災難だと諦めな

作品集: 4 投稿日時: 2009/10/06 21:03:11 更新日時: 2009/10/06 21:51:00
霊夢の華奢な体が吹き飛んだとき、萃香はえもいわれぬ快感を感じた。
ロケット弾のように吹き飛んだ霊夢は、ちゃぶ台を跳ね飛ばし、奥の障子を突き破り、布団の束の中に突っ込んで、
びくびくと痙攣している。
萃香は拳を突き出した状態で固まっていた。
拳に残った僅かな痺れが、切ない快感の余韻を残している。
ああ、ついにやっちゃった……。

萃香はそそられ続けていた。
日常を霊夢と過ごしていると、ワインが熟成するように、萃香の中に劣情の澱が積もってきた。
霊夢と一緒に縁側でお茶を飲んで、霊夢の掃除する姿を眺めて、異変解決から戻ってきた霊夢の少し汗ばんだ匂いを嗅いで、
つっけんどんな性格だけどそれでいて少女らしい感性と時折見せる冷徹さのギャップにぞくぞくして、
一緒に風呂に入って少女らしい体をからかうと子供っぽく怒る姿が可愛くて……。
萃香はあっけなく霊夢の虜になってしまった。
独特の価値観を持つ萃香は、霊夢を独占したくてたまらなかった。
霊夢は私がさらう、はやく霊夢は私のものにしないと、という考えである。
もちろん、萃香に限らず霊夢を好ましく思う妖怪は多い。
神社に寄ってくる有象無象の人間や、隙間妖怪、吸血鬼他々。
誰もが霊夢を狙っていると萃香は考えていた。
そのため萃香は、誰かが霊夢を傷物にする前に、最初に、自分が、力ずくで霊夢を蹂躙したかった。
じわじわと煽られ燻され続けた劣情は、ついに土石流のようにあふれ出し、霊夢を殴ってしまったのだ。

縁側に座ってお茶を飲んでいた霊夢に全力の拳をめり込ませたとき、萃香の全身を開放感が貫いた。
インパクトの瞬間にきらめいたのは、どんな酒よりも素晴らしい喜びの酩酊。
腕の先から、霊夢を征服した感覚が伝わってきた。

「……くふぅ」

萃香は思わず、快感の喘ぎを漏らしたのだった。
じんと伝わる温かい快感。
脳が痙攣したかのような喜びの波。
このときのために生きていたといっても過言ではない。

心地よいアクメが過ぎ去ったとき、萃香は薄ら寒い後悔に囚われた。
萃香はのろのろと居間に上がり、布団にめり込んだ霊夢を恐る恐る眺める。
霊夢の脚が死にかけの蛙のようにぴくぴくと動いていた。

「……大丈夫?」

鬼の全力で殴られて平気な人間がいるはず無いのだが、萃香は聞かずにはいられなかった。
霊夢が立ち上がって、平気な顔で返事をしてくれるかもしれないからだ。
現実逃避した萃香の思考である。
崩れた布団から伸びる霊夢の脚は、萃香に返事を返さない。
萃香は確認するのが怖かった。
自分の行為が確定してしまうのを恐れていた。
このまま逃げてしまえば、どんなに楽だろうか。
だが、それはできない。
なぜなら霊夢は、萃香の大切な人間なのだから。

のろのろと布団を捲ると、布団にべったりと血が付いていた。
布団を持ち上げ視線を降ろすと、霊夢の腹が裂けていた。
固まったミミズのように、赤黒い内臓が渦巻いている。
砕かれた肋骨が尖塔のようにあちこちから飛び出している。
霧の湖の建造物みたいだと、萃香は冷静に考えてしまった。
霧の湖……?
霊夢の死体は霧の湖の見立てなの?
まさか、死体を赤い湖に模して、自分たちの犯行をアピールしているの?
萃香の脳裏に、いやらしく微笑む吸血鬼の姿が映った。
全て判った。
大事な霊夢を殺したのは、あの吸血鬼たちだ。
間違いない!

「畜生ー! 絶対許さないぞ!」

萃香は咆哮を上げ、紅魔館に向かって矢のように飛んだ。
盛大な水しぶきを上げ湖を通過し、正門に立った赤い館の門番を跳ね飛ばした。

「アイヤーーー!」

門番の悲鳴が遠くの空に消えていった。
館に続く庭園で、萃香は体を巨大化させる。
ミッシングパープルパワーである。
バルコニーで午後のお茶を楽しんでいた吸血鬼は、驚きのあまり紅茶を噴き出してしまった。
メイドに背中をさすられ、咳き込みながら体勢を立て直す。

「な、何よアイツ……!」
「うおおおおおおおん! よくも霊夢を殺したな!!」

問答無用の萃香の一撃は、爆炎を纏った拳となり、館を貫いた。
柱も壁も積み木のようにばらばらと吹き飛び、吸血鬼は太陽に晒され、灰になった。
かつて紅魔館があった場所は、一瞬にして更地になってしまった。

「ううう、霊夢! 霊夢ぅ! 仇はとったよ! うわああああああん!」

萃香が大きな涙をこぼす。
切ない鬼の泣き声に、霧の湖に住む妖精たちも、つられて涙を流すのだった。

おわり
お読みいただきありがとうございました
極楽
作品情報
作品集:
4
投稿日時:
2009/10/06 21:03:11
更新日時:
2009/10/06 21:51:00
分類
伊吹萃香
博麗霊夢
とばっちり
1. 名無し ■2009/10/06 21:33:10
レミィかわいそすぎて胸が苦しい
2. 名無し ■2009/10/06 21:38:40
これはひどいw
3. 名無し ■2009/10/06 21:51:31
酒を飲みまくってたせいで現実と妄想の区別がつかなかったんだな。飲酒はほどほどに。
4. 名無し ■2009/10/06 21:54:00
こういうことってよくあるよね
5. 名無し ■2009/10/06 22:18:19
流れが綺麗
6. 名無し ■2009/10/06 22:53:00
これは諦めるしかないな
7. どっかのメンヘラ ■2009/10/06 22:57:17
言いがかりもいいところだwww

>>4
あるあ・・ねーよwww
8. 名無し ■2009/10/06 22:57:50
霊夢も不憫だなw
9. 名無し ■2009/10/06 23:36:13
何が悪かったんだろう?
10. 名無し ■2009/10/06 23:58:13
ワロタw
隕石が当たるくらいの確率ですね、諦めます
11. 名無し ■2009/10/07 00:35:03
死にくされw
12. 名無し ■2009/10/07 01:36:54
中国は無事だな
13. ヤマコ ■2009/10/07 08:04:44
よくも哀れな巫女を殺したな!
萃香さんパナいっすね
14. 名無し ■2009/10/07 16:25:10
マジキチw
15. 名無し ■2009/10/07 17:35:16
Suica現実逃避しすぎw
16. 名無し ■2009/10/07 23:35:07
巫女が柔らかすぎたのが原因だな
17. 名無し ■2009/10/08 19:57:07
憎き親友の敵を討つ感動のエンディングですね
良かったね萃香…
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード