タケノコ

とある日の事――


「魔理沙ー！！　魔理沙ぁーー！！！！」

「お、にとり一体どうしたんだ？」

「聞いてよ聞いてよ！！　外界では頭にある物をつければ誰でも空を飛べるという話があってね、今日はそのある物を香霖堂で手に入れたんだ！！」

「本当か！？」　

「うん！！　これさえあれば魔法も何も使わなくても空を飛べるようになるから誰もが空を飛べる時代がいつか来ると思うんだ！！」

「そりゃ楽しみだぜ。　でさ、ちょっとその空飛ぶの使わせてもらっていいか？」

「いいけど、家にその道具を置いてきてあるからちょっと取りに行ってくる。　妖怪の山頂上で待ち合わせね！！」






そして妖怪の山……






「本当にこの、タケノコが飛ぶのか……？」

「大丈夫だよ！！　香霖堂で説明してくれたし。　確か名前はなんだったっけな……？」

「まぁいいさ、香霖堂で売ってるのなら飛べるだろうし」

「そうだよ！！」

「そうさ！！　それじゃあ　いち、にの、さん！！　で行くぜ！！」

「わかった！」

「「いーち、にーのぉ……」」

「「さん！！！！」」


思いっきり空に向かってジャンプする魔理沙。


「よーっしあああれえええええええ、なんで落ちて行くんだあああぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁ……？？？？？？」

「魔理沙あぁぁ！！　しっかりしてえぇぇ！！」

「いたいた、にとりくんー！！」

「霖之助さん！！　実は魔理沙が霖之助さんからもらった空を飛ぶ道具で大変な事に！！」

「実はこっちも大変な話があるんだ！！　にとりくんに渡した空を飛ぶ道具は類似品で、本物はこっちのタケコプターというものなんだよ！！」


そう言って霖之助はポケットからタケコプターを取り出す。


「え……」

「それを僕は勘違いして類似品のタケノコプターを空を飛ぶ道具だと思ってしまって、普通のタケノコを渡してしまったんだよ！！」

「じゃあ……　魔理沙は飛べないから……」

「ああ、魔理沙はタケノコプターをつけて落ちて逝ってしまったのか」

「「……」」

「やってしまった物は仕方が無い……　次は間違いないで渡すから魔理沙は諦めてくれ」

「しょうがないですね、タケノコ欲しさに自殺したってことで……」