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『仮面ライダー龍騎/幻想』 作者: 神社バイト

仮面ライダー龍騎/幻想

作品集: 9 投稿日時: 2009/12/26 09:09:43 更新日時: 2009/12/26 18:09:43
仮面ライダー龍騎/幻想


 「じゃあ母さん水汲みに行ってくるから」
 「いってらっしゃーい」
 里の端っこに住む一人の女性。息子の為に今日もまた仕事をしようと川に向かっていた。昨日は雨が振った所為か、少し水溜りが多い。川も少々増水しているだろうが、水を汲んでこなければ仕事が出来ないために、仕方なく木の桶を持って向かっていった。
 桶に水を入れて持ち帰ろうとしてふと川を除いたとき、首に白い糸が巻き付いていた。不思議に思って自分の首に触れてみるが、何の変化もない。しかし、水の中の自分は糸を引っ張っていた。水面に手を触れてみると、水の冷たい感触ではなく、粘ついた何かが指に触れる。引っ張ってみると、また糸だった。首に巻き付いているものより太い、しっかりと束ねられた糸。ゆっくりとそれを引っ張ってみると、とめどなく糸は溢れていく。その時、水面にもう一つの影を見た。蜘蛛の形をした、とてつもなく大きな化け物。
 「!?」
 慌てて振り返るが、そこには何もいない。だが、とても固い金属質な物体が肩をなぞり頬に触れた。恐る恐る振り返ってみると、蜘蛛の化け物は雄叫びを上げて爪を女性に引っ掛けた。慌てて女性は逃げ出そうとするが、強大な力を持つ化け物の前になす術もなく女性は川に落とされた。否、吸い込まれたのだった。



 一方その頃、紅魔館の門番紅美鈴は八雲藍と出会っていた。何やら妖しげな空気を出す藍に、美鈴は嫌悪感を示す。
 「私に何か?」
 「はい、紫様からこれを」
 藍はカードケースを美鈴に差し出す。淵の部分に稲妻のようなマークが描かれただけの、シンプルなもの。それを受け取ると、藍は霞のように消えてしまった。それ自体には驚かず、美鈴はカードケースを眺める。中に入ったカード一枚を引いてめくって見ると、SEALと書かれていた。
 「スペルカードにしては何もかかれてないし……なにこれ」
 眺めている最中、いきなり門が開いたので慌てて美鈴はカードをポケットにしまった。門の中からは十六夜咲夜が現れて、美鈴を一瞥する。
 「ちょっと出かけてくるから、警備を頼んだわ。あと、水溜りを覗き込んでは駄目よ」
 「は、はいっ! いってらっしゃいませ!」
 咲夜は急ぎ足で道を通らず森の中に入ってしまう。何をしにいくのか尋ねたかったが、余計な詮索をすればナイフが飛んできそうなので諦めることにした。
 ふと、目の前にある水溜りが視界に入る。なぜ咲夜は水溜りを見るなといったのだろうかと、水面を覗き込んだ。すると、水面にぼやけた自分の顔以外に、空を赤い龍が飛んでいるではないか。振り返って空を見上げるが、何もいない。再び水溜りを覗き込むと、赤い龍が今度はこちらに向かって滑空を始める。するうと、水面を飛び出して美鈴に目掛けて口を開いた。
 「っ!?」
 一瞬の出来事だったので、食われる、と美鈴は目を閉じたが何時まで経っても体を突き刺すような痛みはやってこない。代わりに何かが弾かれる音がした。上を見上げると龍が空を飛び、そのまま再び水溜りの中にもぐってしまった。再び覗き込むが、もう龍の姿は見えない。
 「なにあれ……これのせい?」
 ポケットにしまってあったカードケースを見てみる。一枚だけ抜き出してあったカードが、少しだけ光ったように見えた。
 一方で咲夜は一人手鏡を持って幻想郷の森の中を歩き回る。何度も鏡を見ながらその場で回転し、鏡の中を覗き込んでは場所を移動する。しかし結局何も見つける事はできず、紅魔館の門の前まで戻ってきた。その時、美鈴が不思議そうにカードケースを眺めているのが目には入り、ぎょっとして尋ねた。
 「め、美鈴! そのデッキどこで……!」
 「隙間妖怪の式に貰ったんですけど……」
 「そう、まだ契約はしてないのね?」
 「? 何のことです?」
 美鈴の口ぶりに咲夜は安堵した後に、手を差し出す。
 「そのデッキを渡しなさい。割るから」
 「えっ! 嫌ですよ、そんな事!」
 「いいから!」
 咲夜が無理矢理美鈴からケースを奪おうとした瞬間、耳の中を反響するような金切り声が、頭の中に響き渡る。美鈴は思わず頭を抑えるが、その中で咲夜が水溜りの前に立っているのが見えた。すると、咲夜の腰にはいつの間にかベルトが現れて、彼女はポケットからデッキを取り出す。美鈴が持っているのとは違い、蝙蝠のような紋章が描かれている。
 「変身!」
 体を捻るように振りかぶってから、デッキをベルトに差し込んだ。すると、いくつものガラスのような象が集まって、咲夜は蝙蝠の騎士、仮面ライダーナイトになっていた。美鈴は唖然として咲夜を見つめる。仮面越しに、咲夜は美鈴を見るが、すぐに向き直って水溜りの中に飛び込んだ。すると、水は跳ねることなく咲夜を吸い込んでしまった。
 「さ、咲夜さっ……! うわっ!」
 美鈴は後を追って水溜りの中に足を踏み込むと、そのまま落とし穴に落ちるようにして、まっさかさまに吸い込まれた。鏡ばりの通路が延々と続いており、美鈴はその中を落ちていく。ようやくたどり着いた先は、また紅魔館の目の前だった。
 「いったぁ……腰打った」
 立ち上がって辺りを見まして見ると、異変に気が付く。門の外からでも見える物の配置が、すべて逆になっていた。立てかけている紅魔館の表札も文字が逆になっている。
 そして、頭も打ったためにさすろうと後頭部に手を伸ばすと、髪の毛ではなく、丸っこく、固いものに触れた。そのまま顔に触れてみると、肌ではなく鎧の面の部分に触れる。
 「えっ! ええっ!?」
 先程出てきた水溜りを覗いてみると、咲夜が纏っていた鎧とはまた違った鉄の仮面を被った戦士が底に立っていた。
 「ど、どうなってるの?」
 驚いている最中に、耳を劈くような爆音が聞こえてそちらの方を向く。すると、紅魔館の庭先で、巨大な蜘蛛が走り回っていた。その後を、咲夜が追っている。門を開けて一人と一匹の後を追うと、蜘蛛は美鈴の存在に気がついたらしく、口から針のようなものを飛ばす。間一髪で避けたものの、爆風に巻き込まれ芝生に転げた。
 「美鈴! なにしているの!」
 咲夜が吹き飛んだ美鈴の元へと駆け寄る。
 「だ、大丈夫です。吹っ飛ばされただけなんで」
 「……まぁいいわ、邪魔しないでね」
 咲夜は威嚇している蜘蛛に対して、ベルトに付けていたデッキからカードを一枚抜き取る。持っていた剣の蝙蝠の形をした柄の辺りにある部分が開き、そこにカードを差し込んで、再び閉じる。
 『sword vent』
機械音声が響き、空から剣が降ってきてまるで槍のような長く黒い剣が咲夜の両手に握られていた。そのまま雄叫びを上げて蜘蛛に切りかかる。蜘蛛の方も一方的にやられるだけではなく、金色の爪で咲夜の攻撃をはじいていた。
 美鈴は先程の光景を思い出し、自分のデッキから、カードを一枚抜き取る。細身の剣が描かれたカードを、腕に装着されたガントレットに差し込んだ。すると咲夜がしたときと同じように機械音声が流れて、空から剣がカードに描かれたものと同じ物が落ちて地面に突き刺さった。
 「おー、なるほど……よーし」
 剣を引っこ抜いて美鈴は蜘蛛を見つめる。咲夜も苦戦しているようで剣を振りながらも一定の距離を置いていた。その隙に、美鈴は蜘蛛に切りかかる。
 「はぁあああああっ!」
 「あ、美鈴! 待ちなさい!」
 咲夜の制止も聞かずに、美鈴は蜘蛛の爪に向かって剣を振り下ろした。当たった途端、根元から折れてしまった。
 「折れた!? うわっ!」
 そのまま蜘蛛の攻撃をもろに食らって、咲夜の隣まで吹き飛ばされる。呆れながら咲夜は叱責した。
 「邪魔しないでと言ったでしょう! ……あ」
 蜘蛛はそのまま紅魔館の壁を伝い、湖の上をアメンボのように浮きながら反対側の岸まで逃げてしまった。後を追おうとしたところで、咲夜は自分の手を見る。スーツの手先の部分が霧散しはじめており、それは足先からも始まっていた。
 「……時間切れか、美鈴。戻るわよ」
 「え、でもあの怪物は」
 「時間制限があるのよ、死にたくなければ早く来なさい」
 咲夜が踵を返して紅魔館の出口に向かう。慌てて美鈴もその後を追いかけた。咲夜は慣れたように水溜りの中に飛び込む。美鈴もその後に続いてジャンプする。しかし、あの鏡の通路には入れずただ水が回りに飛び散っただけだった。
 「あ、あれ?」
 「自分の入ってきた水溜りに入りなさい」
 水溜りの向こうから咲夜の声が聞こえた。美鈴は辺りを見回して、咲夜が入った水溜りの手前にある小さな水に足を突っ込む。すると、いつの間にか変身は解けて美鈴は元の世界に戻ってきていた。
 呆れた顔をして、咲夜は美鈴に手を伸ばす。
 「さっきのデッキ渡しなさい、契約してないなら手間が省けるわ」
 「えー、嫌ですよ。面白そうなのに」
 「遊びじゃないの」
 咲夜がさらに手を伸ばそうと近づくと、美鈴は一歩下がった。
 「こればっかりは聞けません」
 「……わかったわ、勝手にしなさい。でもね、命に関わっても私は何も手助けしないからね」
 咲夜はため息をつきながら紅魔館へと戻っていった。美鈴はデッキをもう一度見直す。何もかかれていないこのケースに、なんとなく人を惹きつけるような魔力があるのではないかと考えた。自分でも、先程の咲夜にあれほど抵抗するだなんて驚きだったからだ。
 考えていても仕方がないと、美鈴はデッキをポケットにしまい、シエスタに勤しむことにした。
 
 「戦いなさい、ライダー達と。最後の一人になるまで」
 やけにエコーのかかった女性の声が、美鈴の頭の中に響き渡る。夢だと自覚して、美鈴は目をあける。そこには、八雲紫が傘を持ってこちらに向かって微笑んでいた。
 「やっぱり貴女が今回の仕掛け人?」
 「そう、それぞれの願いをかなえるために、一人になるまで戦う。それが……ライダーバトル」
 「ウチのメイド長以外にもその、ライダーってのがいるってこと?」
 紫は頷き、指をパチンと鳴らす。すると、かつてみたあの龍が彼女の周りと飛び回っていた。
 「話が面倒だから、さっさと契約してくれるとありがたいわ。デッキをかざせばいいから」
 言われた通りに、美鈴はデッキを取り出して、ゆっくりと龍に向かってかざす。すると、龍は美鈴の回りを取り巻き、まきつくようにして体の中に入っていった。正確には、鎧となって体に装着されていた。初めて鏡の中に行ったときのようなカラーではなく、スーツは赤く染まり、仮面の部分には龍の紋章が描かれていた。
 紫はその姿をみて満足そうに頷き、隙間を作って中に入る。
 「ライダーと戦うのもいいけど、適度にモンスターも倒しておいてね」
 そう言い残して、彼女は隙間の中に入ってしまった。
 美鈴が目を覚ましたとき、手には龍の紋章が描かれたデッキが握られていた。カードを一枚引いてめくって見ると、先程の龍の絵が描かれていた。
 「ドラグ……レッダー。あの龍の名前か」
 そうカードを眺めていた時、ふと頭の中に劈くような金切り声が響き渡る。美鈴にはもうこれが何を意味するのかを理解していた。
 先程の水溜りに再びカードデッキをかざして、ベルトを巻きつけさせる。デッキを持った手を腰の辺りに置いて、左手を右肩の方面へと上げて、ポーズを決める。
 「変身!」
 そのままベルトにカードを装着させると、咲夜がなったときと同じようにガラスのような像が重なり合って、仮面ライダー龍騎が姿を現した。
 「しゃあっ!」
 自分の拳を叩いて気合を入れてから、美鈴は水溜りの中に飛び込んだ。前回のように落っこちるのではなく、通路に置いてある専用のバイク、ライドバイザーに乗り込み、アクセルを踏み込んだ。
 
 一方その頃。鏡の世界、ミラーワールドの紅魔館では、咲夜ことナイトがあの蜘蛛のモンスターと再び戦っていた。蜘蛛は前回の頭が会った部分の上に人の上半身のような部分が出来ており、そこから針などを飛ばしている。おそらく、人をたくさん食ったので進化したのであろう。
 「相変わらず面倒ね!」
 咲夜はカードを取り出して、ダークバイザーに装填する。
 『ADVENT』
 空から咲夜の契約したモンスター、ダークウィングが姿を現し、モンスターに向かって走る咲夜の背中に取り付き、黒いマントへと変化する。そのまま地面を蹴ると、重力を失ったように自在に空を舞い、蜘蛛に何度も切りかかる。
 耐えかねモンスターは紅魔館の壁を登って屋上へと逃げ込んだ。ナイトもマントを翻し後を追う。着地した瞬間、咲夜の体を糸が何十にも締め付けられた。
 「何っ!?」
 モンスターは咲夜を糸でしばったまま、屋上から外に放り投げる。地面に激突する事を覚悟した咲夜は思わず仮面の中で目を閉じるが、次の瞬間暖かい人の感触にぶつかった。顔をあげてみると、ライドバイザーから下りた龍騎が咲夜を抱きかかえていた。
 「あ、貴女」
 「咲夜さんはここで待っていて下さい。あれは私が倒します」
 美鈴は腕に取り付けられたガントレットタイプの召喚機、ドラグバイザーにカードを差し込む。
 『SWORD VENT』
 空から青竜刀の形をした剣が現れて、美鈴はそれを掴み取る。咲夜を襲おうと下りてきたモンスターに向かって、美鈴は雄叫びを上げながら剣を振り上げて近づく。
 途中、蜘蛛は何度も針や糸で攻撃を仕掛けるが、すべて剣でなぎ払われる。ようやく至近距離までに近づいた美鈴はまず元々蜘蛛の顔だった部分に蹴りを見舞った。苦しみもがいている隙に、爪の根元や足を切り裂く。動けなくなってしまった蜘蛛は、芋虫のようにその場でのた打ち回った。
 美鈴はデッキからカードを取り出して、再び装填する。
 『FINAL VENT』
 足を開き、拳を握り締める。契約した龍、ドラグレッダーが姿を現して彼女の周りを飛び回った。それを見て美鈴は宙を飛び、回転しながら蹴りの体勢を作る。すると、ドラグレッダーは火を噴いて彼女の背中を押した。目にもとまらぬスピードで、美鈴は蜘蛛の胴を貫き、下半身である蜘蛛の腹の部分をも貫いた。悲鳴を上げて、蜘蛛は爆散してしまった。
 「……ふぅ」
 空を舞うドラグレッダーを見てみると、先程蜘蛛がいた地点に浮かぶ白く輝く玉に向かってそれをぱくりと食べてしまっていた。横で見ていた咲夜が解説する。
 「ああやって、モンスターを倒して生命エネルギーを自分のモンスターに食わせる事で強化していくのよ」
 「へぇ……」
 「さて美鈴」
 「はい」
 咲夜の方を向くと、彼女は剣を構えていた。
 「龍騎か……早めに潰しておいた方がよさそうね」
 そう呟くと、いきなり美鈴に向かって切りかかってきた。当然避けきれるわけもなく、彼女は吹き飛ばされて苦しみもがく。
 「な、なにをするんですか!」
 「これはライダーバトルよ? 契約する時に聞いたでしょう」
 「だ、だからって! うわぁ!」
 美鈴の言葉にナイトは耳も貸さず、再び剣を振り上げて、龍騎に向かって思い切り振り下ろした。
仮面ライダー龍騎本編では1,2話辺り
まだ序盤だから面白くないかもしれない

まぁ次回はシザースとゾルダが出てくるのでお楽しみにって感じ
あとオリジナル要素があるので原作とちげーじゃねーか死ねっていうのはなしで、ごめん。
神社バイト
http://zinzyabyte.blog96.fc2.com/
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2009/12/26 09:09:43
更新日時:
2009/12/26 18:09:43
分類
仮面ライダー龍騎
知ってる人が何人いるのやら
1. 名無し ■2009/12/26 20:10:05
……ヤバイ、ネタが懐かしすぎるwww

ライダー全員の配役が滅茶苦茶気になる。
2. 今川焼き ■2009/12/26 21:05:23
懐かしくて吹いたwww
そしてタイトルで吹いたwww
あんたなんでも書けるんだな
3. 名無し ■2009/12/26 22:34:53
トリックベントーーー

さくやさんの変身で崩壊した
4. 名無し ■2009/12/27 04:48:26
やたら懐かしいw
全体通してのストーリーは一番好きなライダーだ
果たしてゆかりんの願いとは
5. 名無し ■2009/12/27 08:38:52
あんた大好きだwww

カニに激しく期待
6. 名無し ■2009/12/27 12:32:33
懐かしすぎるwwww

         。     。      /'   .、
        ((      ))    / /    | i
        ヾ_,‐=‐ /i     | i|    ノ, |<呼んだかい?
         <, -、_, -、_>     | ;i|  /,' /
         '!≧.-、≦ヲ     | i〉 〈 /
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   /ヽ;::/ ゙!ミ:::;i:::;;;彡!    ゙ー’
7. 名無し ■2009/12/28 03:28:19
これ全部やったら五十話ぐらいあるじゃねぇか・・

カニが魔理沙で再生されて吹いたwww
壁に埋まってるのはアリスでw
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