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『たけのこごはん』 作者: 藤原海軍中将

たけのこごはん

作品集: 4 投稿日時: 2009/09/30 16:09:33 更新日時: 2009/10/01 01:18:02
「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

ガツガツガツ!!
私はたけのこごはんを口にかき込む。
たけのこごはんから若さを凝縮したような風味が口を駆け巡る。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

ガツガツ!ガキッ!!
あまりのたけのこごはんっぷりに皿を噛んでしまい、血が滲む。
しかし、私はこれを食べることを止めない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

もういつから私はこのたけのこごはんを食べているのだろう。
もう時間などとうにその概念から抜け出してしまったのかもしれない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

言っておくが私はたけのこごはんが好きなわけではない。
たけのこごはんだからたけのこごはんたり得るだけだ。
他に理由など存在しない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

私はたけのこごはんを食べているときにいつも宇宙を想像する。
この地球はたけのこ大星雲の中の一つではないのだろうか。
我々はその中のちっぽけなちっぽけな一人なのかも知れない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

もしかすると人類はたけのこから生まれたのかも知れない。
そうでもないとこの五臓六腑に染み渡る感覚は表現できない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

今まで箸を何本折ったのだろう。
今まで何度釜を破壊したのだろう。
いつからか私はこれが使命だと思うようになった。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

楽しい事もあった。充実していた。
でも、それ以上に辛い事や悲しいことがあった。
身が裂けるような思いも沢山してきた。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

私の色々な過去を知るものは逝った。
私だけに伝えてひっそりと消えた。
だからどうと言うのだろうか、人はいつか死ぬのだ。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

常に死と隣りあわせだった。
自分より先に逝った者の名前など忘れてしまった。
いや、忘れたかったのかもしれない。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

ありがとう、その一言を言いそびれた。
たった一言言いそびれただけなのに
こんなに心にしこりを残すとは思わなかった。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

一言、されど一言だ。
人の何気ないそれで心を傷つけられ
後々まで尾を引いてしまった。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

己の肉体をもてあそばれた。
たくさんの人間から乱暴もされた。
でも私は今も生きている。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

たとえ己が肉体が朽ち、地となりても
私はこのままでここに残り続けるのだろうか。
魂は…精神は…永遠たりえるのだろうか?


「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

私は私なりに頑張ろうとした。
運命に逆らおうと努力をしてみた。
しかし、現実は冷たく、非情だった。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

何故私だけこのような辛い思いをせねばならない
そう私は聞き、そして神は答えた。
辛いのはお前だけではないのだと。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

あの薬は私を変えた。
しかし、今になってはもうどうでも良いことだった。
今は今がある。それだけで十分であった。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

もうとっくに精神など崩壊しているのかもしれない。
そんなことはとうに分かっている。
まともな精神を持っているならとっくに自害している。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

しかし、私には見えるのだ。
この作られた世界の終焉が。
いつか滅びゆく運命の中で。

「たけのこごはん!たけのこごはん!!」

あの頃は良かったとか、思ったことはある。
しかし時を戻すことは出来ない。
思い出だけがいつまでも色あせずに心に残るのだ。


ずっと、ずっと・・・・・・・・・・・・。






「カチャリ」
箸が床に落ちる。

しかし、それを拾う手はもうすでに無い。
私の体も幻想へと還ろうとしているのだ。



「フフ……。」

人生今まで色々あった。
様々な生き物や人間たちに出会った。
しかし、もうそれらはもう居ない。

幻想は幻想と消え去ってしまったのだ。





私は長く生きすぎた。






一人は本当に辛かったよ。






でも、最後にはこう言わせて貰うよ











「ごちそうさま」
その地球上に妹紅ただひとりとなってしまったお話。
孤独を味わった彼女は何を思うのでしょうか。
藤原海軍中将
作品情報
作品集:
4
投稿日時:
2009/09/30 16:09:33
更新日時:
2009/10/01 01:18:02
分類
藤原さん
終わりが無いのが終わり
たけのこごはん
滅びの運命
1. 名無し ■2009/10/01 01:24:33
_人人人人人人人人人人人人人人人人人_
   > たけのこごはん! たけのこごはん! <
    ̄^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄
      。       ,,. ' "´ ̄`',-ー 、
    。 O     ,r':: ;::---:::::::::、:::::::::::::ヽ
    ゚  。 \  ,イ:::,r':::::::::::::::::::::(:::::::::::::ヽヘ
    -  ・。 .{::::::| :::::人:::::::ト:::,ヽ::::!、:::Y:::::',
    ゚ 0  ─r(ゝ:::((ノ,r=;,ヽノ_ノ.r;=;、\::゙i):::)
       ゚ ,,、,r-'⌒l ! ヒ_,!    ヒ_,! ) )::!::、::人
    。 ゚ r-'⌒`ー-'´ヾ, ,___,  '''_人: )( : :)
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 )  ご  た 7    /  / `'='´l  ̄i'-、_,,ン ノ 。
 )  は  け  て /  /   !。 l  l  - ニ
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  ^⌒~^⌒^~⌒ └==┘   ̄ ̄ ̄ ヽ==ノヽ=ノ\__/
2. 名無し ■2009/10/01 01:42:44
ハムッ ハフハフ
3. 名無し ■2009/10/01 11:12:37
うう、食いすぎて腹壊したモコ……
マズイモコ、このままではうらんふさんの格好の餌食に……
4. ガンギマリ ■2009/10/01 15:38:43
普通にええ話やん
どことなく哲学チックで素敵
5. 名無し ■2009/10/02 23:28:03
某曲の空耳と何の関係もなかったことに安心したような残念なような
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