Deprecated: Function get_magic_quotes_gpc() is deprecated in /home/thewaterducts/www/php/waterducts/neet/req/util.php on line 270
『Das rechte Auge.』 作者: GAMVB

Das rechte Auge.

作品集: 12 投稿日時: 2010/03/04 17:35:47 更新日時: 2010/03/05 02:35:47
かつかつ

こつこつ

かつかつ

こつこつ



闇に溶けてぐちゃぐちゃになろうとする灰色をした廊下。
誰もいないようで誰かがいるようなぞわぞわした感覚。



かつかつ

こつこつ

かつかつ

こつこつ



どこかなどこかな私の右目



きっと、きっと、私は探している

ピンポン玉くらいの大きさで白と焦げ茶に赤がまとわりついた生暖かくてずるりとぬめる物を

誰かに持っていかれちゃった、私の大事な



私の、私の、右目
ねぇねぇ返して、返してよ

この右の眼窩の喪失感
苦しいの苦しいの
右目が軽くなった感覚が嫌なの

返して返して、返してよう



なめした獣の革の様な闇が私をそっと包むから、私は思い出す。

毎日まいにち誰かに蹴られて、殴られて、罵倒されていた事を。
泣いていたらきっと余計に怒られると思ったから、私は精一杯の笑顔でまいにちごめんなさいをしていた。
謝るしか思い浮かばなかった。


脳裏によみがえるのはあの日。

私を蹴って殴って踏みつけて

嘔吐しながら涙を流す私を笑う彼ら。

校舎裏、冬服から夏服になった日。

紺のセーラーから白いブラウスになった日。

私のブラウスが真っ赤に染まった日。



――ほら抵抗してみろよ! 気持ち悪いんだよお前、神様、神様ってよぉ

――東風谷さーん、これ何か分かる?

――アレじゃん、たこ焼き焼くときの

――千枚通し、何に使うと思う?

――ほら逃げんなよ東風谷ッ!

――押さえろよしっかり、脳味噌に穴空けちゃうからな








「ぁ゙あ゙あああアアァあああアアああぁあぁああアアアアアあぁあ ─────ッッ!!!!」



つぷん、と意外とすんなり私の右の眼球はその先端を受け入れた。



あ行の悲鳴をつらつらと
ずぶずぶ神経を引き裂きながら
眼球を刺し潰す其れに与えられる物は
ただただひたすらな激痛で

背筋がびくんびくんと跳ねる
口からは胃液と唾液を
目からは涙と赤い血を
だらだらだらしなく垂れ流す



ずる。



一瞬だけ止んだ痛み、解放された腕
そっと右目に触れてみると、ソコには



「ひっ、い゙、ああ゙ぁ、ああああああああああわたしの目、右目っどこ、どこぉっ痛い痛いよぉおおおぁがあぁあああぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」



からっぽの眼窩には何が在る?





笑いながらいなくなった男子達は、倒れ伏す私の眼球を踏みつけていなくなった。
大きな黒猫が潰れた目玉を嘗めて咀嚼してしまった。
私の右目はなくなった。
黒猫はニヤニヤ笑っていた。
黒猫は私に囁いた。



「君の狂気はとても甘い」

「いた、ぃ゙、よぉ……」

「右目は我輩が食ろうてしまった、代わりに誰かの右目をあげよう」

「ぁ、あ、……誰、か?」

「そう、そうだ。お嬢さんはとても愛らしい。その狂気はとても甘露。もういっそ狂ってはいかが?」



狂っちゃ、だめ

でも、でもね

私ね、私



私の理性は右目として私の中から無くなってしまった。
私の弱さは私の理性を食い殺し、ぐるぐる渦巻いて飲み込もうとしていた狂気は、嬉しそうに舌舐めずりをして私の頬を嘗めるのだ。



ゲタゲタと下品に笑いながら
私の中で笑って笑って
私の脳髄を犯し
神経を潰し
引きちぎり



ただただ笑い続けて壊してしまった私の理性を。



「さあ我輩の愛しい愛しいお嬢さん、狂気は甘くて美味だろう」

黒くて大きな猫は大きな金の目を見開いてにニタニタ笑っている。



私は弱いから
弱くて弱くてどうしようもないから

穏やかな狂気を愛してそっと静かに壊れてしまった。

そう、狂ってしまったのだ。
私は狂気とやらを受け入れてしまったのだ。

甘ったるい腐った果実の芳香が脳を満たす。



ほら、もう終わったよ
みんなみんな壊してしまおう



そして「私は弱いから」と逃げるのだ。





狂気を片手に夜を歩いていた彼らの前に立って狂気を露わにして狂気を横にしながらわき腹の肋の隙間を縫うように深々と突き刺して引き裂いて濁った悲鳴をあげる彼らの顔を何度も何度も何度も刺して潰してぐちゃぐちゃにして私は笑った。
学校の中を逃げ回る彼らを執拗に追い回して背後に回って後ろから狂気で貫き引き摺り倒して馬乗りになって何度も何度も何度も何度も壊して壊して壊して壊して私の狂気が私の狂気でゲタゲタゲタゲタ下品な笑い声をあげる。

内腿を指先を顎のラインを肩胛骨を丁寧に丁寧に丁寧に丁寧に嘗め回す黒い狂気の頭を撫でて私は其れに抱かれる。
数多の腕は腰を頬を髪を脹ら脛を太股を腹部を両の乳房を右の眼窩を愛おしそうに撫で回し、私の潰れた右目を舌の上で転がしている。



そして私は虫の息の彼らの耳元で囁くのだ。












校舎裏では、潰れた眼球に鴉が群がっていた。
いじめっ子たちは洩矢の二柱の力で一命を取り留めて、早苗ちゃんも奇跡の力で右目が元に戻りましたが、色々気まずいので早苗ちゃんは幻想郷に引っ越しましたとさ。
GAMVB
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2010/03/04 17:35:47
更新日時:
2010/03/05 02:35:47
分類
早苗
グロ
1. johnnytirst ■2010/03/05 03:29:03
ハッピーエンドですね^^
2. 穀潰し ■2010/03/05 08:17:42
これは早苗さんが自らの力で苦難を乗り越えた、感動秘話ですね!!

んなわけないか。
3. アルマァ ■2010/03/05 10:41:07
この暗い感じ、とても好きです。
狂気ってやはりとても良いものですね。再確認しました。
4. 泥田んぼ ■2010/03/05 22:11:08
ちょっと早苗さんの右目抉ってくる
今からでもまた狂ってくれるよね?
5. 名無し ■2010/03/06 05:29:50
ハッピーエンドだね
千枚通しつぷりで久々に背筋が寒くなったw
名前 メール
パスワード
投稿パスワード
<< 作品集に戻る
作品の編集 コメントの削除
番号 パスワード