椛とハンバーグ工場と工場長

作品集: 5 投稿日時: 2009/10/27 10:20:13 更新日時: 2009/10/27 10:20:13
※http://thewaterducts.sakura.ne.jp/php/waterducts/?mode=read&key=1254988796&log=4の続きです。






ある天狗の刊行する新聞 ◯月□日(△)の記事

先日より行方不明となっていた中級報道天狗、射命丸文氏の一部と思われる欠損した左足部分を今朝妖怪の山中腹で捜索中だった白狼天狗哨戒隊が発見した。
これにより高級天狗報道機関並びに白狼天狗警察団上部は文氏の死亡を発表。
捜査の打ち切りを宣言した。
文氏の左足は損傷が激しく、恐らく工場への取材の帰宅途中に人食い妖怪に襲われた模様。
白狼天狗哨戒隊の一部は河童が関与しているとの由を申し捜査の続行を要求するが、河城軽工側は一切の関与を否定。
哨戒隊の独断での行動が只今、危険視されている。
以下山の神社風祝、東風谷早苗氏のコメント。
「彼女程の実力者が低級妖怪ごときにやられてしまうとは思わなかった。これからも彼女のような犠牲者を出さない為にも妖怪退治に精を出したい」

〜〜〜

「何が“彼女のような犠牲者を出さない為にも”だい。口封じしろって言ったのはどこの誰だっけ?」
応接室にてフカフカの黒革のソファに座るにとりが、新聞を流し読みしながら言う。
「直接手を下したのはにとりさんじゃないですか。私はただ河城軽工顧問役として的確な、アドバイスをしただけですよ」
テーブルを挟んで反対側に同じくソファに座った早苗がまじまじと答える。
「流石、外の人間は考える事は違うね」
「元はといえば妖精を何かに利用できないか私に持ちかけてきたあなたのせいですよ。それに」
「それに?」
「この幻想郷では常識に囚われてはいけませんしね。ははは」
「違いないね。あはは」
一人、否、沢山の存在を消したとは思えない冷たいやり取りがまるで笑い話の様に気楽に行われている。
「それより新製品案のはんばーがーだっけ? あれについてもっと詳しく聞かせてよ」
「いいですよ。◯◯◯と××のどっちにします?」
「この間話してくれたほうでいいよ」
「◯◯◯ですね。◯◯◯の肉の食感が妖精で一番近いのは腿肉ですね。妖精をこの様に加工すればこうなって……」
妖精の最早跡形も無い亡骸を嬉々として弄ぶ早苗の姿は正に常識に囚われてはなかったが、その姿は狂人のそれであった。
「早苗、包丁の手捌き上手いね」
「なにせ家庭科目は“5”でしたからね」
「……?」

〜〜〜

コンコン

応接室にノックが響いた。
「工場長、屠殺部門の方がお見えです」
「まだ出勤時間じゃない筈だけど。まぁいいや、どうぞ」
にとりが応答すると扉が開き屠殺人が姿を表した。
「急にどうしたの? 椛」
犬走椛が無言で俯いまま入室した。
「椛さんどうしたんです? まだ妖精を切る時間じゃあ無いですよ〜」
血塗れのエプロンの早苗が臓物と出刃包丁を手に、にやにやとしている。
「にとり……私はもう解体する仕事はやらない……」
顔を伏せたまま消え去りそうな声で椛は言う。
「……それは駄目だ。ここまで来たからには最後まで付き合ってもらうよ」
「だけど……だけどお前らは文さまを殺したッ!!!!」
突如怒号し感情を爆発させる椛。
「何を言っているの? 文に直接手を下したのは椛、お前さんじゃないのか?」
「うるさい!! お前が……お前が私に殺させたんだ……!」
「俯いたり怒ったり泣いたり忙しいですね椛さん〜?」
「うぅぅ……うわぁぁあああ!! くそぉぉぉぁぁ!!」

パンッ

挑発する早苗を掴みかかろうとした椛の足に風穴が空いた。
「うぐぁあああああ!!!」
「うわびっくりした。でもにとりさんズルいですよ、自分ばかりそんな有利な立場にいちゃ。椛さんが可哀想ですよ〜」
「文明の利器の正しい使い方はこうなのさ」
にとりは得意気にそう言うと懐へ拳銃をしまう。
「あの時も椛さんをそれで脅したんですか〜?」
「ん、そうだよ。でも椛も馬鹿だなぁ、折角富も名誉も手に入ったのに」
実質椛はにとりのお陰でかなりの恩恵を受けていた。
それは白狼天狗では到底稼ぐ事のない額の富を手に入れ、白狼天狗からは異例の報道天狗への昇進だった。
これらは最早妖怪の山を金で支配したにとりだけに成せる事だった。
しかし一度その誘惑を受けてしまえばこの有様だった。
暴力による強制で自ら敬愛する上司を手に掛けてしまった。
「うぐぅぅぅ……くそぉぉおおお……うがぁぁ……」
撃ち抜かれた傷口からどくどくと赤い鮮血が流れ、椛の周りに血の池を作ってゆく。
「工場はもう第二、第三工場が着々と軌道に乗り始めてるんだ……お前なんかに邪魔されて堪る……かっ!!」
「かはっ……!」
横たわる椛の腹に容赦なく蹴りを入れる。
「にとり……こんな事もうやめよ……ぐぇっ!!」
再び椛の身体が蹴りにより揺れる。
「やめて……おねが……ごぁっ! うぐぉっ! うぐっ!  オェェエエエッ!!」
連続して入れられる蹴りにとうとう血混じりの反吐を吐いてしまう。
「うわぁ、汚い」
早苗が鼻を摘みながら後ずさる。
「椛、あんたを昇級させたのは失敗だったよ。上級天狗が相次いで蒸発するのを流石に揉み消すのは簡単じゃないからね。ま、悪く思うなよ」
にとりに襟首を掴まれ、何処かへ引きずられて行く。
薄れゆく意識の中、椛が最後に感じたのは開かれた分厚い扉の奥から放たれる冷たい空気だけだった。

〜〜〜

「ねぇ! あんた! 起きてよ! ねぇってば!」
ゆさゆさと揺れる不愉快な振動とやかましい声で目を覚ます。
しかし身体に真っ先に感じたのは“寒さ”だった。
「さ、寒い……ここはどこ……?」
「良かった! あんた生きてたのね!」
見渡すと天井からぶら下がった大量のずた袋、そして周りには全身を霜で包まれた青白い妖精達の亡骸だらけだった。
しかし今自分の目の前にいる妖精は平然としている。
恐らく彼女が起こしてくれなければ椛はそのまま永眠していただろう。
「あなたは……?」
「あたいチルノ。 あたいは氷の妖精だからこのぐらいへっちゃらなのよ!」
椛は思い出した、かつて自分が解体したであろう妖精に彼女がいた事を。
「でも……大ちゃん達は皆凍っちゃって死んじゃった……あたい達は湖の近くで遊んでいたはずなのに……」
恐らく前回の一回休みから復活した直後にまたにとりらに捕まったのであろう。
「ごめんね……わたしがにとりをとめられなかったばかりに……」
「?」
前回の時の記憶が無いチルノは只首を傾げるだけだった。
ここで改めて身体を動かそうとするが既に手足の感覚は無かった。
「チルノちゃん……おねがいがあるの……」
「な、なんなのさ!?」
「あの……換気口からそとにでてわたしの仲間にここにあった事を伝えてほしいの……」
自分の死を悟った椛は目の前の小さな氷精に全てを託した。
「そんな……あたいそんなことできないよ……」
「大丈夫……あなたならできるはず、これ以上あなたの仲間がこんな目に合わないように……うぅんっ!」
最後の力を振り絞って椛は這いつくばりながら換気口まで行き、その蓋をこじ開けた。
「おねがい……チルノ……ちゃん……」
「わ、わかった! あ、あたいがんばるよ!」
それだけ言うとチルノは換気口に勢い良く飛び込んだ。
「はぁっはぁっ……罪滅しにはなったか、な……?」
冷たい床に突っ伏す。いよいよ椛の意識が薄れて行こうとしていた。
「あ、あやさま……いま、いきま……」
薄暗い冷たい監獄で犬走椛は逝った。
妖精の一回休みについて曖昧過ぎる……。

次で終わると思います。
ヨシナミ
作品情報
作品集:
5
投稿日時:
2009/10/27 10:20:13
更新日時:
2009/10/27 10:20:13
分類
にとり
早苗
グロ
1. 名無し ■2009/10/27 11:48:31
早苗、貴様が黒幕だったか。
2. 名無し ■2009/10/27 12:24:10
フルーツ(黒)
3. 名無し ■2009/10/27 12:55:58
また早苗か(笑)

代用品はもこたん辺りでも可能そうだ、倒せればだけど。
4. 名無し ■2009/10/27 14:00:12
生産量とリスクを考えれば妖精だな
妖精はバカだから何とかできそうだけどもっこたんは根に持つだろ

つーかもしバレたときは妖精はなんとなく謝ってすみそうだがもこたん相手だとそうもいかないだろ
人肉を人に食らわせたとすれば相当やばい
5. 名無し ■2009/10/27 16:26:27
にとりは悪役が似合うな。地霊殿でちょっとブラックだったし。
6. 名無し ■2009/10/27 17:52:52
これで工場の内情が発覚して早苗さんが黒幕として公開処刑される流れですね
7. のび太 ■2009/10/27 20:38:50
白犬…白狼天狗のホットドッグだな…
8. 名無し ■2009/10/27 21:36:48
鬼太郎でこういう話しあったな
ヒ一族の奴
9. ぷぷ ■2009/10/27 23:52:16
よし、にとり。
今度は君を調理してあげよう。
何、竹林に腕の立つ女料理人がいるからさ
10. どっかのメンヘラ ■2009/10/28 01:48:13
>>3
お金積んだら自分から提供してくれるさ。
11. 名無し ■2009/11/01 16:45:48
こりゃ早苗さんハンバーグフラグだな
12. 名無し ■2009/11/05 02:41:13
悪は不滅、ということはつまり早苗も不滅!
13. 名無し ■2010/01/17 00:28:05
ニトリにもハンバーグフラグだな。
逆襲的な意味で
14. 斜銘丸 ■2010/10/04 18:00:27
俺のお気に入りがお気に入りを殺してる・・・
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