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『盗人の末路』 作者: zakura

盗人の末路

作品集: 7 投稿日時: 2009/11/22 16:29:02 更新日時: 2009/11/23 01:29:02
罪を犯したものは罰を受ける。それは当然のことである。そしてそれはこの現実社会だけではなく、幻想郷という世界でも同じである。
そして罪を犯したものはこの世界ではどうなってしまうのか。

…拙い世界の出来事ではありますがどうぞお楽しみください。
















「・・・っ?」
少女は暗い部屋にて目覚めた。一切の明かりも存在しない部屋であった。
「痛っ…一体ここは…?」
回りの状況を見渡そうとしても辺り一面は闇で覆われており、把握すること自体ままならない。おまけに体の節々が痛い。
「まったく…一体なんなんだぜ。」
少女は目覚めたばかりの頭を必死で回転させこのような経緯に至るまでを思い出そうとしたが、目覚めたすぐには思い出せない。とりあえずこの部屋について思考をすることにした。

少女はこんな場所には来た事はない。そして目が見えなくともひんやりとした空気が漂っている不気味な空間であることは感じ取れた。
あまり長居したくない空間ではあったが、自分の現状すら完全に把握できていない今の状況ではこの部屋からでることはやめておいたほうがよいだろう。少女もそのことは分かっていたらしく、
「とりあえずこの部屋を調べてみるか…。」
そう呟き、まずは外では無くこの部屋を調べようと痛む足を立たせようとする、しかし。
「っ!」
ジャラリ、という音とともにそのまま床に体を倒してしまう。足の痛みのせいではなかった。鎖らしき音と重みから察するに足枷のような物が付けられているようである。捕まえた者を脱走させないために施されたものであろう。
「痛たた…くそっ!」

その後この足枷を解こうとしてみたが、か弱い少女にそんな力もなければ技術もなく、
例え技術があったとしても道具の一つも無ければどうしようもない。暗闇の中自らの体を探って何かないかと探してみても、魔道具もなければスペルカードも無く、いつも携帯しているミニ八卦炉すらない。
当然と言えば当然で、ここに閉じ込めた犯人は少女のことをよく知っている。逃亡のための道具をそのままにしておく訳が無い。

八方塞がりになった少女はひとまず脱出を諦め、思考に入ることにした。
この部屋に誰がなんのために自分を閉じ込めたのか。そして、初めに考えようとしたこのような経緯に至るまでを思い出そうとした。

「確か…私は家を出て、その後…ええと、どこに向かったんだっけ…?」
脳が冷静になっていきだんだんと思い出そうとする。思考だけに脳が集中しているためか思い出すスピードは早かった。
「そうだ…紅魔館に出かけたんだ、そこでパチュリーからいつものように本を借りて行って、そのまま帰ろうとしてから…記憶がない!」
自分がこの部屋に連れてこられる前の事を思い出したようだった。どうしても記憶が思い出せないことから帰ろうと思ったその時に犯人に襲われたのだろう。次に犯人について思考しようとした。

あの時、図書館にいたのは小悪魔とパチュリー二人だけ。つまり、襲えるのはこの二人に絞られる。メイド長である咲夜が時間を止め図書館に移動し襲ったとも考えられるが今回に限りそれは無かった。
なぜならこの館の主、レミリア・スカーレットとともに博霊神社に出かけていたからだ。
いつもなら館に入ると現れる咲夜が現れなかったことを妙に思い、進入する時打ち倒した門番にそのような話を聞いた。主を一人にしておくなど彼女には考えられないことである。
小悪魔はパチュリーの使い魔だ。つまり実質この部屋に少女を連れてきたのは知識と日陰の少女、パチュリー・ノーレッジである。まぁ誰が犯人であろうともこの館の住民である以上大した意味などないであろうが。
「パチュリーの奴…なんでこんなことを、悪ふざけにもほどがあるぜ…。」
悪態をつく。しかし自分で言ってみたが悪ふざけでここまでするような魔女ではない。そもそもそんなことにあの魔女が時間を割いてまで嫌がらせなどすることはない。いつも本を読んでいるくらいである。勿論ここまでされるような恨みなどないであろう。
ではなぜ?そこまで考えている時だった。


コツーン…と一つの音がした。
「…?」
コツンコツンとその音は自分の方へと向かっているようだった。やがて、ギギギと嫌な音がして前の扉が開き小さな明かりが入ってきた。
「うっ…」
小さな明かりではあったが、闇しか見ていなかった少女にとってはとても眩しい物に感じられただろう。そしてそのときコツンと聞こえた音は足音であると気づいた時、その音が少女の目の前で止まった。
そして目が光に慣れて行き、目の前を見るとそこに灯篭を持った一人の魔女がいた。

「パチュリー…!」
「あら、以外と起きるのが早かったみたいね。もっとも寝ていたら叩き起こすつもりだったけれど。」
目の前の魔女はそう言い放なった。いつも無表情な魔女であるが、今回は怒りとも喜びともとれる妙な表情があった。
「…っ!私になぜこんなことをする!それにここはどこだ!」
少女は質問を目の前の魔女にぶつける。それを聞くと少女の顔がさっと変わる。
「なぜかって?本当に分からないの?」
いつもと違う表情と雰囲気を纏わせている魔女を見て、少したじろく。しかしそれでも魔女に向かって言葉をぶつける。
「わ、わからないから聞いてるんだ!」
「そう、じゃあ教えてあげる。あなたは罪人だからここに連れられてきた。それだけよ。」
罪人?自分は何も罪を犯したおぼえはなかった。異変の時に人妖を打ち倒したりすることはあったがそれは「弾幕ごっこ」である。魔法の実験で失敗して爆発等起こしたこともあったが、それでも他の者を巻き込んだりしたことはなか…魔法?

「…気付いたみたいね。もう遅いけれど。」
「……魔法書を、いつも借りていくことか…?」
「借りる?窃盗の間違いじゃないの?貴方はいつもいつも来るたびに、すぐに返すとか、いつか返すなどと言い結局先延ばし。帰ってきたのは数えるぐらいだけ、数十冊も借りておいてね。」
「うっ…」
少女自身もそのことには少しばかりの負い目を感じていたらしい。しかしその魔法書は全て
少女の好奇心を引くものであり、自らの魔法実験にも非常に役にたっていた。そのことがあり、借りては返さずまた借りて行きと続けていく内に、返すという行為をおろそかにしてしまったという訳だった。感じた負い目もそれに伴い薄らいでいった。

「で、でも、お前は何も言わなかったじゃないか!」
「最初の内はね。貴方のことも考えてあげて何も言わなかった。でも返すどころかどんどん借りる数が増えて行く。それに私はきちんといつ返すのか?と、質問したりしたけど…その様子じゃ覚えてすらいないみたいね。」
「…確かにそうだった気もする。」
目の前の魔女に責められる。恐らくは彼女の方が正しいのであろう。そしてため息を一つつき魔女は話し始める。

「ねぇ魔理沙…私にとっては本は命なのよ。貴方には大袈裟に聞こえるかもしれないけど。だから貴方からこうやって本を取り返すためにここに連れてきたのよ、口で言っても聞かないだろうしね。」

ここまで追求されては、言い逃れることなどできない。それにきっちりと反省しなければ、魔女は許してはくれないだろう。そのことも手伝ってか罪悪感も蘇って来たようだった。
「…分かった。私が完全に悪かった…」
「そんなばつが悪そうな顔しても無駄。この部屋で貴方を罰を与える。ばつだけに。」

…この部屋?そういえばこの部屋の一部分しか自分はみていない。

「…パチュリー、この部屋は一体なんなんだ…?その小さい明かりだけだとお前しか見えないぜ。」
その質問をした瞬間、魔女の口元が妖しく動いた。
「…ふふふ。じゃあ貴方にも見えるようにして上げましょうか?魔理沙?」

…ごくりと唾を飲み込んだ。間違いなくこの部屋には何かがある。見てしまってはならないものが。しかし断ったところで状況は変わらない。意を決して少女はそれを見ることを決意した。

「み・・・見せてくれ。」
「…わかったわ。どうぞ?」
その瞬間、光が少女の目に飛び込んできた。恐らく魔法の力だろう。その太陽光を思わせる光に反射的に目を瞑ってしまう。
「・・っ・・う、ううっ…」
一気に飛び込んでみた光を慣らすようにして、目を少しづつ開けていく。そしてようやく目が光に慣れ部屋の光景が少女の目に飛び込んできた。








「な・・・に、これ?」
辺り一面の壁は血で塗られていた。
そして、部屋のあちらこちらに数々の使い古された、まっとうではない「器具」が。
その器具にはこびり付きすでに一体となっている血肉が。
部屋の隅には乾いた血溜りがあり、無造作に骨が捨てられていた。
恨みの表情を浮かべている顔が、人のパーツが、部屋の至るところに。

首が。

臓器が。

胸。

手。

足。

血。

骨。

汚物。

風景。

死臭。

―――――この部屋は、少女を除いて全てが狂気と異常に覆われていた。

「どう魔理沙?中々素敵な光景だと思わない?この部屋は見れば分かるとおり拷問室。
元々はレミィが娯楽のために人間を捕らえ、この部屋で楽しむための物だったの。
でも、レミィはこの部屋を使うことは少なくなって行った。条約のせいもあったから。まぁちょうど飽きたのでしょう。どの人間も毎回同じような悲鳴を上げ、同じような命乞いをして、同じように死んでいく。その繰り返しにね。私もちょっと見たことはあったけど中々凄惨だったわよ。今から聞かせて上げるわね。」

吐き気を催す光景と、それに目もくらず淡々と話し続ける魔女。その目に光る狂気の光。
少女はこの部屋の異常についていくことができず、ただただ呆然とし恐怖するだけだった。

「命乞いをしてる人間にね。ナイフを突き立てて、全身をどんどんと裂いていくの。刺し貫くたびに大きな悲鳴を上げて、のた打ち回ろうとするんだけどしっかりと体は拘束されてるから逃げられない。骨と肉がどんどん丸見えになってきて、それでもやめずにレミィは舌なめずりをしながら手足を切って、皮を剥いで、臓器をぐちゃぐちゃにして。
…勿論、人間は吸血鬼と違って脆い。力の加減を間違えて二、三回で殺してしまったりしたこともあったわ。でも慣れてくると案外すいすいと解体できるようになってきてたみたい。中途半端に体力があった人間はもっと辛そうだったわよ、全身をズタズタにされて
それでも生きようとして。それでも緩やかに死に逝き、そして最後には呪いの言葉をレミィに吐いて、レミィは腸やら内臓やら心臓やらを笑いながら引きづりだしてそれでお終い。」

魔女の惨劇の説明は続く。
「勿論、ナイフだけじゃないわよ。ここにある器具を使った拷問の話もしてあげる。どれからお話する?全身を棘で刺し貫いて苦痛を与え続ける鉄の処女の話?頭を締め付けて目玉を圧力で飛び出させる鉄帽子?あ、洋梨なんてどうかしら?貴方の女の部分に突っ込んでぐちゃぐちゃにしてあげ」

「もうやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

正気を取り戻した少女がこれ以上聞きたくないと耳を塞ぐ。このまま呆然としていた方が気が楽だったかもしれないと思いながら。汗をかき涙を浮かべ歯を恐怖でガチガチとならして尋ねる。
「…ま、まさか私をこの部屋で…!」
ニヤリと笑い少女の疑問など聞こえてなかったように呟く。
「…そうよね、いちいち話しをする必要はないわよね。私が悪かったわ。」






―――――「だって、これから自分の体で体験できるんですものね?」



少女の悪夢が始まりを告げた。







「がっ、いぎゃっ、ぎあっぁあッああぃぁあ!!!」
両手を縛られ上から吊るされた状態の少女がいた。身に纏っていた衣服は全て取り払われておりその柔らかい肌には焼きゴテが当てられていた。

「どう魔理沙?裸の貴方には暖かくて嬉しいでしょう。それにまだ始まったばかりよ。」
「ぁ…はぐえ゛…」
熱せられた金属を数十秒も当てられる。とてつもない苦痛であろう。そしてそれ以前に少女の体には深くは無いものの数多くの切り傷がつけられており、そこに当てられるのだからさらに苦痛は増えていく。

ブラブラと少女の体が揺れるその様子を見ていた魔女はこう言い放つ。
「いい魔理沙?私はそれほど残酷じゃないわ。だから貴方を殺さない。私の気がすんだら貴方を解放してあげる。だからそれまで死んだら駄目よ?」

魔女が一筋の希望をもたらす。しかしそれは見せかけの希望。
いつ終わるかどうかはわからないが終わったら助けてやる。だからそれまで自殺したり、簡単に死ぬな。という無責任極まりない契約だった。しかし少女にそんなことを考えている余裕はなく、助かりたいために、力の入らない口で返答した。

「…ひぇ、ほ…ほんとに…?」
「ええ。だから舌を噛み切ったりするなんて考えないで。私だって貴方が死ぬのは悲しいもの。だからがんばってね。」
そう言いつつ焼きゴテを少女の胸に押し当てる。
「?!っ、ぎゃっあっがひ゛っあああっ―――――!!」
びくびくと宙吊りにされた状態で体を捩らせる少女。その光景を見て魔女は近づき半開きになっている少女の口に薬品をとぽとぽに注ぎこむ。
「…がっ…うっ!げぇ!がっ゛やめ゛っ、ぱちュり゛げふっ゛!」
呼吸すらままならない状況で液体を入れられ戻しそうになるが、それを飲み干すことはできたようだった。
「この調子なら貴方はもたなそうね、まぁそうだと思って薬を調合してきたのよ。」
空になった薬品の小瓶を床に放りなげる。
「流石に蓬莱の薬までとは行かないけど、中々強力な魔法薬よ。肉体の治癒速度を高めるように調合したわ。傷が異常なスピードで治ったりはしないけれどそっちの方がいいわよね。だって貴方の傷を見て楽しむことができるんだから。」
そういって少女の焼けただれた皮膚に爪を立てる。
「ぎひぃ!あ゛ぐっ!や゛め゜てぇ!!痛いイタイ痛いいたい痛いe痛い!!」
絶え間なく襲う痛みと苦しみに半狂乱になり奇声を上げる少女。爪を立たれた傷口からは血が流れ初めていた。
「魔理沙の傷口…あっつぃ…」
爪の感触と熱さにうっとりと酔う魔女。そして何かを思いついたように水が並々と注がれたバケツを持ってきた。バケツは二つ並べてあり、一つは気絶した者の意識を覚ますために用意された水であった。しかし魔女が持ってきたのはその水ではなく。
「魔理沙、これなんだと思う?」
少女に問いかける魔女。その解答をするために重い口を開ける少女。
「・・・み、みす゛ぅ?」
ぼろぼろと呂律の回らない口で水と答える、いままでの拷問が応えているのだろう。
「ちょっと違うわね。正解は塩水よ。なんなら舐めさせてあげましょうか?」
「ぃや…結構、だぜ…」
魔女が嘘をつく必要はないと冷静に判断する。あの薬のおかげで多くの傷こそ痛々しく残っているが大分意識的には楽になっていた。それでも激しく痛むが。
しかし、なぜ塩水など用意する必要があるのだろうか?体を洗うためか?こんな状況で誰の体を?私のからだを―――――



まさか。



目の前にはバケツを持ち満点の笑みを浮かべた魔女。そして気づかなければ良いことに気づいてしまった少女。そして決死の悲願をする少女。


「お、お願いだ!!!そんなものをかけられたら私はっ!痛みでどうにかな」
悲願する少女に無慈悲にもその液体はかけられた。
―――――少女の絶叫が響いたのは言うまでもない。









「どう?やっぱりしょっぱくて辛い?…あら、気を失ってしまったみたいね。それはそれで好都合だけど。」
気絶してしまい死んだようになっている少女を見る魔女。ひくひくと体は揺れ失禁した尿が塩水と混ざり合っている。そんな姿の少女を見つつ部屋の隅から器具を持ってくる。
「次の準備をしないといけないわね。」
そう呟きながら、少女の体を拘束から外す。次の拷問を思い浮かべ笑みが魔女から零れた。








「…ぁ、いっ…」
どれぐらい眠っていたのだろうか。痛みが気絶したことにより多少は紛れたとはいえそれでも全身が悲鳴を上げている。
ぼやけた目を必死で開け、状況を早く確認しようとする。その時声が耳に入ってきた。
「おはよう。大分眠っていたわよ?」
「ひっ?!」
自らを散々虐げた魔女の声だった。その声と共に恐怖が蘇ってくる、反射的に手と足を動かし逃げようとする。
「ぐっ?!」
手が動かなかった。少女の片方の手は開いた状態で机に固定されていた。逃げられずこれから行われる拷問を想像してしまう。
「も、もう許してくれ…!あれでもう罪は償っただろ?!お願いだ、本も全部返す!もう奪おうなんて思わないからぁ!!」
涙目になりながら悲願する少女。この悪夢から開放されたいと願いながら。もっともその願いが届く訳がないのだが。
「残念ながらまだ、ね。貴方にはもっともっともがき苦しんで貰わないと。」
「それでね、考えたの。貴方が眠っている間に貴方のその手癖の悪さを直すために一番効果的な責めは何かってね。すごく簡単に結論はでたわ、分かるでしょう?」
「…お、お前が、な、何をするか、なんてわかる訳ないだろう?!」
それは「分からない」というよりも、「分かりたくない」と言った方が良かったのかもしれない。
「そう、じゃあ教えてあげるわ。きっちりと。」



「これから貴方の指を切り落とす。一本一本残らずに。ナイフでザクザクと肉を抉って、完璧に貴方の手と指を離別させる。」
そう言いながら鏡のように銀色に光るナイフを見せ付ける魔女。その刀身には少女の恐怖に覆われた姿が映っていた。
「い…嫌ぁあぁあぁあああっあぁぁぁあぁ!!!」
狂乱して絶叫しながら手足をバタバタと動かすが拘束が解けることはなく、しっかりと捕らえた獲物を離さないように枷は強く手を固定していた。
「そう怯えなくても指がなくなったぐらいで死にはしないわ。だから大人しく受け入れなさい。」
「やだやだやだやだぁ!!お願いだからもう許してこれ以上酷いことしないで痛いのはいや―――――」



グシャっと嫌な音が立った。魔女の持つ刃物は少女の小指に突き立てられていた。その鋭さゆえか途中で止まることなく切断しきったことは幸運か、不運か。
「ぃぎゃぁぁぁあっぁああeぁあっぇぁあつああっえあゃぎぁあっあ!!!!」
獣のような声が響き渡る。魔女はその声を聞きながら、うっとりと少女の切り離された指を見る。
「ふふ…綺麗な魔理沙の指、こんなに血で汚れちゃうなんて…。」
嬉しそうにする魔女に対して少女は激痛に必死で耐えていた。鼻水と涙を垂らしながらも歯を食いしばって痛みにたえようとする。それでも声は漏れ恐ろしい悲鳴を上げている。
そんな少女の姿は魔女の興奮を大いに煽っていた。魔女は切り離した指をナイフで切り刻む。グチャグチャとなったその肉片を悲鳴をあげている少女の口に近づける。
「お腹すいたでしょ魔理沙?数時間何も食べてないんだから。」
そう言ってそれを少女の悲鳴をあげている口に放り込む。
「うぇっ?!うっ〜〜〜〜っっつっっ!!」
口を押さえ肉片が出てこないようにする魔女。少女の口の中はペースト状にされた肉片と爪、血液が混ざり合い、腐臭と血の臭気が口いっぱいに広がる。
その舌触りは生臭く、腐らした食物ですらこうはいかないであろう。口からは漏れ出した液体がドロドロと溶け合いながら少女の肌に落ちていく。
「うェ…ぐぇぇぇっっつえぇっぇえ!!」
その食感に耐えきれなくなったのか魔女の手を拘束されていないもう一方の手で払いのけ口と胃の中の物を全てぶちまける。
胃液と血、死肉が混じりあった嘔吐物が少女の顔と肌を汚していく。その臭いは常人には耐え切れないものであり、吐き気を催す臭いだった。
「あらあら。不味いからって吐き出しちゃうなんて。いけない子ね。」
ゲホゲホと咳き込みながら苦しむ少女の指にナイフをチョン、と当てる魔女。
「…がっ、げぉ、…ひっ?!」
「苦しんでる場合じゃないわよ。それ次は薬指よ。今度は全部食べられたらいいわねぇ。」
「ゃ、ひゃだぁ、もうたすけて…お、願い…。」
息もたえだえで許しを請う。その悲願は何回目であろうか。しかし魔女は何かを思いついたように凄惨な笑みを浮かべる。
「そうね…。私もちょっと可愛そうになってきたわ。じゃあ、こういうのはどう。」
「…ぇ?」
「私が貴方に一つ拷問を加える。勿論死にはしない程度の拷問をね。もし貴方がそれを受け入れるんなら指への拷問はやめてあげる。」
「ほ、本当に?!やめてくれるの?!」
「えぇ、でも痛いわよ?どうする?」
…少女は考える。この悪夢から抜け出そうと。だがこんな問題は考える必要すらない。そもそも相手が約束を守る保障などないし、生殺与奪は魔女に握られている。断るべきであろう。
それに、死なないなどという保障など存在しない。それほどの苦痛を伴う拷問ということも分かっているはずであろう。
しかし少女はこの悪夢から生きて抜け出したかった。一つの小さい光明にすがりたかった。そして少女は決断する。
「…る。」
「うん?」
「…する。するから助けて。お願い…。」

―――――最悪の決断を。
「じゃあ決まりね。では早速始めましょうか。」








「―――――貴方のその手の切断を。」







「…そんなに怯えて大丈夫なの?後悔してもしらないわよ?」
「う、…うるさい!するんだ!しなければ私はっ…!」
油汗をかき、がたがたと震え、涙をこぼし、生きた心地がまったくしない。
そんな状態の少女を見下ろす魔女が手に持っているのはナイフではなく、大鋸。そして拷問の前に魔女は「ルール」を説明する。
ルールは簡単なもの。手を切り落とす代わりに、指への拷問をやめる。
そして切断中気絶してしまったら、今まで通り拷問を再開する。気絶しようがしまいが手は切断される。
…簡単とはいえ少女にとってたまったものではないであろうが。

「言っておくけど私はこの道具の扱いに慣れてないわよ。手が完全に切断するまで相当痛いと思うわよ?大丈夫なの?それとも指をもう一回食べ」
「うるさいっ!黙れぇ!いいからさっさとやれ!」
「ふふ。もっと女の子らしい言葉遣いにしないと駄目よ?じゃあ行きましょうか。」
もうどうにでもなれと自暴自棄になり、乱暴な言葉をぶつける。鋭く光る刃物が手に当てられ、そして。
ザシュザシュと刃が肉を食いちぎる。まるで血が泉のように沸きたつ。今までの拷問よりも遥かに鋭い痛みが襲う。切り飛ばされる痛みに脳が犯されていく。

「あアあぁっあgeォぅぁあァあaあぅアああaがあaあアぁああひあアっeぁぎgァああああああああっああ――――――――――!!」

それでも痛みを耐え意識を保たねばならない。そうしなければ今度こそ自分は助からない。
「疲れるわね…誰かが変わってくれたらいいんだけど。」
魔女がぼやく。もっとも少女の悲鳴にかき消されてその言葉は聞こえなかったが。
少女は考える。なんでこんなことになった?悪いのは私だ、しかしここまでの所業をされなければならなかったのだろうか?そもそも私は今保っているのか?生きているのか?痛いのか痛くないのか?脳が混乱しさまざまな思考が乱れ飛ぶ。

おそらく魔女は狂っていたのだろう。少女のことを嫌っていた訳でもない。
部屋には肉を切り刻む音と、絶叫がしばらく続いた。













「…………」
何も考えられない。自分は何をしていたのか?何分立ったのか。全身が痛い。声が響く。
「大……、ま理…?、やっ・・と、目・さめ・・・の?」
無理やり思考を定める。声がしっかりと響いてくる。
「大丈夫?魔理沙?やっと目を覚ましたみたいね。」
「…ぁっ?」
目の前には魔女が心配そうな顔で立っていた。
「大変だったのよ。本当に死んでしまってるかと思ったわ…。貴方は拷問が終わると同時に気を失ったのよ。私は途中で気絶すると思ったけど…賭けは貴方の勝ちね。」
「でも怪我が酷かった。薬の力のおかげで助かっていたようなものよ。だから完全じゃないけど少しばかりの処置をしたわ。」
少女の体には包帯が巻かれていた。手にもしっかりと処置がしてあった。回復魔法でも使用したのであろうか。
「…わ、私は助かった、のか?」
「ええ、本当に貴方はよく耐え抜いたわ。」
体を優しく撫で、慈愛の微笑を浮かべる魔女。それに反応して少女の目から涙がこぼれる。
「、ひっ、く…。私っ…ほん、と…に怖…うぁぁあああぁぁぁんんん!!!」
全てが終わったことに安堵し、泣きじゃくる少女。
「もう終わったのよ?だから泣かないで。だから」





















「次は足ね。」

―――――――――――――――――――――――――え?

「ふふっ、言ったわよ。私は手を切り落としたら、指への拷問はやめるって。でも貴方の指は手と一緒に切れちゃったわねぇ?それじゃあ意味ないわねぇ?」

ドス黒い悪意と狂気が支配する。

「…という、か、プクク…貴方、拷問が、終わると、ククッ、本気で信じて、クハッ…、たわけ…?」

邪悪極まりない、心から可笑しいという表情をする。

「氷精以下の馬鹿じゃないの貴方?!私を笑い殺すつもりぃ?!!あっははっははっはははっはははっははっ!!まだまだ終わらないわよ?たっぷりと時間をかけて壊してあげる!
手足を切り落として、目玉を潰して、汚物の海に溺れさせて、自分の肉を食べさせて、耳と鼻を削ぎ落とすってのもいいわねぇ!それとも貴方のお尻の穴に火でも突っ込んであげましょうか?それとも腹が膨れるまで水を注ぎこんで上げましょうか?これから貴方は発狂して壊れて自分が何かわからなくなるまで悪夢に苦しんで汚物を垂れ流すだけの肉人形にしてあげる楽しみにしなさい――――――――霧雨魔理沙ぁぁあぁぁぁあ!!!!」























何日かたった日のこと。魔女は拷問室に足を毎日のように運んでいた。少女の姿を確認するために。
「どう、魔理沙?」
「…ぁ…ぅぅぁっ?まぅ、ひぇあ2ぁegっああっaeぅgぁっつあっああああああああ!」
少女は狂った。魔女の宣言通りに。
全身には数え切れないほどの傷が刻まれている。切り傷、火傷、打撲、痣、膨れ、変形。
手足は切り落とされて、目は潰され、何も見えず、聞こえず、嗅げず。
その脳裏には四六時中悪夢がとりつき拷問の痛み、苦しみを延々と再生しつづける。
外も内も悲惨極まる状態。魔女はその姿を見て笑う。

「ふふふ…見てるだけで可愛いわよ魔理沙?」

そう言って机に座り、読書を始める魔女。


―――――――パタパタと魔女がページを捲る音の他に、少女の悲鳴が木霊していた。
始めまして。zakuraと申します。
実際には始めましてではないんですが「自分の」ssを投稿するのはこれが始めてですので御挨拶をさせていただきました。
今回は拷問ssを書かせて頂いたのですが…いや本当難しいですね。普通の文章ですら自分にとっては難しいというのにorz
というか排水口の皆様にはグロく見えるのかこのss。自分なりに努力はしてみたのですが。でもまぁ弱気なだけでは駄目ですね。がんばります!

あ、語り部の雰囲気のために少女⇒魔理沙、魔女⇒パチュリーって呼んでます。

最後に、ssを書く原動力をくださったss書きの皆様(特にzuy氏と排気ガス氏)本当にありがとう御座います。
掲示板でどう残虐に書くか?と悩んでいる私に「自分の酷いと思うことを書けば?」とアドバイスを下さった産廃創想話について語るスレの皆様に感謝を。
zakura
作品情報
作品集:
7
投稿日時:
2009/11/22 16:29:02
更新日時:
2009/11/23 01:29:02
分類
魔理沙
パチュリー
1. 名無し ■2009/11/23 02:31:54
オチがとても良い。
拷問される幻覚をずっと見ているとかたまらん
2. 名無し ■2009/11/23 02:39:45
口を縫いつけなかったところにパチュリーさんの溢れる優しさを感じました
3. zakura ■2009/11/23 02:46:12
>>1
ここまでされりゃ気も変になりますよね、いや自分はそんな目にあったことはないですがw
>>2
多分悲鳴を聞きたかったんでしょうw
4. 名無し ■2009/11/23 03:19:24
すっごいうみねこ臭がするw
5. 排気ガス ■2009/11/23 04:36:41
パチュリーの性格素敵
魔理沙の叫び声も素敵素敵
うわぁい!!
6. 名無し ■2009/11/23 08:16:35
我がことのように溜飲が下がります
盗人に死を
7. 名無し ■2009/11/23 11:04:15
>>4
ちょうどうみねこのBGM聞きながら見てたわw

素晴らしい、こういうのはもう最高、ずっとニヤニヤしながら見てた
次も期待してます
8. zakura ■2009/11/23 12:11:52
>>4
♪かざ〜られたきょじつ〜愛が無ければ見えない〜♪
いやもうあの作品全員ハイテンションすぎますよwてか台詞回しが凄い パチュも魔女ですねそういや。
>>5
賢者の尿石の後書きのおかけで書こうと。うわぁい!
>>6
何か被害にあったのでしょうか?傘とか盗む人いますけど本当迷惑ですよね。がんばってください!
>>7
そういってもらえると感謝感謝です。
9. 名無し ■2009/11/23 20:39:07
ストレートな拷問を久々に見て感動した
10. 名無し ■2009/11/23 20:46:07
この魔理沙は可愛すぎる
11. zakura ■2009/11/23 21:49:43
>>9
正統派を目指して書いたつもりだったんで嬉しいです。有難う御座いました。
>>10
拷問ssってこうなんかニヨニヨできますよねw
12. 名無し ■2009/11/23 22:54:36
ゴミクズ拷問はわくわくする
こういうのを待っていた
13. 名無し ■2009/11/24 01:01:03
>>「そんなばつが悪そうな顔しても無駄。この部屋で貴方を罰を与える。ばつだけに。」

さりげなくなに言ってんのこの紫もやし
14. zakura ■2009/11/24 17:53:56
>>12
誰が考えたんでしょうねその呼び名w 自分もわくわくしますw
>>13
本当に何言わせたかったか自分でもわからんw
15. 名無し ■2009/11/25 02:30:44
良い拷問でした、次回も期待しています

塩水のセリフがジャギにしか聞こえなかった
16. 名無し ■2009/11/26 15:37:47
何だかんだでパチュリーの魔理沙に対する愛を感じる
魔理沙への制裁はもはや古典的といってもいいネタだが
書き手しだいでいくらでも楽しめるんだな
ゴミクズの魔理沙はいじめネタスレを探せば見つかるはず
17. 名無し ■2009/11/26 23:51:13
>>15
そんなつもりはなかったw
もやし「悪党のなき声はきこえんな…」
>>16
古典的なネタほど書き手の技量が試される…ってそんな偉そうなことは私が言っては駄目ですなw
いじめスレ面白いですよね、よく拝見してます。
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