方が楽しそうだったのには、この際突っ込まないでおく。

「輝夜。 準備、出来たわよ」
素麺が机に置かれ、箸と麺汁の入った器が、人数分用意されている。

「じゃあ、頂きましょうか」
輝夜が声を上げ、
「「「はい」」」
3名が応答した。

4名は同時に麺を汁に入れ、同時に啜って口に入れた。

































鈴仙が、人差し指を輝夜に向けて、ゲラゲラ笑っている。

てゐが、蹲って床をバンバン叩きながら大爆笑している。

永琳が、ヤゴコロダンスを踊っている。







一方、輝夜は顔を顰めていた。

「(・・・これ、ポン酢だ・・・)」









fin
輝夜可愛いよ輝夜。


本来ならいじめスレ向きの作品ですが、狼狐さんのアリスいじりに負けないように、輝夜をいじりたいと思って、敢えて産廃への投稿となりました。


・・・でも完敗だなぁ。 内容も、投稿数も。
狼狐さんのアリス愛は、もはや尊敬の域。


ところで、輝夜の叫び声である、「ぶべら」「はべら」「もぐら」には、元ネタがあります。
御存知の方は居るでしょうか?

一応、正解はブログの方に書いておきます。


・・・と思ったら、※1の方に早々にほぼ正解を言われてしまった件ww
ぷぷ
http://blog.livedoor.jp/pupusan/
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2009/07/20 04:52:48
更新日時:
2009/07/20 23:37:29
分類
てるよいぢり
1. 名無し ■2009/07/20 14:13:53
あなたのおかげで私の中で輝夜株が大上昇だ
というかこの永遠亭面子はハロウィンでなくても悪戯してきそうだ

>ところで、輝夜の叫び声である、「ぶべら」「はべら」「もべら」には、元ネタがあります
まんゆうきかな・・・?
2. 名無し ■2009/07/21 00:07:01
こういうのんびりした雰囲気のいじめって素敵。
そしてヤゴコロダンスを踊りながらピチュンピチュンいうえーりん想像して吹いたw
3. 名無し ■2009/07/21 01:26:10
悪戯されてるっていうより、輝夜以外の頭がイカれてるw
4. 名無し ■2009/07/22 05:42:48
こういう息もつかせぬぬるいじめ、大好きです
※1の方に同じく株が鰻登り、永夜抄未プレイですが
駄目だ、姫様が可愛過ぎる、他のトリオも良い壊れっぷりw
5. ■2009/07/23 11:03:05
ハロウィンとはかくも恐ろしき日だったのですね。
永遠亭はこんな風にほのぼのしてるのもいいな。
6. 名無し ■2009/09/30 20:25:15
砂糖のところで笑った、予想外
7. 名無し ■2010/06/05 13:51:16
このセンスは半端ないw
8. 変人 ■2011/01/23 00:54:27
笑ってはいけないシリーズのノリを感じたw
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