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『そして二人になった』 作者: 泥田んぼ

そして二人になった

作品集: 8 投稿日時: 2009/12/06 12:55:50 更新日時: 2009/12/06 23:28:25
 霊夢が事故で死んで、心にぽっかり穴が開いた。
 それは虚無でどんな楽しみも喜びもパクパク食べてしまう。
 後に残るのはレミリア・スカーレットという食べカスだけだ。


 パチュリーが、元気を出しなさいよと言ってくれる。
 フランが、お散歩に行きましょうお姉さまと誘ってくれる。
 咲夜が、元気の出る紅茶を用意してくれる。
 美鈴が、わざとおどけて親父ギャグを飛ばし、広間が凍りつき、咲夜にナイフを投げられていた。


 だからなんだ?
 霊夢はもういない。


 いないのだ。


 霊夢が死んで以来、私はただ無気力に生きていた。
 毎日をただぼんやりと過ごす。
 毎日がいつの間にか過ぎていく。
 気付いたら、夏が来て、秋になり、冬を越し、霊夢が死んだ忌わしい季節がまたやってきた。
 一周忌だとか言って八雲紫が宴会を開くらしい。
 いや、開いたらしい。
 時間感覚が曖昧だ。
 さて今日は何曜日だろう。


 ああ、いっそ死んでしまおうか。
 でももし私が死んだら、妹が悲しむだろう。
 フランが。
 そう言えば、しばらくフランの顔を見ていない。
 また引きこもっているのだろうか。


「咲夜」

「はい、お嬢様」

「フランは、どうしているかしら?」

「…………」

「咲夜?」

「…………お嬢様、おそれながら、フランお嬢様は先日、お亡くなりになられましたよ」

 白黒の魔法使いの、後を追って。
 そう言って、咲夜は悲しそうに眼を伏せた。


 そうか。
 そうだった。
 霧雨魔理沙が事故で亡くなり、フランは半狂乱になって泣いたのだ。
 三日三晩、館にはフランの泣き叫ぶ声がこだましていた。
 だから言ったのだ。

『五月蠅い』

 と。
 耳障りだ。
 幾ら泣いても、死んだ者は帰って来ないのに。
 たとえ月の満ち欠けが一巡りする間慟哭しても、死体は蘇えらない。
 そんな事も知らないのか。

 だから言ったのだ。
 『五月蠅い』と。『黙れ』と。

 するとフランは言われた通り泣きやんだ。
 けれど何か、愕然とした表情をしていた。
 あれは絶望? それとも失望?
 フランのあんな顔を、私は初めて見た。

 そして涙も拭かないまま、自室のある地下へ降りて行ったのだ。
 翌日、フランのベッドの上で、一握りの灰が見つかった。


 そうか。
 そうだった。


 なぜ忘れていたのだろう。
 大切な、大切な妹だったのに。
 思い出したら少し涙が出てきた。
 涙など、あの時にすっかり枯れてしまったと思っていたのに。

 そうだ。
 こういう時はパチュリーと話そう。
 彼女は良き友人で、良き相談相手だ。
 そう言えば、パチュリーとももうだいぶ長い間、話していない気がする。




「咲夜」

 ――。

「咲夜?」

「はい、お嬢様」

「パチェを呼んでくれる?」

「…………」

「咲夜?」

「…………お嬢様、おそれながら、パチュリー様は先日、お亡くなりになられましたよ」

 七色の魔法使いの、後を追って。
 そう言って、咲夜は悲しそうに眼を伏せた。




 そうか。
 そうだった。
 アリス・マーガトロイドが事故で亡くなり、パチュリーはただ黙したのだ。

 もともと寡黙な親友だったが、朝に顔を合わせたらおはようくらいはちゃんと言ってくれた。
 時には冗談も言った。
 そんな彼女が全く喋らなくなった。
 ただ俯いて、黙っていた。

 パチェは正しい。
 愛する人がなくなれば、喋る事は何もない。
 何を喋っても、あの人との会話に勝るものは得られない。
 どんな話題も、あの人と交わした会話を思い出してしまう。
 パチェは正しい。

 図書館で籠りきりになり、本も読まず、椅子に座ったまま、ずっと何か考え込んでいた。
 食事は毎日、小悪魔が取りに来て、盆に載せて運んで行った。
 そして毎日、小悪魔が哀しそうな顔をして、手が付けられないまま冷たくなった盆を返しに来た。

 そんなある日の夜、小悪魔が嬉しそうな顔で、空になった盆を返しに来た。
 よほど嬉しかったのだろう。涙まで流していた。
 そしてふかぶかとお辞儀をして言った。
『今までお世話になりました』
 そう言い終えると、小悪魔は消えた。
 後には彼女の制服だけが残っていた。

 図書館に見に行ってみると、パチュリーが死んでいた。
 夕食に毒を入れて食べたらしい。


 そうか。
 そうだった。


 なぜ忘れていたのだろう。
 大切な、大切な親友だったのに。
 思い出したら少し哀しくなってきた。
 哀しいと思えるだけの感情は、もう残っていないと思っていたのに。

 そうだ。
 こういう時は美鈴を呼ぼう。
 あの子のとぼけた雰囲気は、いるだけでどこかちょっと穏やかな気分になれる。




「咲夜」

 ――。

「咲夜?」

「――――はい、――お嬢様」

「美鈴を呼んでくれる?」

「…………」

「……咲夜?」

「…………お嬢様、――」

「なぁに」

「……おそれながら、美鈴は先日、死にましたよ」

 お嬢様が、あの子の首を刎ねられました。
 そう言って、咲夜はすごく悲しそうに眼を伏せた。




 そうか。
 そうだった。
 あの娘はこともあろうに、咲夜を欲しいと言ったのだ。

 一緒になりたいと。
 彼女を心から愛しているからと。
 だから、主人である私の許しが欲しいと。

 馬鹿か?
 私から、この私から。
 咲夜を奪おうというのか?
 咲夜すら、奪おうというのか?

 霊夢は死んだ。
 フランは死んだ。
 パチェは死んだ。
 私の大切な人が沢山死んだ。

 そんな私から、更に咲夜を奪おうというのか。
 私は無言で、美鈴の首を刎ねた。
 顔を見るのも嫌だったので、転がったこうべは焼き捨てた。

 そう言えばあの時、なぜか咲夜が泣いていた。
 どうして彼女は泣いていたのだろう。
 確かあの時も、それを訊ねた気がする。

『咲夜、どうして泣いているの?』
『いいえ。お嬢様。いいえ』

 咲夜はただ首を横に振るだけだった。
 美鈴の遺骸は、彼女が世話していた花壇の傍に咲夜が葬っていたようだった。


 そうか。
 そうだった。


 なぜ忘れていたのだろう。
 あんなのでも、大切な、大切な家族だったのに。
 思い出したら少し寂しくなってきた。
 霊夢以外の温もりなど、もう感じないのだと思っていたのに。

 そうだ。
 こういう時は咲夜の紅茶を飲もう。
 あの子の紅茶は、身も心も温かくなる。
 すっかり忘れていたけれど、あの味を、あの温かさを、もう一度飲みたい。




「咲夜」

 ――。

「咲夜?」

 ――。

「……咲夜?」

 ――。

「咲夜……」

 そうか。
 そうだった。
 咲夜は、死んだのだ。
 メイド部屋で、首を吊って死んだ。
 遺書など残っていなかった。




 いつの間にかこの館は私一人だった。

 空が黄昏色に染まっている。
 冷たい風が夕闇を運んでくる。
 私はバルコニーでお茶を飲んでいる。
 テーブルの上には紅茶のセット、真っ黒に焦げたスコーン、花瓶と一冊の本。

 自分で紅茶を淹れるのも、すっかり上手くなってしまった。
 だけどスコーンはまだちゃんと焼けない。
 咲夜が漬けてくれた最後のイチゴジャムを乗せて齧る。

 花瓶に生けてあるのは、美鈴が育てていた花の子供たちだ。
 荒れ放題の庭の片隅で、可憐に命を咲かしているのを幾つか摘んできた。
 確か、何か良い意味の花言葉を持っていたはずだ。

 本は、図書館から失敬してきた。
 題名は覚えていないが、表紙の色は覚えている。
 パチェが好きだった詩集で、意外と面白い。

 一人では寂しいので、フランが大事にしていた人形を何人か連れてきている。
 羽の生えた子、手をつないだ青の服の子と赤の服の子、肩に小鳥を乗せた子。
 名前は右から、フラン、咲夜、美鈴、パチュリー。
 茶器とスコーンも、人数分用意している。

 月が昇っていく。
 紅い月が。
 ねぇ見てみんな。
 こんなにも月がきれいよ。




 花瓶の脇に、一本のナイフ。
 咲夜が愛用していたものだ。
 形見に貰った。

 これで心臓を刺せば、楽になれる。

 みんなの所に行ける。

 楽になれる。……楽になれる。

 ――――楽になれるのに。

 何度となく、胸の上までナイフをかざした。
 だけど、刺せなかった。
 服を貫き、下着を貫き、乳房を貫き、心の臓の上の数ミリで、痛みに手が震えて止まる。
 それ以上刺せなかった。

 死ねなかった。

 怖い。

 死ぬのが怖い。

 だけど一人も怖い。

 怖いよ。

 寂しいよ。

 霊夢。フラン。パチュリー。美鈴。咲夜。みんな。

 どうして私を置いて行ってしまったの。

 どうして……。

 胸の傷から血が溢れ出した。

 涙も一緒に溢れ出した。

 最後に言葉が溢れ出した

『一人は嫌だ』

『イヤだ』

『嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだいやだいやだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだイヤだ嫌だ嫌だ嫌だイヤだ嫌だ嫌だ嫌だ嫁だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだイヤだ嫌だ嫌だ嫌だイヤだいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだイヤだいやだ嫌だ嫌だイヤだいやダ嫌ダイヤだ嫌だいやだイヤだ』

『一人は嫌だ』
































『どうしてないているの?』
 i                                 ,′
、 l                                   /´! ___,.
-i/ヘ                             L,,.. 」'-‐、  <(計画通り!)
,/l、`                                ノ::iゝ、/
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   ノ . : :   : : : : : : : : : : : : : : :l: : :.:! : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
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L`jヽ、: :/ヽ ,′,.-t: : :   :: : : : : !:   、: : : : : : : : : :   :! ̄ヾy'
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.ゝケ、 〉、__r-、_`,.=' '´ ,.--ヽ: : : : :: 'ー ' `,='― 、:;_::_ノ⌒\ノ´`''
  ! 'x'_r-,ム,__γ⌒'ー'   ヽ、: :,/´7''゙´  ,.-‐‐<,`  ノ´ス_, -、
   `'、 └`´ヽ i           '、`. ハ r''  ̄      `` <


群雲氏の『彼は俺の友達』が素晴らしすぎて俺の厨二脳と百合脳が爆発したようです




2009/12/06 23:25:11誤字修正
>>名無し ■ 2009/12/06 22:49:3
指摘ありがとうございました。コピペはもうやめよう……
泥田んぼ
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2009/12/06 12:55:50
更新日時:
2009/12/06 23:28:25
分類
レミリア・スカーレット
紅魔館
百合
○○レミ
1. 群雲 ■2009/12/06 22:07:54
俺も自殺をテーマになんか書く 今日か明日中に。
2. 名無し ■2009/12/06 22:34:20
蹴りたいry
3. 名無し ■2009/12/06 22:49:36
パチェを呼んで

美鈴を呼んで

ですかね
4. 名無し ■2014/06/09 17:50:53
さみしい
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