姫の気まぐれ/不死者の遊び (名無しオリキャラ男とのカップリング注意)

作品集: 3 投稿日時: 2009/09/04 00:28:20 更新日時: 2009/09/04 00:40:08
彼女が『それ』を提案したのは、満月の綺麗な夜だった。

「ねぇ………今夜の伽は少し変わった趣向を凝らしてみない?」

薄ぼんやりとした月光が照らす中、幾多の男たちを惑わしたなよ竹の姫君は妖艶に微笑む。

最初は驚いて拒絶した。
二回目はやんわりと拒否した。
三回目は、考える時間を欲した。
そして、四回目で――――――了承した。

むわっとした熱気と、ねっとりとした性臭が部屋の中に充満していた。
イナバ達が丁寧にセッティングした柔らかな羽毛の掛け布団は、今はすでに強引に部屋の隅に追いやられている。
温かい日の光を浴びた真っ白なシーツはもはや皺くちゃとなり本来の役目を果たしていない。
影が蠢く。二つの影がお互いを求めて貪りあっている。
響きあうのは甘い悲鳴に切羽詰まった声、そして熱く爛れた愛の囁き。
結合し、絡み合い、滅茶苦茶にかき乱しながら、恋人達は一つの高みへと昇っていく。

そしてその頂へと到達する直前、女は男に合図を送る。
それを受けた男は、女のその細く弱弱しい『首』に手を掛けた。

「ああぁっ……かっ………はっっ…………ぐぇっ………!!」

途端、劣情を催すような甘く幸せな嬌声は消え失せ、代わりに低く息苦しい呻き声が女の口から漏れ聞こえる。
目を見開き、その顔色を徐々に赤黒く変色させ、快楽ではなく苦痛に反応して二本の腕がシーツを握りしめる。
だが、それでも女は抵抗の様子を見せない。苦痛に反応し、手足の運動で苦悶を現しながらも、男の腕を止めることはしない。
女が、男の顔を見つめる。酸素の供給が断たれ、兎のように赤く染まっていく瞳で。その瞳には確かに、『快感』の色があった。
息をかすかに吐きながら、薄紫色の唇が言葉を紡ぐ。

「いい、わっ……もっと…絞め………わた、し……を……」

―――――殺して。

その言葉を聞いた瞬間、男の中で何かがはじけた。
いまだに動き続けていた彼らの結合部が、より一層のスピードでグラインドする。
それに連れられるようにまた、男の腕に込められる力が強くなった。

「あ………がっ………ぐがっ………」

女の目がさらに開かれ、眼球がわずかに飛び出す。
握りこぶし程の大きさに広がった口と、そこからだらしなく舌が飛び出した様子は、まるで躾のなっていないバカ犬のようであった。
情けなく、無様な断末魔の顔。それを、あの美しい月の姫が惜しげもなく晒している。
力など欠片も持たない『人間』の手で。

――――ゴキリ!
「………………っっっーーーーーーー!!!」

唐突に、野太い破壊音が部屋に響いた。
ぐりん、と眼球が回転して白目を向いた体が激しく痙攣を起こす。
それと同時に起こされた筋肉の反射による刺激に反応して、男の身体もまた痙攣し、彼らはお互いに別々の高みへと昇った。

束の間の余韻。
男が荒い息をついて一呼吸置いている間にも、その太い腕は女の首に掛けられたままだった。
意識した訳ではない。ただ、まるで石膏で塗り固められたかのように、男の指と手は硬直していた。
ふと、下半身に感じる生暖かい感触。そして、異臭に異音。
この段になって漸く石膏の腕は肉体を取り戻し、男はあわてて彼女の体から離れて様子を伺った。

排泄物が、漏れ出していた。
激しい悪臭と耳障りな音を立てながら、徐々に彼女の体から固形物と液体が溢れていく。
それが己の体を汚したことに少なからずたじろぎながら、男は女を改めて見つめた。

不自然に折れ曲がった首。
未だ断続的に痙攣を続けている体。
赤黒く変色し、無様に白目を向いて涎を垂らしているその顔。

数々の男を魅了した美しい月の姫は、そこには存在しなかった。
いるのは……いや、『ある』のはただ、醜い女の死体だけ。

女は、確かに死んでいた。



「………か……ぐや……?」

彼は呆然と名前を呼ぶ。
自分が愛した女の名前を。
心の底から大事に思っていた女の名前を。

「かぐや……かぐや……輝夜!!」

自分が殺した女の名前を叫びながら、彼はその肩を掴み乱暴に揺さぶった。
その振動に反応して、壊れたおもちゃのようにだらんと伸びた頭部が前後に揺れる。

「輝夜!!輝夜ぁ!!おい!!しっかりしろよ!!お前、お前は、こんな事じゃ……!!」

気がついた時には、彼は泣いていた。
まるで壊れた蛇口のように涙と鼻水を垂らしながら、それでもそれに構う事なくただただ輝夜の名前を叫び、呼びかける。
恐ろしかった。自分の手で自分の愛した彼女を亡くしてしまう事が恐ろしかった。

「輝夜ぁ……!!起きてくれよ……頼むから……輝夜ぁぁぁ……っ!!!」

――――ビクン!

体温も下がり始め、柔らかだった体が硬直しはじめたその時、唐突に輝夜の体が大きく痙攣した。

――――ビクッ…ビクンッ!!

断続的にその痙攣は続き、それに伴って輝夜の体が変化していく。
硬くなっていた体は、再び柔らかさを取り戻し。
青白く、赤黒くなっていた肌の色も元の血色へと変わり始め。
砕けていた首の骨も、少しずつ少しずつ元へ。
溢れ出していた排泄物………は、流石に無理。

「あ………あぁ………あぁぁぁ………」

呆けたような声を出す男の前で、輝夜はゆっくりと顔を起こす。
再び美しい顔を取り戻したかぐや姫は、閉じていた目をゆっくりと開くと、目の前の情けない顔の良人に柔らかく微笑みかけた。

「…………おはよう。心配しなくても、戻ってきたわ」
「輝夜ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

裏返った叫び声をあげながら、彼は輝夜に抱きついた。
恥も外聞もかなぐり捨てて、大の男が「良かった、本当に良かった」と泣きじゃくりながら少女へ縋りつく光景は中々奇妙ではあったが、
輝夜はそれに嫌悪感を見せることなく、抱きしめ返す事で答えた。

「もう、そんなに泣く事はないじゃない…私のリザレクションなんて幾度もなく見ているでしょう?」
「だ、だけど、俺、俺が、この手で、輝夜を」
「私がそう頼んだんだから当たり前でしょ。もう…これぐらいで死ぬ様な蓬莱人じゃ永琳が発狂するわよ」
「でも、心配で、凄く怖くてな」
「………ごめんなさい。やっぱり、貴方には刺激が強すぎたみたいね。ほら…もう大丈夫。私はここに、ちゃんと生きてるわ」
「うっ、ぐすっ。輝夜ぁ……」

自分の名前を呼びながら泣き震える男の頭を優しく撫で、輝夜はふぅと息をついた。


『マンネリ対策、と言う奴よ。貴方、私とまぐわいながら私を殺して頂戴』


永遠の不死者である蓬莱人にとって、死の存在は軽い。
むしろ、一種の快楽としての一面すら持っている。
不死不変の者である自分が、唯一明確に変化するその刹那を、輝夜は愛していたのかもしれない。
そして、普段はあの銀髪の不死鳥ぐらいにしか齎せないそれを、自分が何よりも愛している男によって感じられたら――――。
そんな思いつきの結果が、これだった。

「よしよし……泣いてるのはそのぐらいにしましょう? 後始末をしなきゃ、ね」
「ズズッ……あとしまつ?」

情けなく鼻をすすった後で、男がオウム返しに呟く。
それを聞いた輝夜は、黙って自分たちの下にある布団を指さした。

宵の口に敷かれたそれは、見るも無残に皺くちゃになり。
そして真っ白だったその色は、黄色と茶色のコントラストに染め上げられ。
あまつさえ別の意味でかぐわしくなってしまった匂いがツンと鼻をつく。

「………これは……ないわー……」
「窒息死は全身の力が一気に脱力するから、こんな事態が起こるのね…せいぜい失禁止まりだと思ったのに……」

流石の輝夜もここまでは予想していなかった様子で、恋人の前での醜態に対して頬を紅に染める。
彼もバツが悪そうに頬をかく事ぐらいしか出来なかった。とりあえず言っておくが、断じて輝夜に対する愛情にヒビは入っていない。
……ただ、月のお姫様も、まぁ下賤な地上人と変わらないのね、と思った程度だ。
なんとなく、はぁ、とため息が口から零れた。

「ほら、そんなに情けない顔をしないで頂戴。……………」
「んな事言ってもなぁ……なぁ、今なんか言ったか?」
「何も言ってないわよ?ほら、早く掃除をお願い」
「はいはい……おい待て自分は何もしないのか!?」
「当り前じゃない。私は姫様だもの♪」
「こんの蓬莱ニートォォォォォ!!!」

愛しい人の涙目突っ込みを微笑みでいなしながら、輝夜は先ほど飲み込んだ言葉を反芻する。


――――だって、愛し合っていた時の貴方はとても素敵な顔だったじゃない。


背徳的な幸福感が、ゾクリと輝夜の背筋を撫でた。
始めまして、こちらでは初投稿になります。
某Pixivの某イラストを見た瞬間にビビビときた電波をメモ帳にぶつけた結果こんな物が出来上がりました。
こことは別の某所に投下するつもりが、猟奇分が多くなったので『いやぁこれはダメだろう』とHDDの奥底で眠る事になった問題作。初期タイトルは『殺し愛』。
ひょんな事からここの存在を知って、まさかこんな形で日の目を見るとは思わなんだ。
と言いつつもここの趣旨からも微妙に外れてる気がしまくってるのが怖い。
輝夜自分から望んでやってるじゃん…苦しんでるけど気持ち良さそうジャン…これじゃあ変態紳士の諸兄も喜べないZYAN…?
そんな不安を抱えつつも、結局『誰かに見せたい!』という欲求に抗えませんでした。
姫様ともこたんが大好きです。蓬莱人ってイイヨネ、気軽に無茶出来るから。
ヤマワロ
作品情報
作品集:
3
投稿日時:
2009/09/04 00:28:20
更新日時:
2009/09/04 00:40:08
分類
輝夜
オリキャラ男
微スカ
いじめ分極少
和○?
1. 名無し ■2009/09/04 17:09:30
元絵大好きなので文章化されたものを拝めるとは嬉しいな
2. 排気ガス ■2009/09/04 22:31:32
もっと自分を解き放っても良いと思うんだ
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