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『300 イヤーズ アフター』 作者: 木質

300 イヤーズ アフター

作品集: 2 投稿日時: 2009/08/03 14:25:32 更新日時: 2009/08/03 23:25:32
珍しく、射命丸文が新聞以外の目的で紅魔館にやってきた
「・・・・かつては鬼が支配しておりました。しかし妖怪の山は現在、我々天狗が頂点に君臨しています」
「君臨? 幻想郷から去って行った鬼からこれみよがしに掠め取っただけだろう?」
紅魔館の中庭。パラソルをさしたテーブルで、紅茶片手にレミリアは言った。言葉に端には天狗に対する嘲りが見えた
「あははは。そう言われると返す言葉がありません」
愛用の扇で自身を仰ぎながら苦笑いを浮かべる
正直、文はレミリアの言葉にハラワタが煮えくり返りそうな気分だった。それが表に出ないよう必死に感情を抑える
レミリアの後ろでティーポットを持ち傅(かしず)く咲夜と目が合ったので愛想笑いを送った
主と従者。それぞれの表情を見る限りでは、自身の中のどす黒い感情には気付かれていないようで文は安堵する


「伊吹萃香。星熊勇儀。最近また幻想郷の表舞台に鬼が現れはじめました。今後も鬼の出現が増えるというのが天狗上層部の予見です」
扇をテーブルに置き、出来る限り真剣な声と眼差しになるように努める。今日ここに来た本題を話し始める
「もしも鬼が戻ってきた場合、妖怪の山に攻め入って再び拠点とするでしょう。鬼は無法者の集まりです、良識を持つ鬼は極めて少ない」
テーブルに両手をつき、身を乗り出してレミリアに詰め寄る
「山を得た鬼は必ずや幻想郷全土に進出を始めるでしょう。紅魔館の主にして吸血鬼の最高峰レミリア・スカーレット。その名声を鬼は放っておきません」
「天狗、あなたお嬢様を脅かしているの?」
咲夜の冷たい視線が刺さる。文はいったん椅子に座りなおした
「いえ、そんなことは・・・・ただ私は起こり得る未来のお話をしたまでで・・・・」
「そんなことを私に話してどうするの?」
「天狗と同盟を結んでいただきたいのです」
「はぁ?」
意味がわからないという顔のレミリア
「鬼と天狗が戦えば、おそらく鬼が勝つでしょう。そうなれば幻想郷の秩序はおしまいです。ですから我々は鬼に対抗する力がほしいのです」
普段は新聞が雑に詰め込まれている鞄から、皺一つ無い綺麗な紙を一枚取り出す
「鬼が妖怪の山に攻めてきた時“だけ”でかまいません。その時、私たち共に鬼と戦っていただけないでしょうか?」
紙には同盟の内容が記入され、天魔の実印が押されていた。後は空欄にレミリアの名を書くだけで成立する状態になっていた
「それは鬼がここに攻めて来た時は、天狗が力を貸すということ?」
「はい。もちろんです。全身全霊、お力添えさせていただきます。紅魔館の皆様に損は一切させません」
レミリアは挑発するように笑う
「悪魔の契約は知っているわね? 一度結べば、絶対に破れない。今言ったその言葉も含めて」
「望むところです」
下駄を脱ぎ、芝の上に正座して。文は地面に額をこすりつけた
「ですからどうが。我々と共に幻想郷の未来をっ!」
プライドの高い、射命丸文がこんな行動を取るなど誰が想像できようか
これは良いものを見たと、レミリアは口の端を吊り上げる
「顔を上げなさい。幻想郷の治安に興味などないけど、そこまで言うのなら結んであげましょう」
まるで物乞いに「金貨でも恵んでやろうか?」というようなニュアンスだった
「本当ですかっ!!」
屈辱的な言葉のはずなのに、満面の笑みで顔を上げる文
「お待ち下さいお嬢様」
しかし、その笑みは従者の一言で翳(かげ)った
「ここは一度パチュリー様とご相談したほうが。もしかしたらどこかに紅魔館に不利益のある条文があるやもしれませんわ。それに天狗の話の信憑性も確かめないことには」
「まぁ。いきなりこの場で結ぶのも、確かに急ね」
「そういうわけで申し訳ありませんが、今日はお引取りを」
「わかりました・・・・・・色よい返事をお待ちしております」

明日の夕方に返事を出すという約束を取り付けて、文は紅魔館を出た。去り際、誰にも聞こえないように舌打ちした

湖の茂みで待機していた部下のもとに戻る
「どうでしたか?」
文は静かに首を左右に振った
「明日返事をいただけるようにしましたが、恐らく良い返事ではないでしょう」
忌々しそうに唇を噛む
天狗は力が欲しかった。鬼が戻ってきた時にそれを退け自分達を守る力。純粋にそれだけを望んだ
幻想郷の平和や秩序になど相手をその気にさせる方便である

そこで目をつけたのが紅魔館
吸血鬼が戦力として加われば万の兵を手に入れたのと同等である上、他勢力を勧誘する際にその存在は大きな後押しになる

「まぁ結べないなら結べないで構いません。対吸血鬼用の装備と訓練、準備が無駄にならずにすんだのですから・・・」
文は口元を扇で隠す。部下はその仕草に後寒いものを感じた
「天狗、河童の各隊に伝令を。明日の夕刻、吸血鬼の鹵獲作戦を決行する旨を」
「はっ!!」












そして月日は流れる
紅白の巫女装束の少女が湖の畔、何も無い平地に降り立つ
「情報だと、このあたりのはず」
巫女は勘を頼りに足元の雑草を術を使い抉る
「見つけた」
抉れた地面から自然のものとは違う、人工の物が姿を現す。冷たい石造りの地面に巫女は手を乗せる
「すごい厳重な結界ね。でも」
巫女は手に力をこめる
すると石の地面は重苦しい音を立てながら左右に開いた。開いた先には地下に続く階段があった。どれだけ深いのかはわからない
先が見えないほど深い闇の中。なんの躊躇いもなく、彼女は足を踏み入れる
「こんなことならもっと高性能なライトを持ってくるんだったわ」
足元を照らしながら階段を降りる。いつの間にか足取りは慎重になっていた

やがて階段がおわる
あたりを照らして見渡すが、明るさが足りず部屋の詳細はわからない

「ッ!!」
誰かの視線を感じるのと共に、心臓が鷲づかみにされる感覚が襲ってくる
全身から汗が噴出すのを感じながら、恐る恐る視線がする方向に懐中電灯を照らす

「きゃっ!!」

その声と同時に、巫女は今まで受けていた重圧から解放された
懐中電灯の光を当てた先。腐り落ち、骨だけになったベッドの下で何かが動いた
鉱物のような物体が光を受けて反射する
巫女は袖から長方形の薄い板を取り出して電源を入れる
「うぅ。眩しいよぅ」
「ああ、ごめんなさい」
ベッドの下で顔を両手で覆う少女から当てっ放しになっていた光を外した
長方形の薄い板のパネルを指先で操作し、画面に登録しておいた資料が出てくる
「宝石のような羽・・・・・あなたがフランドール・スカーレット?」








「こんなに明るいの久しぶり」
「私にはまだ暗いわ」

部屋の中央には巫女が持参した懐中電灯が立っている
それを挟むように巫女と宝石の羽を持った少女は向かい合って床に座る
椅子は部屋になかった。それらしいものはあったが、朽ちて椅子の機能を失っていた

少女は衣服は身に着けておらず、代わりに薄汚れた布切れを一枚だけ羽織っている
そんな井出達のまま無防備な姿勢で座るものだから、霊夢に似た少女は目のやり場に少しだけ困った
「えーーーと、あなた確か。れーむだっけ? 名字はたしか・・・・」
両手を組み、唸りながら懸命に巫女の名字を思い出そうとする
「れーむ・・・・れいむ・・・・霊夢? 博麗霊夢は8代前の巫女の名前よ」
「へ?」
巫女の言葉に彼女は首を傾けた
「昔、この地にあった紅魔館は300年前に壊滅したわ。今は草原が広がっているだけ」
「なにを言ってるの?」
「あなた、この300年。地下から出たことないの?」
「300年かどうかはわからないけど、そういえばずっと外に出てない気がする」
「どうして?」
「扉が急に開かなくなったから」
「文献じゃ、あなたに壊せないものは無いらしいけど?」
「開かないのには何か理由があると思って、じっとしてた」
巫女は足を崩しあぐらをかいてから、手を顔に当ててため息をついた
「300年、いや合計で800年間か、その殆どの時間をたった一人で? 気が触れてるだの情緒不安定だの、書かれてたけど・・・・・・」
気の毒すぎてそこから先の言葉が出てこなかった
「そういえば食べ物は? 吸血鬼は食べなくても生きていける種族なの?」
この部屋には食料はおろか、原型を留めている家具すらない。すべて風化していた
フランドールが洋服ではなく、ボロ布を纏っているのもそのせいだろう
彼女だけが時間の流れに取り残されていた
「あれを飲んでた」
霊夢の問いにフランドールは暗闇を指差すことで答えた
「真っ暗でなにもわからないわ」
「ネズミ。沢山いるよ」
「ネズミ?」
わけが分らず、オウム返ししてしまう
「捕まえて、喉に牙を刺して死なない程度の量を吸って逃がすの。そしたら減らない」
「・・・・・」
「あと虫とか天井の隙間からのびるコケや藻とか…」
「いい、それ以上は聞きたくない」
片手を前に出して説明を中断させた
地下室ではフランドールを頂点にして、小さなビオトープが出来上がっていた
「ところでそれは何?」
今度はフランドールが尋ねた。巫女が持つ長方形の薄い板に視線を送る
「これは小型化されたパソコンでタッチパネル式の…」
「パソコン? タッチパネル?」
「そっか。300年も前の知識しか無いのよね」
幻想郷にIT革命が起きたのは50年前、それからの科学の進歩はめざましかった
今の幻想郷は魔術と科学が混同する奇妙な世界になっていた
「それで、どうして紅魔館は壊れたの?」
「ちょっと待ってなさい・・・・どのフォルダに入れたかしら」
パネルを操作して、ここに来るきっかけとなったデータを探す

「あった。えーーと、ガス爆発? 魔女の実験が失敗したせいだって当時の文々。新聞に記載されてるわね」
「そう」
「・・・・・」
フランドールの言葉が以外に素気なく、巫女は拍子抜けした
「あんた悲しくないの? 身内が全員死んだのよ。顔色の一つ変えたっていいんじゃない?」
目の前の吸血鬼が495年幽閉されていたことを思い出す
「もしかして恨んでたの? 外出しようとする度に雨降らされたそうじゃない」
「ううん。別に恨んでないよ」
「じゃあなんで?」
「わからない、ただ何も感じない」
即答だった。恐らくそれが本心なのだろう
「あんた壊れちゃったのね。ずっと暗闇に居たせいで、心がおかしくなったのよ」
憐れみの目で孤高の吸血鬼を見る
「そうかな? もとからそんなもの感じなかったような気がする」
「長い時間をかけて磨耗して、麻痺してしまっているだけ。あんたもちゃんと持っていたはずよ。忘れているだけ」
「そうかな?」
「そうよ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
お互い言葉に詰まる
「でも、この記事。なんか妙なのよね。現場の状況がどうもおかしいのよ」
「 ? 」
画面の矢印をタッチして次のページに移る
「なぜか天狗が館の住人の死体を埋葬してるし。崩壊した館の第一発見者が天狗だからかしら?」
巫女が首を捻ると、フランドールも真似して一緒に捻った

話す話題が無くなったため、巫女は踵を返す
「もう帰っちゃうの」
「なに? 寂しいの?」
「そうじゃない」
ふるふると首を振った
「私を退治しに来たんじゃないの?」
「最初はそのつもりだったけど、やめたわ。今のあんたに害は無さそうだもの」
床に置いた懐中電灯を拾う
「で、あんたこれからどうするの?」
「別にどうもしないよ。ここにいるだけ。ずっと」
「そう。じゃあ私は帰るわね」
「ちゃんと閉めておいてね」
「もちろんよ。そこまで礼儀知らずじゃないわ。結界も張りなおしておくから安心なさい」
階段は使わず、巫女は浮かび上がり階段の出口に向かう
途中で巫女が一度だけ振り返った
「さようなら。多分、もう会うことはないわ」
「私もそう思うわ。さようなら霊夢」
「だから私は霊夢じゃなくて・・・」

しばらくして扉が閉まり。地下室に暗幕を引いた

この扉が次にいつ開くのかは、誰にもわからない
妖精メイドは皆、逃亡しました。
お嬢様は74匹の敵を道連れにした後、鹵獲され。首と胴を切り離されて仮死状態にさせられました。
パチュリーさんは天狗に捕らえられ、レミリアの洗脳に助力すれば助けると持ちかけられましたが、断ったので処刑されました。
門番は重症を負い、放り込まれた牢の中で静かに息を引き取りました。
咲夜さんも処刑される予定でしたが、盟友を謳う河童の立場もあり、喉を潰し、左側の目と足と手を抉られた状態で野に離されました。

天狗と河童はお嬢様の自分達の命令を忠実に聞く戦奴にするための研究を重ねましたが、
研究が完成する前に、お嬢様の体が腐りはじめたので。100年前に泣く泣く廃棄しました。

と自分で書いておきながら、300年の空白に何があったのかを色々と妄想してみる。

非常に私事ですが、いぢめスレでちょくちょく書かせて頂いてる死にゲーモノが段々ここ向きの内容になってきた
気づくと、キャラの首チョンパとか普通に書いてしまいそうになる。
木質
作品情報
作品集:
2
投稿日時:
2009/08/03 14:25:32
更新日時:
2009/08/03 23:25:32
分類
紅魔館
フラン
1. 名無し ■2009/08/03 23:42:51
流石ビッチ天狗だな
こんなクズが生きてる意味がわからんな
2. ナナシ ■2009/08/03 23:47:23
SFっぽくて面白かったです。
続きが読みたい
3. 名無し ■2009/08/03 23:54:29
これ書籍化してくれたら
お金を出して買うわ
4. 名無し ■2009/08/04 00:23:03
他の陣営がどうなったかも見てみたいな
結局鬼が大挙して幻想郷に帰還、紅魔館を掌握できなかった妖怪の山崩壊とか妄想した

死にゲーの人・・・だと・・・? 毎度乙彼様です マジで
余程リアルな描写さえなければロダ経由ならおkだと思うけどな・・・
5. 名無し ■2009/08/04 00:50:03
実印より血判のほうがいい気がする
6. 名無し ■2009/08/04 01:36:26
わくわくする内容だった。
そしてフランドールの復讐が始まった・・・!みたいな展開が好きだけどさすがにないね
7. 名無し ■2009/08/04 01:39:25
普通に考えればドンパチやった時点で気づかれて、霊夢や紫が介入してくるはず。
そうならなかったということは周到な欺瞞工作をしていたんだろう。
紅魔館を壊滅させた後も真実がばれないように、近くに住んでるチルノやルーミアの口を封じたり、
調査に乗り出した霊夢や魔理沙、歴史を見ることができる慧音を事故に見せかけて殺害とかもしてるんだろうな。
もちろん作戦に反対した天狗や河童は真っ先に処刑されてる。

そこまでやっても何かの拍子に真実が知れてしまい、人妖たちの総攻撃を受けて妖怪の山が壊滅する話はまだでしょうか。
8. 名無し ■2009/08/04 01:51:30
さあ次は天狗滅殺だ
9. 名無し ■2009/08/04 02:03:44
天狗は鬼に駆逐されました
10. pnp ■2009/08/04 08:49:17
とても楽しかった。
こういう盛大な世界観設定は憧れます。
密かにおぜうの大反撃を期待してたのは内緒。
11. 名無し ■2009/08/05 00:41:36
このあと紅魔館の家族たちが遺した無念のメッセージをどっかで目にして全てを知ったフランちゃんの無双が始まるんですね? わかります
12. 名無し ■2009/08/05 01:13:37
廃棄されたお嬢様が完全死したとは限らないよな?
13. 名無し ■2009/08/05 04:53:21
木質さんのファンであり死にゲー作者さんのファンだったがまさかの同一人物とあ。
14. 名無し ■2009/08/06 20:27:05
フランと巫女の会話が、なんともいえない無常観を醸し出していて心打たれた
15. 名無し ■2009/08/07 08:27:20
いぢめの人だと?

産廃始まったな
16. 名無し ■2010/06/05 22:52:11
こういうフランちゃん好きだなー
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