愛などいらぬ

作品集: 14 投稿日時: 2010/04/10 02:31:27 更新日時: 2010/04/10 02:31:27
最近、さとり様が私に対して冷たくなりました












「うーん、アレだね」

飼い主であるさとり様のペット、お燐は私の相談に乗ってくれた

「あれ?」

「新しいペットをすごく気にいってるんだよね、さとり様はさ」

新しいペットとは、空と同じく羽の生えた妖怪らしい
頭が冴えていて、優秀で、字が上手に書けるそんな奴
そんな奴を、さとり様は大層気に入っているのだ

「前、新聞も書いてたらしいよ」

「しんぶん?」

「わからない?燃えるものよ」

「うにゅ」

燃える物を作るだけの奴を、可愛がり、愛しているさとり様
そんな物を『燃やせる』私は、もっと凄い筈なのに

「ねぇねぇお燐、私どうして冷たくされてるの?」

「え、えっとね…ほら、愛情表現って奴だよ」

可愛い子には旅をさせろって言うでしょ?とお燐は諭す
そうか、じゃあ私に近づいてくれないのも愛情表現なのかな

「でも、どうして私だけ冷たくされるの?」

「………」

ねぇ、お燐。何か喋ってくれなきゃ話が進まないよ

「きっと…一番好きだからだよ」
「さとり様は、お空が成長してくれるのを待ってるんだ」

「してるよ!こんなに凄い力があるんだよ!」

「その凄い力を、もっと有効的に使ってほしいんじゃないのかな」


「どうやって?私、使い方知らないよ」

「だから、旅をさせるのよ。もっと常識を知らないと」

「いつまでもさとり様に頼ってちゃダメってことかな?」

うん、うん。とお燐は頷く。

「じゃあさ、お燐 ヒントちょうだい!」

「そうだねぇ、まずは…」





お燐は利口だから、色々な事を教えてくれた
弱火、中火、強火、火の扱い方
ガスには気をつけなきゃダメだよ!
箸の持ち方
優しい心の使い方
死体の運び方は、あんまり関係ないかなぁ?






「ありがと!お燐!」

「気にしないでよ、私達は、友達なんだからさ!」

「うん!」


「でも、お燐。私に優しくしていいの?」

「いいのよ、愛が大事。さっき教えたじゃないか」

「ああ、そっか!忘れちゃいそうだった!」


じゃあね!と別れを告げ私は溶岩地帯を飛び出す
今覚えた事を、忘れないようにメモも書いてもらった
優しいね、お燐。
私は優しくないから、さとり様の愛で遠ざけられているんだ
早く愛を知りたいなぁ!




私は洞窟を足で駆けあがり、地上へと羽で羽ばたいた








































「それじゃ、早苗!私、地霊殿に行ってくるね!」

「ええ、行ってらっしゃい。あ、お土産は多めにお願いしますよ」

























「お燐ー!さとり様ー!」
えっえっと、紙をもう一度読み直してみよう

「とつぜんですが、帰ってきました!お空です!」
あれ、誰も居ないのかな?

「ねぇ!みんなー!」
とんとん色んな部屋のドアを叩いても、返事は無い

もしかして、裏の方かな?


時々さとりは、そこで瞑想をする時がある
何を考えているのかは存じてはいないが



「あっ、あった。裏口だね!」
今度こそ、今日からドアを壊さずにドアを開けよう
ドアに優しい気持ちを使おう

すると、ドアは私の気持ちに答えてくれた
こんなに簡単に開いてしまう

「ありがとうございます!ドアさん!」
私は軽くお辞儀をし、少し離れた場所へと走るのだった














鈍い音が耳に入り込む






酷い匂いを鼻で嗅いでしまう





さとり様達が目の中に入った




「さ、さとり様…?」


「あら、お空。近寄らないでよ」
「さとり様に近寄らないでください、放射線で病気になっちゃうでしょう?」
あいつが、新しいペットか。なんだか生意気だ

「あ、あのっ、さとり様!」
「ああ、お燐よ」






さとり様は心を読める
私が何を考えているのか知っていた



『アノペットハナニヲタベテイルノ?』


ああ、お燐よ






お燐?





もうぐちゃぐちゃでわからないだろうけど、お燐よ





『わたしのことをかんがえてくれるあたまがないよ?』



文ったら、真っ先に食べちゃった



『わたしといっしょにあるいてくれるあしがないよ?』



美味しかったのね




『わたしのことをなでてくれるうでがないよ?』



御馳走様だって














『お燐が』
食われて死んだのよ








「…や…やだよ……!」

「だって、仕方ないでしょう」
この子が、猫を食べたいって言ったんだから
さとり様はペットを撫でながら、口に付いた血にキスをした

「そんなのやだ!!」

「あやや、そんなことほざくから嫌われるんですよ
清く正しく、ね。人を思いやらないと」

「そうよお空、貴方は愛が足りないわ
だから私から嫌われるのよ
もっと、利口になりなさい」


愛?


【――――――をつけなきゃダメだよ!
愛も大切だからね
皆の事を考えないと!――――――】

私はいつの間にか目の前の惨劇から目をそらし紙を見つめていた
紙にお燐の面影が映る







でも、お燐。私に優しくしていいの?

いいのよ、愛が大事。さっき教えたじゃないか

ああ、そっか!忘れちゃいそうだった!










「ほら、あっち行きなさいよ
二度とその面見せないで頂戴」



「………」
こっちのセリフだ   呟く
聞こえなくてもいい、お前は心が読めるんだろ
心が読めるくせに人の感情が読めないんだろ
お燐の大切さもわからないんバカに用は無い

足はいつの間にか反対側を向いてて、上下に動いていた
ふらふらと今にも倒れそうなのに、ぎぐしゃくと規律良く足は動く


まるで、軍隊の行進みたいだ
行進って何だっけ、まだ教わってないや





崖下には赤く燃え滾るマグマのみ
地獄の烏の羽は動かない


でも、私の足はあと一歩だけ動く

もう一歩だけ動いたら、お燐に会えるんだ


空は両手を広げ、崖下へと転げ飛んだ






友を、今すぐ抱きつく為に








ごめんね、お燐



私バカだからさ、愛なんて忘れちゃったよ


でも、お燐は私を愛してくれた

あのさ、忘れた私を叱ってよ

私、お燐に謝るから











だから、死んでもまた会おうね
お燐さん…
正直タイトルはこれがやりたかっただけなんだ

初投稿だから、不安でいっぱいです
kurusu
作品情報
作品集:
14
投稿日時:
2010/04/10 02:31:27
更新日時:
2010/04/10 02:31:27
分類
霊烏路空
1. 名無し ■2010/04/10 13:27:18
後に聖帝と呼ばれる妖怪誕生の瞬間・・・ではない。
2. 名無し ■2010/08/13 22:28:42
なんだろう……
胸が痛くなる
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