立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む

　
　火焔猫燐が失踪して、一週間が経った。





　どこへ行ってしまったんだろう？

　　　







　地底中を回って、隅々まで探したけれど、彼女は何処にも居なかった。



　地上にも行った。
　紅魔館。白玉楼。永遠亭。守谷神社。妖怪の山。魔法の森。博麗神社。



　焦りが募る。




　居なくなって初めて知る、喪失感。



　寒い。



　





　



　火焔猫燐が失踪して、一ヶ月が経った。

　


　ねえ、燐。








　何処に居るの？


　寂しいよ。





　寒い。








　やっぱり、私が飼い主じゃあ、嫌だったかな？



　ずっと分かったつもりで居た。


　読んだ心が、全てだと思っていた。





　御免なさい。































　それから何百年か、時を刻んだ幻想郷。






　暗い暗い地底の、暗い暗い廃獄で、ずっと私は待っている。


　ペットたちはもう居ない。

　友人たちはもう居ない。

　美しかった地霊殿。輝く天窓。ステンドグラス。



　今はもうない。







　私はここにいるよ。



　待ってるよ。