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『奇跡を起こす程度の能力』 作者: るな

奇跡を起こす程度の能力

作品集: 11 投稿日時: 2010/02/05 11:41:42 更新日時: 2010/02/06 00:50:16
これは早苗さんたちが幻想郷に来るほんの少し前のお話です




「――ってことが昨日あってさー」
「マジでーw」

「おはようございます」

「・・・」
「・・・」

朝の教室での雑談を黙らせたのは東風谷早苗、山の神社の巫女である。
彼女は神を信じていた、そのせいでクラスから孤立していた。
うわべだけで神を信じている者はたくさんいる、しかし彼女は違った。

ある授業の時間に先生が「みんなは神様が本当にいるとおもっていますか?」と聞いた。
多くの生徒は「いない」と答えたが、「いるかもしれない」と答えたクラスメイトも少しはいた。
しかし彼女は「いる」と言い切った。
先生は「なぜいると言い切れるんだい?」と聞いたが、彼女は「この目で見たから」と言う。
クラスメイトはてっきり冗談だとおもっていたが、次第に彼女が本気で言っていることに気づいた。

その日から彼女とクラスの間には溝ができた。


「―――以上で連絡は終わりだ。明日の卒業式はちゃんとみんな出るんだぞ」

最後のHRが終わる。卒業したからといって彼女にとって何も変わる事はないだろう。
この社会には見えるものが見えるという人間を受け入れる場所はないのだ。
しかし彼女は自分が間違っているとは思っていなかった。
神様を信じていたし、嘘はいっていないからだ。
むしろ周りの人間が神様を信じず、見えないことを可哀想にすら思っていた。



「ただいま〜」

「おかえり」「おかえりなさい」

山の神社に戻った彼女は他の人間がいないのに「ただいま」と言った。
しかしそれに対して返事が二つあった。
そう、この神社には神が二柱いるのだ。

「早苗も明日で卒業か〜。この間まで赤ん坊だとおもったのにあっというまだね」
「もう諏訪子よりふた周りは大きくなったな。」

と、嬉しそうに神様たちが言うのを聞いて、早苗も恥ずかしそうに笑う。
しかし、ふと顔を上げると神様がとても真面目な顔をしているのに気づいた。

「神奈子様・・・?」


「早苗・・・これから大事な話がある―――」


―――――――――


神様からの話は次のようなものであった。

もはやこの世界に私達を本気で信じているのは早苗一人になってしまった。
このままだといずれ私達は消えることになるだろう。
しかし先日神様の集まりで『幻想郷』と呼ばれる場所があることを聞いた。
そこはこの世界では少なくなった、見えないものが見える人間、そして妖怪達が集まる場所だという。
すでに何人かの神様はすでにそっちに行っているらしい。
完全に忘れられてから向こうに行くことも出来るが、能力が0の状態では信仰を得ることは難しい。
私達に残された力は多くは無いが、今ならその場所まで移動する力はある。
そこで早苗が大きくなったら、どうするかの判断を聞こうと待っていたという。
巫女として一緒に幻想郷に行くか、普通の人間として残って暮らすか。

「行きます」

早苗は即答した。
神様はもっと詳しい説明をしてから、じっくり考えて決めればいいと思っていたので
あまりに即答されてちょっと驚いた。しかもそれならば早いほうが良いとまで言われた。

卒業式の後、早苗が帰ってきたら行くことに決まった。


―――――――――


卒業式の日


〜守矢の神社〜

早苗が学校に行っている間に、神様が転移の準備をする事になった。

「思ったより力を使うな・・・しかしまぁこの分なら二人がかりでいけばなんとかなるだろう」
「神奈子、私からも話がある」

準備も終盤になってきた頃、奇怪な帽子を被った神様がもう一人の大きな注連縄を背負った神様に話しかけた。

「なんだい諏訪子?」
「まさか本気で二人がかりなら余裕とか思ってんじゃないよね?」
「・・・」
「結界を越えて移動するのに必要な力が10とすれば、
 今の私達に残された力は、私が4、神奈子の力が6ぐらいでしょ?」
「おやおや・・・私の残りの力がそんなもんだt――」
「誤魔化さないで、もしここで私と神奈子が力を使い切ったら誰が向こうで早苗を守るの?
 連れて行った責任は誰が取るのよ?」
「しかしそれしか方法が・・・」
「まだあるね。私と神奈子は力を共有している、それを全部神奈子の方にまわせば――」
「まった!そんな事すればあんた消えるかもしれないんだよ!?」
「消えるとは限らないさ、それに二人仲良く共倒れする可能性よりは、片方でも残る可能性をあげたほうがいい。」
「諏訪子・・・」
「自分が消えるかもしれないっていうのに神奈子ったら侵略者の割にこういうところは甘いんだから・・・」



〜学校〜

「―――以上で校長先生のスピーチを終わります。次は卒業生代表として生徒会長の――」
ガタンッ

卒業式の司会役の先生の言葉をさえぎる様にして大きな椅子の音が鳴り、席をたった者がいた。

早苗である。

「えっ、東風谷さん・・・?」

司会役の先生はちゃんと名前を覚えていてくれたようである。
しかし彼女は今ここでスピーチをする予定の生徒会長ではない。ただのその他大勢のはずであった。

彼女は会場の後ろの方に座っていた。
そのため多くの生徒、先生は何事かと後ろを見ていた、が、次の瞬間には見上げることになった。

彼女は跳んだ。

確かにジャンプするときの動きであったが、落ちない。重力法則を無視していた。
締め切った会場であるはずなのに、彼女の周りには風がふいた。
彼女はスカートをはいていた。
そのため下の座席にいたものは風にはためくスカートの中にパンツが見えたはずだったが、
誰もその事を気に留める余裕はなかった。ちょっと可愛いレースのついた純白だった。

そして10秒はありそうな滞空時間の後、音も無く壇上に彼女は降り立った。

「えっ・・・ええ・・・・!?」

司会の先生が変な声をあげる。他の生徒や先生は声こそあげないが一様に「・・・!?」となっている。
そして彼女はそのまま壇の中央に歩き、マイクを手に取った。

「みなさん、卒業おめでとうございます。今日はこの場を借りてお話があります。」

まず学校生活の事、そして先生に感謝の言葉が贈られる。まるで生徒会長のスピーチのようであった。
ここにきてようやく生徒や、先生の停止していた思考が再開する。
さっきのは一体なんだったんだ!?、イベントかなにかか!?等の私語が飛び交う。

「〜ということもあり、私はこの学校で―――お静かに――」

だんだんと騒々しくなってきた会場を制するように彼女が手をかざすと、
再び締め切られた会場に大きな強い風が吹いた。
あまりに強い風をうけて、人々は目を瞑り口を塞いだ。
そして強制的に静かになった会場に向けて彼女はスピーチを再会する。


「私はこの学校で学べたことをとても嬉しく思っています。
 しかし卒業する前に一つだけ気になる事があります。

 み な さ ん は 本 当 に 神 様 を 信 じ て い な い の で す か ? 」


彼女は高揚していた。何もしらない人々に、真実を告げられる喜びが彼女の心を支配していた。

「あなた方は神様が見えないと言います。見ようともしないのにです。そして神様はいないと言う・・・
 ではその力を見たときあなた方は何を思うのでしょうか?
 これはトリックだ、自然現象だ?
 目に見え、肌に感じたたものすら信じようとはしないあなた達の心を私はとても悲しく思います」

淡々と、しかし力強い意思を持ってスピーチは続く。


「では私が神に代わってその力をお見せしましょう。
 その力を感じてあなた達は何を思いますか?よく考え、心に刻んでください。」


彼女が両手を広げると先ほどよりさらに強い力が吹き荒れた。
窓ガラスとドアは激しく揺れ、人々は恐怖した。


「恐れた顔をしていますね?考える暇もなく恐れはやってきます。
 ではそんなあなた達に今頼れるものはありますか?
 普段信じてもいない神の名を出して助けを呼ぶのですか?
 その神の怒りをかっているかもしれないというのに?」


窓ガラスにはヒビが入り、ドアは激しく開閉し、壁にヒビが入り会場は軋み声をあげた。
人々の心にはもはや恐怖しかなかった。
この状況から助け出してくれるなら、許してくれるのならば、なんにでもすがりたい心情であった。
しかし現実に恐怖を与えてくる力に対して、今までのうわべだけの信仰はあまりにも無力であった。


「ご安心を、あなた方に危害は加えません。私はただ、このような力を、神の存在を知って欲しかっただけなのです。
 その心に刻んでください。今日の出来事を―――

 私 は 守 矢 の 巫 女 、 東 風 谷 早 苗 。」


一際大きい声で名乗りを上げた後、ガラスは全て外側に吹き飛び、ドアは捻じ曲がった。
そして風は収まった。
もはやスピーカーも壊れ、マイクも役立たずだったが彼女の声は静かな場内によく響いた。


「それではさようなら、みなさん」


彼女は再び風をまとい、窓からふわりと飛び立った。ちょっと可愛いレースのついた純白だった。




〜守矢の神社〜

そろそろ卒業式も終わる時間であり、神様達の準備も最終段階に入っていた。
神社をはさむかたちで立ち、あとは早苗が帰ってきたらこの神社の敷地ごと幻想郷に飛ばす。
ついてからの事はまたその時考えよう・・・

(何より今は、無事に飛ばすことを、諏訪子も無事で向こうに辿り着く事だけを考えよう)
(まだ考えてるの?ほんと甘いんだから)
(なっ 心を読むなよ!)
(神奈子の意思が強すぎてだだもれなんだよ)
(しかたないだろう、そういう性格だ)
(開き直るのかよ それにその問題ならなんとかなりそうだよ)
(どういうことだい?)
(少しだが私の信仰が回復した、これなら10の結界を11の力で超えられる)
(本当か・・・?気休めいってんじゃないだろうね)
(私にも分からない、奇蹟でもおきたんじゃない?)
(『奇蹟』か・・・)

「ただいま〜!」

「おかえり」「おかえりなさい」



「さぁ幻想郷に行こうか」

「はい!」



サイレンの鳴り響く町を後に、その日彼女は生まれ育った土地を離れた――
早苗さんは神奈子様の巫女だけど、本質的には祟り神の巫女。
早苗さん縛って転がしたい。
るな
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2010/02/05 11:41:42
更新日時:
2010/02/06 00:50:16
分類
早苗
神奈子
諏訪子
奇跡です
1. 名無し ■2010/02/05 20:56:08
早苗の「常識」はこの頃からすでに・・・
いっそパンツも脱いだら?
2. 穀潰し ■2010/02/05 21:15:40
神に仕える為には「常識」を捨てなくてはいけないのですね!

パンツ見たい。
3. ウナル ■2010/02/05 21:21:05
良い話なのに、パンツ倍プッシュで吹きました。
なんか、タグの「奇跡です」も違う意味に見えてきます。
4. 名無し ■2010/02/05 21:31:12
早苗かっこいいな
こういう大胆なことできる奴は好きだ
5. HS ■2010/02/05 21:47:52
こういうやり取りが幻想郷に来る前にあったと想像すると早苗さんが物凄く格好いい人に見えてくるなぁ

後、誤字がありますので報告しておきます。
>すでに何人かの神様はすでにそっちに言ってるらしい。
×言ってる ○行ってる
6. 名無し ■2010/02/05 22:13:35
神奈子です!諏訪子です!奇跡ですッ!!!
・・・こういうことですか・・・?
7. るな ■2010/02/06 00:49:30
>誤字報告
報告ありがとうございます〜早速直しておきました!

早苗さんにはきっと今のようになる素質があったんだよ・・!
8. 名無し ■2010/02/06 01:51:40
神が見えて普通の幻想郷であれば
信じる、信じないはもう何の意味も持たないな
信仰を得るには恐怖による力技か地道な努力しかない
9. ぶーん帝王 ■2010/02/06 02:06:38
2Pキャラなんてもったいない
10. 名無し ■2010/02/06 02:50:01
俺も早苗ちゃんの奇跡をじっくり見たいです!
11. 名無し ■2010/02/06 08:00:43
普通ならクラスで有力なグループにいじめられるが、
リーダー格や直接手を出して来たヤツを、裏でしばいてたんだろうな。
だから一部の生徒は早苗さんの奇跡とぱんつを知っている訳だ。
12. 名無し ■2010/02/08 19:15:00
やべぇ、この早苗さんなら惚れてしまう
こりゃあ本物の、奇跡を起こす程度の『力』だな。
13. 名無し ■2010/12/19 18:06:27
あれ?この早苗さんカッコイイぞ?
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