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『神聖モコモコ王国 act4』 作者: 木質

神聖モコモコ王国 act4

作品集: 5 投稿日時: 2009/10/18 13:36:55 更新日時: 2009/10/18 22:42:23
【第七話 アンダー・ビリーバー】


朝の涼しさを含んださわやかな風が教室の窓から入り、生徒に目の覚める心地よさを与える
「モノを数える単位はさまざまだ、箪笥なら竿、兎は羽・・・・では神様はどう数えるかわかる者はいるか?」
教壇で教科書を片手に慧音は生徒の一人を指名する
「えっと・・・・・『人』ですか?」
自信無さげに答えた

「違うわボォゲェ!!! 『柱』だろうがぁ!!!」

いきなり飛んできた恫喝まがいの怒声に驚き、生徒全員は背筋をピンと伸ばす
声がした方向、窓際を全員が一斉に向くと。白と青が目立つ巫女装束の少女が窓に足をかけていた
「暴言失礼しました」
窓から身を乗り出した不安定な姿勢のまま小さくお辞儀をした
ゴホンと咳払いをしてから言葉を続ける
「崇高なる神が人間と同じ数え方など思い上がりも甚だしい・・・・・一体どうのような教育をしてらっしゃるのですか?」
慧音を睨みつける。その目にはどこか敵意のようなものが感じられた
「だから今まさにそれを教えているのだろうが。そもそもお前は突然でてきて何なんだ?」
「申し遅れました。私は守矢神社の巫女、風祝りで現人神の東風谷早苗です」



―――【   幻想郷豆知識   】―――

『御柱祭』

守矢神社では7年に一度
あまり顔立ちのよくない信者たちを集め
大木に乗せて崖から滑り落とすことで
まとめて殺そうとする行事がある

―――【   幻想郷豆知識   】―――


「本日は御用があってはるばる参りました」
「手短に頼む」
適当にあしらい、さっさと帰らせて授業を再開したかった
「では単刀直入に・・・・・・あなたを退治しに来ました」
「は?」
早苗の突拍子の無い言葉に慧音はただ怪訝な顔をする
「妖怪が子供に教育を施す? そんな馬鹿な、裏で洗脳してるに違いありません。里の人は騙せても、私は誤魔化せませんよ」
「確かに私は半獣だ。けれど子供に間違ったことを教えたことなど一度たりともない」
「いやいやいや。妖怪が自分の主観で純粋な子供に教えている時点で立派な洗の・・・・



左目の上が異常に腫れあがった状態で気を失っている早苗の襟を掴み、慧音は校庭の端に歩いていく
慧音は低学年向けのサイズのジャングルジムの前で立ち止まった
「しばらくここで大人しくしててもらおう」
ジャングルジムに早苗を頭から突っ込み奥に押し込んでいく
「こいつ誰モコ?」
先にジャングルジムに収容されていた妹紅が慧音に問いかけた
「授業の邪魔をした部外者だ、気にするな」
妹紅は上下逆さまの、まるでクモの巣にかかった羽虫のような体勢でジャングルジムの中に詰められていた
「ところで私はいつになったら出してくれるモコ? 頭に血が昇ってビデブしてしまうモコ」
「もう校門で輝夜暗殺者募集のビラ配りをやめると誓うか?」
「誓うモコ。縁日さんとこの小町みたいなアルティメットアサシンの育成は諦めるモコ」
「いい子だ。もうすぐ休み時間だからそれまで待ってろ」
授業を一時的に中断してここに来たため、慧音には妹紅を引っ張り出す時間の余裕がなかった
「そんなに待てねーモコ。それまでに2回リザレクションする自信があるモコ。返事は『イエス、ユアハイネス』しか受け付けないモコ」
「我慢しろ、あと15分程度だ」
最後に乱暴に足で早苗の体を押し込んで慧音は教室にもどっていった





「んん・・・・・ここは?」
天地が反転した世界で早苗は目を覚ました。左側の景色が少しだけ見えにくい
「よう新入り、お目覚めモコか?」
自分の足の近くから声がした
「あなたは?」
「妹紅だモコ。お前と同じ囚われの身モコ」
その言葉と逆さまになった寺子屋を見て、気絶する前の出来事を早苗は思い出した
「そうでした早くここを脱出しないと・・・・ぐっ・・・」
伸びきった左足を引き戻そうと膝を曲げようとするが
「そんな・・・・動けない」
「無駄モコよ」
様々な角度に体を捻り脱出を試みる早苗に諭すように言った
普段とは違う姿勢で固定され平行感覚を完全を失い、密集する格子で行動も大きく制限されている状態のため、体勢を変えること自体が困難だった
「しかしラッキーモコ」
「この状況のどこがですか?」
「右足をもう少し伸ばしてその先の格子を押すモコ」
「こ、こうですか」
言われた通りにやってみた
「あれ、棒が動く? 棒の片側が錆びて外れてるんですね」
「お陰で腕が自由になったモコ・・・・よッ、モッ、コッ!」
芋虫のように体をツイストさせて妹紅は牢獄を抜け出す
「私もここから引っ張りだしてくれませんか?」
「そうしたいのは山々モコが、お前の手足が複雑に格子に絡まってて、閉じ込めた慧音本人しか解けそうにないモコ」
「ならばどうか。私の意志を継いではいたでけないでしょうか? この寺子屋の子供たちを悪しき妖怪の手から救うのです」

「あらあら・・・・なんの相談かしら?」

何時の間にそこにいたのか。二人の前に日傘を手元でクルリクルリと回して優雅に微笑む女性が一人
フラワーマスター風見幽香である

「それじゃあ、妹紅は帰るモコ」
「待ちなさい」
去ろうとする妹紅の首根っこを幽香は掴む
「離してほしいモコ。そろそろ教会の礼拝の時間なんだモコ」
「なんですぐにバレる嘘をつくの?」
必死にもがく妹紅を片手で軽々と押さえつけ、ジャングルジムを見る
「ところであなたはさっき子供達を救うって言ってたわね?」
「はい。妖怪が子供に関わるなど言語道断、百害あって一理無し。ですから、この寺子屋に巣食う化け物を退治にきたのです」
最近妖怪退治にハマッた早苗は、目の前の相手が妖怪だということも知らず熱く語る
「へ〜〜〜。ふーーーーん。そう」
「妹紅は関係ないモコ。その女を早くrisyeさんに引き渡すことをオススメするモコ。多分極上の地獄を見せてくれるモコ」
朗らかに笑ってはいるが、幽香の額の血管は青く浮き出ている
幽香が手を離したので静かな足取りでその場から遠ざかろうとする
「誰が帰ってもいいと言ったかしら?」
遊具の土管の前を通ろうとした時に“ソレ”は現れた
「もごあああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
土管の中に潜んでいた正体不明の生物に妹紅は襲われた
赤色の大きな口を持つ植物だった
「パックンフラワー!? なぜスーパーマリオの初見殺しがここに!! 土管だからモコか!? ギャァ、腕噛まれたモコ!!」
幽香の動かす指先に合わせて、パックンフラワーは咥えた妹紅を持ち上げる
指先をくるくると回すとフラワーもそれに連動するように妹紅をシェイクしだした
「モ、コ、コ、コ、コ、コ、コ、コ、コッッッ!!!」

その光景を見て早苗は戦慄していた
目の前の妖怪はあの凶暴な植物を涼しげな顔な表情で使役するしている。本気でないのにこの実力
全身から滲み出る強者のオーラを感じ取っていた
今まで屠ってきた妖怪とは格、というか次元が違う。ニ柱の力を借りても勝てるかわからない
恐怖に素直な現代の女子高生は逃げるという選択を迷うことなく選んだ
「はぁ!」
自身の能力を発動させてジャングルジムの脱出を試みた
早苗の体がガクンと揺れた。自身の両肩を脱臼させた。それによって狭い空間での行動が可能になった
蛇のような動きで格子と格子の隙間を縫うように移動して外に出てくる
「動きがキショいわね」
「奇跡の力です」
「ビックリ人間の間違いよ」
出てきて地べたを這う早苗の背中を踏みつける。肩をはめ直す時間は与えない

「退治するんでしょう? 私を?」
「う、え、あ。待って」
「安心しなさい。命までは取らないわ。しばらく体が動かなくなるだけよ」
幽香が体のどの部分から花を咲かせてやろうかと考えていると

「あー! ゆーかお姉さんだーー!!」

寺子屋の玄関を出た少年が叫び。幽香の元に走ってくる。どうやら休み時間になったようだ
幽香の肩が硬直する
(まずい!!)
妹紅を咥えたままのパックンフラワーに急いで土管の中に戻るよう命令する
「うぉ! 待つモコ! 待つモコ! この先はひょっとして土管ワープ空間!? 初代仕様?」
早苗は一瞬で地面から生えた蔓に絡め取られて、叫ぶ間も与えられず芝生に擬態・一体化させられた

子供達が幽香のもとに着いたころには二人の姿は完全になくなっていた
「買い物の帰りですか?」
後れて慧音がやってくる
「ええ。そうよ。そのついでにここの花壇を見に来たの」
「頂いた種の花なら順調に育っていますよ」
「ねえ遊ぼうよ!!」
二人の会話に子供が割り込む
「こら、幽香さんは忙しい身だ。あまりわがままを言っては」
「私は構わないわ」
「そうですか、いつもすみません」
「いいのよ」
幽香の背後にある無人のジャングルジムを見て慧音は首をかしげた
「その中さっきまで、誰かいませんでしたか?」
「さぁ? 私が来たときには何も」
逃げられたか。と呟いて慧音は子供の幽香に任せて寺子屋に戻った





夕方。妹紅が帰って来た
「どこに行ってたんだ。探したぞ」
「ワープする土管に連れ込まれて、いっきにクッパ城まで飛んだモコ。橋が崩れて一緒に溶岩に落ちたけど不死だから勝てたモコ」
戦利品である両刃の斧を慧音に見せた

「なんだろう、この斧から伝わる禍々しさは・・・・」

ちなみに行方不明の早苗が見つかったのは、それから3日後のことだった





【第八話 イリーガル・タイム】

妹紅は慧音の机の引き出しを何度も開けたり閉めたりしていた
「ドラえもん!! ドラえもんは居ないモコか!!? ええーい! 排気ガスさんに連絡を取るモコ!! ナズーリン探偵事務所に捜索願いを出すモコ!」
「どうしたんだ一体? とにかく落ち着け、ネズミにドラえもん探させたら逆効果だぞ」
奇行を見かねて声を掛けた
「蓬莱の薬がある以上、もう輝夜を殺しきるのは難しいモコ。だから新しい輝夜抹殺計画を考えたモコ」
「殺すのを『不可能』じゃなくて『難しい』と言うお前の胆力だけは尊敬するぞ。で、考えたというのは?」
「ドラえもんの力を借りるモコ、タイムマシンで過去に行って蓬莱の薬を飲む前の輝夜に会ってモッコロスモコ」
「それはドラえもんというよりもターミネーターじゃないか?」

香霖堂

「いらっしゃい。ずいぶん大勢だね」
妹紅、慧音、藍、フランドールが店内にぞろぞろと入ってくる
「昨日【超高齢者戦隊ババレンジャー】のねんどろいどが入荷したよ。これが最後の一つだよ」
「欲しいけど、また今度にするモコ。今金欠モコ」
断って妹紅は部屋の奥に進む
「たしかガンギマリさんのところ紫が、ここで隙間を繋げてタイムスリップできるようにしてたモコ。それを使わせてもうらうモコ」
「なんの話しだい?」
「のび太は黙ってるモコ。また声優変えられてーのかモコ?」

四人は隙間をくぐった



白亜紀
見たことも無い木々が生い茂る丘に一行は立っていた
当たりは暗く。空を見上げると闇の天蓋に無数の光の粒が散りばめられている
「なんで白亜紀? しかも夜に」
あの隙間は白亜紀にしか繋がってないことを妹紅は失念していた
「輝夜さんはまだ生まれてないんじゃないでしょうか?」
自分の中指を月に重ねて方角を図りながら藍が言った
「しかもここからどうやって月に行くんだ」
慧音が追い討ちをかける
「もこぅぅ」
「ねーーあの人だれ〜〜?」
妹紅が思い悩んでいると、フランドールが遠くを指差した。吸血鬼の彼女だからこそこの暗闇で捉えることが出来た
「おかしいな。この時代は人類は存在しないはずなんだがな・・・」
「とりあえず行ってみるモコ。手ぶらで帰りたくないモコ」
彼女が指をさした方向を目指し一行は進む





「お前等、ちょっと止まるモコ」
先頭を歩く妹紅が手を挙げて、全員を止めた
「何か聞こえるモコ・・・」
妹紅は地面に耳を当てて音を聞く
「段々近づいてくるモコ」
「オイ、あ、あれ!!」
慧音が見たほうを全員が向くと、こちらに全速力で駆けて来るブラキオサウルスの群れ
「ああっ!!」
今度はフランドールが叫んだ。全員が真上を見上げるとプテラノドンの群れが旋回し、彼女ら目がけて滑空してきた
「ヤバイモコ!! 早くどこかに隠れ・・・」
「それはアレよりもヤバイですか?」
藍が指差す先
「GYYOOOOOOOOOOOOOOOOAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
巨木と見間違えるほどの巨大なティラノサウルスが木々を倒しながら迫る
災難に見舞われる一行を嘲笑うかのようにさらに巨大な地響きが鳴る
「こんどはなんだ!!」
「足場が!?」
大きな揺れと共に割れはじめた地面
その光景はまさに天変地異の前触れのようである
「うわああああ絶対絶命モコ!!」
妹紅の叫びが木霊した

―――果たしてモコモコ王国の運命やいかに





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「いや〜〜危ないところだったなぁ」
「尻尾が抜けるかと思いました」
「でも、すっごく楽しかった♪」
「ち、ちょっと待つモコ!! なんでもう思い出話になってるモコか!?」
なごやかムードで目的地を目指す慧音、藍、フランドール
ただ一人腑に落ちない妹紅
「おかしいモコ!! これから盛り上がるところじゃないモコか!?」
「妹紅さんが4回も恐竜に踏まれた時はもう駄目かと思いましたよ。慧音殿の新技がなければどうなっていたか・・・」
「だから覚えてねーモコ!! 慧音!慧音! お前なかったことにしたモコね!!」
「なんの話だ? ちゃんとみんなで力を合わせてあの危機を脱出したんじゃないか。諦めかけた私を励ましてくれたのが妹紅じゃないか」
「知らねーモコ! 捏造するんじゃな・・・・・・がっ」
慧音が妹紅の頭を掴み言い聞かせる
「いいか、私たちは“自力で困難を乗り越えた”それが事実だ」
噛み砕くような口の動きだった
「嘘モコ!! どうせ話の風呂敷を広げすぎて収集が付かなくなったから、ウヤムヤにして誤魔化したモコね!!」
「ナンノコトダ?」
「どうして言葉がカタコトになってるモコか!? 明らかにおかしいモコ!!」
「くどい!! わがまま言う子は先生知りません」
「納得いかねえモコォ!!」









死闘を終えた一行がしばらく進むと洞穴を見つけた。その洞窟の前で火を起こして恐竜の肉に齧りつく影を見つけた
その影の持ち主を見て全員が驚愕した

「こ、こいつは・・・!?」
「なぜです。そんなはずは」
「ありねーモコ」
「あ、先生だ」

サーベルタイガーの毛皮を見事に着こなした妙齢の女性
見間違えるはずなどない、八意永琳がそこにいた
近くに不時着し半壊した宇宙船と思われる残骸があった
「きっと旅行感覚で地球まで来たんでしょうね。帰るに帰れなくなって助けがくるまで待ってるんじゃないでしょうか」
「今の時点で何歳なんだこいつは?」
訝しんでいると、視線に気が付いたのか永琳が肉を持って近づいてくる
「しまった見つかった」
「ウガゲ、ドルア、テテク?」
「なんか言ってるモコ。昔の月の言葉モコか?」
「テテア、ウン、カウチ」
全員が困惑する中、一人前に出る者がいた
「私に任せて下さい。解読してみます。言葉として使っている以上、なにか法則性があるはず」
数式の達人。藍が一歩前に立って永琳と対峙する
「ローア、ミセト、テテク?」
三つも聞けば、藍にとって解読するのは容易かった
「えーーーと、『アアウ、トテ、カウチ』」
「イアイア!!」
永琳が大きく頷いて、藍に肉を手渡した
「どうやら成功したみたいです」
永琳はさらに藍に話しかける
「エエア、ウイ、オイ」
「ウカゲ、ウン、オイ」
「アーアー?」
藍の言葉を聞き永琳は首を振った
「なに話してるモコ?」
「『ピクルは私が育てた』といってます」
「意味がわからない」


―――【 明日使える月語講座 】―――

レッスン1
永琳「テレオ、バク、テテク?」:(彼はボブですか?)
藍 「エエア、オン、マネア」 :(いいえ、あれはペンです)

レッスン2
永琳「ガメア、ドウ、メメト?」:(その服はユニクロで買ったのですか?)
藍 「エエア、ウル、カウチ」 :(いいえ、これはしまむらです)

レッスン3
永琳「ロムスカ、パロ、ウル、ラピュタ」   :(終点が玉座の間とは上出来じゃないか)
藍 「リュシータ、トエル、ウル、ラピュタ」 :(ここが玉座ですって? ここはお墓よ、私とあなたの)

―――【 明日使える月語講座 】―――


「まあ何はともあれ、好都合だモコ。ここで永琳を始末すれば、輝夜が蓬莱の薬を飲むことはなくなるモコ」
「なに言ってるんだ。帰るぞ、もうすぐ夜が明ける。フランドールのことも考えろ」
「はぁ!! 待つモコ、まだ時間は・・・」
東の空がじょじょに明るくなり始めていた
「じゃあさっさとコイツを殺るモコ」
「T-レックスをチョークスリーパーで落とす女と戦いたくない」
「それに永琳さんを殺すと、後々、彼女に救われる人間が全員助からなくなりますし」
「私もお世話になったよ」
「チキショオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオモコオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
発言力の無い国王は、そのまま連行されるように隙間を潜らされた

もの凄くヘソを曲げたが
出口の香霖堂で永琳から貰った肉を売って得た金でババレンジャーのねんどろいどを買い与えれるとすぐ機嫌を直した










【番外 アクトン・ベイビー】


妖怪の山
「ガンダーラ↓ガンダーラ↑♪ ぜいせぃとわずいっ・い〜〜んでぃあ♪」
以前知り合いになった早苗に会うために、上機嫌に歌いながら山道を進む

「そこの者! 止まりなさい!!」
「モコ?」
顔を上げると白狼天狗が威圧する目で妹紅を見下ろしていた
「ここは妖怪の山、勝手に入る者は…」
「びぃえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええんん!!」
山道に赤子の泣く声が響いた
「あ、すまない。ちょっと待っててくれないだろうか?」
呼び止めた天狗、犬走椛は手を前に出して妹紅に静止するように頼んだ
椛はいったん地面に降り立つと持っていた剣と盾を置き、負ぶっていた赤子を抱き上げた
「ああーよしよし。寝てたのか。 起こしてしまったか?」
赤ん坊を揺すり背中をさすりながらあやす
1分ほどで赤ん坊は泣き止んでまた眠りはじめた
「待たせてしまったな、すまない。どういった用でこの山に来た?」
「ここの神社に行きたいモコ」
「参拝客か。道はわかるか?」
「その前に一つ訊いてもいいモコか?」
「ああ構わない」
「それは誰の子モコか?」
「話せば少し長くなる」


〜〜〜〜〜〜〜

椛は哨戒の任務の途中、違う種族の天狗に呼び止められた
「今は暇か?」
男の天狗は馴れ馴れしく椛の肩に腕を回し、胴着の上から胸に触れる
「哨戒の任ゆえ、今はちょっと」
「つれないこと言うなよ。どうせ侵入者なんてこないんだから、一人抜けたくらい変わんないよ」
目上の相手であるため、強く断ることもできず。そのまま物陰に連れ込まれる
服を脱ぎ股を開けと命令される
逆らうことの出来ない椛は言われるがままになる
前戯もほどほどに男の肉棒を挿入させられる


このようなことは何も初めてではない
天狗の男達にとって身分が自分よりも下の椛は後腐れなく出来るていの良い性欲処理相手なのだ
普段から寡黙なこともあり、椛は特に声を掛けられていた

「お前、奥のほうよりも浅いとこ刺激されるほうが好きだろ?」
腰を振りながら天狗は尋ねる
「・・・・・」
「なんか言えよ」
「んっ」
予告無しでクリトリスを抓られて小さく声を漏らす
「おお、いい感じいい感じ。しっかしこれだけヤっても全然ゆるくならねーな。足腰強い白狼天狗ならでわか?」
「・・・・・」
一言も喋らず椛は顔を背けた
「こっち向けよ。マグロ女が」
顎を掴まれて強引に顔を向かされて、口付けされる
男が口を離すと銀の糸の橋がかかった
「今イきそうになったから、顔背けたんだろう?」
「ちがいます」
「じゃあもっと激しくして良いんだな?」
「それは・・・あっ」
責める力が強まり椛は目を閉じて眼球を硬く絞った

その日の夜、椛はその男の家に連れ込まれて夜通し相手をさせられた


またある日
白狼天狗の詰め所で一人で将棋を指して新しい手を考えていると、先輩の集団が言い寄ってきた
「椛ちゃん、オレ達ちょっと溜まっててさ。相手してくんない?」
またある日
「ウチのカミさん今妊娠中なんだよ。今晩だけ相手してくれよ」
またある日
「旨い酒はいったんだよ。今晩呑みに来いよ」
またある日
「新しい薬が手に入ったんだけどさ、副作用がどんなのかわからなくて、いきなり彼女に使えなんだよ。なぁ協力してくれよ」
またある日
「うちの兄ちゃんが、女の体を知りたきゃ椛姉ェちゃんに訊けって・・・・」
またある日
「くそっ、また博打で金スった! これじゃあ女買う金がねえじゃねぇか! しかたねぇ、おい椛ぃぃ!!」

まさに肉便器という言葉がぴったりの扱いだった
自分の意思に関係なく椛は抱かれ続けた
身分の近しい者からかけ離れたものまで相手は様々。上手な者。下手糞な者
優しくされるときよりも、自慰に使われる道具のように雑に扱われることのほうが圧倒的に多かった
相手によっては善がっているフリをしなければならないこともあった


そんな日々が続いたある朝、椛は起きてから重苦しい気だるさを感じた
これはいけないと医者にかかったところ
「妊娠してるね。2ヶ月半といったところだ」
自分が身篭っていることを知った

(これからどうしようか・・・・)

そんなことを考えて川を眺めていると、隣に誰かが降り立った。椛を日常的に犯している天狗の一人である
「お前、妊娠したんだってな」
「ええ」
面倒ごとを避けるために先手を打って「オレはその子を知らない」と言いに来たのだろうと容易く予測できた
「責任取るよ。結婚しよう」
「ええ、その方がお互いの・・・は?」
予想していた言葉とは全く逆の言葉に驚く
椛が驚いたのはそれだけではなかった
その後、鴉天狗が
「俺もそろそろ結婚して親を安心させないとな」
「そう・・・・ですか」
鼻高天狗が
「妻がいても関係ない」
「それはちょっと」
山伏天狗が
「男として責任を取る」
「その言葉は嬉しいのですが・・・」
先輩の白狼天狗が
「その子は100%俺の子だ、だから面倒見るよ」
「生まれないことにはなんとも」
上司の弟の天狗が
「おれ、まだ子供だけど、絶対椛姉ェちゃん幸せにするから!」
「君まだ精通前・・・」
高名な天狗@が
「儂も年貢の納め時か。強い子を産んでおくれ」
「大天狗さまは不能では?」
高名な天狗Aが
「妾でよければ貰ってやる」
「天魔さま、あなたは後ろの穴しか使ってないでしょ」
高名な天狗Bが
「椛。ワタシと温かい家庭を築きましょう」
「アナタおんなですよね?」

次から次へと親を名乗り出る者が続出した

〜〜〜〜〜〜〜〜


「わけがわからい」
身分差ゆえになかなか告白できなかった者
不器用な性格が災いして、このような形でした接することしか出来なかった者
椛に体を求めた者の中に、そんな者が多くいたことを椛は知らない

「一妻多夫だモコ。女王蜂だモコ。羨ましいモコ」
「ただ一つだけ問題が」
「モコ?」

妹紅が彼女の抱いていた赤子を見る
赤子の頭には小さな皿が乗っていた


椛の吐いたため息は、滝の音に簡単にかき消された
【おまけ(act3の続き)】

お百度参りを続けて後日

「願いが叶って筋力がついたから、接近戦を極めるモコ」
妹紅は上白沢邸の近くの木の下で、先日永遠亭を退院したフランドールを相手に組み手の練習をしていた。洗濯物を干しながら藍がその様子を見守っている
「見るモコよ、腹筋が六つに割れてるモコよ」
服をまくって藍に見せた。軽く引かれた
「お百度参りってすごいんだね」
「本当は全盛期のシュワちゃんみたいになりたかったモコ。ラガーマンみたいな強張った肩とか憧れてたモコに」
「そもそも、神頼みする意味があったのでしょうか?」


気を取り直して練習を開始する

「まず鉤突きモコ」
蚊も殺せない緩やかな動きでフランドールの脇腹に拳を当てる
「鉤突きが決まったら。肘打ち(側頭部)→両手突き(頭+金的)→手刀(首)→貫き手(鳩尾)・・・」
ゆっくりとした動作で口に出した技を実践し、攻撃手順を体に教え込む
「肘振り上げ(顎)→手刀(側頭部)→鉄槌(脳天)→中段膝蹴り(鳩尾)→背足蹴り上げ(金的)。完璧モコ」
「特訓か?」
慧音が買い物から帰って来た
「そうだモコ。一発目が決まればあとは相手をサンドバックのようにタコ殴りに出来る秘伝の技モコ」
5手の型を7種類用意して、相手の動きに合わせて型を選び継ぎ目無く放つことで、体力が続く限り打ち続けられる技だと藍が説明する
「色んな角度から攻撃するから相手は自分の意思で倒れることが出来ないモコ。呼吸のタイミングを間違えなければ、無限に輝夜をリンチできるモコ」
「その技は確か進道塾の・・・」
「つまらん! お前の話しはつまらんモコ!! まったく!!」
声を張り上げて強引に慧音の言葉を遮った
「しかし空を飛べるやつに果たして煉獄は効くのか?」
「モコ」
妹紅はフランドールを見た
「家畜この技のパターンは覚えてるモコか?」
「えっと・・・大体は」
「なら試しに今から妹紅に撃ってくるモコ。妹紅はそれを全力でかわしてみて検証するモコ」
「わかった」
「よし、どっからでも来るモコ」
フランドールは両手を固く握った。息を小さく吐いて構える様は高名な武術かのそれを想像させた
「・・・・裏拳」
「ごほぉ!!」
反応するよりもずっと早く、鳩尾に拳がめり込む
「えーと。裏打ち、鉄槌、肘打ち、手刀、下段回し蹴り、中段回し蹴り、下段足刀、踏み砕き、上段足刀、左上段順突き、掌底、孤拳・・・・」
復唱し思い出しながら技を放つ
「ぐあっ、ちょ、は、速っ、手が見えな…ごうっ! 飛べ、な、モ゛、ゴ、ム、無、リ」
横から見ている慧音でさえフランドールの手が見えなかった
妹紅は計155発打たれ続けた
「完璧だモコ・・・・相手が誰であろうとこの技に死角は無いモコ」
「いや、今のは単純に吸血鬼の身体能力によるものだと私は思うが」
「10回くらいリザレクションしたんじゃないでしょうか?」
「ごめんなさい」
大の字で倒れる妹紅を三人は心配そうに覗き込んだ


ちなみに、妹紅は死んでしまったためお百度参りで鍛えた体は元に戻った






※御詫び

縁日様。risye様。どっかのメンヘラ様。ガンギマリ様。排気ガス様。

無断でSSに使ってしまい大変申し訳ございません。
自分のあずかり知らぬ所でお名前や作品名が出され、さぞ、ご不快に感じたこととお察しします。
もういい加減、うんざりされているかもしれません。

不快に感じたら遠慮なく言って下さいませ。
即刻削除いたします。
木質
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/18 13:36:55
更新日時:
2009/10/18 22:42:23
分類
神聖モコモコ王国
妹紅
慧音
フラン
愛され椛
無断使用した作者様、申し訳ありません
1. 名無し ■2009/10/18 22:54:18
さすがNTR
2. 縁日 ■2009/10/18 23:01:44
テンポとネタが毎度の事面白いです。
あと、私なんかで良ければこれからも、出して構いません。
3. ばいす ■2009/10/18 23:05:55
公衆便所で孕みの鬱展開かと思ったら可愛いなあ椛
ネタの絡めかたが上手いよね。永琳のせいで烈師範が再起不能になったのかよ!とか笑いどころ満載
4. ガンギマリ ■2009/10/18 23:06:16
いいぞもっとやれ(^ω^)
5. zuy ■2009/10/18 23:24:26
相変わらず、素晴らしいです。
また傑作が一つ増えてしまいましたね。
6. 名無し ■2009/10/18 23:29:08
>「誓うモコ。縁日さんとこの小町みたいなアルティメットアサシンの育成は諦めるモコ」
スカウトしようとして一回殺されたな
7. 名無し ■2009/10/18 23:33:00
まさかの椛逆ハーレム
そして椛をにんっしんっさせた河童は一体誰なのか……
ますます続きが楽しみです!
8. 排気ガス ■2009/10/18 23:42:26
木質さん来た!!やったぜナズーリン!!俺で良いならガンガン使ってやって下さい。減るもんじゃなし。あれから探偵事務所が全然進まなくて飛びたい……

流石山の社会だ
9. 名無し ■2009/10/18 23:54:55
あのマーダー小町をスカウトに行ったり、ガンさんとこの紫のスキマを通って白亜期に行ったり・・・と、この作品のもこたん本当にフリーダムだなwww

しかし、この作品を見ていると、今までの様々な作者が書いた産廃キャラ達を集めた、クロスオーバー的世界も見てみたい気がしてきた
10. 名無し ■2009/10/19 00:00:21
ところどころに絶妙な小ネタ仕込みやがって・・・


毎回楽しくてしょうがないです
11. ぷぷ ■2009/10/19 00:08:45
永琳と藍との会話で、稲中のテレオモを思い出した
12. ああああ ■2009/10/19 00:39:57
スイマセン、この国の国民権はどうやれば取れるんでしょうか?

アンタのおかげで、親子対決が2年間お預けだぞえーりん!!w
13. どっかのメンヘラ ■2009/10/19 00:56:58
なんてこった!ババァ共が商品化しちまった!
14. 中将 ■2009/10/19 01:11:00
ああ、見えるよ、かわいいモコモコが駆け回るのを。
なんだか知らないけど、この作品の妹紅は1Mぐらいの大きさで再生されるから困る。
モコモコ王国の夜明けは遠い……。

>メンヘラ氏
この人でなし!!
15. 名無し ■2009/10/19 01:14:35
おまけまで全編通して面白かったGJ
月語のラピュタ・・・違っwwww
16. 名無し ■2009/10/19 01:34:27
まさかの煉獄に
俺狂喜乱舞ww
17. 名無し ■2009/10/19 03:35:58
メタ、パロ、エロ……絶好調だな
いいぞ、もっとやってくれ
18. 名無し ■2009/10/19 09:02:00
この作品は正解だったな。産廃づくしの中で、すっごくさわやかな存在だ。
『椛が肉便器扱い』の元ネタは読んだ後すごい欝になったのに、まさかこんなところで癒されるとは思わなかったw
19. 名無し ■2009/10/19 09:26:09
悲惨な中にも笑いあり。
そんな物語っていいですね
20. 名無し ■2009/10/19 09:29:39
絶好調だなw

椛の話どこかで見たことあると思ったらww
いやなんだこの話はwww
21. 名無し ■2009/10/19 09:46:36
フランちゃん、レミリアに煉獄かましてこようぜ
22. うらんふ ■2009/10/19 10:11:44
モコモコ王国を読むだけで心がほっこりとしてきます♪
23. 名無し ■2009/10/19 11:01:54
最後酷ぇwww
24. 名無し ■2009/10/19 13:28:09
モコたんかわいいよモコ
25. 名無し ■2009/10/19 15:42:39
ババレンジャーねんどろいど100個注文した
26. ぐう ■2009/10/19 17:49:41
白亜紀にワープしたところでマ○ー2の地底大陸を思い出したwww
27. risye ■2009/10/19 18:56:45
自分の名前が使われている!?

こちらこそありがとうございます。

早苗さんのご案内なら任せてくださいよ。
28. ウナル ■2009/10/19 23:06:58
なぜモコモコ王国はこんなにも面白いのだろう?
ゆうかりんが子ども好きのお花のお姉さんになってるのに、ほのぼのぼの〜。
29. 名無し ■2009/10/20 00:07:41
マッシブ妹紅実現に
俺竜虎乱舞ww
30. 名無し ■2009/10/20 00:15:22
本当にこのシリーズは面白いね、脱帽w

フランドール治してもらってよかったね!
31. かるは ■2009/10/20 03:09:49
笑えて笑えてほんのりエロくて、このシリーズが大好きです
そうか、フランの手足は治ったんだ
32. 名無し ■2009/10/20 21:28:11
ここにいる奴ら、どんくらいの人が御柱祭で処分されんだろうな……
33. 名無し ■2009/10/21 13:34:09
かっぱっぱぁあああああ!!!
オチがひどいw
34. 名無し ■2011/01/08 09:27:55
かっぱww
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