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『『いやよ、あなたと私はただ幼馴染ってだけじゃない』』 作者: 潤

『いやよ、あなたと私はただ幼馴染ってだけじゃない』

作品集: 8 投稿日時: 2009/12/12 16:57:09 更新日時: 2009/12/13 01:57:09
「魔理沙……」
「あ? どうした?」
「ここ数ヵ月、霊夢の姿を見ないんだが……彼女は、元気にしてるのかい?」

霊夢が香霖堂に来なくなって暫く経った
最初はまた異変かなにかで忙しいのだろうと思っていた

だが魔理沙はいつも通り時たま香霖堂に訪れたし、話していても異変のいの字もなかった

まあどうせ霊夢の事だから平気だろう……
そんな風にたいして心配などしていなかった
だが、数ヵ月も音信不通だと流石に心配になる

「ああ。別に、そんな顔するような心配事なんてなーんにもないぜ。この前行ったときも縁側で茶ぁしばいてたからな」
「そうか…………」

そうなると、何故霊夢は香霖堂に来なくなったのだろうか
前に霊夢の巫女服を作ってからそれなりに過ぎている
いつもならそろそろ新しい巫女服の注文のひとつやふたつはしにくるのだが……

「ま、あいつも人妻になっちまった以上、そうホイホイと他所の男の所にゃ通えないんだろうぜ」

……………………………………………………なんだって?

「魔理沙……? 霊夢が人妻って…………どういう、ことなんだい?」
「……は? ちょっと待て香霖、お前、まさか……いや待てよ、知らないわけないだろう?」
「人妻って……あの子は、いつの間に結婚したんだ!?」
「え、な、嘘だろ香霖…………あ、いや待てよ、そういやあん時香霖いなかったな……」

霊夢が…………結婚?
いや、確かに幻想郷の適齢期を考えれば、霊夢ぐらいの年齢ならおかしくはないが……
だがこれ迄、誰かと交際してるだとか、結婚を考えているだなんて、霊夢本人から聞いたことも、周りから聞いたことも、それらしい雰囲気すら感じられなかった

「……ちなみに、霊夢が結婚したのは、何時頃なんだい…………?」
「あー、だいたい三ヶ月くらい前だな」

霊夢が来なくなったのも、そのくらいだ……

「……なぁ香霖、霊夢から結婚式の招待状とか来なかったのか? 」
「ないね……」

「ほ、ほらあれだ、天狗の新聞の間に挟まってて、気づかず放置してるとか……そうだよ、あいつの新聞に載ってなかったのか!?」
「あいにく、家計が厳しくて余裕がなくなってきたから、新聞は半年前に解約したんだ。他にはそれらしいものどころか、郵便物はひとつも届いてないよ」

霊夢……博麗の巫女が結婚したとなれば、これは大事件だ
当然射命丸文の新聞にもその事が載るだろう
新聞をまだとっていれば、もっと早く気づけたと言うことか……

「魔理沙は、霊夢の結婚式には出席したのかい」
「ん、ああ、まあな。てっきり香霖も来るものだと思ってたから、あの場にいないのは変だなとは思ってたんだよ。ただ、香霖にとっちゃ私もあいつも娘みたいなもんなんだろう?」
「ああ……」
「うん、だからさ、『こんな結婚みとめないぞ!』って、抗議の意味を込めて来なかったんだって思ってたんだよ」

ああ、成る程……
確かに身寄りらしい身寄りのいない霊夢、実家から勘当同然に飛び出してきた魔理沙
二人がそれなりに幼い頃から面倒を見てきた僕からすれば、何だかんだ言ってどちらも娘みたいなものだ
どこの馬の骨とも知れない相手と結婚すると聞けば、小言のひとつも言いたくはなる
……それが嫌だから、僕には知らせなかったのだろうか
だからといって、今になっても顔のひとつも見せないのはどうなんだ
娘同然に思ってるとはいえ、血縁関係も養子縁組したわけでもない以上、僕には彼女とその夫をどうこうできはしないんだ
事後報告、と言うことで一度くらい来てもいいじゃないか

「なぁ香霖。何だったら、今から神社まで送っていくぜ……?」
「…………そうだね。娘が元気にやってるのか知っておくのも、親の務めと言うものだ」

冗談として出た言葉は、今の僕にとっては虚しい強がりでしかなかった







「……久しぶりだね、霊夢」
「よっ、邪魔しに来たぜ」
「魔理沙、邪魔するなら…………って霖之助さんじゃない。久しぶりね。いったいどうしたの?」

魔理沙の箒に相乗りして数分
あっという間に辿り着いた博麗神社では、母屋の縁側に座った霊夢が呑気に茶を啜っていた

「ああ、えぇと…………そう、君が結婚したなんて冗談を魔理沙から聞いてね。事の真偽を直接本人の口から語ってもらおうと思ったんだよ」
「冗談なんかじゃないわよ。私、もう結婚したわよ」

…………わっかていた事とはいえ、改めて本人の口から……それもなんともない風に言われると、精神的にくるものがあるな

「そ、そうかい……まあそれはいい、と言うか先におめでとうと言っておくべきだね。霊夢、結婚おめでとう」
「ありがとう、霖之助さん。今更だけど」
「ああ、それはすまない…………と言うかだ、なんで教えてくれなかったんだい?」
「はぁ?」

……どういう事なんだ
なんで霊夢は、そんな苛立たしげな視線で僕の事を睨んでくるんだ

「なんで、霖之助さんにそんな事教えなきゃなんないのよ? たいして親しくもないのに」

「…………………………………………え?」

『たいして親しくもないのに』

霊夢は……何を、言ってるんだ……?

『たいして親しくもないのに』

そりゃ、僕は彼女の親族でも、家族でもない
『たいして親しくもないのに』

だけど、少なくとも、もう何年も前から交流を持ってきたじゃないか

『たいして親しくもないのに』

――服が破れたからと、修繕の間僕の服を貸したこともあった
――いつの間にか、香霖堂の中に霊夢専用の湯飲みが置かれていた
――霊夢が捕まえてきた朱鷺を鍋にして、魔理沙を交え三人でつついたこともあった
――風邪を引いた魔理沙と霊夢を、香霖堂で看病したこともあった
――魔理沙の真似をしたのか、巫女服の支払いやお茶の代金をツケにしても、子供のすることだからと、甘やかしてるとわかりつつも見逃してきた

『たいして親しくもないのに』

なのに、君はそんな事を言うのか……?

『 タ イ シ テ シ タ シ ク モ ナ イ ノ ニ 』

「お、おい、霊夢……」
「そりゃツケありで巫女服作ってくれたし、お茶も売ってくれるし、大概魔理沙も遊びに来てるからお邪魔することもあったわよ。けど結局、霖之助さんとは客と店主の付き合いと、魔理沙って言う共通の友人を間に挟んだ関係だけだったじゃない」
「そう…………なのかい……」
「そうよ。そんな商売上の付き合いだけの人に、いちいち結婚の報告なんてしないでしょう?」

いや……それは……すると、思うけど………………

「う……あ……じゃ、あ……なんで、最近は、来なく、なったんだい……?」
「ああ、それ? ウチの旦那、外の世界で言う主夫って言うやつらしいの。料理洗濯掃除、勿論裁縫もお手のもので、服の修繕もばっちりやってくれるのよ。ま、結構口煩いから、お払い棒は自分で作ることになっちゃったけど。あと、里の呉服屋に顔が利くからって、格安で巫女服を作ってくれるように話をつけてくれたの。こうやって飲んでるお茶についてもおんなじ」

………………ああ、そうか
ようするに、僕はもう用済みと……
そういう事か……
彼女にとって、所詮僕はただの生活上必要だったから……
魔理沙が遊びに来てたから交流を持っていたと……
そうだ、そもそも霊夢に香霖堂を紹介したのは魔理沙じゃないか
霊夢が来るときは、大概既に魔理沙がいるか、暫くもしない内に来るかと言う時だったじゃないか
それを、勝手に勘違いして、彼女の保護者を気取って…………

「は、はは……ははは…………馬鹿だな、僕は」
「いきなりなによ、気持ち悪いわね」
「おい霊夢! いい加減にしろよ! お前、散々香霖に世話になっといて…………!」
「それ、アンタが言えるセリフ?」
「な、なんだよ、私は…………」
「八卦炉の改造。上手く行ってるかしら?」
「!? お、お前、なんでその事を……!?」

……………………

「凄いじゃない、改造が出来るって事は原理仕組みがわかってるって事。それがわかれば、材料さえ揃えば独力で修理だって出来るんでしょう? そうすれば、いちいち霖之助さんに見せなくても全部自分でどうにか出来るものねえ」
「それは…………! 香霖、違うんだ、あれは……!」

いいんだ、もういいんだよ、魔理沙
君も、結局僕との関係はギブアンドテイクの関係でしかなかったんだろう
霊夢からはギブばかりでテイクは何もなかったけど、まあ君からはとても素晴らしい価値のある物を貰ったからね、ネチネチ言うつもりはないよ

『この笑顔さえ見られるなら、対価なんて必要なかったな』

あんな風に思いながら、結局君から草薙の剣と言う対価を騙し取ったのは、いつかこうなる日が来ることをわかっていたからかもしれない
なら、僕の勘も捨てたものじゃない、と言うことか…………

「……すまない、来て早々なんだが、帰らせてもらうよ」
「あらそう? 悪いわね、なんのもてなしもできなくて」
「おい待てよ香霖! 人の話を……!」
「……悪いが魔理沙……霊夢も……暫く店には来ないでくれ」

でないと、望む望まざるに関係なく、暴言を吐いて君らを傷つけてしまうだろうから…………

「ッ………………この、馬鹿野郎!」

馬鹿野郎、か……
確かに、今の僕にはぴったりの言葉だ

僕は何で君達なんかを、娘のように思ってしまったんだろう……
ZUN氏によると、霊夢は本来、霖之助さんを下の名前で呼ぶくらい親密ではないそうです
そこから妄想の翼を羽ばたかせれば、実は霖之助さんに欠片も友好的な感情を持ってなかった(全然親しくない)霊夢もありだと思うのです

名字呼び(屋号呼び)の段階で勝手に人の服を着たり人の家に私物の湯飲みを置いていくとか、霊夢はどんだけ傍若無人なんでしょうね
本来ならそうなりたくは無い、関わりたくない相手ですが、一度だけならそんな立場と性格になってみたいものです

あ、タイトルはかなり適当です
じゃ、私はこの後居酒屋で愚痴る霖之助さんに付き合って泥酔したところで婚姻届の判を貰ってくるので、またお会いしましょう
作品情報
作品集:
8
投稿日時:
2009/12/12 16:57:09
更新日時:
2009/12/13 01:57:09
分類
森近霖之助
博麗霊夢
親しくない霊夢
霖之助さんの空回り
1. 名無し ■2009/12/13 02:11:05
後書き・・・美味いとこ取りとかビッチ過ぎ
2. 名無し ■2009/12/13 02:20:33
これはむかつくな
3. soobiya ■2009/12/13 03:48:45
>>『たいして親しくもないのに』
これかなり クると思う…  嫌いな相手にだって こんな事 そうそう言えやあしない
魔理沙はべつに悪くなくない? と は 思うけど、これの後じゃあ……

幸せにしたげてあげてください
4. 給仕 ■2009/12/13 10:04:34
精神的ダメージを負う霖之助さん可愛いです。
それにしても霊夢ひどい。
5. 泥田んぼ ■2009/12/13 10:27:10
>>霊夢が捕まえてきた朱鷺を鍋にして、
( ゚д゚)・・・朱、鷺?
(゚д゚) 朱鷺子・・・さん?
朱鷺子さん朱鷺子さんウワァァァァァァァ

あ、あとその婚姻届は霧雨魔法店カレンダーのようですよ。本物はこちらに……うわなにすr
6. 名無し ■2009/12/13 12:14:57
神主曰く
自由=悪だっけな
それにしても魔理沙もカワイソス
7. 名無し ■2009/12/13 15:45:34
凄くすんなり読めた。良かった、いつもの霊夢だ。霊夢は冷血外道ですよねー
8. 名無し ■2009/12/13 16:02:01
そしてダークサイドへ・・・
9. 名無し ■2009/12/13 23:10:39
>>5.泥田んぼさん
その朱鷺は朱鷺子さんじゃなくてマヂ鳥類の朱鷺だから安心なされ
10. 名無し ■2009/12/23 23:34:42
うわ、これはきつい・・・
こうして霧之助はダークサイドに・・・
あれ、妄想が広がる・・・
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