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『園芸ごっこ』 作者: 要介護認定

園芸ごっこ

作品集: 7 投稿日時: 2009/11/20 13:00:53 更新日時: 2009/11/20 22:00:53
 花を育てている。
 植木鉢にマネキンを突き立てたかのような変な花は、水を浴びると鬱陶しげな視線を投げかける。肥料を撒かれると鼻を押さえて顔を真っ赤にする。酸素が足りなくなると息を吸い込み、肥料の匂いを感じ取っては眉間に皺を寄せる。口を開けばやれ「自分は妖怪だ」やら「殺してやる」などと穏やかではない事を口走るものの、根がきちんと張っているだけに手も足も出せずにいる。小さな外見をしてはいたが、所詮は花と思うと美しいとも可愛いとも思わなかった。ただ純粋に、育てていて楽しいとは感じる。
 半年も育てると、興味こそ薄まったが水と肥料を与えることは日課として身体に染み着いていた。意識せずとも定刻になれば如雨露を手にした自分がいる。どうやら私は、自分が思っていたよりもこの花に思い入れがあるらしい。そうでなければ子供の頃枯らしてしまった朝顔のように、この花も茶色く枯れてしまっていた事だろう。
 さらに数ヶ月経つと、花は健康的に大きく育った。鉢には収まりきらなかったので庭に移したが、その際見た花の根は人間の素足と何ら変わりないものだった。少しだけ驚いたが、幻想郷という土地柄を考えればそういうこともあるのかと、一人勝手に納得した。抱き上げた時顔が真っ赤になっていたが、病気だろうか。「薬はいるか?」と問うと、昔のように罵倒された。最近丸くなってきただけに、少しだけ新鮮に感じた。
 そして私は今、鋏を片手に花の前に立っている。このまま花が成長を続ければ近い内に文字通り"一人立ち"し、周囲を襲い始めかねないとの忠告を受けたからである。全ては水や肥料を与えるばかりで剪定を怠ってきた私の過失である。幸いなことに花は未だ根を張っている為、剪定を行えばまだ間に合うとのこと。しかし剪定を行った事のない私にとっていざ剪定をしようとしても、どう切ればいいのか、どこを切ればいいのか、とんと見当がつかなかった。
 花は鋏が珍しいのか、しきりに鋏の方へ視線を向ける。試しに人間のように髪を切ってみようと鋏を向けると、大声で抗議の言葉を吐き出された。ならば服だろうかと切れ目を入れると今度は凄まじい勢いで殴られた。根は張っていても腕は動くのだ。不用心に花の可動範囲に入るべきではないと理解してはいたものの、これでは剪定が出来ない。
 鋏を片手に途方に暮れていると、不意に誰かに声をかけられた。なんとなしに声の方を向けば、金髪の女性が空間の裂け目から上半身を乗り出していた。花の種をくれた女性だ。何でも物凄い妖怪らしいが、美的感覚と危機管理能力が著しく低い私にとってはただの女性にしか見えなかった。彼女が現れると何やら花が騒ぎだしたが、剪定されたくないだけなのだと思い、無視することにした。
 何をしているのかと問われたので、剪定だと返す。しかし剪定の仕方が分からないと付け足すと、女性は薄く笑って説明してくれた。本来樹木に対して行う剪定だが、私の場合は妖怪になりそうな花に行うのだ。その事を念頭にいれられた説明は非常に分かりやすく、例え人間に似た外見をしていたとしても容赦なく行えと言われた。下手に加減すると、この花の場合は逆効果とも言われた。切って捨てたのに逆効果という矛盾に少しだけ首を傾げたものの、そこは初心者の私が言うべき事ではないだろう。
 一通りの説明を終えると、彼女は裂け目から真新しい花鋏と耳栓を取り出して手渡す。何から何まで頂いては申し訳ないと思うものの、私の鋏では上手く切れないと言われて仕方なしに受け取った。せめて何かお礼がしたかったが、私がその旨を伝えると薄く微笑んだ後にやんわりと断られた。つくづく欲のない人だと思う。
 貰った花鋏を片手に花の前に立つ。再び花が騒ぎだすが、今度は耳栓をつけている為に然ほど気にはならなかった。そのまま服をはぎ取ると、きめの細かい餅肌が日の下に晒された。人間の女性と何ら変わりない身体だったが、所詮は花だと割り切ってその肌に湾曲した花鋏の刃を当てた。抵抗されるかと思いきや、後ろの女性が何かしたのか、花はまるで本物の花のように静止していた。ただ意識はあるらしく、視線は自分の肌に押しつけられた花鋏に釘付けだった。
 あまり長引かせるのも悪いと思い、花鋏を握る手に力を入れた。ばちんっと、鋏特有の鉄の合わさる音が響き、親指の爪程度の肉片が地面に落ちた。花が悲鳴を上げる。しかし耳栓のお陰である程度は軽減されてくれた。地面に落ちた肉片をそのままにし、私は花鋏を入れる手を進めた。
 私が女性に説明された剪定の仕方として、切り落とす部分が多ければ多いほどこの花の成長が止まる期間が長引くらしい。原理としては本来成長に回すはずの栄養を傷の修復に回すからだと言われた。その為、切り落とすのが複雑な部分であればあるほど、その期間は延びるのだという。
 ばちんっと音を立てる度に、花の素肌に楕円型の傷が刻まれる。しかし無茶苦茶にやると百々目鬼のような嫌悪感を感じる外見になってしまうため、私は傷痕を繋げるように鋏を動かした。一度傷付けられた箇所に鋏を近付ける度に花は獣のような悲鳴を上げる。私はこの花の名前を知らなかったが、もしかするとマンドラゴラか何かの一種なのかもしれない。
 そうこうしている内に肩から手の平にかけて赤い溝が出来上がった。溝からはだらだらと留処なく赤い液汁が垂れ流される。この分だと指も切り落とした方が良いだろうか? そう思い、花の方を見遣ると涙と鼻水まみれの顔で必死に首を横に振った。その有様が少しだけ哀れに見えたが、これ以上成長されて襲われるのも嫌なので切ることにした。
 ばちんっ、ばちんっ、ばちんっ、ばちんっ、ばちんっ。五本全てを落とすのはどうかとも思ったが、こういうのは思い切りが大切なのだと言われたのを思い出す。それに指と言う部分はそれなりに構造が複雑だ。こうして五本落としておけばしばらくは成長も止まってくれるだろう。
 念のためにもう片方の腕も同じように剪定する。肩から手の甲にかけて溝を作り、指を落とす。終わる頃には私も花の液汁で真っ赤に染まってしまっていたが、必要経費だと割り切ればそう気持ちの悪いものでもなかった。何と無しに剪定が終わった花を見遣ると、両腕から液汁をだらだらと垂れ流し、虚ろな表情を浮かべる顔から涙や鼻水や涎を垂れ流し、ただただ呆然と虚空を眺めていた。
 人間らしい身体をしてるが故にそのまま放っておくのも目の毒だと思い、脱がせた服ぐらいは肩にかけてやった。液汁も止めた方が良いのかと思い、後ろを振り返って剪定を見守ってくれていた女性に問うた。急に話を振られて驚いたのか、少しだけ目を見開く女性。次いで口元を隠しながら薄く笑った。何とも気色の悪い笑みだと思った。
 女性曰く「気になるなら包帯の一つでも巻けば良い」とのこと。つまり包帯を巻こうが巻かまいが花の成長には大差はなく、ただ単に私が不快に感じるか否かという問題なのだと言う。特に気にはならなかった私はそのまま液汁を流し、何時も通り日課の水遣りを終えて床に就いた。
 それから月一の周期で私は剪定を行うようになった。その度に私は液汁を浴び、花の悲鳴は少し離れた人里にまで響くこととなったが、花はもう余計に大きくなることもなかった。人里を追い出された私にとって、この花を育てる事は何時しか唯一の趣味となっていた。
 今日も如雨露を傾けて花の反応を観察する。剪定をする前まではよく笑顔を見たのだが、最近は陰りのある表情をするようになっていた。しかしそうやって変わり行く表情を見るのも一興だと思うと、その変化も然して気にはならなかった。見れるものはいかなるものであれ、全て楽しむべきだろう。
 明日は剪定の日だ。乳房を片方丸々落とすのはこの間やったので、今度は臀部を削ぎ落としてみようと思っている。私が剪定する度に花は泣いて許しを乞うが、最近はその回数も減りつつある。いい傾向だ。





 私は花を育てている。
某サークルのほのぼの系同人誌を見ていたら唐突に思いついた話。
黒幕は紫、被害者は幽香。そして"私"は要介護認定。
要介護認定
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2009/11/20 13:00:53
更新日時:
2009/11/20 22:00:53
分類
幽香
剪定
1. 名無し ■2009/11/20 22:25:27
この人の書く話は凄すぎる
どうすりゃこんなの思いつくんだ
2. 名無し ■2009/11/20 22:35:38
韓国の某エロゲを想像してしまった俺はどうしようもない
3. 名無し ■2009/11/20 22:47:00
狂気の純粋培養だよ!!
4. 名無し ■2009/11/20 22:50:05
ゆうかりん栽培・・・これは流行るでぇ!!
5. ガンギマリ ■2009/11/20 23:03:29
こういう一般人が好まないような界隈に限って凄い人いっぱいいるよね
あんたとかnekojitaさんとか排気ガスさんとか
6. 名無し ■2009/11/21 00:34:50
僕も欲しいな
7. 名無し ■2009/11/21 01:09:14
人体鉢植えといえば脳味噌を鉢植えにする奴か生首が鉢植えから生えてる奴かの二択だった。
8. 名無し ■2009/11/21 01:17:32
耳栓とはもったいない。
9. ぐう ■2009/11/21 10:55:38
>生首が鉢植えから生えてる奴
PS2でそれに似たゲームを見かけたことがあります。タイトル忘れた・・・
10. 名無し ■2009/11/21 23:23:22
>タイトル忘れた・・・
たしかTOMAK(トマック)だったかな?
韓国製のギャルゲ(?)だね。
11. 名無し ■2009/11/24 19:48:52
俺もゆうかりん剪定してえええ
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