Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『魔理沙とヒョウタン・・・後編』 作者: コメごん

魔理沙とヒョウタン・・・後編

作品集: 11 投稿日時: 2010/02/02 23:32:49 更新日時: 2010/02/03 08:32:49
※若干個人的な解釈も含まれております。

以下、後編部分です。






「おい、ここら辺で止まれ」

萃香に命令されてやってきたのは近くの人里であった。

あまり人は多くないとはいえ、昼間では人の往来もいくらかあった。

村の中心を流れる川にかけられた橋があり、
その中ほどで魔理沙は立たされる。

「そうだな、お前 ここで服を脱げ」

「え!?」

「え?じゃないよ、頭吹っ飛ばされたいのか、ゴミクズが
 さっさと服を脱げってんだよ!」

まさかこんなことをされるとは予想もしていなかった魔理沙は戸惑った。

いくら普段女らしくない振る舞いをしているとはいえ、それはそういう性分であるだけで
別に女としての恥じらいがないわけではない。

それにたとえ男であっても人中で裸になるなど御免である。

「えっと…でも…」

「さっさとしねえか!」

ズン! とツノで耳の奥を突いた。

「いぎっ!?」

もはや有無を言わさぬ様子であった。

魔理沙は半べそをかきながらエプロンを外し始める。

続いて上着、ワンピースと脱いでいき、やがてドロワだけになった。

さすがにここまでやると周囲の人間からの視線が痛くなる。

一人としてこちらを見ようとしていないのが、はっきりとわかるのが逆につらい。

「おい、さっさとパンツも脱げ
 耳の中でも外にいる他の分身が、きっちりお前の間抜けな姿を監視してるんだ
 よく見えるぞ、お前いい年して小便漏らしたんだな…ヒヒヒ、情けない奴だねえ」

それを聞いた魔理沙はキョロキョロと辺りを見渡したが、萃香の分身がどこにいるのかなどわからない。

なにせ耳の中にだって入れるのだ。

アリのように小さくなれば見つけようもない。

もう半泣きどころか、歯を食いしばって涙を流し続けていた。

泣きながら小便で黄ばんだパンツのまま往来の中を突っ立っている魔理沙は、
ある種悲しみのオーラを放っていた。

行きかう人間も何となく予想はしている。

誰かに弱みを握られてあんなことをしているのだと。

魔理沙は意を決してドロワに手をかけるとゆっくりと引きおろした。

尿で濡れた布がそれを拒むが、とにかく早く終わらせたいという気持ちからさっさと脱ぎ取る。

生まれたままの姿になり、湿った股間を吹き抜ける風を冷たく感じた。

「ギャハハハハ! お前生えてないのかー、そうかそうかー!」

萃香の下品な笑い声が頭に響いてくる。

そういうお前はどうなんだという突っ込みは命に関わるのでしなかった。

「なあ、もういいだろ 許してくれよ…」

「だめだ! 魔理沙許さん!」

そう突っぱねる萃香はすぐさま次のお題を出した。

「そうだな、お前 ここでうんこしろ」

萃香の悪乗りは止まらなかった。

「おい、うそだろ…さすがに無理だぜ」

「うん、それはわかってる
 今すぐに出せるほど器用じゃないだろうしね」

「そういう意味じゃない!」

「大丈夫! 何も心配は要らない」

何が大丈夫なのか不安で仕方のない魔理沙であったが、大丈夫の理由はすぐに理解させられた。

グルルルル…

腹の奥でガスと内容物が激しく移動するのがわかる。

「うう! ぐぐ、苦しいー」

萃香の能力か、腹の中のものが直腸へ向かって集まっていった。

「ゲェエエー」

完全にガスと固形物で分離させられたのか、長いゲップが口から出てきた。

それと同時にかつてない激しい便意が襲ってくる。

「ううっ…あ、ああ! 痛い!いたたったたたた…」

相当無理な力で腹の中をいじられたためか、魔理沙の腹部を激痛が走る。

「うぎっ! んんんんんーー!」

ブス! ムリムリムリ…

魔理沙の肛門から茶色い粘土状の棒が押し出されてくる。

重力に従い橋板に落ちるとベチャっと潰れ、後から後からすごい量が続いてひり出されてくる。

見る見るうちに橋の上にはこんもりと小高い大便の山が出来上がった。

これだけ立派なうんこならば、往来のたび必ず人目に付くことだろう。

普通、一度の排泄ではここまでの量は出ないが、萃香の力で強引に上の消化途中の便まで出しきった。

魔理沙は、取り返しのつかないことをやってしまったという喪失感からか、
ただ自分の排泄した大便を眺めていた。

「ヒャハ!すごい出たじゃない
 奴隷を飼うのがこんなに面白いとは、今度は霊夢でも新しい奴隷にしてやろうかしら
 名前もそのまま、奴隷夢なんてぴったりだね!」

などと恐ろしいことを言い出す萃香。

もう完全に人として終わった。

そう思う魔理沙であったが、ここまで恥をかいても死ぬのはやはり恐ろしい。

人間そんな簡単に死ねるほど単純にはできていないのだ。

「よし、この調子でどんどんいこう!」

「ま、まだやるのか…」

このまま付き合っていたらだんだんと慣れてきてしまうのではないかと思う自分が怖かった。

「次は……ん、何だ?あの大きな建物は」

耳の中から言うのでよく分からないが、辺りを見ればすぐにわかるほど大きな建物があった。

それは慧音とかいう半妖がいる寺子屋であった。

「おい」

その一声で魔理沙は走った。

大便のあと、肛門を拭いていないので
うんこのカスがぬるぬるとこすれるのが気持ち悪かった。

全裸で走る魔理沙に通行人は目を背けていた。

頭の病気が自分にも移ると考えているのかもしれない。

寺子屋につくと萃香は命令した。

それを聞いた魔理沙は無表情のまま了解すると小屋の中に入った。

中では授業の最中で、文章の音読をしているようだった。

いきなり全裸の魔理沙が入ってくるや慧音は教本を落とした。

明らかに動揺している。

さすがの慧音も火事や妖怪の襲撃に対する策は常日頃から熟慮していただろうが
いくらなんでも全裸の少女が入ってくることまでは計算外だった。

「お、おい 確か魔理沙とかいったな…な、何の用だ
 いやその前にどうして、その…服を着ていないんだ」

きょろきょろとなにか羽織らせるものを探していた慧音だったが
突然魔理沙が抱きついてくる。

「け、慧音、相撲しようぜ!」

「え!?」

とりあえず落ち着くことだけを自分に言い聞かせていた慧音だったが、もう無理だった。

あまりにも現実離れしすぎた状況に思考を放棄した。

「おい、みんなも見たいよな! 慧音先生との相撲!」

ギャラリーである子供に対する呼びかけ。

もう魔理沙に少女の、人としての理性は残っていなかった。

生き延びるためには何だってする。

その姿勢は必死に萃香の足にしがみつく射命丸のそれと同じだった。

「わーー見たい見たい! 慧音先生の相撲見たーい!」

「先生のちょっといいとこ見てみたーい!」

子供というのは自分に身の危険がない以上、特殊な状況を楽しむ生き物である。

魔理沙の扇動にあっさりと乗ってきた。

「よし慧音、相撲とは神にささげる神事でもある
 それゆえにこんな格好をしているのは無礼なんだぜ!」

そういうと魔理沙は慧音の服を脱がし始めた。

「よせ、バカ! やめろ…やめろー! やめてえええぇ!」

半妖といえどもその力は限定的であり、満月の時でもなければ普通の少女であった慧音は
生死をかけた魔理沙の腕力と行動力には及ばなかった。

さらに調子に乗った子供たちも加勢に加わる。

後で慧音によるどんな仕打ちが待っているかというくだらないことよりも
今は自分のリビドーに身を任せていたい…

そんなキリッとした表情の男子生徒が次々に群がり、慧音の妙な帽子や下着を脱がしにかかった。

頭脳は大人以上でも体は魔理沙と大差ない子供、多勢に無勢で敵うはずもないのだ。

あっという間に全裸にされる慧音。

「さあ来い…勝負だ慧音!」

魔理沙はもう失うものがないからいい。

だが慧音はほんの今さっきまで普通に授業をして、
尊敬される教師として慕われ、守るべきものも沢山あったのだ。

それが魔理沙の暴挙によって、プライド、社会的地位、信頼、経歴その他様々なものが破壊された。

だが同類ができた魔理沙はうれしくもあった。

もう慧音はこの村では生きていけないだろう。

教え子が大人になれば、今日のことを弱みにされて何をされることか考えたくもないはず。

そうだ、どうせなら慧音も萃香の奴隷にしてもらおう。

仲間が増えるのはいいことだ、と魔理沙は考えていた。

「わかった、勝負を受けよう」

急に冷静になり、まっすぐな瞳で魔理沙の挑戦を受ける慧音。

そう、実のところ慧音は問題ないのだ。

魔理沙がどうしてこうなってしまったのかは不明だが、どれだけ恥をかいても
彼女には歴史をなかったことにできる能力があるのだ。

たとえ気まぐれに出来の悪い教え子を殺して鍋の具として食べてしまっても、
歴史を改変し、人の記憶から消してしまえばどんな悪事でも実行できる。

「だが、相撲にはまわしが必要だ、これではできないし
 そもそもあれは女人禁制であって…」

「おいおい、ここは常識の通用しない幻想郷だぜ それに…」

「魔理沙さん、どうぞ!」

子供の一人がふんどしを手渡した。

実に用意がいい。

「オレもオレも!」

と、何人もの男の子が立候補する。

こうして準備の整った二人は外へ出た。

適当に円を描き、中心の辺りに二本、線を引くと向かい合う。

「よし慧音、全力全開の一本勝負だ!」

言いながらうんこ座りで構える魔理沙…
確かにこの体勢ならば彼女のあそこは全開になっているだろう。

「ふふふ、私は強いぞ
 何せ妹紅とは朝まで相撲をするほどの仲だからな…」

本当なのか単なる脅しなのかはっきりしないが、気迫だけは伝わってきた。

「見合って見合って〜」

クラスのまとめ役らしき少年が行事を勤める。

「八卦良い…残った!」

合図とともに両者激しくぶつかり合う。

体格ではほぼ互角であるが、すぐにまわしを取り、自分の相撲に持ち込もうとする慧音。

やはり先ほどのはハッタリではなかったようだ。

魔理沙も負けじと掴みに掛かるが、右側しか取れない。

体制的に不利になった魔理沙に対し、慧音は容赦なくまわしを引き寄せる。

「んふ…んぅぅ!」

股間にふんどしが食い込み、思わず声が出てしまう魔理沙。

女の子たちは小屋の中からちらちらと様子をうかがうだけであったが。

男の子たちはまさしく真剣そのもので、神聖なる儀式から一つでも多くのことを学ぼうと
一同、正座にて整列し、まばたきもせずに見学していた。

(普段もこれくらい集中してくれればな…)

明らかに相撲に関しては慧音のほうが一枚も二枚も上だった。

「ふんっ!」

と体全体を使い魔理沙の体を中に浮かせると
そのまま土俵の外へと出した。

「吊落と〜し〜」

ドタリ、と尻餅をついた魔理沙はそのまましばらくブルブルと震えていたが
やがて満足げな表情で立ち上がった。

「へへ、負けたぜ慧音
 私が勝ったらお前を奴隷にしてやろうと思っていたが、それは今度だな
 にしても、いい汗かいたぜ!」

さわやかな笑顔でそういう魔理沙は
あまり汗をかいていないようだったが、確かに足元には水溜りができていた。

「そうか、とんでもない奴だなお前は…」

慧音は思った。

ふんどし一丁で相撲を取るのはとても気持ちがいいと。

「じゃあ、私はもう帰るぜ!」

敗者の立場もあるのか、魔理沙はそういうとスタコラと引き下がっていった。

全裸で授業に乱入し、あっさりと負けて帰ってゆく魔理沙が、
本当は何がしたかったのか何一つ理解できない慧音であった。

だがしかし、魔理沙の相撲に対する情熱だけはしっかりとその胸に伝わっていた。

「相撲もいいもんだな…よしお前ら、今日は日が暮れるまで相撲だ!」

「!?……オス!」




寺子屋から遠ざかると萃香が話しかけてくる。

「ふふふ、だいぶ奴隷として慣れてきたようじゃないか…才能あるよ」

「はい、萃香様のおっしゃることならなんでもやります!」

「ようし、いい子だ
 じゃあ次は山の巫女に喧嘩売ってみるか!」

今度は早苗をターゲットにするらしい。

あいつなら別にあんまり恐くないし、大したことはないだろう。





山の巫女がいる守矢神社、厳密には巫女ではないらしいがどうでもいい。

信仰を失いこっちに逃げてきたようだが、こんな山奥に神社を建てるあたり
どうしてあっちで信仰が得られなかったのか何となく理解できる。

神社には早苗がおり、霊夢のように境内の清掃をしていた。

魔理沙は早苗の前に降り立つと軽く挨拶をした。

だがやはり早苗は対応に困っているようで、何しろふんどし一丁の魔理沙がやってきたのである。

「えっと、魔理沙さん? そんな格好では風邪を引きますよ」

常識にとらわれないよう、必死に平静を装っているのがバレバレであった。

どうみてもチラチラとしか目を合わせようとしない様子がはっきりとわかる。

これはかなり慌てているようだ。

「今日は一つ忠告に来た…」

「な、何でしょうか?」

警戒して身構える早苗に魔理沙は淡々と言葉をつむいでいく。

「早苗、お前は霊夢と張り合おうとしているようだが、そんなことは無駄だ、やめておけ」

「急に何を言い出すかと…」

「いや、言わなくていい わかるんだよ私にはわかる
 お前の器では何年掛かろうとあいつの足元にも及ばない…」

そう早苗を挑発しながら、何気なく辺りの様子を伺う。

(あいつらは…いないな)

「そんな格好で言われても説得力ありません!」

痛いところを指摘される。

「ほほう、これか…
 これはな、霊夢にやられたんだ 完膚なきまでにな」

「え? 霊夢さんがまさか…」

完全に嘘っぱちであるが、早苗は信じているらしい。

「やつに真剣勝負を挑んだんだよ、それでこのザマさ…
 負けた代償として全裸になって街中で脱糞させられて、それでなんとか許された」

「そんな…ひどい…」

早苗は完全に話に乗ってきている。

「私はもう二度と自分のような愚か者を増やしたくない
 早苗、今ここで勝負しろ 奴に挑戦するまえに私がお前をたおす!」

理由なんてどうでもよかった。

「え? でも…」

早苗は辺りを見渡す仕草をする。

「ふふん、神奈子や諏訪子がいなければ何も出来ないと見える」

「そ、そんなことありません!」

完全にこっちのペースに乗ってきた。

「いきますよ、魔理沙さん!」

懐から紙のついた棒切れを取り出し飛び掛ってくる早苗。




そして数分後…

魔理沙の足元にはピクピクと痙攣する早苗の姿があった。

「こいつぁ想定外の弱さだね! よし魔理沙、早苗を強姦しろ
 勝ったお前にはその権利がある!」

そう耳の中で命令する萃香に魔理沙は喜んで従った。

「おい早苗、お前処女か?」

「うう…え? し、知りませんよ!そんなこと…」

「ようし、ならいますぐ試してやろう」

そういうと魔理沙は早苗の持っていた変な棒を手に、弱った早苗を押し倒した。

「ひゃあ!? やめてください! 助けて神奈子様ー!」

そう叫ぶ早苗を魔理沙は不敵な笑みのまま乱暴し続けた。

ダメージで弱った体では大した力も出せない。

魔理沙は早苗のパンツに手を引っ掛けると一気にずり下ろした。

さすがに毛は生えているようで、形も大人のそれだった。

「へへ、いい尻してるし、毛もばっちりだな!」

「いやあーー諏訪子様ーー!」

「ひひひ、すーぐ終わるからよ!」

手足を巧みに使い早苗を押さえ込んだ魔理沙は
目の前でわざと棒をちらつかせながら恐怖をあおった。

その瞬間、魔理沙の真横から凄まじい突風が舞い込み、
魔理沙はふすまを突き破りながら屋敷の奥へと吹き飛ばされた。

「いてて、畜生め…」

魔理沙の目の前には早苗をかばうように立つ神奈子と諏訪子の姿があった。

「早苗をどうしようってんだい!?」

怒気もあらわに神奈子が大声で叫ぶ。

だがそれは魔理沙のほうではなかった。

諏訪子が魔理沙のそばへ近寄ると舌を伸ばし耳の中へと突っ込んだ。

「うひ!」

穴の中から戻ってた舌には小さな萃香が巻きついており、必死にもがいていた。

それをぺろりと飲み込む諏訪子。

「え? やっつけたのか?」

あまりのあっけなさに信じられないという様子の魔理沙。

「おい! 茶番はもういいだろう さっさと出て来い、鬼め!」

そう神奈子が叱り付けると霧が集合し、萃香が現れた。

「チッ 帰ってくるのが早いじゃないか…
 あんたらちょいと巫女を甘やかしすぎてやしてないかい?」

そういいはねると萃香は分身を飛ばし、けん制した。

小さな萃香が魔理沙の視界いっぱいに広がるが、神奈子の柱に押しつぶされ
生き残ったミニ萃香も諏訪子の鉄輪に捕まり、真っ二つに千切れ飛んだ。

分身に二人が対応している最中のわずかな時間を使い、萃香は両手に巨大な火球を構成していた。

「ヒャハ 死ねい!」

たぶん、神奈子と諏訪子は助かるが、私と早苗は黒焦げになるな…
と冷静に考えていた魔理沙であったが、その予想は裏切られた。

一瞬ビクリと萃香の動きが止まると同時に火球もすぐに消滅する。

ドタリ、と地面に叩きつけられた萃香の背中には、畳屋が使うような太い針が何本も刺さっていた。

「うぎぎぎ…」

やはりただの針ではなかったようで萃香は即、戦闘不能になる。

するとやがて遠くから霊夢の姿が見えてきた。

あの距離から投げて外れたらどうするつもりだったのか、それは聞かないことにした。

「魔理沙大丈夫!?」

霊夢は神社に入るやすぐに魔理沙のもとへと駆け寄った。

「ああ、私は…その…」

ようやく安心できる状況がやってきたのだが、ついさっきまで萃香の奴隷として
言いなりになっていたため、どう対応していいのかわからなかった。

何より魔理沙は早苗を強姦しようとさえしたのだ。

「畜生…ちくしょ〜」

モゾモゾと立ち上がろうとする萃香であったが
すぐに神奈子の柱が体を押しつぶした。

ぐりぐりと柱が動き、そのたびに萃香の口と鼻から血反吐が噴出す。

酸っぱいような、なんともいえない独特の悪臭が漂い
押しつぶされたはらわたから食べ物や大便がはみ出しているのが分かる。

さすがの鬼といえども、霊夢の退魔針と神奈子の御柱の直撃を受ければ虫の息だった。

「どうするよ…といってもここはウチの敷地だから 答えは決まってるけど一応聞いておく」

神奈子は早苗のことは諏訪子に任せ、無表情のままとりあえず霊夢に聞く。

「…殺すわ
  そのつもりでここまで来たのだし」

霊夢は先ほどの太い針を指で揺らしながらそう答えた。

針はよく見ればびっしりと細かい文字が刻まれており、
相当な長い時間に手間をかけて作られた特別製のようだった。

あまり金を持っていないように見える霊夢が
あんな高級そうなものを持ち出してくるのは、本気で萃香をしとめることを考えていたのだろう。

既に気絶していた萃香だが、霊夢は赤黒い文字で書かれた札を萃香に貼り付けると
脳天の辺りに針を当て、懐から取り出した木槌で針を…

「待ちなさい霊夢!」

誰かが一瞬呼び止める。

はっとした霊夢はぶるぶると震え、針を取り落とす。

振り返るとそこには、歪んだ空間のスキマから顔を出す者がいた。

「ゆ、紫…急に何よ、びっくりするじゃない」

そう抗議する霊夢だったが、明らかに手は震え歯はガチガチとぶつかり合っていた。

いくら妖怪退治を生業とする霊夢でも、こんな人間のようななりをした妖怪を
しかも寝食を共にしたこともある萃香を仕事と割り切って殺せるはずもなかった。

義務としてはできても、やはり霊夢は見た目相応の少女であった。

「あんたは確か、スキマ妖怪の…八雲とか言ったか
 どうせ見てたんなら、もっと早く出てきてもよかったんじゃないか?」

神奈子は宙であぐらをかいたまま、視線だけ向けてそう言う。

「年長者が全てお膳立てしていては、下は進歩の機会が得られない…
 あなたはどう思うかしら、霊夢」

回りくどい発言に辟易とした表情を浮かべた霊夢はただ黙った。

「そこの鬼、伊吹萃香の存在は幻想郷でもとりわけ大きなもの
 狼藉を働いたにせよ、勝手な判断で消してしまうのは困りますわ」

「そうらしいがね、こっちにも神としての矜持がある
 目のいい奴はどこにだっているし、口がふさがらんやつも多い…」

天狗の住処が近くにあるというのは面倒なことだった。

連中としてもできれば守矢神社など排除したいはずだろうし、常に隙をうかがっているはずである。

鬼を見逃したというのが寛大な処置であると、好意的に報道するとは思えない。

逆に鬼を始末してしまえば、それは天狗にとってもありがたいことだし、
萃香ほどの実力者を葬ったという事実が広まれば信仰の獲得にもつながる。

無論、強力な鬼が一人消えれば天狗の勢力はそれだけ活発な動きをするようになるだろう。

だが神奈子にしてみれば、信仰が増え、その力を強めることが出来れば
鼻息が荒くなった天狗など眼中にはない。

そもそもの神格が高い神奈子と天狗とでは土台からして違いすぎるのだ。

信仰を求めてやってきた守矢勢力にとって、今回の事件は大きな転機であった。

「そちらの言いたいことは重々承知ですわ
 この問題、各方面の長を招いて議論してみることを提案します」

「……いいだろう
 ただし、日時と場所については全部こっちに決めさせてもらう」

紫としても、神相手に意見を押し通せるなど最初から考えにはなかった。




三日後…場所は守矢神社にて、伊吹萃香の処遇について話し合いが行われた。

参加したのは、発案者の紫と当事者である守矢を除いて、
紅魔館、白玉楼、永遠亭、地霊殿、妖怪の山、命蓮寺であった。

チルノという氷の妖精が神妙な面持ちで参加しにきたが、饅頭を与え帰ってもらった。

神奈子による根回しで天狗と地霊殿は完全に押さえた。

正直どうでもよさそうな雰囲気なのは白玉楼に永遠亭。

この二つは勢力争いなどあまり興味はないため、どちらに転ぶかは不明。

紅魔館のレミリアは、天狗が調子に乗るのが気に入らないせいか、萃香を殺すことには反対していた。

私は平和主義者で、同じ鬼だからどうのと熱く語ったが、明らかに顔がにやけていた。

新参の妙蓮寺は、白蓮という頭目がレミリアの芝居がかった演説に感極まって泣きだし、
抱きついて賛同していたが、レミリア本人と他の参加者たちは明らかに引いていた。

この時点で死刑派は守矢、天狗、地霊殿の3勢力となり
その反対派は八雲、紅魔館、命蓮寺と、同じく3勢力。

残った二つのうち白玉楼が反対派につき、永遠亭は回答を拒否。

結果的に死刑は回避されることとなった。



神奈子の柱に縛られていた萃香は、三日の間で傷を完治させ、ただ下を向いて黙っていた。
そこに紫が近づき、話しかける。

「萃香、あなたへの処遇が決まったわ…」

「へへへ…火あぶりか、斬首か…好きにしたらいいじゃない」

観念した小鬼は目をつぶったままそう言って強がる。

「いいえ、殺さないわ
 あなたは地上に出てくるべきではなかった…」

そういう紫の後ろには額から角を生やした鬼が立っていた。

「萃香、地底に戻って一緒に暮らそう…」

「あんたは…勇儀じゃないか、そいつらに買収されたのか
 ふん、鬼のくせに恥知らずなやつだ」

勇儀と呼ばれた鬼は、萃香へ歩み寄ると悲しそうに彼女の角を見た。

「あんたは強い鬼だった…
 もう一度勝負してみたいとも思ったが、それもできなくなったな」

こぶしを強く握り、構える勇儀。

「ククク…有頂天は退屈だったよ、やはり鬼には地獄が似合う…」

辞世の句とばかりにつぶやく萃香であったが、それはただの独り言になった。

振り下ろされた勇儀の手刀は小鬼の脳天…ではなくツノの根元を直撃した。

「うぎっ!?」

あいつなら一撃で葬ってくれると確信していた萃香は、勇儀の意外な行動に困惑した。

ゴトリ、と地に長い角が転がる。

「な…なんでだよ」

説明を求める萃香だったが、聞く様子も見せずにもう一撃が加わる。

「うぐっ!」

残った片方の角もへし折られ、見た目には小さな子供にしか見えなくなる萃香。

叩き折った角を神奈子が回収すると、すぐに縄がほどかれた。

「くくくそ〜…私の、わたしのツノーー!」

チャームポイントを奪われ激昂した萃香は勇儀へ殴りかかった。

だがあっさりと取り押さえられ、何の抵抗も出来なくなる。

「やめろ萃香、もうお前は見た目どおりの子供と同じ力しかないんだ」

「畜生! 私は…そんなのって……」

抵抗の意思が消えたのを感じると勇儀は萃香を開放してやった。

「萃香、もう今の時代に鬼の力なんて必要ないんだ
 地底の仲間と一緒に楽しく暮らそうじゃないか
 あそこは良い所だぞ、温泉もあるし…」

「黙れ……黙れ黙れ黙れー!
 私は鬼なんだ! 伊吹萃香は鬼なんだよ!
 あんな底辺に追いやられたクズ共なんぞと一緒に暮らせるもんか!」

半泣きで顔を真っ赤にしてわめき散らす萃香は、汚い言葉を吐きながら神社から走り去っていった。

同じ鬼である勇儀には彼女の心情が痛いほど理解できていた。

圧倒的な力で細かい理屈や道理をなぎ払うのが鬼である。

そんな鬼の存在意義である力を奪われた萃香には、もう何一つ残されてはいなかった。

命は救われたが、実質的に伊吹萃香は死刑に等しい処罰を受けたのだった。




「ふぅ…ふぅ…」

彼女は神社から走り去った後、どこへ行くともなしに辺りをぶらついていた。

「こ…こんなに疲れるなんて…」

空を飛べず、人間並みの体力しかないのがこんなに辛いとは知らなかった萃香は
ヘロヘロと力なくしゃがみこむ。

「くっそー!」

近くにあった大きな石を思い切り殴りつける。

いつもならば粉々に砕け散る石だったが、
みしりと骨のしなる音が聞こえ、やや遅れて痛みが萃香の腕を走り抜けた。

「あ!? あーー!! う…うーーんーーーーいっいぎぎぎぎ…」

皮がすりむけ、骨がきしんだ小さな手を押さえながらビクビクと震える萃香。

どうやら鬼としての頑丈さも失ってしまったらしい。

だが怪力をなくしたのは、今回の場合幸いだっただろう。

「くっそ〜これも全部あいつの…あの黒白のせいだ!」

確かに今回の事件は魔理沙によって引き起こされたものであった。

しかし、幻想郷の神や妖怪からすれば、魔理沙など自分の十分の一も生きていない赤ん坊である。

その彼女が神に近い実力を持つ鬼に嫉妬してイタズラするなど、
可愛くはあっても、萃香があそこまでいじめるのは大人気ないとしか言いようがなかった。

「殺す! 絶対に許さない…」

「ほほう、随分物騒なことだが…誰を殺すんだい? 鬼さんよ」

はっとして顔を上げた萃香の前には、いやらしい笑みを浮かべた魔理沙が立っていた。

「黒白…きさまー!」

頭に血が上った萃香はカタキを前にして半狂乱のまま飛びかかった。

だが遅い、妖怪を相手にしている魔理沙にとって今の萃香など子犬に等しかった。

軽く身を反らし、みぞおちに蹴りを入れる。

「ふぐっ! う、うぅ〜〜ん…」

普段なら人間の小娘など眼中になかった…

はずだった萃香は、肺から抜けた空気を必死に取り戻そうと
全力になる自分が情けなくて仕方なかった。

「全部見ていたぜ萃香…
 お前、もう鬼の力がなくなっちまったんだってな?」

「畜生、こんなザコにぃ…」

その萃香の小さな一言を魔理沙は聞き逃さなかった。

「ザコ…だとお!?」

魔理沙は萃香の髪をわしづかみにすると、自分に引き寄せ
顔面を思い切り殴りつけた。

「ひぎっ!」

鼻が潰れ、血がぱたぱたと垂れた。

自分の血などもう何年見ていなかっただろうか。

「私が! この魔理沙様が! 弱いってのかよ!?」

萃香の頭部をがっしりと固定し、ひざを打ち込む。

「ふぎゃっ!」

口に直撃した魔理沙の膝蹴りは、萃香の歯を数本奪った。

そのまま地面に落ちる萃香に対し、魔理沙は煮えたぎった感情をぶつけ続ける。

「ゴミクズの分際でぇ、口の利き方に気をつけ…ろっ!」

歯が折れ、血まみれになった口を押さえる萃香の
がら空きになったボディーを何度も蹴り続ける魔理沙。

「ひぐっ! うげぇっ! あぐっ!」

絶対に勝てない、敵わない、逃げられない、誰も助けてくれない。

弱い、弱すぎる自分。

これは私じゃない、伊吹萃香は鬼だ、強いんだ。

じゃあ今痛めつけられてるこいつは誰なんだよ?

恐い、死ぬ、死んじゃう、死にたくない…助けて霊夢、勇儀でもいい。

きっと地底のみんなをバカにしたからバチが当たったんだ…ごめんよみんな、ごめんなさい。

……そして萃香の中で何かが折れた。

「…もう、やべでぐだざい…おでがいじまず!」

魔理沙の足にしがみつき、無様に許しを請うその姿は、
気さくな酔っ払いでも、冷酷な殺人鬼でもなく、ただの小柄な少女であった。

「ひひ、それでいいんだよ…クズが」

あの鬼に弾幕勝負ではなく、
肉弾戦で完全勝利したことを実感した魔理沙は恐ろしく邪悪な笑みを浮かべていた…

「萃香ぁ…お前…この間はよくもやってくれたなぁ…んん!?」

「ひいっ!ごめんなさいごめんなさい!何でもします!
 うんこでも小便でも何だってやりますから勘弁してください!」

そう必死になって土下座する萃香の頭を魔理沙が踏みつける。

「へへへ…まずはなぁ…靴を舐めてもらおうかな…ひひ!」

随分と典型的な要求であったが、萃香は必死になって魔理沙の靴にしゃぶりつく。

「ようし、いいぞ…きれいにしてくれよ、鬼さん」

泥のついた靴を舐めながら、萃香はどうしてこうなってしまったのかを振り返った。

魔理沙に酒を盗まれた。

だが、もっと根本的な部分はそうではない。

酒を飲めば愉快な気分になれる。

そのときばかりは萃香も本当の自分をさらけ出すことが出来た。

意外と話せるやつだと、自分を慕ってくれる仲間の鬼もできた。

それが最高に幸せだったが、やがて酒なくしては生きられない体になっていた。

酒を飲んでいないと不安定になる。

いつもどこかで誰かが自分を笑い、隙あらば殺そうとしてくる。

そんな疑心暗鬼に囚われ、手当たりしだいに八つ当たりした。

もちろんそれで周囲は自分との距離を広げてしまう。

せっかく見つけた仲間にも見限られる。

これではだめだと思い、とにかく強力な酒で常に酔っていなくてはならなかった。

あのヒョウタンは酒を楽しむのではなく、自分の精神を安定させるために調整した特別製だった。

それにより一時期より大分平穏な生活を送れるようになった萃香は
地上を出歩くようにもなり、やがては霊夢とも遊ぶようになった。

酒がなくては生きられないというのはあまりにも不便だと理解はしていた。

しかし、霊夢やみんなと楽しく過ごす時間はとても幸せであり
以前の酒乱であった自分を意識的に忘れようと必死になっていたのだ。

ヒョウタンさえしっかりと管理していれば何の問題もなくやっていける。

ただ悪いことに霊夢たちとの幸せな毎日が、萃香の注意力を鈍らせていた。

万物に当てはまることだが、不自然なものは必ず近いうちに崩壊する。

萃香にとっての魔理沙はその布石に過ぎなかった。


「へへへ、萃香お前、靴舐めるの上手いなぁ…」

魔理沙はつい先日までは絶対に敵わなかった鬼が、
今自分の足元に這いつくばり、靴を舐めている光景を目にして興奮していた。

「よし、もういいぞ」

あらかた汚れを舐め取られるのを見た魔理沙はそこで許してやった。

「じゃあ私はもう帰るが、この辺は妖怪が沢山出るんだ
 まあ妖怪同士、せいぜい仲良くやることだな!」

「えっ!?」

不安をあおるようなことを告げた魔理沙はさっさと空へ上がる準備をする。

「ちょ、ちょっと待ってよぉ!」

ひ弱な少女でしかなくなった萃香は、魔理沙を行かせまいと必死にすがる。

力を失った萃香を面白がって痛めつけに来る妖怪はきっといくらでもいる。

「おいおい、私はこう見えなくとも急がしいんだ…
 鬼のカリスマとやらで木っ端妖怪なんてどうにでもなるだろう」

「お願いだよ魔理沙! こんなとこにいたら怪物に食べられちゃう!
 何でも…何でもするからおいてかないでぇ!」

全ては魔理沙の予想通りであった。

どんな自信家であっても、その自信の源を奪ってやればすぐ弱気になる。

「フン、力を失えばこのザマか…
 調子のいいやつだな、お前ってやつは」

泣いてすがる弱気な萃香が、魔理沙の目にはとても可愛く映った。

「……まあいいだろう、今日のところは私の家に泊めてやる」

「本当!? ありがとう魔理沙!」


萃香を泊めてやることにした魔理沙は、自宅に戻ると小鬼に食事を与え、トイレにこもった。

何か考え事をするのにトイレというのは集中できる。

結果論にすぎないが、魔理沙はあの伊吹萃香に勝利した。

神話の英雄たちだって、全て自分の力だけで勝利してきたわけではない。

もちろん圧倒的な強さで、全部一人で解決してしまう者もいただろうが、
やはり多くの英雄は賢者の知恵や強力な宝具によって勝利を収めてきた。

今回の魔理沙は萃香の酒を奪い、暴走させた挙句に自滅させた。

まさかこうなるとまでは思っていなかったが、
やりようによっては他の強力な妖怪も屈服させることができるのではないだろうか。

魔理沙は萃香に靴を舐めさせた時の快感が忘れられなかった。

幻想郷の実力者たちが自分の前に平伏す光景…

そんなことを想像していた魔理沙は、かなり長い時間が経ってしまったことに気づいた。

早いところ寝てしまおう…

そう思った魔理沙であったが、あいにくトイレには紙がなかった。

「おい萃香! トイレに紙を持ってきてくれ!」

「え? わかったー! 今もって行くよー!」

ドタドタと萃香が走る音が聞こえてくる。

だがよく考えてみれば、萃香が魔理沙の家の便所紙がどこにあるかなど知っているはずもない。

そこで魔理沙は良いことを思いついた。

「萃香ー! 紙はいいからこっちに来い!」

探す手間がなくなった萃香はすぐにトイレまでやってきた。

妙なことに魔理沙はドアを開け放したまま腕を組んで待っていた。

「何やってるの魔理沙?」

聞かれた魔理沙はニヤニヤしながら萃香を手招きする。

「おい萃香、私のケツの穴を舐めてきれいにしろ…」

「えっ!?」

お前は一体何を言っているんだ?

という表情の萃香はただ困惑するだけであった。

「聞こえなかったのか? さっさとケツの穴を舐めろ!」

「そ、そんなの…」

「ほほう、別にいいんだぜ?
 私は今すぐにでもお前を夜の森へ追い出してやったって」

魔理沙は早苗から聞いたことがあった。

外の世界では「うぉしゅれっと」という道具がトイレにあって
それを使って大便のついた肛門を洗浄するのだと。

しかし、それよりも誰かの舌で肛門をきれいにしてくれたほうが贅沢だろう。

そんなこと、奴隷でもなければ絶対にやってくれはしない。

「おい、やるのかやらんのかさっさとしてくれよ、うんちが固まっちまうぜ!」

「わ…わかった! わかったよ…やる…やります」

観念した萃香は魔理沙の股間に顔を近づけると、舌を伸ばした。

「おっと、肛門の前におしっこの穴から頼むぜ!」

「……はい」

もうどうにでもなれ、という心情の萃香はおとなしく魔理沙の尿道付近を舐め始めた。

「うっ…ふぅ…んんん、なかなかいいぞ」

にちゃにちゃと下品な音をたてながら萃香は舌と唇を使い、尿で汚れた性器をきれいにした。

それが終わるとすぐに肛門を舐めようかと思ったが、さすがに抵抗があった。

それに気づいた魔理沙は足で萃香の頭を押さえ込むと無理やり顔を尻の穴に押し付けた。

「ふぎゅっ!」

ほっぺたに大便のカスが付着し半泣きになる萃香。

「私は多忙なんだ、早いとこ終わらせてくれよ」

そう急かされた萃香は涙で顔を真っ赤にしながら肛門に舌をつけた。

「うひっ! おお、こりゃ快適だな!
 うぉしゅれっとがなんだかよくわからなかったが、きっとこっちのがすごいぞ!」

ほんの数日前までは誇り高き鬼であった萃香だが、
こんな人間の小娘に敗北し、汚れた尻の穴を舐めさせられている自分が惨めになった。

だが今日だけ、今日この瞬間だけ我慢すればあとは地底にでも戻っておとなしく暮らせばいい。

勇儀だって謝ればきっと許してくれるはずだし、
自分の力だって時間は掛かってもいつか取り戻せるだろう。

そう前向きに考えた萃香は、とにかく早く終わらせようと一生懸命魔理沙の肛門を舐めた。

「ふう…いいぜ 
 まさかお前がこれほど肛門を舐めるのが上手いとは思わなかったぜ」

そうコメントした魔理沙は萃香を放してやると、さっさと自室に戻っていった。

今日はもう疲れた…

明日日が昇ったらすぐにでもこんなところ飛び出して地底に行こう。

散々な一日であったが、萃香の心は輝く明日を思い描き、すっきりと晴れ渡っていた。

そういえば、酒を飲んでいないがどうということはない。

鬼の力を失うと共に、酒への依存も無くなってくれたのだろうか。

こんな体も案外捨てたものではないと思いつつ萃香はソファーで丸くなった…



「よう、萃香…もう起きたかい?」

次の日の朝、萃香は魔理沙の声で目が覚めた。

人並みの体になり、疲労が激しかったせいか、かなり深く眠っていたような気がする。

「…う〜〜ん」

重いまぶたを開き、目をこする。



目をこする…

「あれぇ?」

できない。

立ち上がろうとする。

これもできない。

「え!?」

体がやけに軽い、軽すぎる。

でも上手く動かせない。

「な、ない!? ないないない! 手……足もない!」

萃香は芋虫のようになった自分の体を見回す。

「キシシ…萃香ぁ、なかなか可愛いぞ」

気持ち悪い笑みを浮かべた魔理沙は、切断した萃香の小さな腕を持っていた。

「あっ!? 返せ! 返せよーー!」

必死になって魔理沙の狼藉に抗議する萃香だったが、蛆虫のようにモソモソと動くことしかできない。

「何でもやると言ったのはお前じゃないか
 私はお前がどうなったって構わなかったが、人としての慈悲ってもんがあったから助けてやったんだ」

「くそ!クソッタレがあぁーー!殺す!八つ裂きにしてやるー!」

罵詈雑言を発しながらドタンバタンと床を跳ねる萃香は実にこっけいであった。

「ははは……うははははー! おらぁっ!」

「ふぐぅっ!」

イモムシ萃香の腹につま先をめり込ませる魔理沙はゲラゲラと下品に笑っていた。

「やってみろよ萃香! できねぇだろうが! 
 鬼の力もねえ! 手足もねえ! こりゃあお笑いだぜ!ギャハハハハハハ!!」

「く、そぉおおおお…」

どうして自分がこんな目に遭わなければならないのか…

思い返せば、自らの手で葬ってきた妖怪は沢山いる。

人間をさらったこともある。

そのツケが回ってきたにせよ、これは何か違う。

いくらなんでもやりすぎだろうと。

自分は鬼として生きてきた中で悪いことも沢山してきた。

でもそれは鬼としては当たり前の生き方で、一つの価値観に基づいた正義であったはずなのだ。

自分をこんな目に合わせた魔理沙はただ楽しいからやっているだけだ…

楽しいから?

そういえば自分は鬼として生きてきて、物事の判断基準は一体なんだったか…

楽しいから?

そうか、魔理沙は鬼なんだ。

人間のようだけれど、こいつは、こいつのやっていることは鬼そのものだ。

鬼でなくなってようやく分かった。

力を失って初めて理解できた。

人間や、弱い妖怪たちの目にはきっと、私たち鬼がこの魔理沙みたいに映っていたんだろう。

こんな奴とは絶対に関わりたくないし、近寄る事だって御免だ。

「う…うぅぅぅう…ぐぐ…うう〜〜〜」

人間ごときにこんな目に遭わされ、
本当の意味で、鬼が嫌われる理由を実感した萃香はただ泣くしかなかった。

「ひひひ…安心しろよ萃香、殺しはしないさ
 これからずーっと私のケツの穴の舐め続けてくれればそれでいいんだ」

「………」


こいつには敵わない…

逃げ出したところで、こんな体じゃ妖怪の餌にされるのがオチだろう。

霊夢も勇儀も…考えたくないが紫だってこんなところまで用もなく来ないだろう。

自分はここでずっと魔理沙の肛門を舐める人生を送るべきなのか…

「私はこれからレミリアやパチュリーも奴隷にしてやろうと思ってる。
 だから寂しくなんかないぞ…お前も仲間が増えていって、私はいつか幻想郷の覇者になるんだ!」

魔理沙が何事かわめいていたが、萃香は心底どうでもよかった。

萃香の頭には勇儀や地底のみんな、そして霊夢と暮らす楽しかった日々が浮かんでは消えた。

「ちょうどよく肉も手に入ったしな! これで今朝はステーキにしよう!」

ガチャガチャと道具を引っ張り出した魔理沙は手際よく料理の準備を始める。

30分ほど経って、台所からおいしそうな匂いが立ち込めてくる。

「よし、できたぞ萃香ー! これはかなりの出来栄え…」

魔理沙が肉の乗った大皿を両手に持って現れると、
足元には赤黒く染まった絨毯と、虚空を見つめる動かぬイモムシが転がっていた。

萃香の小さな口からトロトロと流れ落ちる赤い液体。
その姿はまるであのヒョウタンのようだった…
長い話、貴重な時間を使って読んでいただき、感謝いたします。
前作の早苗さんがコピーで遊ぶ話の感想は、全て拝見させていただきました。
コメしてくれた方はもちろん、とりあえず読んでくださった方もありがとうございます。

正直、作品の投稿など金銭的な見返りもなくやって楽しいのかと…
やってみる前は考えてたものですが、やはり楽しいですね。
創作は自己満足な部分があるにせよ、コメントをいただけるとテンション上がります。
消費するのに退屈したら生産側に回るのもアリだと実感しました。



この作品は最初に書いたやつです。

でも新しいネタを思いつくと、途中から強引に付け加えたり、
独立して別の作品を書き始めたりするので、安定感がないです。

角を折る部分ですが、それで鬼の力が消えるかは微妙です。
なんとなくそういう解釈が自然に通りそうだったので採用しました。

初めは、瓶詰めにしたミニ萃香を胡椒や唐辛子で苦しめる話を軸に想定してましたが、
そこにたどり着くまでを書き加えていったら、なぜか別物になりました…
しかしまあ、産廃的な萃香ちゃんへの愛が伝わればそれで成功です。

次こそは短くてササっと読めるやつを…
コメごん
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2010/02/02 23:32:49
更新日時:
2010/02/03 08:32:49
分類
魔理沙
萃香
慧音
早苗
1. ウナル ■2010/02/03 10:47:23
体内調教はいつかやろうと思っていたのに!
同じこと考える人がいてちょっと嬉しいです。
節分は萃香ちゃんに愛をぶつける日ですね。
2. 名無し ■2010/02/03 15:57:34
一粒で二度も三度も楽しめる作品でした。相撲大好き。
3. 名無し ■2010/02/03 16:44:18
とりあえず魔理沙の四肢燃やしてくる

け、けーね・・・
4. nekojita ■2010/02/03 22:00:59
素晴らしい作品と思いました
何か一つの事が完成されている感すら有りますね
5. 名無し ■2010/02/04 01:11:39
萃香ちゃんかわいそ過ぎ・・・
そして魔理沙許さん。首もげろ。
6. 名無し ■2010/02/04 01:38:46
ちょいと長かったが苦もなくいっきに読み進められたわ。
一つ一つの場面が完結しながら進んで行くから楽かったです。
あとチルノとか。
7. 名無し ■2010/02/04 03:54:24
人里での脱糞が親御さんに知られて呼出しを喰らう魔理沙
8. 名無し ■2010/02/04 19:56:05
引き込まれました。これだから産廃はやめられない

次回作の「慧音〜横綱への道〜」も期待しています!!
9. 名無し ■2010/02/04 22:08:46
萃香は相手の身になって考える事が出来ない、弱者の気持ちなど分からないって良く言われてるからね
だからこそ萃香がいじめられる話は必ず萃香が弱体化するパターンなんだけどどれもスカっとするんだよね
それに対して勇儀は空気読めるから見捨てるにしても手を差し伸べるにしても萃香の否定になるのも面白い
10. 名無し ■2010/02/07 21:24:19
読みやすかったしすごく面白かったです。どんどんと移り変わっていく展開に引き込まれました。
最後に一人になった魔理沙が自滅していく様が目に浮かぶようです。
11. 名無し ■2010/02/14 05:29:12
起承転結がねじれている
不条理感?
12. 名無し ■2010/12/19 16:41:28
なんていうかシリアスでカオスだww
慧音ノリノリで相撲取ってんじゃねえよwww
13. 名無し ■2011/06/14 22:12:31
チルノww
14. 名前が無い ■2011/08/13 22:19:15
何しにきたんだちるのwww
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード