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『青の瞳、赤の瞳』 作者: ギャラクティカイリュージョン

青の瞳、赤の瞳

作品集: 12 投稿日時: 2010/03/05 13:45:17 更新日時: 2010/03/05 22:45:17
 夜空の星がひときわ明るく輝く、新月の夜。
かつて只の傘にすぎなかったその妖怪は、川の岸辺で岩にもたれかかって何やら考え込んでおりました。
その妖怪の名は、多々良小傘。
紫の傘と美しい青色の瞳を持つ、それはそれはかわいらしい少女の姿をしていたのです。

「あーあ、どうしてみんなは驚いてくれないのかな。」

 天を仰いでぼやく小傘ちゃん。
そう、彼女は人を驚かせることを糧とする妖怪でありながら、人を驚かすことを苦手としていたのです。
いち妖怪として、これはまさに死活問題。
しかし、あれこれ試してはみたものの、不意をつかれてびっくりした、といった調子の人間以外は
彼女を見てある者は笑い、ある者は馬鹿にし、またある者は「かわいい〜!」などと言い出してしまうのです。

 これでは商売あがったり。このままでは、いつか彼女は力を失い
誰も使おうとすらしなかったような、ただのだっさい傘に逆もどりしてしまうかもしれないではないですか。
さすがにそんなのは彼女としてもごめんです。
それ故に彼女は、こうして月明かりのない暗ぁ〜い夜に、うまいこと人間を驚かす術はないかと
人気のない川原で。こうして思考を巡らせていたのです。

 すると、なにやら遠くから、じゃり、じゃり、と
小石を踏みつけ歩いてくるような足音がこちらの方へと迫ってくるではありませんか。
あたりは他に風と川の流れる音しか聞こえぬほど静まりかえっています。
これは久しぶりにおいしい恐怖が得られるチャンス。そう考えた彼女は
さっそく行動に移ることにしました。

 じゃり、じゃり。 じやり じやり。
時間が経つにつれだんだんと、はっきり耳に入るようになってきます。
その足音は、徐々に彼女の方へと近づいてきているようでした。
さっきまでもたれかかっていた大岩の裏手に隠れた彼女は、そーっと顔を出してその姿を確認します。
間違いありません。近づいてくるのはまぎれもない人間、それもどうやら若い女性のようです。
若い女性の恐怖、妖怪や邪神悪神の類にとって、これほどのご馳走は他にありません。
滅多に無いであろうチャンスに、思わず二つの舌で舌なめずりをします。
(あっと、二枚の舌といっても、別に彼女が二枚舌だ、というわけでは御座いません。
本体のように見える人間型の体と、もしかしたらこちらが本体かもしれない傘の両方に顔があり
それぞれの口の舌が舌なめずりをした、というわけで御座います。)

 さて、いよいよ彼女が隠れている岩のすぐ近くまで、その人間は迫ってきました。
じやりっ、じやりっ。じやりつ、じやりつ。
いよいよ、彼女の計画を実行に移すときがきたようです。



 その人間――ここではわかりやすく“女”と呼ばせていただきましょう――は
肩に冷たいものが当たったのを感じ、足を止めて周りを見回しました。
特に何か変わったものや、物の怪の類の姿は見つけられません。
女が再び歩き出そうとすると、またもや肩に冷たいものの当たる感触。
しかし、やはり女は自分の周りに異変を見つけられません。

 再度歩き出そうとした女の肩に、三たび冷たい感触。
またか、と周りを見回した女の顔が真後ろを向いた、まさにその時。
ひんやりと冷たく、ぬら〜りと湿った何かが、女の顔をべっとりと撫で回します。
ひとしきり女の顔をべとべとにした後、青い瞳に青い髪のかわいらしい顔がその後ろからひょっこりと姿を現してこう言いました。
「うらめしや〜。」

 傘の先から骨をつたわらせて川の水滴を肩に落とし、隠れる。
三度繰り返したあと、舌で――無論かわいらしくない方の顔の、ですがね――顔を舐め回す。
最後に――かわいらしい方の――顔を出し、決め台詞のうらめしや。
小傘ちゃんの計画は、完璧にうまくいきました。
女が肩から二の腕にかけて開いた服を着ていたのも、より水滴に対し敏感になるという意味で好都合でした。
さて、あとは女の反応を見てお腹を膨らませるだけです。



 ところが。
あれだけ完璧に進んだはずの計画ですが、女は少しも悲鳴をあげてはくれませんでした。
感情の読み取れない表情で、こちらをじいっと見つめてくるだけ。
これには小傘ちゃんもがっかりです。しょんぼりしていると、女のほうから彼女に話しかけてきました。

「もしかして、貴方は妖怪?
 それで、私を驚かそうとしていた、とか?」

 どうしてか、女は小傘の目論見をぴったりと言い当ててしまいました。
驚かせるどころか、逆に驚かされてしまった小傘ちゃん。
その表情を見た女は、一瞬だけ不機嫌そうな顔をした後
やっぱりね、といった具合にぱあっと明るい表情を見せてこう言いました。
「うーん、アイデアはいいと思うんだけど、いまいちインパクトが足りないかなあ、なんて。」

 思いがけない相手からのアドバイスに驚いた小傘ちゃんは、ついつい聞き返してしまいます。
「それで、どうしたらその“いんぱくと”とやらが手に入るの?」

 するとその女は、小傘ちゃんの顔に手を伸ばすと
「うーん、私なら……こうするかな、なんて。」
左目の眼球と眼窩の隙間に、人差し指と親指を勢いよく突っ込んできたのです。



「ぎゃあああああ!痛い、痛い!」
たまらず小傘ちゃんは絶叫しますが、女はお構いなしに二本の指で眼球をがっしりと掴み
そしてそのまま、眼球を引っ張り始めました。

「ぅあ、ぐが、あ、あ……。」
「暗くてはっきりとは見えないけど、やっぱり顔立ちが可愛すぎるかな、なんて。
 うふふ。苦痛に歪むその苦しそうな泣き顔もかわいいですね。」
眼球を直に掴まれている痛みと恐怖で身動きできず、うめき声をあげる小傘ちゃん。
それを見て悪びれる様子もなく、楽しそうに感想を述べる女は
ためらいの表情など欠片も見せることなく、眼球の半分ほどを引きずり出してしまいます。
ぎりぎり、ぶちぶち、ぶちっ。
「ぎぐあっ!が……」
柔らかいナマモノがちぎれる嫌な音と、小傘ちゃんの絶叫が、あたりに響き渡ります。

 半分ほどで一旦手を止めた女が、ゆ〜っくりと残りの半分を引き出そうとさらに手を動かし始めると。
「ぐっ、うう、ぐぎが、あ、あ……。」
ぽたっ、ぽたっ、ちょろ、ちょろちょろ、ちょろちょろちょろちょろ……。
小傘ちゃんの下腹部からゆっくりと流れ出た液体が、足をつたって地面へと流れ落ち
彼女の服を、脚を、靴下を、履物を、そして足元を濡らします。

「あらら、まさか……お小水を漏らしてしまったのですか?
 これをかわいいですませるには、いささか年をとりすぎているように見えますし
 そもそも、いくつであってもこれはかわいいとかで済ませるものでもないですよね。
 うーん、恥ずかしい、かな。」

 女の言うとおり、小傘ちゃんは不覚にもお小水を漏らしてしまったわけですが。
人間を驚かせ恐怖心を糧とする妖怪にとって、逆に人間に驚かされ
あまつさえ失禁までしてしまうなど、これほどの屈辱はありません。
しかし、打ちのめされかけている彼女にお構いなしに、女は一気に
半分ほどがまだ残っていた眼球を勢い良く引っこ抜いてしまいました。

 ぶちぶち、ばつっ!
さっきより派手な音を立てて、眼球が完全に小傘ちゃんの顔から離脱します。
ぽっかりと開いた眼窩からは、血の涙にも見える血がたらたらと流れ出ていました。
女は抜き取った眼球のきれいな瞳を見て満足気な笑みを浮かべると
もう一方の手でなにやら赤く光るまあるい宝石のようなものを懐から取り出し
無理矢理にその赤い宝石を、眼窩へとねじ込み始めました。

「ぎゃあああああ!いた、痛いぃっ!!」
元々の眼球のサイズと比べたところで、少し小さいくらいなのですが
そもそも出し入れなど想定していない穴に強引に捻じ込むわけですから
その痛みたるや想像を絶するものがある、と思われます。
一層大きな悲鳴をあげて苦しむ彼女をよそに、女は自分の思いついた素晴らしい案の解説を始めます。
「オッドアイ、というんでしょうか。
 右と左で目の色がびっくりするほど違っている妖怪、これはインパクト大ですよ。」

 「本当は、さっきその辺をほっつき歩いていたネズミから没収した
 この宝石を持ち帰るつもりだったんですが……私、赤より青の方が好きなんですよね。
 うーん、いい色。
 こんな素敵なご褒美が用意されているなら、妖怪退治も悪くないかもしれません。」

 などと言い残し、女はその場を立ち去っていきました。
後に残されたのは、誰も使いたがりはしなさそうな気味の悪い紫色の傘と
血のように赤い眼から血の涙を流し、左目を両手で抑えて蹲る、一人のかわいらしい妖怪だけでした。



 それから一週間も経ったでしょうか。
小傘ちゃんは、相も変わらずどこぞの川原に寝そべって、なにやら考え込んでおりました。
多少欠けてはいるものの、月明かりは夜の幻想郷をやさしく明るく狂おしく照らし出しています。

 ところで、妖怪の回復力、生命力といったものは、いやはやなんとも驚くべきものがありますね。
彼女の左の眼は、すでに以前となんら変わらぬ姿であるべき場所に居座っておりました。

 ただ一つ、以前と違うところを挙げるとすれば。

 それはその左の瞳の色が以前のように――あるいは今も変わらずそこにある右の眼のように――透き通る海のような青色をしておらず
人の身体を流れ巡る血のように真っ赤な深紅であった、ということ、そして
恐らくはその深紅の瞳は、その内に光を宿してはいないのであろう、ということであります。
はじめまして。ギャラクティカイリュージョンと申します。
実は星蓮船ってEXまでしかやったことないんですよね。
小傘ちゃんのかわいらしさを、童話チックなノリの文章で表現してみたらこうなりました。
小傘ちゃんってかわいいですよね。
こういうグロいシーンのあるSSは初めて書いたんですが、書いてて正直キツくなる。でも楽しいです。
これからもちょこちょこ投稿していこうと思うので、よろしくお願いします。
ギャラクティカイリュージョン
作品情報
作品集:
12
投稿日時:
2010/03/05 13:45:17
更新日時:
2010/03/05 22:45:17
分類
小傘ちゃん
ぬるエロ
ぬるグロ
小傘ちゃんかわいい
1. johnnytirst ■2010/03/05 22:51:56
オッドアイは別の意味で驚きます…

女は誰だか知らないけどww

この女とはいい酒が飲めそうだ
2. 穀潰し ■2010/03/06 01:35:50
初めは私もそうでした。
ところでこの『女』は何処に行けば会えますか?
3. 名無し ■2010/03/11 16:38:07
半盲の小傘かわいいよ小傘。
4. 名無し ■2010/03/12 22:06:53
しかしこの苦労も無駄骨だったようでして……
それにしても小傘ちゃんは不幸話がよく似合うなぁ
5. 名無し ■2014/06/02 18:12:04
この『女』ってのは多分早苗だと思います。
にしてもEXまでって…。
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