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『美味しいお菓子の作り方』 作者: ヒア

美味しいお菓子の作り方

作品集: 11 投稿日時: 2010/02/07 17:48:11 更新日時: 2010/02/08 02:50:55
うっすらと春が香る頃に風見幽香はふと甘いお菓子が食べたくなった

苦手な冬の間は夢世界でゆったりと過ごしていたが今年は暖冬という事もあり
植える花の準備の為早めに太陽の畑に設けた別荘へ来た訳である

なので適当に見つけたアリスの鳩尾に十発の拳をぶちかまして掻っ攫って来た訳なのだ、手加減は一切していない
この時期になると妖精もかくやという程湧いて出るので一匹二匹消えてもどうって事はない
寧ろ妖怪の行う狩りが人里で歓ばれるほどである

ぐったりとしたアリスの服を脱がせ髪を全て刈り取る、美味しく食すための下準備なので手間がかかるのは致し方ない
舌を噛まぬよう猿轡を噛ませ、万が一暴れて逃げられぬよう四肢を縛り手足を圧し折る

途中豚のような醜い悲鳴を上げてくれるのが妖怪の本能を擽る、今すぐにでも引裂きたくなるほど楽しい
本日のアリスはとても生きがいいようで両手に走る痛みに堪らず排泄物を垂れ流しながら暴れていた

しっかりと縛り上げた縄が肉に食い込み、暴れるたびにぎりぎりと絞まる音がその証拠である
このままでは香りが悪くなので排泄物を処理しホースの水で一気に洗い流す、

水気がなくなるようにきちんとタオルで拭き取っておくのも欠かさずにしておかねばならない
体を震わせながら尚も暴れ続けるアリスに一撃を放って黙らせる

生きが良すぎるのも少々問題だなぁと思いつつ涙と鼻水で汚れた頭を医療用の道具で固定した、名前はまだ知らない
ここからが最も重要になるのだ、万力の要領でこめかみに食い込んで離さないように締め上げる
脳を傷つけずに頭蓋だけを割るため動いてもらっては困るのだ

あまりの苦痛に意識を取り戻したようでアリスは口から泡を吹きながらくぐもった呻き声をあげ始める
びっちり固定してあるのでビクともしない、良い仕事してますね

マジックで頭に切り取り線を引き、壁に掛けてあるまるで鉈の様な鋸の様な歪な血錆びた道具を掛け外してそっと頭に添える
このお菓子作りの過程で一番神経を使う作業であり、一瞬たりとも気が抜けない

力の加減に注意しつつ頭蓋に刃を入れる、骨を削る独特の響き、絞り出すように発する叫び声
映画ハンニバルでクラリスの邪魔する変態な同僚の最後に重なるアリスの姿、
あの捜査官の名前はちょっと覚えていない。あのフェイクは凄かったなぁ、メイキングが見てみたい
器具を通して伝わる感覚にささやかな職人気分を味わえる。ハンニバル博士、あんた最高だよ…

頭蓋を取られ、剥き出しの脳を晒しながら泡を噴いてぐったりと項垂れるアリスの姿
これを眺め、食しながらのお茶はさぞ美味しかろう

メインの下準備は終わり甘いシロップを作るのだが問題が生じた、砂糖が足りないのである、
花の蜜だけでも一応は作れるのだが少々くどくなってしまう
少々肌寒いので面倒ではあったが幽香はアリスの剥き出しの脳に頭骨を被せると人里へ買い足しに飛び立った

冬を思わせるものはもう少なく、時折吹く冷めた風にすら春の陽気が含まれている様に感じる
小うるさい春告精が春を告げて回る日も近いだろう、現れたら捕獲して彼女の桜煮でも造って食べようか、もうすぐ春ですね

人里は特に変わりはなかった、冬の名残すら感じない里の熱気は春を通り越して夏のようである
緑色をした長い髪の女が何やら絡んできてしつこかったがやんわりと受け流しておいた、

周囲の評判も余り良くはないようで妖怪への執拗で一方的な暴力が新聞の一面を飾っていたのを思い出す
人里で問題を起こすのも面倒なのでこういう輩には関わらぬが吉なのだ

半ば脅迫の様な挑発をしていたようだがそんなものに誰が怖気づくというのだろう
宗教に走った可哀そうな少女より砂糖の方が余程価値があるというものだ

結局里をでてもしつこくついてきる上勝手に弾幕を張るので首の後ろに手刀を叩き込み黙らせてきた
加減を間違えると首を飛ばしてしまうが本日は気分がいいので優しめにしておいた、まあ風祝だし大丈夫だろう
弾幕ゲーム?宣言されていませんよそんなもの

去年に太陽の畑を回って集めた花の蜜と先ほど人里で購入した砂糖を混ぜ
水を加えて煮詰める事数十分、フローラルな香りと甘い香りが混じり合って爽やかな気分にさせてくれる

余り煮詰めると飴になり歯にひっついて食べにくいので多少色づいたところで火を止める
閻魔は煮溶かした鉛を常飲しているというが煮詰めたシロップも相当なものだ

飴が指に付いた時には如何な大妖であっても火傷に呻き慌てふためくだろう、痛い物は痛いのよほんと
ぼこぼこと余熱で泡立つシロップの入った鍋を片手にアリスの頭蓋の蓋を取る

最早暴れる気力もないのか気絶しているだけなのか涎を垂らして動かない、
赤々とてかる脳味噌が外気に触れると一瞬だけ体が震えたような気がしたがそんな事はどうでもいい

脚立を登り剥き出しの脳に向けて熱々のシロップを注ぎ込む、
ジュッと肉の焦げる音がしてアリスがこれまでにないほど暴れだす

このお菓子の醍醐味はこの一瞬に収縮されているといっても過言ではない
固定された頭を襲う熱から逃れようと全身全霊を込めて暴れるのだ

猿轡が口の肉に食い込み頭を固定している個所から肉が千切れても尚逃れようともがき続ける
手と足の指が絶え間なく蠢き続けその皮膚が削げても動きを止めれず地獄の底から響くような絶叫がこだまする

赤い悪魔も唸らせたその筋では最高級のお菓子、叫ぶ人肉のあつあつシロップかけの完成である
脳味噌が熱で固まる数秒間、その瞬間しか味わうことのできない生命の脈動、生臭い肉の焦げる匂いとフローラルな花の香り

意識を失う直前に発せられる怨嗟や怨恨といった様々な感情の塊が最高のスパイスになるのだ
猿では決して味わえぬ快楽にも似たこの味に幽香は恍惚の表情を浮かべこの上なく満足していた


脳にこびり付くほど熱いシロップを掛けられ、大口を開けて絶命した量産型アリスの死骸を眺めつつ
幽香は香りのいい葉で紅茶を入れるのだった
幽「モツはパテにして残りは肥料にしようかしら」


私はリグルが大好きです、初見で蹴り殺されたときに恋をしました、この上なく好きなのです。
昆虫も愛していますが蚊や蠅は潰します、その度に私は思うのです、この虫けらが…と。
ヒア
作品情報
作品集:
11
投稿日時:
2010/02/07 17:48:11
更新日時:
2010/02/08 02:50:55
分類
幽香のスイーツ
1. 穀潰し ■2010/02/08 03:10:02
優雅なティータイムですね。これは1つお呼ばれしたい物です。
>昆虫も愛してますが〜
人間には感情が有ります故。
2. ばいす ■2010/02/08 13:34:34
良いですね、脳味噌に熱々のシロップかけるの。
プリンみたい。
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