FOR ME NOW

人を裁くというのは難しい事というかそもそも他者が他者を裁くのは根本的に不可能なんだと悟ったので、映姫様はハーレーに跨がってバージニア辺りのアスファルトを単車的な意味で楽しむ事にしました。
ヘルメットにぶち当たるカメムシが今まで裁いてきた罪人共の顔に見えてきます。
グッチャグチャになったカメムシ。
地獄行きの判決を下してやった時も、罪人はこんな風にグッチャグチャな顔をしていたのです。

通り過ぎる風景。
あっという暇もなく、風が風を追い抜いてゆく追い抜いてゆく。
道路標識、制限速度は2000km。
アメリカ人は変わっています。
無期懲役とか終身刑とか言いやあいいものの、懲役100年とか200年とか。
遠回し過ぎて馬鹿馬鹿しいです。メキシカンホットヘッドメリケンです。
映姫様もそういう風に白黒はっきりしないのは嫌いです。
この標識も、どうせなら制限なしと書けと。

苛立ちます。
コーラの缶をハイウェイにポイします。
刹那、何者かが猛スピードで走り抜け、缶が地面に着かない内にひき潰しました。
ジェット機に乗った小町です。
速度はマッハ2、つまり制限速度ギリギリ。
妙にはっきりしています。

「小町パンツ見えてる！」

パンツの柄は白黒。
映姫様は派手に転倒すると、カメムシの様にグッチャグチャになって他界しました。