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『二択ジジ抜き 後編』 作者: 灰々

二択ジジ抜き 後編

作品集: 14 投稿日時: 2010/04/07 04:10:26 更新日時: 2010/04/21 01:46:24
後編です。前・中編を見ていない方はそちらを先にどうぞ。

















―6―


魔理沙は“8”を引いた。両方裏だったので片方はわからない。
メモに

8とウラ

と書き、てゐの言った候補の一つ“2”を表にしてセットする。もう片方は“3”を裏にして蓋を閉じた。


(これで、いいのか……いや、これ以外に方法が……)


魔理沙は悩んでいた。このままてゐの言うとおりに行動していてもいいのだろうか。
そんなことを、考えているうちに、時間は過ぎ、魔理沙は部屋から出るように言われる。


『通路B』を通っている最中に魔理沙はいままでの、状況を整理していった。
4・5はもうない。1・2・3・8はちがう。
では、文のジジはなんなのか、となると、6・7・9のどれかになる。
しかし、ここまで、考えたところで、魔理沙の頭はこんがらがってしまう。


(ああ、くそ、だめだ、わかんないぜ!これからどうすればいいかなんて)


もう、次で四周目なんだなと、どうでもいいことを頭の中でつぶやく。


(そのつぎは五周目か……)


四周目と五周目のことを考えていた時、ふと、カードの4と5の事を思い出した。


(そういえば、5は、文が出してきて、てゐがとったな。あらが、文のジジという可能性は低い。4もてゐが表で出して文が取ったんだよな……て、ことは)


そのとき魔理沙に電流が走った。


(私の、持っていない二枚のカードは文、てゐの……誰のジジでもない!三人の手札はみな対等な条件ってことは、他の二人にも自分にはない数字が二枚あるはずだ。それらは、いずれも、だれのジジでもないカード。つまり、ジジでない数字六つはどれも全部で二枚しかないカード!よって、ジジは三枚ある!)


魔理沙はついに気付いた。ジジは皆三枚あるのだと。


(てことは、てゐが“1”を持ってる。そして、私は“3”を持ってる。)


結論はでた。文はジジを持っていない。さらにいえば、てゐは魔理沙に嘘を吐いたのだ。
“3”が表でセットされていれば、文は取ったりしないだろう。おそらく、両方裏でセットされていた。
何故そんなことをするのか?てゐには確信があったのだ、文のジジは“3”であると。
だから、魔理沙に“3”は表でセットしたといったんだろう。


(クソ!やられた!)


もう少し早く気がついてさえいれば、てゐを追いつめることもできたかもしれない。


(いや、まだ、間に合うぜ)


『待合室』に戻っててきた、扉から一直線に文の元に向かうといきなり、彼女の肩をガシッとつかんだ。


「えっ!」


文は突如つかみかかられ、硬直する。


「時間がおしいから、単刀直入言うぞ。おまえ、自分のジジ持ってないだろ!」
「!?……な、何いってんですか」
「お前のジジは“3”だろ!」
「違いますよ……あなたにどうして、そんなことがわかるんですか?」
「時間がないって言ってるだろう。いい加減、認めろ!私も自分のジジがないんだ!」
「ど、どういうことですか?」
「私は、はじめおまえの出した“1”をひいてしまったんだ。それがジジ」
「……私にどうしろと?」


文は困り切った苦悶の表情を魔理沙に向ける。


「まず、謝る。ごめん。おまえのことてゐと取引して、あわよくば利用しようとしてた。結果おまえは“3”を引かされちまったわけだ。だから謝る」
「て、てゐさんと!?」


そのことを知った文は、ついに観念したように、今まであったことを包み隠さず話した


「てゐは私たちに取引を持ち出し、それで引き出した情報を照らし合わせ私たちの手札を知ったんだ」
「じゃあ、てゐさんは私たちの手札もジジも全部知ってるってことですか」
「たぶんな、特殊カードのことも、みんなな」
「どうしましょう」


文が不安そうに魔理沙をみる


「ヤツに勝つ……いや、私たちが生き残るにはお互いに協力するしかない!それも、てゐのしたように取引なんて形じゃなく、お互いの持ってる全ての情報をさらけださないといけない」
「てはじめに自分の手札ですか」
「ああ」


二人は現在の手札を教えあった。
魔理沙は3・6・7・2で現在2を表に3を裏にしている。
文は2・7とジョーカーを持っている。


「じゃあ、今てゐさんの手札は、1・6・7、ジジは“7”ってことですね」
「ああ、ちょいまって」


魔理沙はお徐に立ち上がり、受話器をとった。
何かをきいて帰ってきた。


「いま、てゐの手札は1・2・6・7だ。」
「え、なんでそんなことがわかったんですか?」
「私は電話で今現在の私の手札は何かって尋ねたんだ。相手が取るまで自分の手札として扱うって言ってたよな?私の手札は、3・6・7だって言われた」
「なるほど!」


これで、てゐの手札が明らかになった、これから、どうしてくるか、予想する。
次、何をセットしてくるか……1・2・6・7のうち一枚は前回セットしたカードだから、今回選べない。そして、ジジである7を選択する可能性も低い。
文の手札2・7、できたら、2を引かせて、残った7魔理沙にひかせるのが、もっとも、いい方法ではなろうか。


「となると、片方は2.もう片方は1か6」
「前回、出した、カードが解ればいいんですが……あいにく裏だったので」
「いや、だいたい、予想はできる」
「どうやって?」
「文が“2”を表にして出したとき、私は裏だった。“5”をとったよな」
「はい」
「その時てゐは気付いたんだよ。ジジでもないカードが表でセットされてるのに何故裏のカードをえれんだか……それは、私がジジを持っていないから。そして、私のジジは“1”だって」


そう、あのとき全て気付かれてしまったのだ。


「だから、“1”は前回セットしている可能性は低い。とられても痛くない“6”をセットしたはずだ」
「じゃあ、てゐさんがセットしてくるのは1・2ってことですね」
「おそらく」


ここで、“1”をとれれば、ほぼ、勝ちは決まる。


「“1”を取ったら、私に回してくれ。そうすれば、ほぼ確実に勝てる」
「確実……ですか?」
「そう、私に“1”が回った全員の手札がこうだ」


魔理沙は壁に軽くシャープペンシルの芯をこすらせる。

          あ27J
          て67
          ま12367

「ここで、6・7をセットするとこの二パターンのどっちかになる」

        あ27J        あ27J
        て7          て6
        ま1237       ま1236

「てゐがセットし、文が取って」

        あ2J         あ267J
        て           て
        ま1237       ま1236
 
「↑で文がJを回してくれるとこう」「↑で文が6を回してくれるとこう」

        あ2          あ27J
        て           て
        あ1237J      て123

「↑では2・3を出す」      「↑では2・3を出す」

「そうすれば、1・3・7が残り
500点+一位で200点十分二人で生還
できる」

                 「2・3を出して考えられる二パターンが↓だ」

         あ27J          あ27J
         て2            て3           
         ま13           ま12

 「↑なら文が50点私が400点+200点」   「↑なら、文50点私が300点+200点」

「どっちも生還できる」
「ポイントは他の人に分けれるんですか?」
「可能らしい。さっき聞いてみた。嘘だと思うなら文も聞いてみるといいぜ」


嘘ではない。先ほど手札を確認した際、聞いておいたのだ。


「分かりました。“1”を取ったら、魔理沙さんに回します。」
「ああ、そんときはもう片方のカードは“7”にしとくんだぜ」
「はい。……じゃあ、もし、私が“2”を引いてしまったら?」


そこが、問題だ。


「とりあえず、ジョーカーを回してくれ、でないと、手札に3・6しかなくなる。てゐは特殊カードをもってるから、確実に“6”を取る。そこで、ゲーム終了。文0点、私が100点、てゐは400点+200点だ。私たちは助からない」
「ジョーカーを回したらどうなりますか?」
「うーん、そしたらもう、運頼みだな。私が出せるのは、6・7とジョーカー。てゐは特殊カードがあるんだから、次の番で両方裏にしても、“7”を引かせることはできない。となると、セットするべきは、6とジョーカー」


また、壁にさらさらと書いていく


「考えられるパターンはこの二つ」

  あ7                        あ7
  て17                       て167J
  ま37J                      ま367

「↑ならてゐが“1”を取らせにくる。    「↑なら6・Jだ。じかも、両方裏。
自分のジジと私のジジをメモにでも書いて    すると、どっちをとっても、そのまんま、
置いてくるだろう。たぶん両方表。       取ったカードを回すしかない。で、そうなると
だから“1”をとってまわしてくれ」      ↓のみたいになる」   
「すると、↓のようになる」
                         あ7    あ7
あ7                       て17J  て167
て7                       ま37   ま367J
ま137J
                      「どちらも“7”を引かせれなければ、二人は
「ショーカーはもうセットできない。だから、  助からない」
3・7を裏でセットする。二分の一でてゐが
7を引いて終了、私が400点+200点、文が
100点で二人助かる。でも、3をひかれれば、
私は400点100点、二人は無理だ」

「二分の一で私たちの負けだ」


二人とも黙って、しまう。
ここが運命の分かれ道なのだ
放送で、間もなく10分だとしらされ、いそいで、壁を手できれいにする。


「とにかく、“1”なら私に“1”を“2”なら、ジョーカーを回してくれ」
「わかりました」



―7―


台には左に“2”が、右に裏のカードがセットされていた。
てゐは迷わず“2”を選び、手札に加える。
そして、そのまま“2”を裏向きにセットした。
残りの一枚は“1”を、これも裏でセットする。


(こればっかりは、運ウサ。“1”を取られると面倒なことになるウサ)


1がとられれば、文の手札は1・2・7 それにジョーカーがある可能性がある。
7をセットして魔理沙が引いてくれればよいが、1が魔理沙に渡ったりするとかなり厄介だ。
そうなると魔理沙の手札は1・3・6・7、それにジョーカーがあるかもしれない。3が文のジジだということにも気付くだろう。となると、出すのは、6・7。恐らく裏。
特殊カードで裏を見破って6をとるしかない。ジョーカーだったら、かなりましなのだが、あまり期待はしないほうがいい。
そうなってくると、手札は2・7しかなく、これをセットせざるをえない。
文に7を取られれば絶望的。
運よくしのぎ切れば、文は7しかないので、そのまま、魔理沙のところへ。
魔理沙の手札の7と被って破棄。結果全体のカードは四枚になりそこで、ゲーム終了。
なんとか、自分のジジは守れるが、魔理沙は自分のジジと文のジジをもってるので、向こうのほうが、ポイントが高い。よって、2位。
いや、もしも文がジョーカーを持っていたら、魔理沙に7ではなくショーカーが行く可能性がある。
そうなると、だしてくるのは、7、とジョーカーの裏だろう。ま50%でジジを引いてしまう。


(今回ばかりは、神様に頼むしかないウサ)


10分が経ち部屋を文に明け渡す。
てゐの命運はこのあと文が何を引くかで大きく変わる。


『待合室』に戻ると魔理沙が、話掛けてきた。


「どうだ。文のジジはわかったか?」
「ああ、大丈夫ウサ。今に結果が出るウサ」


チラッと、モニターをみると数字は10。


(変わってくれウサ!)


「何を出したんだ?」
「まあまあ、あせらないでウサ」


魔理沙のほうを向いた瞬間、チャイムが鳴る。


(数字は!?)


てゐがモニターを見遣ると数は変わって、8になっている。


(やった!これで、ほぼ、勝ちウサ!)


文がジョーカーを持っていなかったら勝ちである。持っていたとしても、二分の一で勝ち。魔理沙が7を引き、残った手札は6・3。特殊カードを使えば裏でも6が確実にとれる。これで、全体のカード数は四枚。ゲーム終了である。魔理沙がジョーカーを取ったとして、手札は3・6・7・J。なにをだしてきても、そこそこ良い手が打てる。


「破棄されたカードは8・2。それでは、四周目です。どうぞ」


映姫の放送が終わる。


(……念には念を入れておくか……)


「魔理沙、文のジジは、“3”ウサ」
「“3”!?」
「ついでに言うと私のジジは“7”ウサ。そして、今、文の手札は7一枚。私は1・6・7。魔理沙は3・6・7。ジジは“1”ウサ」
「な、なんでそんなこと……!?」
「取引ウサ。もし、文がジョーカーを持っていれば君は生き残れるウサ。持ってなかったら残念でしたウサ」
「生き残れたらどうだって言うんだ!?」
「取引してやるウサ」


魔理沙は困惑した。こんなことを持ちかけられるとは予想外だった。


「私が一位になったら、200点あげるウサ。だから、6・7を表で出すウサ。そうすれば、私は6をとって、手札は1・7。両方、表にセットすれば、文は1を選ぶウサ」
「……なんで、文が1を選ぶってわかるんだ?」
「メモで私のジジが“2”、君のジジが“1”だって教えてやるウサ。それから、私が一位になったら、点数分けて助けてやるとでも言えば確実に“1”を選らぶウサ」
「“2”を取ったらそこでゲーム終了……文は0点、私は200点+200点、てゐは100点だ私は助かる」
「そう、助かる。でも、文は助けられないウサ。そのこともメモに添えてやるウサ」
「……文が“1”を取ったらどうなるんだ」
「セットされるのは1・7。五周目だから、両方裏、運が良ければ、“1”が手に入るウサ。悪けりゃ“7”を失って、ゲーム終了。私は300点+200点、文は100点、魔理沙は100点ウサ。でも、私が200点あげるんだから、魔理沙のポイントは300点。ここから、抜け出せるウサ♪」


魔理沙は考えた。悪い話ではない……確実に生き残れる方法だ。


「わかった。約束しよう……」



―8―


魔理沙が行き、文が帰ってくる。
てゐはゲーム終了の合図を今か今かと待ち侘びていた。
しかし、画面の8はいつまでたっても、6にはならない。
流石に五分もしたら、てゐもあきらめた。
文が、ジョーカーをもっていて、魔理沙はそれを引いたのだ。


(クソ、ジョーカーは文が持ってたか。まあいいウサ。魔理沙はきっと取引に応じるはずウサ)


その頃、『セッティングルーム』で魔理沙は葛藤していた。


(これで、大丈夫なんだよな……)


カードをセットし終え、考える。


(本当に大丈夫か!?てゐが私に200点くれる保障なんてどこにもないんだぞ!)


ここで、“6”とジョーカーを裏にして、二分の一の確率にかけるかと、迷う。


(確実な方法……そんなものあるはずが……)


(いや、もしかしたら!)


魔理沙はあることに気付き受話器を取る。


(これが、可能なら、私は確実に勝てる!)


受話器に向かい。できるか?と問う
答えは……








てゐが引く番が回ってくる。
『セッティングルーム』に入り、手札を準備する。


(ふふ、計画通りウサ!)


台には、6と7が表にして、セットしてあった。


(これで、文が“1”を引きさえすれば、私の生還は約束されるウサ)


“6”を取り手札のと一緒に破棄する。
自分の残り手札、1・7を表向きでセットする。
次いで、てゐはメモ用紙をとりだし、シャープペンシルの芯を走らせる。


いいことをおしえる、7はワタシのジジ。1はマリサのジジ。7とると、そこでゲームおわる。文0、ワタシ100、マリサ200でマリサに200入る。でも1とって、マリサに7ひかせればゲームおわり。文に100、ワタシに300入る。一位のワタシにさらに、200入る。その、200
あげる。だから、1をってくれ。二枚とも、ウラでセットしてね。二人で生きてかえろう。てゐ


このメモを台に置き、てゐは『セッティングルーム』を出る。


(まあ、どちらにもポイントをあげるつもりなんて毛頭ないウサ)


『待合室』に戻る。魔理沙はソファーに座って。モニター画面の方を向いている。
てゐはその後ろに立って、モニターを見ていた。
なんとなくだが、魔理沙の視界には入りたくなかった。
3分ほどたったところで、4周目終了のチャイムが鳴る。


(きた!)


「四周目終了です。では、破棄されたカードを発表します。6、です。では、いよいよ最後の周です。頑張って下さい」



魔理沙の後で、てゐの顔がにやける。
てゐの前で魔理沙がほくそ笑む。

声に出していれば、ハモったかもしれない。
二人は全くおなしことを心の中で叫んだのだ。


((勝った!))



―9―


五周目。てゐは余裕の表情で、モニターを見ていた。


(“1”でも“7”でも私が一位はかわらないウサ)


“7”を魔理沙がとれば、そこで、終了。
もし、“1”をとっても、魔理沙の手札は

1・3・7・J

“7”はさっき出したからセットできないし、“1”はしてこないだろう(してもらってもいっこうにかまわないのだが)
となれば、出してくる、カードは“3”とジョーカー
五周目は強制的に裏なのだが、てゐには特殊カードがある。
これで、確実に“3”をとることができる。
そして、五周目は三人目が取った瞬間ゲーム終了。
結果

あ7
て37
ま17J

となる。てゐと魔理沙は同点ではあるが、ジョーカーが効力を発揮し魔理沙は二位。
結果てゐに200点入る。


モニターの数字が変わらぬまま、順番がてゐにまわってくる。


(ふう、私だけ、生還という、優越感にひたれないのは残念だけど、勝利は確定ウサ)


部屋に入り手札を準備する。
と、台の上にメモが置いてある。

“右がジョーカーだぜ”


(ははは、魔理沙は私がもう特殊カードを使ったとでも思っているのか?にしても狡いやつウサ)


特殊カードを機械に入れる。
画面に「どちらのカードを見ますか?」と表示される。
てゐは左をタッチする。


「ククク、ははははは!魔理沙は嘘吐きウサ!まったく、左がジョーカーじゃねーか!なんとか私にジョーカーを引かせようとこんなせこいまねして、滑稽ウサ」


てゐは右のカードの蓋をあける。
ジョーカーは機械の中に落ちて魔理沙の手札にかえる。


(心理戦で私にかとうなんて千年早いウサ!)


ゆっくりとカードをうらがえす。


(え!?)


カードは“3”ではなかった。
では、“1”か?、いや違う。


(う、嘘ウサ……機械の故障ウサ……だ、だって、あり得ないウサ)


「“7”がセットされてるなんて!!」


ありえない。いったいなにをどうしたらこんな現象がおこるのか。
てゐはショックのあまり、その場にへたり込んだ。


「ウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウサウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソウソ……」


呪文のようにつぶやき続ける。


「嘘ではありませんよ」


古明地さとりが立っていた。


「だ、だって……魔理沙は前回“7”をセットしたんだウサ。手札も四枚……セットできるはずがないんだウサ!」
「できるんだなぁーこれが!」


さとりの後から、魔理沙が現れた。


「い、いったいどうやって……?」
「お前に言われたとおり、6・7を表でセットしたあと私は文にある作戦を持ちかけたんだ」
「作戦……?」


涙目で魔理沙に尋ねる


「そう、セットが終了した後、『セッティングルーム』に自分のロッカーの鍵を置いて部屋を出るように頼んだのさ!」


鍵……そうか!とてゐもようやく理解した。
全く盲点だった。鍵を渡すなどということは……


「それで、文の特殊カードを使ったのさ。“選ばれずに戻ってきたカードの数字も次の番セットできるようになるカード”をな」
「そう、それで、“7”をセットできたウサね?……今思えば、大したないウサ。こんな作戦に気がつかなった私の負けウサ」




―10―



『待合室』にあつめられ、再び三人が集まる。
映姫が点数を発表する


「お疲れ様です。ではポイントを発表したいと思います」

「てゐさん……0点。文さん……0点。魔理沙さん……500点。一位なので+200点」


ここで、文の顔が曇る。
0点……おかしい。“7”を持っていたはずだった。しかし、0。
答えはすぐにわかった。魔理沙が、セットした、“7”あれは、文の“7”だったのだ。
では、何故そんなことを、するのか? 二人は点数を折半するという約束だった。
文が“7”を持っていようと、魔理沙が“7”を持っていようと二人のポイントの合計はかわらない。
文は悪寒がした。


「では、魔理沙さん。どうしますか?お二人の内一人なら助けることができますよ」
「いや、余ったポイントは全部寿命に換えてくれ」
「魔理沙さん!!」


文が叫んだ。


「や、約束が違うじゃないですか!!ポイントは折半です。私に350点返して下さい!!」
「……お前さぁ……もう、充分生きたじゃん」


魔理沙はしれっとそんなことをいった


「は!?」
「もう、千年位生きたんだろ?私はまだ20年も生きちゃいないぜ」
「そ、それとこれとどういう関係が……」
「私だって、長生きしていんだぜ!アリスとかパチュリーとかともっと一緒にいたいんだよ!人間の寿命じゃ短すぎるんだ。やりたいことだって、山ほどあるんだ!」
「ふ、ふざけるな!!私だって、一緒にいたい人だっています!やりたいこともあるんですよ!!」


魔理沙につかみかかろうとしたが鬼に取り押さえられる。


「はははははははは」


てゐが笑っていた。




―11―




てゐと文の二人は鬼につれていかれた。
文の呪詛とてゐの笑い声が徐々に遠ざかっていき、やがて静かになった。
『待合室』には、さとりと映姫、魔理沙の三人になった。


「じゃあ、さっさと解放してくれ」
「それは、できません」
「なんだ?手続きでもあるってのか?」


魔理沙はめんどくさそうに髪ワシャワシャとかきながらきいた。


「いいえ、魔理沙さん。あなたも地獄にいくんですよ」


(え!?)


「な、なんで!?ポイントは払っただろ?」
「あなたはルールに記載されていた、条件をみたせなかった」
「条件!?」


ルールが書かれた紙を何度の目を通したはずだ。見落すはずがない。

「条件なんて書いてなかったぜ!デタラメいうな!」
「ありましたよ。ほら、ここ」


映姫が指差したところには

◎大変でしょうが頑張って、皆生還を目指し下さいね♪

と書かれていた。


「ね。こんなにはっきりと、二重丸までつけて書いてあったんですよ」
「そ。それで、そのどこが条件なんだ!?」
「だから、皆生還が条件だったんですよ」


なんてことだ! 気付く訳がない。


「こんなのひっかけだ!」
「あなた、自分がどうしてここに連れてこられたかよく考えてみて下さい」


理由。たしか、嘘吐きだからとかいう理由だった。


「このゲームははじめの順番決めのとき、互いが手札とジジを明かしいれば、二周でジジ以外のカードはなくなるんです。あとは、ショーカーをまわしていれば、五周して、ゲーム終了。みんな一位ですから700点もらえて、ウハウハだったのです」
「まてよ、それだと、ショーカー持ってるやつが、200点もらえないんじゃないか??」
「だから、書いてあるじゃないですかジョーカーはポイントで並んでいるものが二人の時のみ効果を発揮する)≠ニ」


魔理沙は唖然とした。一体こいつらは、なにがしたいのだろう。


「てか、メンバーをみたときに気付くべきでしたね」
「メンバーって」
「てゐさんは詐欺の常習犯。文さんは出鱈目な情報を自分の新聞でばらまく」
「私たちを見て何かわかりませんか?」


さとり、映姫、勇儀、萃香……


「嘘が、嫌い?」
「「イエス」」


なんじゃそりゃー!!
魔理沙の咆哮が『待合室』にひびいた。


「私たちは嘘吐き撲滅委員会のメンバーです。委員長は私……四季映姫です」


魔理沙はその場にガックリ膝をついた。
こんな、訳のわからない委員会のご期待に応えられなかっただけで、地獄行き。
頭のなかで、怒りが沸々と湧いてくる。


「ざっけんな!!」


魔理沙の拳はさとりによって、軽々と受け止めらられてしまう。


「いけません。魔理沙さん……委員長に手をあげられては、粛清せざるをえません」


掴まれた拳がギリギリと締め付けられる。


「さとりさん、おやめなさい」


さとりは黙って、そっと手をはなす。
魔理沙は自分の手を抑えてその場にしゃがみこむ。


「魔理沙さんには、これから、地獄にて450年の強制労働が待っているんですから」


と、ここで、鬼二人が返ってきた。


「終わったよ」
「わかりました。では、魔理沙さんも連れて行って下さい」


魔理沙は鬼二人に立たされる


「ほら、歩きな。なんなら、おぶってってやろうか?」
「魔理沙には、これから、地獄で鬼帝国の建設のため、頑張ってもらうよ」
「なぁに。心配するなって、地獄には専用の通貨があって、それで、多少の娯楽が味わえる」
「通貨をかせげれば、普通より早く解放されることも可能だしね」


魔理沙の耳がピクンと反応した。


「本当だろうな……」
「ああ、私たちは嘘をつかない」


魔理沙は映姫を睨みつける。


「絶対出てきてやる。二十年いや……十年だ!」
「……」
「出てきたら真っ先にお前の所に行く。そして、オマエの乳を切り取ってさとりに食わせる。鬼二匹の首をちょん切って、オマエのアソコにぶち込む!」


映姫は僅かに微笑み


「その言葉本当ですね?」
「うそじゃねえー!本当にぶち込むからな!!」
「そうですか……」


さとりが前足に体重をかける。


「ふふ、楽しみにしていますよ」
「ああ、せいぜい手入れを怠るなよ……」


そう言い残すと、魔理沙が自分で歩きだした。
鬼に案内され、部屋から出ていく。


「いいんですか、?あの人今、十回くらい脳内で、言ったこと映姫様に繰り返してましたよ」
「いいんですよ。楽しみが増えました」
「な……」
「彼女たちの嘘はある種才能です。使い方をかえれば、きっと人々の役に立てるにちがいありません」
「そうでしょうか……」


さとりが同意できないといった、顔をする。


「そうですよ。今日もこんなに私たちをドキドキさせてくれたじゃないですか」
「まあ、たしかに、彼女たちの行動には驚かされました」


さとりはそこだけは認めますと、頷く
映姫はクスクス笑い、こんなことを提案してみた。




「今度は、こんなひっかけでなく純粋に心理戦をやってもらいましょうかね。寿命じゃ、あれなんで、私のポケットマネーから、100億ほど、出して」

「それは、見てみたいですね」

「では、早速どんなゲームにするか、考えないといけませんね」






――おわり――







本編でのカードの流れを表にしました。
○がついている数字は裏表示です。 ジョーカーの裏は小文字のjです
X…取った数字
Y…セットした数字
Z…セット次の回できない数字


  X  Y  Z
あ / @j J
ま 1 29 2
て 9 4D 5
あ 4 2D 2
ま 5 5F 7
て 5 BE 6
あ 3 FG 7
ま 8 B2 3
て 2 @A 1
あ 2 7J 7
ま J 76 7
て 6 71 7
あ 1 F@ 
ま 1 jF 

三人のはじめの手札ジジ

あ 1234578J “3”
ま 1236789 “1”
て 1345679 “7”
どうも、エイプリルフールから一週間たってしまいました。
なんとか、できました。
なんか、文がおめでたい頭をしてますが、一人くらいそういうキャラがいてくれないと、心理戦とかできないといいますか。作者の脳では頭の良いキャラ三人も同時に動かせません。

読み返して確認したんですが、自分でも気がつかないミスや、ご都合展開があるとおもいます。
あったらすいません。でもお許しを


――おまけ――


早苗「ライアーゲームは支配力なんですよ――――」
幽香「……早苗様 この風見幽香 そのような解釈…好きではありません」
幽香「粛清します」
早苗「ぎゃー」
霊夢「不謹慎な顔だわ」
慧音「ぐいでぇ…ぐいでぇ…」(妹紅を性的な意味で)



今度からこちらでコメ返ししたいと思います


―コメ返し―


>>1 幻想卿のメンツによる心理戦は機会といいますかアイデアが浮かんだらやりたいです
>>2 ありがとうございます!皆が正直になれば皆が助かる……いつもナオたんが言ってることですね
>>3 福本先生の漫画は面白いですね。福本先生の漫画以外にもライアーゲームや嘘喰いなどの心理戦を繰り広げる漫画が好きです
>>4 カイジ幻想入りですかww話が浮かびそうで浮かばないw
>>5 一条には頑張ってもらいたいですが、とても戻ってこれるとは思えない
>>6 こういうゲームの監視役のバイトとかやってみたいですw私もウナルさんのようなSSが書けるようになりたいです。色々参考にさせてもらってます
>>7 地獄での通貨はSuicaです
>>8 ちょっと、最後一条すぎましたかねw
灰々
作品情報
作品集:
14
投稿日時:
2010/04/07 04:10:26
更新日時:
2010/04/21 01:46:24
分類
魔理沙
てゐ
映姫
さとり
心理戦
ライアーゲームっぽい何か
後編
1. 紅のカリスマ ■2010/04/07 14:11:15
最初から三人は映姫様達の掌の上で踊らされていただけだったのか……。

幻想郷の面子による、純粋な心理戦も見てみたいです。
2. 名無し ■2010/04/07 16:47:38
実に良い!ゲームの相手は閻魔様だったワケか…
よく考えりゃ更正を促すような内容じゃなかったもんなぁ。
3. 名無し ■2010/04/07 22:12:58
1話から薄々思っていましたが、やはり福本スキーでしたかw
4. 名無し ■2010/04/07 23:59:30
カイジ参戦っ……!
5. 名無し ■2010/04/08 03:01:51
兵藤「1050年地獄行きっ……!」
一条「ううっ…!あああっ……!」
6. ウナル ■2010/04/13 22:55:01
疑心暗鬼に囚われながらも足掻く姿は実に心が躍りますw
これがセーフティの喜びというものなのでしょうか。
いつかこんなSSを書けるようになりたいです。
7. 名無し ■2010/04/15 12:12:35
ペリカ登場の予感!
8. 名無し ■2010/04/17 22:30:07
魔理沙=一条ですね、わかります。
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