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『東方コロシアム』 作者: 八幡はちまん

東方コロシアム

作品集: 10 投稿日時: 2010/01/15 00:41:46 更新日時: 2010/01/15 09:41:46
 昔々、ある幻想郷という所に一体の妖精と一匹の妖獣と三体の妖怪が住んでおった。

妖精の名をチルノ、氷の妖精。
妖獣の名を橙、化け猫。
妖怪の名をリグル・ナイトバグ。蟲を統べる妖怪。
妖怪の名をルーミア、闇を操る妖怪。
妖怪の名をミスティア・ローレライ、屋台を経営する妖怪。

そいつらは互いに特段、仲が良いと言うわけではないが
時おりにはつるんで遊ぶこともあった。
幻想郷には霧のたちこめる湖があって、そのほとりで四体体と一匹は
取り留めの無い遊びをした。

ある日のことである、諸事情があって橙とリグルとルーミアとミスティアは
人間が用いる金銭というものを手に入れたくなった。
金銭を対価に渡せば、人間はなんでも譲ってくれるということを
ミスティアから知った一匹と二体はどうしても欲しいものがあった。
昔であれば人間から力ずくで奪えば良かったけれども、今の時代は
厳しい掟によって人間が保護されている。そのため、合意の上で
人間から譲り受ける以外に欲しい物を手に入れる方法が無い。

橙とリグルとルーミアとミスティアは、久しぶりに湖のほとりに
集まって顔を合わせた。
お互いが金銭を欲していることを知り、どうやってそれを手に入れるかを
話し合うが良い案が出ず、途方に暮れた。

リグルは涙目で語った。
「強いカビと菌に冒されて、幼虫たちが全滅しそうなんだ。人間が使う
 消毒薬があれば、なんとか救えるかも知れないんだけど……」

リグルは配下の蟲を動員して金目の物を拾い集め、消毒薬を買いに赴いた。
しかし、製造者も問屋も小売はしないと言ってまとまった額しか提示
しなかったので一滴も買えなかった。

橙は落ち込んだ様子で語った。
「藍様のお仕事があんまりにも増えて、最近はずっとお疲れ気味なの。
 最新の『こんぴゅーたー』があればだいぶ楽になる、って、藍様が
 おっしゃってたけど、とっても値段が高いの……」

橙は今までに道すがら拾い集めてきた綺麗な石や光る物などを持って
香凛堂を訪れた。しかし、店主は現金以外で物は売れないと、冷たく
橙を突き放した。「君が男の子であれば、考えても良いのだけどねぇ……」

ルーミアは明るい表情で語った。
「○○○村の床屋で人間のお肉を売ってもらえるって聞いた。
 △△の町にある肉屋が人間でソーセージを作ってるって教わった」

ルーミアは手ぶらで人間の村や外来人の町に出かけ、噂の店に上がりこむと
人肉を欲しいと言って騒いだ。怒った店主にすぐつまみ出されたという。

ミスティアは切羽詰った様子で語った。
「仕入れにお金が必要で、少し借り入れただけのつもりだったのに。
 返済を先延ばししているうちに金利が雪達磨式に膨れて……」

ミスティアは借金の返済期限が間近に迫っていたが、返す目処を
立てられないまま日が経ってしまった。期日になっても返せなければ、
借金鳥という凄腕の取立て妖怪に捕まって売春宿に売られてしまう。

四者四様に、欲しい物を手に入れるために金が欲しかったが、まとまった
金を稼ぐ方法となると全くの無知未経験で手も足もでず溜息しか出ない。

「このままじゃ、みんな死んじゃうよー、お金欲しいよーバグバグ」
「藍さまが死んじゃうよー、お金が必要なんだにゃーん」
「お風呂に沈めるって、金貸しが言うの…… 恐いわ」
「そーなのかー」

みんなが嘆きの声をあげていると、そこにチリンチリンという鈴の音を鳴らして
チルノが駆け込んできた。大きな袋を背負っている。
チルノに気付いた一匹と三体がそちらを振り向くと、チルノではなく
彼女がまたがっているもの珍しい乗り物に目が惹きつけられる。
チルノは、外の世界で普及している自転車という乗り物に乗っていた。

「やほー、みんな元気ぃ? どうよコレ、いいでしょー」

橙もリグルもルーミアも、今まで困って悩んでいたことをすっかり
忘れて、夢中でチルノの自転車に群がった。
自転車のことをひとしきりに質問した後、話しはどうしてチルノが
こんな物を持っているのかということに移った。

「ああ、買ったのよ、外人から」

リグルは驚きの声をあげる。

「外人から、買ったぁ!?」

リグルには合点がいかなかった、自転車のような複雑な工業製品は
外来人の町でしか作られない。それを盗んだのならまだしも、
チルノは10円もの大金を払って買い取ったと言う。
橙も、チルノがどうやって金を工面したのか興味津々となった。

「お金はどうやって貰ったの?」

ルーミアも口を挟んだ。

「おチンチン舐めたのか?」

盗んだ、恵んでもらった、売春した、などと見当ハズレな言葉に
チルノは心外だと怒った。

「ちがうちがう、ちがーう!!」

それから、その場に車座を作ってチルノが金を工面した方法を聞いた。

「だからね、アタイはそのコロシチマウってところで何度も戦って、
連戦連勝して賞金を稼いだってわけよ」

橙とリグルは話しを聞くうちに顔を青ざめさせ、ルーミアは言葉を
失って黙り込んだ。

チルノの話しを聞くと、どうやら彼女は外来人の大きな町で開催される
真剣試合に出場して殺し合いをしてきたらしい。

「人間のお侍を5人も殺したよ! 妖怪の戦士だって1人やっつけたしぃ!!」

そう言うとチルノは担いできた袋の紐を解いて、中身を地面に転がした。
出てきたのは、所々が壊れたり穴の空いた防具と使い込まれた感のある
刃物や鈍器といった武器の類だった。
周囲に血の匂いがたちまち広がる。ルーミアの口中に唾が湧いて零れた。

場に沈黙が満ちる。誰も発言しなくなり、重たい空気に変わったことに
気付いてチルノは皆がドン引きしているのだと思った。

「あー、じゃあアタイ、帰るね。じゃあね!」

チルノは広げた荷物をまとめると、袋を担いで自転車に乗り走り去って
行く……

のをリグルが追いすがって止めた。

「待って、行かないで!」

リグルは自転車に乗って走るチルノのスカートを掴んで引っ張る。
チルノは重い荷物を背負っていて、急にバランスを崩されて思い切り
ドベごけした。

「なにすんのよ!」

チルノは抗議した。他の皆も、何がなにやらわからない。
リグルはチルノに縋った。

「私たちを、そのコロシチマウ? っていうのに連れて行って、お願い!!」

駆け寄るミスティアは二人を助け起す。

「ちょっと、どういうことよ?」

「決まってる、そのコロシチマウに出場して、賞金を稼ぐのよ」

チルノとリグル以外の全員に衝撃が奔る。

皆で外来人の町に出かけて、コロシアムに出場して勝てばお金が手に入る。
リグルの得た結論はこうであった。

橙は恐がり、ルーミアは話をわかっているのかわかっていないのかわかり
にくかった。しかしリグルとミスティアの二体は切羽詰っていたこともあり、
正常な判断力や思考が失われていたのでチルノの話しに飛びついた。

二つ返事で町までの案内とコロシアムへの紹介を引き受けたチルノだが、
今日はもう疲れているということで出発は翌日ということで話しが着く。
そうして皆はそれぞれの棲家に帰り、明日の試合を想像して一抹の不安と
恐怖を感じながらもまどろみ、眠りに沈んだ。




次の日の朝、日の出と共に湖に集まったチルノ、リグル、ルーミア、
ミスティア、橙の四体と一匹は幻想郷最大の外来人町へと向かって行った。
八幡はちまん
作品情報
作品集:
10
投稿日時:
2010/01/15 00:41:46
更新日時:
2010/01/15 09:41:46
1. 名無し ■2010/01/15 09:54:12
チルノだったら一回休みで済むから良いだろうけど、他の面子は……。
2. 名無し ■2010/01/15 11:53:28
人間を襲うだの人肉喰うだの言ってる割に殺し合いをしたチルノにドン引きしてるのは何故だろう
バカルテッドは若い妖怪だから人と殺し合う様な時代の生まれではないからかな?
3. 名無し ■2010/01/15 15:25:22
妖怪も参加できるのか。
戦力差を考えると、人間の侍ってのは奴隷兵士かな。
4. 名無し ■2010/01/16 03:22:53
これはその内、仲間同士で対戦カードが組まれたりするのかな?
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