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『痛くなったすぐケリス!!』 作者: サルア

痛くなったすぐケリス!!

作品集: 9 投稿日時: 2010/01/01 21:21:08 更新日時: 2010/01/02 15:12:14
ケリスとして名を馳せたアリスは、とにかくなんでも蹴りたい年頃だった。

「ケリスッ!!」
「ゲフォァ」

今日もケリスのつま先の弾丸をみぞおちに受けて、里の男が死亡した。
ゲロをまき散しながら、男は哀れ、大地に還っていく。


「シュッ、シュッ」


素振りが風を切った。
アリスはこれでもう通算二十人以上を彼岸へと送っている。


凶悪な右足を唸らせながら歩くアリスを、人里の皆は避けた。
アリスは気分を良くした。

「ふふっ、まるでアイドルね…」


アリスは鼻歌混じりで、道行く猫を蹴った。

「ギニャ」

「一撃よ!」

アリスは猫を過剰に大事にする人が嫌いだった。
猫に何かしただけで、ひどい怒りを抱く人が大嫌いだった。
そいつらは虫とかが潰されてもなんとも思わない。猫が可愛いから気分を悪くするのだ。
しかも、その事を正しいと思っている。



その点アリスは違った。猫という種族全体を無条件に保護するのは好かない。
猫だろうとどんな生き物だろうとアリスは平等に蹴り殺した。



あちらから近づく影がある。
そう、あれこそはアリスと同じく、いや、アリス以上に、遍く地上の命を天へと還す地獄からのお迎え少女。


西行寺 幽々子!












「ふんふ〜ん♪ あら、そこな村人さん。お団子屋さんまではどう行くのかしら」

「ああ、そこの角を右ですよ」

「あらありがとう。お死になさい」



ばたり。



「あ、ごめんなさい。ぶつかっちゃった。私ったらフラフラして」

「いえいえ、こちらこそ。気をつけてくださいね」

「ええどうも。死になさい」



ぱたり。



「ここのお団子おいしいわぁ。また来ちゃうわね、店主さん。えい死になさい」



ばたん。







ほんと、空気を吸うように人をころす女だ。



「やるのぅ…。西行寺の亡霊姫も…」


アリスはあまりの手腕に関心して呟いた。








それ死になさい、やれ死になさい。
まったく人の命も彼女にかかれば服にかかった糸くず以下だ。
巨象は足元の生物を気にせず歩くというが、あれは蟻を丁寧に潰して歩く象だ。


ふと、小さな子供がアリスの目の前に現れた。


「ねぇお姉ちゃん!このお花、10円だよ!買わないですか?」
「あら…わぁっ」


見れば苦労を感じさせる粗衣を纏う花売り。しかし顔は満面の笑顔。
アリスは心がほころぶのを感じた。

「少年。もし貴方が幼いころ、捨てられて寒さに震えている子犬を助けてあげたとしましょう…」
「…え、子犬?」
「でも…」
「…どうしたの?お姉ちゃん」

でも、…蹴らない。
アリスは真に無垢なるものを蹴り殺すことは決してなかった。
彼女が殺めるのは、心に闇を持ち、罪を犯


「けぴゅ」

「フェイントよッ!」


変な声を洩らして少年は吹き飛ぶ。

「我が蹴りに善悪なし!」

縦に大回転しながら少年の遺体は宙を疾駆する。
そのさま、まるでレールガン。
アリスは流行にさとい女であった。



──ドォォン…



子供は家屋に激突し、幽々子を巻き込み倒壊した。


「ふん……Only my kick can reach you 、今すぐ」

「ふっ、なめられたものね…」

崩れた団子屋から、死の影がゆらりと立ち上がる。

「こりないわねアリス、また私に戦いを挑むとは。惨敗したのをもう忘れたのかしら」
「諦めの悪さは生まれつきだ」

ライバルを前にして、諦めるという選択肢はアリスにない。

「私をこういう風に作った神様に恨み言でも言うんだな」

アリスは、里に迷い込んだ子アザラシを踏み殺しながら言う。
幽々子は挑発的に笑う。

「へぇ…言っとくけど、今度はどんな命乞いをしよ…」
「最も、単なる母譲りとも言えるわね」
「うとも、許さないわよ。完璧に殺…」
「ああ、だから神頼みも嫌いよ。私の場合、ママに祈るってことになっちゃうからね」
「してさしあげますわ。貴方みたいな物忘れの激し…」
「さあそろそろ始めましょう。私たちの可憐で悲しい命が散って舞う舞踏会を!!」
「い方は嫌………。話を聞けぇぇーッッ!!!」












   IT'S SHOW TIME !!


殺し合いは始まった。

アリスはすぐに横っ飛び。狭い路地へ身を投じた。


物量。広範囲の死の攻撃はヤツの十八番。
ならば視界の開けた街頭で戦う必要なし。加速力に物を言わせ接近、能力が間に合わぬその距離で仕留める!



「ドリキャス流奥義!!『宴符、死して全て大…」

「空!魔龍!ガイキン便器!(・▽・)萌えっ!」

「私のスペル言わせろぉぉォォォ!!」




怒涛の勢いで蝶の弾丸が弾けた。

身の盾とした長屋が一瞬で吹き飛ぶ。
散乱、飛翔する破片をアリスは蹴り落とした。

「ふん!相変わらず派手好きなヤツね、幽々子!」

「跡形もなく散りなさい、アリス!!」

だがこの火力。
図らずも市街が平地に戻りかねない。

次々に身を隠す場所を奪われてはジリ貧。もはや、人形師の戦い方見せてやるのみ。

「出てきなさいアリス!この臆病者!」


言われずとも、応!



「行くわよ上海ッ!」
「シャンハーイ!」


「準備はいい蓬莱ッ!」
「ホウラーイ!」


「パンタローネ!」
「全てフランシーヌ様の御心のままに」



三つの影が幽々子に突貫した。


「木偶人形三匹で私をどうしようと言うのかしら!」

「やってみないと分からないわ」




上海は想う。
決して長くはなかった生涯に、アリスより頭脳を与えられたことの意味を問う。
小さな身体で必死に蝶々を避けながら、槍を突き立てんと前に進む。

「シャン…ハイ… っ」

答えがまだ見つからなくても大丈夫。
だって、きっとアリスが、また、なおしてくれる。


上海は蝶の海に消えた。






「ホラーイ!!」


蓬莱は激怒した。
蓬莱は上海のようなお幸せなヤツではない。

敵が憎い。友を撃った敵が憎い。激情を矛に載せ、身体を弾幕にぶち当てながら突き進む。
蓬莱はすぐボロキレのようになった。だが決して止まらなかった。
何故なら、心に描いた者達が、その背中を押すからだ。

「ホー……イ…ッ!」






「なんてモロいお人形たち!これで終わり!?」


幽々子はあざ笑った。


「やりなさい」
「『深緑の手(レ・マン・ヴェール・フォンセ)』!」




──ドシュンッ ドシュンッ ドシュンッ




圧縮空気の弾丸が、虹色の弾幕を突破して突き進む。

先人の切り開いた道が、更に深くまで抉られた。



幽々子の弾幕に足りないもの。それは局地的打撃力。
小銃の火力が集中したところで、車両が簡単に止められるものか。

アリスは最後に残った人形の背中につく。
亡霊姫の焦った顔が見える位置にまで前進できた代償は、全て人形が受けてくれた。


「人に忘れ去られたはずの老骨。今までお仕えできて幸せで御座いました」
「えぇ…でも、私はフランシーヌでは……」

「おおっ、知っておりましたとも、マドゥマゼル」




───またいつか、天幕の中で


───ええ、いつかまた、必ず会いましょう。







アリスは皺深いが、苦悩一つない人形を、幽々子へと体当たりで突き飛ばした。

「ええぃ!しゃらくさいわね!」

幽々子は扇子を振るう。

壊れたドールを、桃色の光が正面からなぎ払った。
しゃがれた木の破片が光の渦に消えていく。


しかしその後ろにアリスはいない。

「なっ!?」


アリスは、幽々子の背後に回りこんでいた。

大雑把すぎる攻撃。不可なり。
過ぎたるは及ばざるが如し。自分の視界を消してしまうほど強烈な閃光、不要。


「ケリスッ!!!」

「くひ」




満身の力を込めたアリスの蹴りが、幽々子の左わき腹に突き刺さった。

「かっ…」

瞬時、幽々子の体を衝撃波が襲う。
一瞬の時間停止の後、恐ろしい勢いで体が折れ飛んだ。
土ぼこりを巻き上げて、死の元凶が里を舞う。

市中引き回しのあげく、幽々子の体は大きな屋敷の玄関口をぶち破った。






アリスは蹴り飛ばした方向へと、静かに歩を進めていく。

もうもうとした砂埃が晴れて見えてきたのは、鋭い建造物に胴を串刺しにされた幽々子だった。

「終わった…か」


勝利した。
その事実がケリスの胸に宿る。そう、ケリスを名乗るのにもはや障害は無い。

ケリスは背を向けた。心地よい満足感などなかった。ただあるべくして、ケリスは勝ったのだ。
ただすこしの寂しさだけが胸を締め付ける。勝って一人。なんて不毛な。



しかし、崩れ落ちたトタン板からガラガラと音を立てて、立ち上がるものがある。

「待て」
「……なにかしら?」
「待てアリス」


幽々子の体が刺さっていたのは、なんと半人半妖の慧音の角だった。
真っ赤な瞳は、激しい怒りに染まっている。

「人里の人間に、こんなことをして、どうなるか分かってる?」

ケリスは周囲を見渡した。
家が壊れ、逃げ惑う人々が見えた。

「あら、ごめんなさいと言えば許してくれるのかしら」

「…ッ。…貴様ぁぁ!」

「自己紹介しましょう。私はケリス。遍く全ての生き物を、わけ隔てなく蹴り殺す者!」


慧音が咆哮をあげて、地を蹴った。


「生き残りたいのなら、守りたい誰かがいるなら、誰か我が膝を折って見なさい!」



  さあ  第二ラウンドの開幕よ!







           ─────   完 !!!! ─────
何も考えてなどいない
天則で俺のゆゆ様アリスに蹴られすぎてむかついた
サルア
作品情報
作品集:
9
投稿日時:
2010/01/01 21:21:08
更新日時:
2010/01/02 15:12:14
分類
アリス
バトル
1. 名無し ■2010/01/02 06:50:43
>大 空!魔龍!ガイキン便器!(・▽・)萌えっ!
成功してるとこはじめてみた
2. 名無し ■2010/01/02 07:36:52
パンタローネはあれか
アバロンの倉庫からでも拾ってきたのか
3. 群雲 ■2010/01/02 11:14:17
一瞬痛くなったすぐクスリ!!って見えた
4. 名無し ■2010/01/02 11:24:20
パンタローネさん、懐かしい……からくりサーカス読みたくなってきた。
5. 名無し ■2010/01/02 11:46:47
シャンハイ可愛い
6. ■2010/01/02 16:04:31
坂本ジュリエッタフェイントは本当に何が起こったか分からなくて3回読みなおした。
パンタローネかわいい。
7. 名無し ■2010/01/02 17:42:25
坂本ジュリエッタフェイント吹いた
8. 名無し ■2010/01/02 19:45:52
やめなよ一人大空魔竜
9. 名無し ■2010/01/02 20:01:01
パンタローネさん何やってんのw
10. soobiya ■2010/01/03 00:51:49
やべ、面白っ!!
ケリスつえぇ。そして無駄に かっけぇ。

>>猫を過剰に大事にする人が〜
始末悪いですよねぇー
11. 名無し ■2010/01/03 11:55:39
かっこいい…!
12. 名無し ■2010/01/03 15:52:25
ケリスはサッカー選手にでもなれよ
13. 名無し ■2010/01/06 20:44:20
ちゃんとバトル物になってる
14. 名無し ■2010/11/23 16:08:09
まさかこんな所でエアマスターネタはともかく
パンタローネさんを見る事になるとは思わなかったw
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